【閉店】練馬の喫茶「アンデス」でナポリタンとビールを【ヒョイ飲み】

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安田理央のヒョイと一杯のつもりで飲んで
練馬の喫茶「アンデス」でナポリタンと缶ビール、そして漫画

フリーライターの安田理央です。お酒が大好きです。飲み屋が大好きです。気の合う仲間と心ゆくまで酒を酌み交わす時間は、なによりも幸せだと思っております。

 

でも、そんなに本気で飲むんじゃなくて、ちょっとだけ軽く飲みたいという気分の時って、ありませんか? あまりに暑いからビールを一杯だけ飲みたいとか、家に帰る前にちょっと一杯だけ何か飲みたいな、とか。


そんな時、ちゃんとした飲み屋に入っちゃうと、どうしても一杯だけじゃ済まなくなってしまいそう。と、いうか、実は僕はこの歳になっても、一人で飲み屋に入るのが苦手なんですね。手持ち無沙汰になって、つい飲み過ぎちゃったりするんです。

 

そんな時にぴったりなのが、飲み屋ではない飲食店。それなら一人でも入りやすいし、あくまでも酒はサイドメニューなので、飲み過ぎないように心にブレーキもかかるんですよ。それに、普通の飲み屋にはないような料理と組み合わせて飲むのも、また楽しいんですね。

 

そんなわけで、ヒョイと飲めるお店、通称「ヒョイ飲み」に向いたお店を巡っていこうという企画なのです。

 

記念すべき第1回として僕が選んだのは、喫茶店のナポリタンとビールの組み合わせ。僕はこれが大好きなんですよ。甘ったるい昔ながらのナポリタンとビールって、合わないような気もしますが、試してみるとベストマッチ。

 

10代の頃から一人暮らしをしていた町、練馬区の江古田に、「トキ」という古い喫茶店がありまして、僕はここで明るいうちからナポリタンとビールを頼んで、漫画を読みながらチビチビと楽しむというのを、よくやってたんですね。大変満ち足りた幸せな気分になれるのです。

 

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▲ 閉店した喫茶店の名店「トキ」の写真

 

しかし、残念ながら「トキ」は2013年にその55年(!)に渡る営業を終了してしまいました。ああ、もうあの幸せな時間を過ごすことはできないのか。今どきのカフェなんかじゃ、ダメなんですよ。パスタじゃなくてナポリタン、そして漫画もお店も古びていないと、あの気分は出ないんですよ。

 

でも、探せばあるもんです。江古田から2駅先の練馬駅の駅前すぐに、創業44年の老舗喫茶店、その名も「アンデス」という店がありました。これがまた、「トキ」に負けず劣らずのいい雰囲気の店なんですよ。

 

というわけで、最近の僕はここでナポリタンとビールのひと時を過ごしているわけです。

 

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メシ通スタッフのM君と、練馬駅前で待ち合わせ。

時刻は午後5時。まだまだ明るい。この明るいうちというのも重要なんですね。明るいうちから飲むビール。これ、最高。

 

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メシ通スタッフM「おお、本当に駅前なんですね」

安田「これなら、迷うこともないでしょう。待ち合わせにも最適な喫茶店なわけですよ、アンデス」

 

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とんとんとんと、看板横の階段を上がって、

 

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古めかしい木の扉を開ければ、そこは「アンデス」。

 

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凹型の変わった作りになっていて、意外に広いのです。

 

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たくさんの取材が来ているみたいですね。

 

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昔ながらの喫茶店には欠かせない新聞と週刊誌はもちろん完備。

 

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そして「アンデス」の魅力である、壁一面の本棚に並んだ漫画。それも年代物ばかりですよ。

 

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いやいや、漫画だけじゃなく、小説もびっしり。

 

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しかも一冊50円で一ヶ月間レンタルできるというシステムもアリ。

さて、何をいただきましょうかね。

 

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安田「僕は、もちろんナポリタン

スタッフM「じゃあ、僕はこの焼肉定食をお願いします」

 

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安田「ビールは缶なんだよ。キリンとアサヒが選べるんだけど」

スタッフM「じゃあ、僕はキリンで」

安田「僕、アサヒ」

たちまち到着する缶ビール。350缶で、520円というのは正直、ちょっと高いけど、喫茶店の相場でもあります。ま、そんなにたくさん飲むわけじゃないし。

 

グラスがちゃんと冷やしてあるのも嬉しいですね。
シュポッ!

