ラーメンでもカレーでもなく“焼きそば”に行列ができる専門店が東京のド真ん中にある【神保町 みかさ】

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東京、神保町──

神保町といえば言わずとしれた古本の街であり、また有名カレー店が多いことでも知られるようになった。
そもそも学校が多いエリアで、学生向けに安くてボリューム満点な飲食店が古くから軒を連ねている。そこに新規参入店も増え、今まさに群雄割拠の様相を呈している。

そんな中で、ひときわ行列を伸ばしている焼きそば店が「みかさ」だ。

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飲食で行列ができるジャンルといえばラーメンやカレー店だが、それらを抑えて焼きそばの専門店に腹を空かせた人々がめがけて集まってくる。

 

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実はこうした状況は全国的に見ても珍しい。

というのも、焼きそばというと屋台などで食べる比較的安価なものという印象が強く、1杯 800円程する価格が受け入れられなかったり、そもそも焼きそばを専門に扱うお店自体が少なくて認知されにくく、商売として成立しづらいからだ。

この点については以前、東京で30年以上前から専門店として営業を続ける「あぺたいと」や、

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大分の日田を発祥として全国へ展開する「想夫恋」の記事で触れた。

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これらの焼きそばは、焦げ目が付くまでシッカリと焼かれた、ボキボキとした独特の歯応えの麺で好評を博している。
しかし、「みかさ」は熊本という同じ九州をルーツに持ちながら、ムッチムチのちぢれ麺というある意味対極的な食感を持つ焼きそばとなっている。

 

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▲モチッとした水分量の多い麺。まさに多加水麺ならではのツヤ!

 

この独自性の高い焼きそばがどうして行列を作るまで人々を魅了するのか。

そのルーツや作り手の思いを探るべく、「あぺたいと」の記事にも登場願った焼きそば専門家の塩崎省吾氏に協力していただき、「みかさ」の中田代表に直接お話をうかがった。

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【塩崎省吾】焼きそばに特化したブログ「焼きそば名店探訪録」が話題となり、焼きそば専門家として、WEBメディアへの執筆の他、ラジオやテレビに出演し、マルチに活躍。日々焼きそばの普及に努めている。

yakitan.info

 

小麦粉を手で扱っているうちにハマっていった

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▲現在「みかさ」代表を務める中田正人さん

 

── 中田さん、塩崎さん、本日はよろしくお願いします。 2013年11月にここ神保町にオープンされていますが、もともとは熊本にあったお店が東京に進出されたとお聞きしています。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:当時は「みかさ」という名前ではないですけど、確かに熊本にありまして、自分の師匠にあたる福島(「みかさ」の先代オーナー)が経営していました。私自身は九州には行ってないのですが、その後は福島がお弟子さんにお店を任せて東京に出てきたという経緯ですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:中田さんはご出身はどちらですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田:東京の武蔵境です。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:油そばが有名ですよね。

 

── ラーメン屋さんの多いところですからね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:ラーメン店でも働いていましたよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:へぇ、そうなんですか!

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:学校出てからまず「叙々苑」に入って。

 

── あの、焼肉の超有名店の!?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:はい、その「叙々苑」です。その後、和食のお店なども経験しましたが、ほとんど飲食一筋ですね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:そこから焼きそばの世界に飛び込もうと決心されたのは?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:自家製麺の焼きそばというものは、なかなか聞いたことがなかったので、スゴく興味を持って修行に入ったんですけど、だんだん焼きそばにのめり込んでいって。それまでは小麦粉を自分の手で扱うことってなくて、触れるたびにハマっていきましたね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:2013年にこちらの「みかさ」を福島さんが始められて、中田さんが入られたのは?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:2014年の3月ですね。

 

── その後、中田さんが神保町のこちらを任されて、福島さんは高田馬場で「真打みかさ」というお店を出されるという認識で合っていますか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:そうですね。

 

最大のキモはモチモチのちぢれ麺!

