ライスミルクをご存知だろうか?
お米を原料としたミルクで、牛乳、豆乳に続く「第三のミルク」と言われているらしい。日経トレンディの2015年ヒット予想ランキングでは4位にランクインしている。
なにやら栄養価が高く健康的な飲み物らしいのだが、牛乳にアレルギーのある人や、動物性タンパク質を摂らないビーガンの人でも飲めることからも、ドリンク界の注目株らしいのだ。
そんなライスミルクについて、ふと、こんな疑問が浮かんだ。
このライスミルクでお米を炊くことはできるのだろうか?
一番合う“ライスミルクごはん”のお供は、果たして何なのか?
気になったので、やってみた。
ライスミルクでお米を炊いてみる
そもそも、ライスミルクと本家のミルク、どれだけの違いがあるのだろう?
コップに注いで並べてみると、こんな感じ。
左がライスミルク、右が普通のミルク。
見た目でいうと、同じ白でも色が少し違うのがわかる。牛乳は真っ白だが、ライスミルクは白濁している、という感じに近い。
飲んでみると、ライスミルクはどこか甘酒っぽいというか、米を濃縮したような味がする……気がする。甘酒ほど甘くないものの、後味がほんのり甘いのだ。
と、元の味がわかったところで、ライスミルクを使ってお米を炊いてみようではないか。
炊飯器は、私が上京したときから使っている10年選手。
ミルク粥のレシピを参考にしてみた。
それによると、コンソメスープ600mlに牛乳150mlを入れるとのこと。
でも今回は米の成分のみで炊きたい!
ライスミルクを750ml入れればそれっぽいものができるかな〜と勝手に判断し、目測で750mlくらい注いでみる。
研いだお米にライスミルクを注ぐ……。
レッツ、炊飯!
……待つこと約40分。
「ピーーー」と、ごはんの炊けたお知らせ音が。
こんなに炊き上がりにドキドキしたのは、いつぶりだろう?
初めての一人暮らしで、お米を炊いたときくらいにドキドキする。主に「失敗したらこの企画どうなっちゃうんだろう」という不安で動悸がする。
さぁ、蓋を開けてみよう。
ジャ〜ン!!
水分と粕っぽいものが分離している?
ん? ナニコレ。
水分と、酒粕みたいなものが浮いている。
これは失敗したか……? と、思いつつ。
一縷の望みをかけて、しゃもじで混ぜてみる。
混ぜると、トロトロに。
水分と粕が混ざり合い、なんとなく、練乳みたいな色になった。
表面がテカテカしている。
一口食べてみると……
超濃厚なお粥! という感じだ。
ちょっと日本酒っぽい味もする。
「お米が固く炊きあがってしまったときに、料理酒を加えて蒸らす(もしくは再度炊飯スイッチを入れる)と、ふっくらする」
という裏ワザはご存知の方も多いかと思うが、そのアルコールが飛びきっていない風味というか……。
いや、アルコールの味がするわけではないのだけれど。
純粋なお米の味というより、発酵したような味?
さて、一番合うGOHAN NO OTOMOはどれだ?
SEKAI NO OWARI風に……。
さて、本日のごはんのお供はこちら。
のり佃煮、梅干し、納豆、辛子明太子、鮭、チャンジャ、イカの塩辛の7品を用意した。
のりの佃煮。
まずは、のり佃煮からいただきま〜す。
……うぇ。
佃煮の甘さが、ごはんの甘さをさらに引き出している感じ。
しつこい。
こんなしつこい奴は、男でも女でも米でも嫌われるぞ。
結構お腹をすかせてから試してみたのだが、どんどん口に運びたくなる……みたいなことはない。
甘いおかずは、ライスミルク粥には合わないことがわかった。
梅干し。
では、次の味覚。
“酸っぱい”は、どうだろう?
梅干しと一緒に、ごはんを口に運ぶ。
「……。」
この梅干し、甘酸っぱいタイプだった……。
抜かった! 超抜かった!
酸っぱさもあるが、その後にもったりとした甘さが口の中を支配するのだった。
鮭。見た目はおいしそうなのだが……。
では、“しょっぱさ”はどうだ?
