これまで実食したチーズは3000種類。うわさの「チーズ仙人」が経営するチーズ喫茶がすごい

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とにかくチーズだらけ、チーズ推しのお店

昨年秋、高円寺に出来たばかりのこちらの喫茶店。

店舗の入口にあるメニュー看板を見ると「チーズ珈琲」「チーズ紅茶」という謎の飲み物、パリパリのチーズを海苔がわりにサンドした焼きおにぎりなど。

 

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このお店、とにかくチーズを使った創作チーズメニューばかり。

テイクアウトもできて、夜はお酒も楽しめるらしい。

なぜこのようなお店にしたのか、そして謎の飲料「チーズ珈琲」はおいしいのか。

店主の松田洋輔さんにお話を聞いて確かめてみたいと思います。

 

高円寺の「チーズ仙人」に話を聞いてきた

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──松田さんは「チーズ仙人」とも呼ばれているそうですが、これまでの経歴を教えてください。

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:学生の時に飲食業のアルバイトをしていて、お客様とのコミュニケーションにやりがいを感じて飲食の道に進もうと決意しました。

 

──確かに食材や産地のことなど教えてもらえると食事をおいしく楽しめます。

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:最初に入った会社でチーズレストラン「DAIGOMI」のプロデュースに携わり、その後に独立して昨年このお店をオープン。見た目が仙人ぽいとは昔から言われていたのですがチーズにのめり込むうちにチーズ仙人と呼ばれるようになりました。

 

──チーズとの出合いはいつ頃でどのようなキッカケでしたか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:先ほどお話したチーズレストランをプロデュースしていくなかでさまざまなチーズと出合い学んでいったという感じです。それまではみなさんと同じように、ブルーチーズといえばゴルゴンゾーラだし、なんでも溶かせばおいしいだろうみたいに思っていました(笑)。

 

──そうだったんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:DAIGOMIは立地が少し駅から離れたところでしたので、何か特色のある切り口で、わざわざ予約してでも行きたくなるお店を目指していました。そのなかで女性にも好まれるチーズにこだわったお店にしようと思い、調べてみるとすごい数のチーズがこの世の中にはあると知り、とても驚きました。

 

──なるほど、奥の深い世界だったんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:飲食の世界に入って数年経った自分が、こんなにチーズのことを知らないなら、一般の人はなおさら知らないだろうと思って。ならば、これをもっと多くの人に伝えるのも面白いだろうといろいろなチーズを取り寄せて試食しました。もともと収集癖があるのも手伝って、どんどんエスカレートしてしまい、ヨーロッパ圏、アメリカ圏、日本産と、さまざまなチーズと出合いました。

 

──そこでチーズの世界の扉を開いてしまったんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:知れば知るほどさらに新たなチーズと出合い、そのうちにお酒やソフトドリンクとのマリアージュだったり、他の食材とのマリアージュだったりと、どんどんのめり込んでいきました。製造元の違いなども入れて考えると……これまでおそらく3000種類くらいのチーズを食べてますね。

 

──「チーズ喫茶」という個性的なコンセプトのお店ですが、どのような経緯でオープンしたのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:これまでのレストランという形態よりも、もっとカジュアルにチーズを楽しんでもらいたいという思いからです。どうしてもチーズにはワイン、男女がかしこまってたしなむ、みたいのが嫌だったんですね。
それと、ありがたいことだったんですが多忙すぎてお客様と会話する機会も減ってしまったのも残念で……。飲食を目指したきっかけも、お客様と会話を交わすことに重きを置いていたので、そこを見つめ直して、もっとカジュアルに、手軽な価格帯で楽しめる喫茶店という業態に思い至りました。

 

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──高円寺という立地もそれを踏まえてのことでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:はい。このあたりはプライベートでも訪れていましたし、安く楽しく飲めるイメージがあったので。「カジュアルに」というコンセプトからは逃げられない高円寺という街でやってみようと決めました。

 

──「そもそもチーズ珈琲って何?」というのが率直な第一印象でした。いったいどのような飲み物なのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:北欧のごく一部の地域に、ブラックコーヒーの中に直接チーズを入れて飲むという文化があるそうなんです。コーヒーの中でチーズを柔らかくしながら油分を浮かせて、コーヒーを飲みつつ食べるらしいのです。自分も試してみましたが、やはり一般に受け入れられるものではないなという印象でした。それをヒントにして、若いお客様に好まれるカフェラテをベースに、より飲みやすい形になるようなチーズを加えてみました。

 

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──お店ではさまざまなチーズやチーズを使ったメニューを提供されていますが、だいたい何種類くらい扱っていらっしゃいますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:いわゆる盛り合わせなどでそのまま食べられるものは常時20種類以上は置いています。お料理にのみ使うチーズも含めると30種類ほどそろえています。

 

──特に力を入れているものはありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:基本的にはヨーロッパ圏のものが多いです。以外とアメリカ圏でもカジュアルで食べやすいけれどあまり知られていないものがあるので、その辺も扱っています。自分は今、国産チーズを推していきたいという気持ちがあって、北は北海道、南は沖縄までいろいろそろえていきたいです。
この春から扱う国産のヤギのチーズはヤギが春から夏にミルクを出すため手に入る時期が限られています。北海道栃木広島産のものを仕入れることができそうです。

 

謎の飲料「チーズ珈琲」。はたしてその味は?