ここで「みかさ」で生み出される焼きそば自体についても触れておこう。

特徴として挙げられるのは、調理の工程。麺のほか具の肉や野菜などを分けてそれぞれに焼いているので、焼く作業だけで工程がとても多くて手作り感がハンパないのだ。
さらに、国産小麦&自家製麺であること。また、具だくさんなため、結果的にはボリュームも満点であることなども大きな魅力となっている。

そんな手間暇かかった焼きそばはどのように生まれ、どのような素材の組み合わせで出来上がっているのだろうか。中田さんに焼きそばを作る工程を見せていただいた。

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▲まず製麺機のところで麺の重さを量る

 

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▲これで大盛り1玉 220gの量

 

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▲ここで鉄板作業に入り、豚肉から焼き始める

 

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▲肉が焼けたら端っこに移し、エビとイカに火を通す

 

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▲再び麺に戻り、グラグラとゆだる羽釜に麺を投入。立派な羽釜で麺をしっかり均一にゆで上がるよう滞留させる。平ザルでゆでるお店はラーメン店でも少なくなった。このほうが格段に麺の素材が生きる

 

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▲時間を見極め、麺をゆで上げる。これぞ、職人技!

 

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▲しっかり湯切りした麺を、鉄板で炒めた野菜の上にのせ、魚粉を絡めていく

 

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▲そこに第1弾のソースをかけ、よく混ぜ炒めいていく

 

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▲ここでいったん皿に盛り付けて

 

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▲焼いた後に避けていた肉と海鮮に専用のソースで味を付け、さらに焼いていくと、ソースの焦げた香ばしい匂いがあたりに立ち込めてくる。くぅ~

 

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▲肉と海鮮を麺と野菜の上にのせ、さらにつぶした玉子を炒めだした

 

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▲その玉子をのせ、ネギを添えて仕上げのソースをかける

 

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▲青のりをまぶして完成!

 

ストレートからちぢれ麺へ

出来上がった焼きそばをいただきながら、この焼きそばを構成するそれぞれの要素についてうかがっていくとしよう。

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▲神保町焼きそば(ソース味、800円)

 

── どういう形で先代の福島さんから味を引き継がれたのですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:先代は熊本の人間なので、東京のお客様にもなじんでいただける味というのを開店以来ずっと試行錯誤していまして、これという味が決まった時に、私も一緒にいたのでその味を伝承していて、今につなげています。

 

── 福島さんからレシピを教わった形なんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:教わるというよりは共同作業のような形になったんですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:そういう感じですね。ただ、麺が今のようなちぢれ麺になったのは自分が入ってからですから。最初はストレートだったんです。

 

── なるほど。ぢれれ麺になる前から、もっちりした麺ではあったんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:もっちりした自家製麺で、生麺からゆでてというのは当初から変わってないところですね。

 

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▲見よ、このちぢれ具合。ストレートからさらに具やソースとの絡みが増したモッチリ麺

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:そうですね、そこはボクが熊本で食べた時と共通してますね。

 

── ちぢれたタイプになってからは基本のところは変わらずに来ていると?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:ベースは食材からソースの材料まで変えてないです。小麦を「ゆめちから」に変えたくらいで、北海道産の地粉であることは変わらないんです。

 

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▲壁に掲げられた地粉の表記

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:最近ではラーメンをやっているお店が焼きそばも始めるケースが見受けられますが、焼きそばの場合、麺をゆでてから焼く作業という2度の手間がかかるので、調理中ずっと拘束されてしまう。そこが焼きそばの大変なところですよね。

 

── ただ、そういう厨房での作業が客席から見えるって、ちゃんと手作りしてるんだというのが安心できますね。なにより目の前で作った出来たてを食べられるって一番おいしく感じられますし。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:そうですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:焼きそばが外国人にもすごくウケるのは、目の前で焼くところだものなぁ。

 

── あぁ「いま目の前で焼いてる」っていうライブ感がテンション上がりますよね。特に焼く際のアクションも加わりますし。

 

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▲ダイナミックで豪快な焼き風景

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:激しいです。ソースの焦げる匂いも立ち上りますし。あれがまたたまらない。

