イスラム横丁。
新大久保の駅前の路地を入った一角がそんな風に呼ばれるようになったのは数年前からでしょうか?
エスニック料理を食べるのも作るのも好きな私は、大久保、新大久保界隈によく買い物に行きます。
以前は韓国系の食品を買うことが多かったのですが、インド料理の材料を求めてこの界隈を散策しているうちに、「ハラルショップ」の存在に気がついたのは、もう10年くらい前のことです。
「ハラルショップ」とは、イスラム教のイスラム法上「合法的」という意味の「ハラル」な食べ物を売っているお店です。
イスラム教では、豚肉を食べることが禁じられているだけではなく、他の動物の肉は処理の仕方から決まりがあり、肉以外の食品も加工に厳密な作法があり、それを守って製造された食品だけが「ハラル」とされるのです。
それだけだと、イスラム教徒じゃない人には関係ないんじゃない? という感じですが、いやいや、珍しいスパイス、豆、米など、日本の普通のスーパーでは手に入りにくいものが、格安で手に入るんですよ!
その「ハラルショップ」、この新大久保界隈でここ数年すごく増えてきました!
昔は雑居ビルの上にひっそりとあっただけだったのに、今はこの一角が一目でわかるイスラム横丁!
さて、早速歩いてみましょう。
場所はJR新大久保駅のすぐ目の前。
右側にマツモトキヨシのある路地を少し入った辺りです。
左側には公共の自転車置き場。
私はいつもここに自転車を置いてから買い物や食事に出かけます。
お、さっそく「ハラルショップ」らしきお店がありました。
同じビルの2階にはネパール系の居酒屋さんなんてのも入ってます。
ここはお客のほとんどがネパール人で現地と同じ料理を食べられます。
ネパール料理はインド料理と比べると薄味でスパイス使いもマイルドなので日本人にも食べやすいですよ。
そして、その隣には本日お目あてのレストラン『NASCO FOOD COURT』、食材店の『GREEN NASCO』の系列店が並んでます。
この店がこの界隈では一番大きく、なんとなく入りやすいので、私はここで買い物をすることが多いです。
食材店のGREEN NASCOのホワイトボードの上には「MASJID 4th floor」の文字が。
MASJIDはモスク、イスラム教の教会です。このビルの4階にモスクがあるんですね。
ちなみに1日に何度かあるお祈りの時間には、このお店はシャッターを閉めてます。
そして、ホワイトボードに、本日のおすすめ的なことが書いてありますが、MIX BAKRAってなんでしょう?
基本的に日本語表記はないので、慣れないとちょっとわかりにくいですね。
それでも数年前と比べると、だいぶ買い物しやすくなりました。
昔は値段もほとんど書いてなかったので、外国人の店員さん(アフガニスタン人だという噂)にいちいち「いくら?」と訊いていたのです。
すると、返ってくる答えは、「200円」とか「300円」とか、私が予想してた値段よりも必ず安い! すごく安い! 物価の安い国に旅行に行ったみたいです。
そう、イスラム教徒ではない私にとって、「ハラルショップ」の最大の魅力はその安さ!
特に、スパイスとか豆は激安と言っても過言ではないですね!
安くて、そして大量です。
お米も普通のスーパーにはなかなか売っていない、タイのジャスミンライス、インド料理で使われるバスマティライスも常備されいるのです。
日本米と同じジャポニカ米もありますが、それはほとんど中国製で激安です。10kg1,000円くらいの時もあったり。
ああ、安いお店ってこういうお米使ってるのね、と思ったり……。
さて、店内に入ってみると、ズラリと並ぶミックススパイス。
200円~300円くらいのものが多いです。
これは現地の一般家庭でも使われているようです。
結構、マニアックな料理もこのミックススパイスがあれば簡単に出来るので、私も愛用してます。
ただし、レシピは現地語と英語。気合いで読みます!
そうそう、ハラルショップにある食材では、色々な国の料理が作れるんです!
イスラム教は色々な国で信仰されているので、中東諸国、インド、パキスタン、インドネシア、マレーシア、トルコ、チュニジア……。
他にもたくさんあって、書ききれません。
タイや中国でも一部にイスラム教徒がいて、独特の文化や料理があるんです。
全体的に、スパイシーで野菜や豆を多用したヘルシーな料理が多いです。
なので、マクロビオティックなど、豆を多用する料理を作る人は「ハラルショップ」で買い物する人が多いようです。
真ん中の丸いものは、パパド。豆の粉で作って薄いせんべいで、フライパンで2分くらい焼くだけで、良いツマミになります。10枚くらい入ってて200円。
隣のココナッツファインは、ダイエット関係で流行ってますね。
店内は通路が狭い上に、結構繁盛しているので見て回るのはちょっと大変な時もあります。
でも、店員さんは親切で、日本語はそんなにできないけど、わからないことを聞けば、一生懸命説明してくれますよ。
豆も種類いっぱい!
