【燻し飯】一番ウメェ燻製はどいつだ? カニカニ・パニック編

前回までのあらすじ~

 時は西暦2015年。食の道を極めんとする一人の男がいた。 

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燻 煙太郎(いぶし けむたろう)である。

 

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あらゆる食材を燻し、食材の新たな魅力を引き出す燻煙太郎。

 

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煙の秘術を追求する燻煙太郎の前に立ちはだかる、数多の食材(ライバル)。

 

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そして明かされる、衝撃の真実。 

 

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燻煙太郎の戦いが、再び幕を開ける……!!!

 

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ということではじまりました。こんにちは、燻煙太郎です。

 

炙燃太郎の死、そして燃太郎の愛弟子である煙太郎の登場と、大変ドラマチックな展開でお届けしているこの連載、僕がこの柔道着(9,000円)をなんとしてでも使い回す、という覚悟のほどが伝わりましたでしょうか。

 

ネタに詰まるとキャラが死ぬのは少年漫画の王道です。ひとつ気がかりなのは登場人物がすべて僕だということです。最後にすべて僕のクローンだったとわかったら、無数の僕と共に敵のアジトに攻め込みたいと思います。でも敵も僕の可能性が高いです。

ということで、さっそく燻していこうと思うのですが、事前に僕が燻しに使用する、とっておきの道具をご紹介しておきましょう。

 

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思い出していただけましたか?

 

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燻製キット(3,000円)です。

 

燻製というと準備が面倒なイメージがありますが、これは燻製に必要なすべての道具がセットになっているので、携帯コンロと火を使える場所があれば、誰にでも燻製ができるのでおすすめ。

 

柔道をしないのに柔道着を買うくらいなら、この燻製キットを3台買った方がいいです。ということで、引き続きこの燻製キットで、さまざまな食材を燻してまいります。

 

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※煙太郎は特殊な訓練を積んでおり、火の番を怠らず、屋外では水分補給と日除けを心掛け、リアルとソーシャルの炎上および熱中症にも常に気を配っています。読者の方も夏場は特に注意してください。

そして本編に入る前にぜひ認識をあらためていただきたいのですが、ここからは柔道着を着た男性がさまざまな食材を燻製にして美味しいものをみなさんにご紹介するお時間です。

なお、当シリーズでは帯の締めが甘く、わりと柔道着の前がはだけてしまっていることをこの場をお借りしてお詫び申し上げます。

 

パン

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パンって、すでに完成され尽くしていると思うんです。味も、食感も、香りも、パンってどんな風に調理してもだいたい想像がつくじゃないですか。

 

合コンで女の子に早稲田出身って言われたら「わかる~~~」って思うし、慶応出身って言われたら「やっぱりね~~~」ってなると思うんです。

 

でも、早稲女なのにビリギャルとか、慶応ガールなのにハンカチ王子とかあってもいいでしょ?! そうでしょ?!?!?!

 

そんな思いで燻してみました、パン。

 

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お前さてはトーストだな?

 

以前、ランチパックを炙った故・燃兄に聞いたのですが、パンを加熱するとだいたいトーストみたいになるそうです。ところが、燻製はちょっと様子が違う。 

 

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いい匂いなの、これが。

 

使用したさくらのチップの匂いが、しっかりとトーストに付いています。パン本来の香ばしさと相まって、これはお味が気になる!

 

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ということで、ハムッ。

 

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おお、とってもフルーティ!

 

さくらのチップの匂いで甘みが引き立ち、マーマレードを塗ったトーストのような味がします。煙って、調味料なんですよ、みなさん!!!

 

しばらく口の中で遊ばせるのも美味いですね。水分はまるっきり飛んでしまっているので、ざっくざくのラスクみたいな食感です。

 

毎度言っていますが、「燻製パン」これビジネスチャンスあるで。

 

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タマゴ

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生まれる前のヒヨコのやつをみんなして茹でたり焼いたりするあれです。(※編集部注・無精卵は孵化しません)

 

しかしタマゴっておいしいよね! そういや「タマゴは1日2個まで」って医学的には根拠ないらしいぞ! 

 

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燻された生まれる前のヒヨコのやつ。

 

はい、いわゆる燻たまです。

 

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やっぱり、市販のものより自分で燻製にしたもの方が香りが強いです。燻製自体に好き嫌いがあるとは思いますが、好きであればぜひ、自分で燻製にしてみることをおすすめします。

 

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味は市販のものとどう違うかな。

 

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うめえ!