 

コクのあるソースにも秘密が……

── ソースはベースがあって、そこに材料を加えてオリジナルのブレンドにしているということですが。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:確か3種類を使い分けているんですよね?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:ベースは京都のオジカソースで、麺の味つけ用はオジカソースにガラムマサラやブラックペッパーなどを加えています。肉などの具材を焼く用は、香ばしさを演出するために醤油ベースのウスターソース。仕上げに甘辛いとろみがかかったソースを用いています。

 

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▲麺の味付け用のソースをかけているところ

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:一度食べたらまた食べなくなる味に仕上がってますよ。重いソースなんですけど、ピリッとスパイシーさ効いているので、食べやすい。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:ウチは油を引かずに焼いているので、その分オイリーにならず重さが軽減されていると思います。

 

── その分、鉄板にこびり付いちゃうんで焼くの大変じゃないですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:大変です(笑)。最大で5人分まとめて焼けるんですけど、ピーク時は体力的に結構キツくはなります。

 

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▲鉄板からは煙がモウモウと立ち込め、一度の焼きでこびり付きも相当に激しくなってしまう

 

── カツオ・サバ・イワシをブレンドしたという魚粉を入れられているのがとても印象的でした。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:香りと食感、それとコクが出ます。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:それに麺にソースが絡まりやすくなりますからね。麺の量も多いですし。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:ゆでる前で、並盛りで170g、大盛りで220gです。

 

── 他所と比べても相当多いですよね。特に女性が食べるとなると、パスタなんて1人前せいぜい100gとか120gくらいですから。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:カップ焼きそばよりもだいぶ麺の量が多いですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:特に同じグラム数の野菜も入れるので、結構お腹にはたまりますよ。

 

女性客増を狙い「塩焼きそば」をレギュラー化

── 塩焼きそばは途中からメニューに加わったと聞いていますが。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:そうですね。当初は夏だけ限定で出す予定だったんですけど、女性のお客様がなかなか定着していただけなくて、だったら塩をレギュラー化してみようと。

 

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▲神保町焼きそば(塩、800円)。ネギの増量は無料なのでお願いしたら、シャッキシャキのみずみずしい長ネギがたっぷり添えられてきた。これがレモンの果汁と実によく合う

 

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▲塩の麺は塩コショウと味付けがシンプルで、麺のモチモチ感がより際立って感じられ、玉子や豚肉の味とよくなじむ

 

── レモンを搾ってかけるというのが女性ウケしそうですよね。場所柄、男性の学生さんが多いですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:最初、学生さんが全然いらっしゃらなくて。焼きそばで当時800円というのが。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:そっか、学生のお昼にはチョット高くて手が出にくい。勤め人の方々から火が着いていった感じですかね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:ええ、男性のサラリーマンの方がもう9割ですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:へぇ、9割! ただ今は女性客も多くなってますよねぇ。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:多いですね、ようやく(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:行列になっていったのは、一度食べた人がまた来るようなリピーターが増えたからですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:リピーターの方はホント多いですね。

 

── 女性は塩を食べる方が多いんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:そうなんですけども、最近はソースを食べて、リピートした際に塩も試そうかという人が増えました。

 

裏メニューには「特盛りサービス」も!!

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▲焼きそばという共通の話題で話が尽きないお二人

 

── 学生さんのお昼には高価かもという話が出ましたが、そこで価格を少し安めに見直そうかという考えはなかったんでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:個人的にも、最初にこのお店に入って先代の焼きそばを食べさせてもらった時に、ラーメン食べるよりこっちのほうがコスパいいなって思ったんですよね。ちゃんと麺でお腹いっぱいになれる。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:麺でガッツリ食べる感じですよね。

 

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▲麺がしっかり多い上に、肉も玉子も野菜も盛りだくさんで、見るからに元気がもらえそうだ

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:なので、値段を下げるということは考えなかったですね。ただ、大盛りまではサービスなので、学生さんからは特盛ないんですか? と聞かれることも多くて、なので裏メニュー的に特盛はサービスで対応しています。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:おおっ、それって公表しちゃっていいんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:いやもう全然構いません!