ミックスしてある豆は色も綺麗なので、サラダやスープに便利です。
しかも、ひよこ豆1kg300円!
バスマティライスは1kg500円!
普通の輸入食品屋より、相当安い!
インド料理には欠かせない油、ギーもありますよ。
ナンプラーとかチリソースとか、わりと一般的なものも、ここでは格安です!
いきなりエスニック料理作るのはちょっと、という人には本場の味の冷凍食品も!
正直、こういう冷凍食品、お客さんに出している店もありますよ……。
そして、圧巻なのがこちらのお肉!
主なラインナップは、鶏、豚、そして羊であります。
GOATは山羊ですね。
あ、ここにMIX BAKRAが。本日のおすすめ品はこれですね。
BAKRAを調べてみたら、やっぱり山羊っぽい動物でした。
正直、イスラム教徒ではない人にとって肉がハラルである必要はないんですが、山羊肉や羊肉が2kg1,300円なんて値段で買える店はめったにないですよ!
デパートなら100g1,300円の世界ですよ。
魚もありましたよ。
そして、謎のスナック菓子シリーズ。
ちなみに中身ははこんなカレー味のベビースターラーメン豆入りみたいなのでした。
かなり辛いんですが美味しくて良いビールのツマミになりました!
でも、お酒を飲まない人達は一体いつこれを食べるんでしょう?
これ食べながら甘いジュースとかありえないと思うんですが。
さあ、買い物も終わったことだし、店の横で売っているケバブを食べてみましょう!
お会計は食材店の方のレジで済ませて、チケットをもらいます。
ケバブの値段は、チキン400円、ビーフ450円、MIX450円。
一般的なケバブより100円くらい安いですね。
トルコの帽子を被ったおじさんが作ってくれます。
当然、トルコ人だそうです。
「本場トルコの味」。
HALALマークもついてます。
ケバブサンドMIX450円、できました!
柔らかい肉がたくさん入っていて美味しい!
昼時は結構並んでます。
店の前のベンチで食べても良いし、隣のレストランで食べてる人もいます。
では、隣のレストランにも入ってみましょう!
『NASCO FOOD COURT』です。
メニューはビリヤニ、クスクス、バーベキューチキン、ソフトドリンクのみ。
バーベキューチキンは100円に値下げされてましたが、17時以降でないとないようです。
でも、時間はあまりきっちりしてないので、ある時はある、って感じです。
お店もよく閉まってるので営業時間もよくわかりません。
こういうラフな感じ、私は嫌いじゃありません。
店内はフードコートではなく、普通のレストラン。
店員さん=シェフはインド人だそうです。
メニューです。ビリヤニもクスクスも具材によって値段が変わります。
全部美味しそうで迷っちゃいますが、今は魚ビリヤニがイチオシの様子。
では、魚ビリヤニ800円にしてみましょう。
他のお客さんも二人とも魚ビリヤニを注文してました。
控えめに飾られているお花が可愛らしい……。
ほんの2、3分で、魚ビリヤニきました。
のっぺり。
あれ? 魚は?
掘ったら、中に埋まってたー!
魚はいわゆるタンドリーチキンと同じで、しっかりしたカレー味で漬け込んで焼いてあります。美味しい!
ちなみにブリだそうです。
米はパキスタン産のバスマティライス。
オイリーさはほとんどなく、ふっくら炊きあがっていて美味しいです。
スパイシー度は中くらいですかね。
食べやすさを考慮してか、ホールスパイスは入っていないです。
でも、魚ビリヤニはなかなかメニューにないので貴重です! 私も初食でした。
ちなみに、もっと掘ってみると……
どーん!
このサイズのブリが合計3枚埋まってました! 充分過ぎます。
添えてあるライタはヨーグルトにきゅうり、にんじん、玉ねぎを入れて塩で味付けしたもの。
時々、ビリヤニにかけて食べると、さっぱり味変できて美味しいです。
その時、厨房では大量のチキンが仕込みされてました。
バーベキューチキンはタンドリーチキン的な味付けのようです。
次回はぜひ食べてみたいですね。
新大久保駅から徒歩1分という超お手軽な立地で、日本にいながら外国旅行気分が味わえるイスラム横丁。
ハマる人はハマります! 私のように。
激安でスパイシーな美味しい異文化交流を、あなたもどうぞ!
お店情報
NASCO FOOD COURT(ナスコフードコート)
住所:東京都新宿区百人町新大久保イニシャルビルANNEX 1F
営業時間:12:00〜23:00(ラマダンの時期は夜のみ営業)
定休日:年中無休