鮭といえば、ごはんのお供としては上位争いに食い込んでくるおかずのひとつだ。
いざ食べてみると……、米の甘さが、合わない。
鮭とお菓子を一緒に口に入れているような感覚だ。
ちょっと気持ち悪くなって、「な、何か飲み物を……」と手を伸ばした先に、さっき味見用に注いだライスミルクが。
そのままの勢いで飲んでしまったら、さらに米が追い討ちをかける。
ライスミルクで炊いたライスのお口直しに、ライスミルクを飲む。
炭水化物のオンパレードでお腹いっぱいだ。
比喩的な「お腹いっぱい」ではなくて、本当にお腹いっぱいなのだ。
魚卵代表は、辛子明太子。
もう、ライスミルク粥に合うおかずなんて幻想なんじゃないかと思いはじめているのだが……、次は“しょっぱさ”に“辛さ”を足した、辛子明太子に挑戦する。
お!
辛さとしょっぱさが、そこまで甘さを引き出さず、まぁいけるか……?
と思って、二口目を口に運ぶ。
あ。やっぱり甘かった(二重の意味で)。
なんだろう、どんどんごはんの甘みが増しているように感じるんだが……。舌がバカになってきたのだろうか?
チャンジャ。
辛子明太子よりも、さらに辛みの強いチャンジャをいただく。
どちらかというと、「ごはんのお供」というよりも「酒の肴」という印象が強いチャンジャだが、どうだろうか。
正直、もうあまり期待はしていないが……。
!!!!
これは、うまい。
辛さとしょっぱさに、ほんのり甘さが乗る。
いや、やっぱり味覚がおかしくなってきただけなのか?
さっきの辛子明太子は、二口目が鬼門だったが、二口目はどうだ?
……うん、うまい。
初めて、三口目を食べようと思えるのがチャンジャだった。
でも、三口目で気づいた。
チャンジャ多めじゃないと、ごはんが急に主張してくる!
多数決で、自分がマジョリティだと知ったとたんに口数が多くなる輩みたいだ。
クラスに一人はいるタイプだ。
イカの塩辛。
次は、イカの塩辛。
チャンジャと同じ、“酒の肴”属性だからちょっとだけ期待。
いただきま〜
……っっ!!!!!!
生ぐさっっ!!!!
塩辛の生臭さが、ものすごく増してしまった。
同じ米からできている日本酒は合うのに、ライスミルク粥だと合わないのは何ゆえだろう?
納豆。
最後は、ドロドロの粥に、ネバネバの納豆を合わせてみる。
面白い食感は生まれるだろうか?
あぁ〜……。
おいしい! というほどでもないが、砂糖を入れた納豆に思えなくもないか?
納豆に砂糖を入れるのが抵抗ない人には、ギリイケるって感じだ。
ドロネバ食感は、もっちゃりしていて気持ちのいいものではない。
食感を表すときに「小気味よい」という表現があるが、その対極の「小気味悪い」である。
混ぜちゃった。最後までちゃんと食べましたよ。
まとめ
いやぁ、このライスミルク粥、すぐお腹いっぱいになった。
一膳くらいしか食べていないのに。
甘くてもたれる……というのもあるかもしれないが、炭水化物に炭水化物だから、だろうか?
正直、この企画を発案したときは、ライスミルク×お米なんだから、ごはんのお供なら何でも合うだろうとタカをくくっていた。
「うわー、全部合う」みたいなオチになるんじゃないかと。
思わぬ番狂わせがあるとは。
以下、表にまとめてみた。
こんな結果を見て真似する人はいないと思うが、もしやろうと思っていた人がいたなら、私は全力で止めたい。
ただ、ライスミルクは離乳食としても活用できるというのをネットで見かけたので、生後7カ月の息子にライスミルク粥をあげたらおいしそうに食べていた。
赤ちゃんの口には合うようだ。マジで助かった(全部食べるのはキツイ)。
書いた人:栗本千尋
1986年生まれ。青森県八戸市出身(ですが、実家が最近なぜか仙台に引っ越しました)。情報系雑誌をはじめ、旅行やグルメ雑誌、webメディアなどでお仕事しています。旅行会社→編集プロダクション→任侠系DVD会社勤務を経て、2011年からフリーライターに。2014年に出産し、一児の母になりました。