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:じゃあこの『メシ通』を見た方だけの特権ということで(笑)。

 

焼きそばがもっと市民権を得るためには

── 焼きそばだけなぜか廉価な食べ物のイメージがついてしまっていますが、こちらのものは手間暇かけて手作りされていて、ボリュームもあるので、本当の費用対効果という意味では非常にコスパが高いですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:そう言っていただけるとうれしいです。

 

── なので、一度食べればこの価格も納得がいくでしょうが、なかなか世間一般からは、屋台とかの300円 500円という価格と比較されて高いと判断されてしまいます。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:そこは常々比較されてしまう部分ですね。

 

── 飲食業界全般がなかなか経営的に厳しい状況なのに、価格は上げられない。そういう中で、みさかさんが「焼きそばだってきちんと作ったら800円、900円しても見合うだけの満足感が得られるんだよ」という認知に一役買ってくれていると思うんですよ。

 

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▲しっかり作られた焼きそばだからこその適正な、いやむしろ安いくらいの価格

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:ボクも個人的には、昔からのお店が新しいお店に引き継がれてほしいと思っていまして、そのためには新しい世代がちゃんと食べていける、ビジネスとして成り立つくらいの単価を取れるものにしていかないといけないと思うんですね。そこで、みかささんみたいに焼きそばでもこれだけ単価取れて、行列も出来るお店があるのが、本当に頼もしいんです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:ありがとうございます。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:弟子入りさせて下さい、みたいな若者は来ますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:今いる店長は21歳なんですけど、弟子入り希望で入ってきました。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109142909p:plain塩崎さん:やはり夢を抱ける焼きそばだったんでしょうね。ここで修行した人が自分のお店を出して、その味が広まっていけばいいでしょうけど。

 

f:id:Meshi2_IB:20190109141617p:plain中田さん:先代が築いて自分が発展させた焼きそばの味を守り続けながら、日本全国に広まって食べていただけたらな、と思っています。

 

── 今後の展開に期待しています! 本日はどうもありがとうございました。

 

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▲最後に筆者にほほ笑んで見送ってくれたお二人であった

 

手作りの味と言葉で言うのは簡単だが、ひとつひとつの地味な作業を何年も続けるのは並大抵の精神力ではない。
それゆえに、有名店になると味が落ちたと言われる訳だが、「みかさ」では中田さんが実直に伝統の味を守り続けている。中田さんがそうであったように、中田さんの弟子もまた「みかさ」の味を伝承していってほしいと願わずにはいられない。
そうやってキチンとした仕事を施した専門店の本格的な焼きそばなら、全国の人々に、例え思っている値段より高くても、きっと受け入れられるはずだ。

いつか、みかさ出身の焼きそば店を見かけたら、ぜひ食べていただきたい。そして今、伝承の技によって日々生み出されている焼きそばを、東京・神保町で体感してもらいたい。

専門店にしか出せない味が、今がここにある。

 

お店情報

みかさ

住所:東京都千代田区神田神保町2-24-3
電話番号:03-3239-5110
営業時間:11:00~17:00頃(麺および具材が売り切れ次第終了)
定休日:日曜日、祝日

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書いた人:刈部山本

刈部山本

スペシャルティ珈琲&自家製ケーキ店を営む傍ら、ラーメン・酒場・町中華・喫茶で大衆食を貪りつつ、産業遺産・近代建築・郊外を彷徨い、路地裏系B級グルメのブログ デウスエクスマキな食卓 やミニコミ誌 背脂番付 セアブラキング、ザ・閉店 などにまとめる。メディアには、オークラ出版ムック『酒場人』コラム「ギャンブルイーターが行く!」執筆、『マツコの知らない世界』(TBS系列)「板橋チャーハンの世界」出演など。2018年5月には初の単著となる『東京「裏町メシ屋」探訪記』(光文社)を出版。

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