クラフトビールの良店、阿佐ヶ谷「STONE」で平均アルコール度数10%の本格派IPAを楽しんできた

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IPAづくしのひとり酒を阿佐ケ谷「STONE」で楽しんできた

一番美味しいお酒は何かと聞かれたら、やっぱりビール!

そう自信を持って言えるようになったのは、このお店で飲んだ「IPA」がきっかけでした。ホップをたっぷりと使用し、苦みもアルコール度数も高めのIPA(インディア・ペール・エール)は、最近流行している低アルコール飲料とは真逆のベクトルで、コクを重視した重厚な味わいが楽しめます。

 

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そもそもクラフトビールとは、小規模なビール醸造所でビール職人が手作りで作っているような高品質で個性豊かなビールのこと。いちど飲むとその芳醇な味わいの魅力にとりつかれること間違いなしの美味しさで、最近ブームになりつつあるんです。

さてここ阿佐ケ谷にあるクラフトビール&ウイスキーショップ「STONE」では、近年注目の集まるIPAを中心に、海外のクラフトビールが楽しめます。わたしはここで人生初のIPAを飲んだのですが、そのフルーティな味と濃厚なコクが忘れられず、今回取材をお願いすることに。そのビールはどれもホップの豊かな風味を堪能できるものばかり。アルコール度数は8%などかなり高めのものが中心ですが、あえておつまみを食べずに、この高アルコールビールを4杯ほど味わおうという、やや暴挙ともいえるチャレンジをしてきました。

 

ビールをセレクトしているのは、バーテンダーでありSTONEの代表である坂本貴洋さん。ここ数年クラフトビールが流行していて、スーパーなどでもIPAが買えるようになりつつありますが、アメリカンスタイルのIPAには、日本人が思っているのと比べ物にならないほど、たっぷりとホップが使われているとか。

 

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左が「Denver Beer Tandem Pedal Double IPA」(アルコール度数9.7%)、右が「GREEN FLASH WEST COAST IPA」(アルコール度数8.1%)。いきなりハードなメンツの登場です!

 

「Denver Beer Tandem Pedal Double IPA」のほうがアルコール度数が高いのですが、こちらには蜂蜜が使われており、「GREEN FLASH WEST COAST IPA」よりもすっと飲みやすいのだそう。日本で主流のビールの約2倍のアルコール度数とあって、かなりビビりましたが、飲んでみてまず感じたのは、苦さでも炭酸の爽快感でもなく、ぽってりとした甘さ。これは意外でした。そんなにアルコールがきつい感じがしないのです。舌にぽてっと乗るような感じで、麦から来る甘味ではなく、蜂蜜由来の甘さを感じます。この甘さのおかげで、かなり高いアルコール度数ですがヘヴィさを感じません! 飲みやすいだけに、いつの間にか酔ってしまう危険なビールでもあるわけですね。ちなみに、日本の生ビールと違ってビールの泡がほとんどありませんが、これはアメリカで主流のスタイルだとか。

 

「GREEN FLASH WEST COAST IPA」のほうは、アルコール度数はさきほどのビールより低いのに、一口含むと「おおっ」と思わず声が漏れてしまう重厚さ! 

 

坂本さんアメリカンクラフトビールの中では一番ホップを使っているんじゃないかってくらい使っています。Green flash west coastは表記はIPAですが、スタイルはDouble IPAなんです。むしろWIPAと言ってもいいくらい」

わたし「W(ダブル)IPAというのは、通常のIPAの倍のホップが入っているんですか?」

坂本さん「定義はないんです。ワインのような格付け基準があるわけではないので、ブリュワリーによってはこのビールより苦味が弱くて度数が低くてもWIPAと表示していることもありますよ」

 

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IPA用のグラスで味わうと、さらに違いがわかりやすくなるとのこと。お言葉に甘えて注いでいただきました。

 

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見ての通り、グラス中央部がギュッとくびれて、口がすぼまっています。底に微妙なキズをつけることで微細な泡が立ち上り、膨らみのある中央部でビールを回遊させることで香りをこもらせ、口がすぼまっていることで香りが逃げないようになっています。また、通常のグラスに比べ薄い造りのため、唇に触れるタイミングもスムーズ。同じビールなのに、グッと香り高くなりました!

 

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違いを味わいたい! という人のために、好きなビール4種を少しづつ試すことのできるセットもあります。

 

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ちなみにSTONEでは、店内で飲食せず、酒屋のようにお酒を買って帰ることも可能。「なんかケースが暗くない?」と思われたかもしれませんが、これは照明の光や熱がビールを劣化させてしまうため、照明を切って全て冷蔵保存してあるからです。ここには、サーバ—から注いで提供されるドラフトビール以上に、アルコール度数の高いエクストリームなビールが並んでいます。

 

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こちらは各国の缶ビール。アメリカのものを中心にしたラインナップです。見慣れたアルコール度数5%程度のビールもあれば、IPAの缶ビールも。

 

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こちらにはなんと、度数10%超えのビールが!