 

たっぷりとチップの香りを吸い込んだウマ味が舌と鼻を直撃します。

 

そしてビックリしたのが食感! これはあらかじめ半分に割って燻製にしたためだと思うのですが、ゆで卵と目玉焼きの中間のようで、表面がちょっとカリカリしていました。やっぱり、慣れ親しんだ調理方法ではない分、出来上がりも予想を超えていることが多いです。燻し飯、楽しいぞ。

 

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トマト

覚えているでしょうか、前回はアボガドでひどい目に遭ったことを。燻製にしたアボガドは虫の味がします。(あくまで個人的な見解です)

 

みずみずしい野菜って燻製に向かないんじゃないか、という疑念も湧きますが、ここで引き下がっては燻煙太郎の名がすたる。ということで再チャレンジです。

 

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そう、トマトで。

 

ミネストローネとか、加熱してもおいしい野菜。勝てる相手だと思って勝負を仕掛けたのはナイショです。

 

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そう、勝てる勝負と思っていたのです。箸を入れるそのときまでは。

 

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ぐしゃ。

 

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箸を入れたら脆くも崩れ去りました。この潰れ具合、ぜんぜん美味しそうじゃないぞ。とはいえ燻し飯ですから、一応匂いもチェックしておきましょ……

 

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くっせ。

 

なんかこう、一気に青臭くなりました。記憶に刻まれた進撃のアボガドの恐怖がよみがえります。

 

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実食です。

 

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ヤッ。

 

びっくりするくらい美味しくありません。気づきました、ようやく気づいたんですけど、味がない。他の食材はわりとそれ自体に味があるんですが、野菜ってそんなに味がないんです。

 

塩もコショウも効いていないミネストローネが出てきたら、そのままお皿を店員さんの頭に「ソイッ!」ってやりますよね。それくらいショックです。

 

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オレ ヤサイ クンセイ シナイ。

 

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お茶

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あれ、ふざけてんのかな? って思ったかも知れないんですけどふざけてないです。しかし今回ガムを燻したんですがドロドロに溶けちゃったので、それはふざけていたかもしれません。ごめんなさい。

 

でもほうじ茶っていうくらいですし、お茶を火にかけることは間違いではないはずなんです。香りを楽しむ側面もあるお茶、燻すとどうなってしまうのでしょうか。まずはビジュアルから。

 

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うん、わからない。

 

そりゃそうだ、茶葉はティーバッグに入っているため中身の様子はよくわかりません。では肝心の香りはどうでしょうか。

 

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くんくん。

 

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おやおや~~~。

 

いい匂いです、いい匂いですよ、これは。香ばしさがプラスされるのはもちろん、なんとなく爽やかな匂いが鼻に残ります。

 

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お湯につけてみましょうか。

 

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右がふつうのティーバッグ、左が燻したティーバッグです。

 

色の違いはありません。緑茶を炒るとほうじ茶になるくらいの変化があるとわかりやすいのですが、まあ飲んでみないことにははじまらないか。

 

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SUGEEEEE! 煙茶(けむちゃ)DAAAAA!

 

前回のポテトチップスより、ダイレクトに煙の味がします。煙って味があると確信しました。なんとなく梅昆布茶を思い出すお味です。

 

煙を口で楽しむ感覚は、まるで水タバコのよう! 水タバコやったことないんだけれども!!!

 

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カニ 

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今回、最後に登場したのはカニ。美味くないはずないと思ったでしょう? 僕もそうだと思ってたんです。

 

それが、まさか、あんなことになるなんて……。

 

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はい、ものすごく、美味しかったです。

 

ふざけんな結局うまいんじゃねえかこのぽっちゃり柔道着、大体なんなんだその伊達眼鏡は! とみなさんの怒りの声が聞こえてくるようですが、ちょっとした燻しのコツもあるので説明します。

 

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くっくっくっ。

 

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こんなテカテカになりやがって……。

 

燻すと飴色でなんかちょっとエロい印象になるカニ。甲羅越しでも燻製のほのかな匂いはするのですが、正直、カニそのものが単純に美味いだけなんじゃないかとも思っていたんです。

 

しかーし!

違いました。本当の魅力はあるところに隠れていたのです。

 

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ココ(足の付け根部分)。

 

しっかり身が詰まっていながら、ここは殻が比較的薄い部分なので、匂いが十分に染み込んでいます。同時に火の通りもよく、焼きガニのような香ばしい風味も。

 

それでいて剥き身を燻すよりはぷりっぷりでジューシー。とにかく甘いし旨味がすごい。薄い殻が水分と旨味を逃がさないのです。アミノ酸アミノ酸アミノ酸~~~!!!という主張を真っ向に受け止めている気分になります。

 

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思わず涙が。

 

ということで、今回も。

 

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これこそが燻しメシだ!

 

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まとめ

迷わず燻せよ。燻せばわかるさ。- 燻煙太郎(1986~)

今回ご紹介した燻しメシの数々、いかがでしたでしょうか。全体を振り返って、おすすめしたいのは魚介類、おすすめしないのは野菜ということがわかりました。そして今回、肉がなかったのは予算の都合です。(カニと柔道着が圧迫しました)

 

みなさんのご要望が集まれば、世の中のありとあらゆる肉を燻し比べる夢の企画が実現するかもしれないし、ご要望が集まらなければ今度は燻煙太郎が死んでしまうかもしれません。(盛大なフリ)

 

煙を使って調理をするという非日常感、そして燻製機の蓋を開けるときのドキドキ、燻して美味い食材というのは休日のちょっとしたアクティビティにぴったり。食べるって、まだまだおもしろい!! 機会があればまたお会いしましょう。

 

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燃兄(もえにい)、見ててくれよな 。

 

※撮影に使用した食材はスタッフと燻煙太郎がすべて美味しくいただきました。
※本記事は2015年8月の情報です。

 

書いた人:朽木誠一郎

朽木誠一郎

86世代の編集者/ライター。座右の銘は「憎まれっ子この世に憚る」です。

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