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▲ゴルゴンラテ(580円)

 

コーヒーにゴルゴンゾーラ? と最初は警戒しましたが、飲みやすいようにラテにしてあり、ゴルゴンゾーラ感はほんのり後からくる感じの優しい味。

トッピングのクリームチーズを溶かすと甘みが増してドリンクというよりはもうデザートといった印象の一品。

当初はもっとゴルゴンゾーラの風味が強かったそうですが、飲みやすく改良したそうです。上級者向けにクセの強いバージョンも復活したらぜひ飲んでみたい!

 

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▲左:カルボナーラおにぎり(300円)、右:羊乳チーズと枝豆のおにぎり(250円)

 

羊乳チーズと枝豆のおにぎりは、ペコリーノロマーノの香りとコーヒーで炊いたお米の香ばしさが口の中で広がる上品な味。時々枝豆をかんだときに香りに変化があり食べていて楽しい。

(使用チーズ:パルメザン/ペコリーノロマーノ)

 

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カルボナーラおにぎりは表面のカリカリチーズと中のとろけたチーズのハーモニーが絶妙!

(使用チーズ:パルメザン/2種のモッツァレラ/コルビージャック/モントレージャック/レッドチェダー)

 

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▲チーズ喫茶のチーズトースト(680円)

 

このお店でもっとも多種類のチーズを使ったメニュー。

表面にはレッドチェダーをベースにしたソース。中にはモルネーソース(ベシャメルソースにチーズをたくさん入れたフランス料理などで使うソース)を使用しており、さまざまなチーズの風味が押し寄せる。チーズ好きにはたまらない逸品だ。

(使用チーズ:モントレージャック/コルビージャック/2種のモッツァレラ/フレッシュモッツァレラ/レッドチェダー/パルメザン)

 

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▲しめ鯖のオイル漬けと薫製フェタ(580円)

 

羊とヤギのミルクで作ったギリシャ産の「フェタ」というチーズを燻製にしたものを、しめ鯖(サバ)のオイル漬けにまぶしたもの。男性客からの注文が多いメニューとのこと。

しめ鯖とチーズがこんなに合うとは!! これは日本酒にも合うということでオススメの日本酒「群馬」をいただきながら味わいます。

(使用チーズ:フェタ)

 

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群馬 グラス(700円)

 

材料はすべて群馬のものを使用。

山廃仕込みのクセを若干残しつつ、飲みやすくした日本酒。しめ鯖とフェタの酸味とのマリアージュを楽しめる。

 

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▲MatCheese? グラス(700円)

 

松田さんが前職でプロデュースしたワイン酵母を使いチーズと相性の良い日本酒がこちら。しっかりとした甘みのある香りと白ワインのような酸味が際立つ味わい。チーズだけでなく洋食にも合いそう。

 

正式オープンから登場する新メニューはボリューム感たっぷり

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▲ラクレット(1,280円)

 

豚肉に長万部産の溶けるチーズ!

合わない訳がない最高の組み合わせです。評判メニューになりそう。野菜はブロッコリーとトマト。フランスパン、ピクルス付き。

 

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▲チーズ喫茶のカスタードプリン(480円)

 

プリン自体にレッドチェダーを使い、クリームチーズをトッピング。濃厚なうま味と満足感のあるデザート。

 

──これまではプレオープンで2月より正式オープンとのことですが、今後の展開などありましたらお聞かせください。

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:昼と夜で違うメニューも楽しめるようにしたり、夜はお酒にも力を入れようと考えています。チーズとお酒というと皆さんワインのイメージが強いと思うんですが自分は日本酒の方が合うと思っていて。それ以外でもこの春から提供するヤギのチーズには、ジントニックが一番合うんです。そういう既成概念にとらわれない楽しみ方を提供したいですね。

 

──なるほど! それでは後ほど日本酒に合うメニューをいただいてみたいと思います。

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:前職で徳島の酒造さんとコラボして日本酒をプロデュースさせてただいたのですが、高円寺は「阿波踊り」もあるので徳島つながりで何かできたらいいなとも思っています。

 

──それは楽しみです!

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:他にも地方のイベントやフェスなどにも出店してみようと考えています。その地域ごとに新たなチーズと出合う機会にもなりますので。
今後TPPなどの影響で、国産チーズは海外産との価格競争に巻き込まれたり、厳しい状況になることも予想されます。なのでお客様との橋渡し役として生産者のこだわりや製品の魅力を伝える力になりたいですね。

 

──その場に出向いてご自分で確かめるのは大切ですね。先ほどのヤギのチーズのような季節限定のメニューなどはお考えですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190219174612p:plain松田さん:最近、チーズ紅茶みたいなものも海外から入ってきてはいるのですが、香料でチーズ感を出していたりして、どうしてもナチュラルチーズ感がない。自分がやるならもっと本格的なものができると思い、夏からの冷たいメニューもいろいろ考案中です。

 

松田さんからは、その後も沖縄在住のイギリス人チーズ職人や熊本のモッツァレラチーズなど単独で記事になりそうなお話がどんどん出てくる。いつかそのあたりも詳しく取材して記事にしてみたいなぁ……。またいろいろお話したいです。

 

お店情報

チーズ喫茶「吾輩は山羊である」

住所:東京都杉並区高円寺北3-1-12 高円寺ビル
電話番号:03-5364-9357
営業時間:12:00~翌2:00 水曜日のみ18:00~翌2:00
定休日:火曜日

www.instagram.com

 

書いた人:BLObPUS

BLObPUS

オリジナルキャラクターの怪獣フィギュア「BLObPUS(ブロッパス)」をリリースしたのをきっかけに活動開始。国内外のフィギュアイベントに参加しつつ中央線沿線を飲み歩く怪獣おじさん。蓄光素体にメタリックカラーを基調とした独特の色使いで彩色にも定評がある。

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