 

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そしてさらに、度数12%のものも!「チョコレートアイスクリームの甘美なフィニッシュ」という評にそそられましたが……

 

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坂本さんのアドバイスを参考に、今回はこの2銘柄をチョイス。「NORTH COAST  OLD STOCK ALE 2014」と「Sierra Nevada Hoptimum」です。この時点で、飲み始めてから20分程度しか経っていないのですが、かなり酔いが回っています。正直、このボトルを自分で持ってきたのか、坂本さんに運んでいただいたのか記憶がありません……。

 

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まずはこちらをいただきました。アルコール度数10.4%のインペリアルIPA「Hoptimum」です。ホップ狂を表す「ホップヘッド」をイメージした、「ホップ君」とでも名付けたくなるキャラクターが描かれたポップなボトルです。

 

坂本さん「これめっちゃ来ますよ! ブワッとしません? 糖度はそんなに高くないビールですよ」

わたし「舌にブワッとしみ込むような、からみつくような……これ、今日いただいた中で一番好きかもしれません!」

坂本さん「これが好きとなると、それはもう病気かもしれませんね(笑)」

 

アルコール度数が高いとはいっても、とげとげしいアルコール感はなく、まろやかで柑橘っぽいフルーティさが最高に気に入りました。このホップ君のジャケとともに、この味が強烈に記憶に刻まれています。

 

ちなみに取材中、仕事帰りのサラリーマンらしき男性が、こちらのボトルを購入していったのを目撃。STONEでは店内での飲食だけでなく、同じ建物内でボトルショップ「モルスト」という酒屋さんも営業しています。酒屋さんのようにボトルや缶のビールを買って帰ることもできるんです。別途100円のチャージで、こうしたビールを店内で楽しむこともできます。

 

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続いて、「OLD STOCK ALE 2014」(アルコール度数11.8%)をいただいてみます。こちらは「バーレーワイン」と言われるタイプのビールで、この濃い色のとおり、熟成度の高いビール。そしてなんと炭酸がゼロという、普段日本で飲むビールとはかなり印象の異なる、麦のワインともいえるビールです。この日は寒かったので、ちょっと手で温めつつ飲んだほうがおいしいですよというアドバイスがありました。さきほどの蜂蜜とは異なる、麦からくる深い甘味を感じました。

 

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これだけの度数のビールを1時間ほどで飲みきったので、味だけでなく、酔い具合も気になるところかと思いますので、レポートいたします。

 

どのビールもそのおいしさは不思議と覚えているのですが、そのとき自分がどんな様子で飲んでいたのかはまったく記憶になく、でも取っておいたメモを見返すと、たしかにそのような会話をした記憶もよみがえってきました。

 

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これは「Sierra Nevada Hoptimum」を飲んでいた頃のメモ。ほぼ解読不能です!

 

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酔っぱらっていたため、常連さんのギタリスト男性にも話しかけてしまい(これも3杯目〜4杯目にかけての頃)、

 

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はみ出さんばかりというか、すでに大きくはみ出しまくっている美味しそうなフライにそそられ、撮影にご協力いただいてしまいました! STONEに集うお客さんの7割くらいは、このようにビールを1人や少人数でじっくり楽しむ常連さんだそうです。

 

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こうして、今回は平均アルコール度数10%の、4つのビールを無事にご紹介することができました。おいしいIPAは、1杯飲んだだけでも食事をしたような満足感が得られるといいますが、酒通ではない自分にも、その感じが体でわかりました!

ビールはほとんどの日本人にとって一番身近なお酒なのに、知らないことがあまりにも多いお酒です。日本の大手メーカーで作られているビールの大半は「ピルスナー」というビールの1タイプですが、IPAをはじめ、材料も製法も異なる世界中のビールが待ち受けています。ぜひみなさんも、夏にぐいっとやるビールにとどまらない、幅広いビールの魅力を楽しんでみてくださいませ!

 

お店情報

STONE
住所:東京都杉並区阿佐ケ谷北2-4-2 田島店舗2階
電話:03-5373-0312
営業時間 :月~金 18:00~翌2:00、土・日・祝 15:00~翌2:00
定休日:不定休

 

 

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書いた人:
増山かおり

1984年、青森県七戸町生まれ。東京都江東区で育ち、早稲田大学第一文学部卒業後、百貨店勤務を経てフリーライターに。『散歩の達人』(交通新聞社)、『LDK』(晋遊舎)、『New Roses Web』(産経デジタル)などで執筆。著書に『JR中央線あるある』(TOブックス)、『高円寺エトアール物語~天狗ガールズ』(HOT WIRE GROOP)。

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