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外食単価が19カ月ぶりに前年比マイナスに。再度デフレ傾向に向かう兆しか?(2016年6月度・外食市場調査より)

2016.07.28

ホットペッパー グルメ外食総研では、2013年10月から、日々の夕食を記録してくれるモニターを3圏域計で毎月約1万人募集し、外食および中食の実施率、頻度、単価などを経年で調査しています(外食市場調査)。
現時点で最新の2016年6月度の調査結果で気になるデータがあるので触れておきたいと思います。

6月度の外食単価が2493円(前年比ー28円)と19カ月ぶりに前年を割り込んだ点です。
外食単価は2014年11月に前年比でマイナスを記録して以来、18カ月間連続で前年比プラスを記録していました。2014年といえば、4月から消費税が5%から8%に増税された年で、2014年度の12カ月中もこの11月以外は外食単価は前年比プラスで推移し、年度トータルでは外食単価は+4.1%と消費増税分の3%を上回る単価上昇があった年です。

その後、2015年度は人件費や円安による輸入食材の仕入れ原価増などもあり、外食各社が値上げやプレミアム商品の投入を行った年で、年度のトータルでは外食単価は+3.6%を記録しました(一部企業では、2016年に予定されていた消費税の再引き上げを先回りして値上げを行ったケースもあったかもしれません)。

そうした事情もあり、18カ月間という長期に渡り、上がり続けていた外食単価がここにきて上げ止まりました。外食各社では、デフレ時代の基幹メニュー値下げ(代表的なものでは、牛丼280円化など)のような打ち手を講じているケースはほとんど見かけませんが、プレミアム商品投入やファストフード店でのアルコールメニュー充実など、高単価につながる打ち手とランチタイムやハッピーアワーなどの売上確保を目的としたお得感のあるキャンペーン商品の投入を並行して行っている状況が見てとれます。

拡充を続ける中食という選択肢と併せて、外食単価は消費者の選択に委ねられている状況がしばらくは続きそうです。今後の単価が高止まりするのか、値崩れしていくかを注目していきたいと思います。そしてそれはそのまま国の経済状況を見る際の消費意欲を測る指標として見ることもできるのではないかと思います。

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稲垣 昌宏

稲垣 昌宏ホットペッパーグルメ外食総研 上席研究員