 

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グビグビグビ。


ああ、うめえ。
明るいうちのビールって、どうしてこんなに美味いんだろう。

 

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そして喫茶店なら、やっぱりこの小さいコップで飲むのがいいんですよね。ジョッキで生ってのは、どうも合わない。 

 

「ヒョイ飲み」にばっちりハマる、ナポリタンと粉チーズ

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▲焼肉定食 700円

 

先にM君の焼肉定食が到着。マカロニサラダが泣けます。これもビールに合うんだよね。

 

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▲ナポリタン 600円

 

そして、はい、来ました。ナポリタン。鉄板に乗ってるのといい、茹で玉子が乗ってるのといい、コーンが乗ってるのといい、そして青のりがかかってるのといい、パスタ専門店では、絶対に出てこない正しい喫茶店のナポリタンです。

 

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そして、ビンにどっさりの粉チーズとタバスコ。

 

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どちらもたっぷりふりかけます。

 

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いただきまーす。
ひたすら甘ったるいケチャップの味

そして、モチモチとした太いスパゲティの歯ごたえ
ああ、これこれ。これが喫茶店のナポリタンなんですよ。

 

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そして甘くなった口の中をビールで流す。
この組み合わせ、たまんないんですよ。


おっと、もうひとつ大事なものを忘れてた。漫画ですよ。漫画。

古い漫画を読みながら、ナポリタンとビール。この三つが揃ってこそ、至福の時間なんです。


さて、何を読もうかな。「アンデス」には何十年物の漫画ばかりですからね。本棚を眺めているとタイムスリップしたような気持ちになりますよ。

 

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で、悩んだ末に選んだのが。

佐藤宏之先生の『気分はグルービー』

当時としては画期的にリアルなバンド漫画でありました。中学、高校の時に夢中で読んだなぁ、これ。

 

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昭和58年。……32年前かぁ。

チビチビとナポリタンをつまみ、ビールを飲み、『気分はグルービー』のページをめくる。

幸せだ。なんだろう、この落ち着ける空間は。

 

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そしてビールの缶が既に増えていることにも注目。

えーい、もうひと品いっちゃえ。

 

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▲アメリカンサンド480円

 

トーストのサンドイッチということで、この香ばしさが、またビールに合うわけですよ。とろけたチーズも、たまりませんね。

 

直筆サインを発見!

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さて、この「アンデス」。とある理由でも有名な店なんですね。それは、あの、あだち充先生が常連だということで。

 

一説には、『タッチ』に出てくる南ちゃんの親が経営する喫茶店「南風」のナポリタンは、この「アンデス」のナポリタンがモデルになっているとのこと。ま、実際に『タッチ』を見ても、どこがどうモデルになってるのかは、よくわからないんですが(笑)。

 

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▲あだち先生の定席なんだそう

 

「アンデス」は、他にも漫画家さんがよく訪れるそうです。練馬周辺というのは、もともと漫画家さんの多いエリアなんですよね。漫画の産まれる店なのです、「アンデス」って。

 

ずっと時が止まったかのようなこのお店で、ぼーっとビールを飲んでいると、なんとも不思議な気持ちになります。今が何年なのか、わからなくなります。

 

なんだか350缶を2缶だけで、すごく満ち足りた気分になりました。

普段なら、もっとグビグビ勢いよく飲んじゃうんですけどね。
それが喫茶店飲みのいいところでもあります。

 

さて、外はまだ明るいです。

ホロ酔い気分で、自宅まで歩いて帰りましょう。
近所にこういう店があるっていうのは、幸せなことだと思うのですよ。

 

お店情報

アンデス

住所:東京都練馬区豊玉北5-17-9 井上ビル 2F

※このお店は現在閉店しています。
飲食店の掲載情報について。

 

書いた人:安田理央

安田理央

1967年生まれ。フリーライター、居酒屋お通しコレクター、アダルトメディア研究家、ニューウェーブ歌手、イベント司会、駅弁大会エバンジェリストなど、色々。好きなサッポロ一番はしょうゆ味。

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