このままじゃカメルーンの魂を忘れてまう!
『メシ通』をご覧の皆様、はじめまして。僕の名前は星野ルネ(31歳)。オトンが日本人で、オカンがカメルーン人のタレントでございます。
生まれはカメルーンなんですが、3歳の時にオトンの仕事の都合で兵庫県姫路市に移り住んで以来、ずっと日本人、いや関西人として人生を過ごして来ました。
そんな僕も5年ほど前に東京に憧れ上京。イラストデザインなどのクリエイティブな仕事の傍ら、縁あって外タレとしてテレビなどに出させていただくなど、気がつくとすっかりこの大都会に馴染んでしまっていた……。
しかし、僕は元々コンクリートジャングルではなくホンマモンのジャングルの中で生まれた人間。
「このままではアカン! 自分が生まれた地、偉大なるカメルーンの魂を忘れてまうわ!」
そこで、僕は2016年初めの冬、コンビニで買い込んだお菓子をお土産に、数年ぶりに故郷カメルーンに帰郷することを決意したのです……。
故郷の村に着くまでひと苦労
成田を出発した後にパリで乗り換え、カメルーンのドゥアラ国際空港に到着。約18時間にも及ぶ長い空の旅を終えて空港の外に出ると、そこは出迎えの人達であふれていた。
「人もクルマも多すぎて誰が誰だかわかんねぇ! 迎えに来る親戚がどこなのか見当もつかんわ」
ルックスはほとんどアフリカンでも、3歳からずっと日本で暮らしているのである。ムリもない……。
案の定、何人か間違えた後(中には荷物を勝手に運びチップを要求してきた強者もいた)、ようやく迎えの親戚と落ち合い、故郷へと車を走らせる。
カメルーンでは、バイクタクシーが市民の足となっているとのこと。運賃の感覚は、日本でいう1メーターが20円くらい。
途中で壊れた橋に遭遇したのだが、親戚がなんとなく修復。大型トラックが通った後は、よく橋が壊れるんだとか。想像以上にワイルドである。
そんなこんなで、車を走らせること丸1日。
ようやく故郷の村「ンコエロン」に到着。
この村は10ほどの家族で構成されている。結局のところ何だかんだで皆が遠い親戚らしい。へえー。
祖母を囲んでの記念写真。ちなみに、この写真で星野ルネがどれか分からなかった読者は、もう一度スクロールして冒頭部分に戻りましょう。
(正解:星野ルネは右下で赤いキャップを被っている人物)
さっそく郷土料理を堪能。
数年ぶりに食べた「マニオク(キャッサバ)の葉の煮込み」。口にした瞬間、”長い海外生活から帰って来た日本人が久しぶりに味噌汁を飲んだ時”の様な感情に襲われた。
カメルーンっ子たちが日本のお菓子を判定!
日本から久しぶりに帰郷すると、何かとお土産をおねだりされるのが星野ルネの宿命である。今回は、かわいい甥っ子と姪っ子に日本のお菓子をお土産としてプレゼントしてみることに。
その反応で、カメルーンっ子にどれだけ日本のお菓子が受け入れられるのか、試してみた。
お土産のお菓子に興味津々な子どもたち。左から……オバムくん15歳、エラくん13歳、オナーちゃん12歳。
では、さっそく実験開始!
【ポテトチップス】
まずは欧米ではポピュラーなお菓子からいってみよう。
形が気になる(?)エラくん。
感想は……「 C'est bon ! (セ ボン)」=「美味しい!」(カメルーンの公用語はフランス語)
そればかりか、オナーちゃんも
オバムくんも、美味しそう!
そもそもカメルーンの主食は木芋(キャッサバ)や山芋。芋類に慣れ親しんでいるためか、おおむね好評のようだった。
ちなみに、うすしお味・のり塩味・コンソメ味を食べてみたところ、ダントツ好評なのはコンソメ味。他に「もしあったらうれしい味」として、マンゴー味や唐辛子味などが挙がっていた。
んー、マンゴー味か……。
【せんべい】
日本の伝統的なお菓子といえばこれ。さて評判やいかに。
固さについて、食べにくくないか? 少々不安だったのだが……
「干し肉と同じくらいでちょうど良い!」との返答が。この村ではシカやネズミなどの肉は干し肉として、屋根の上などに長期保存もされているらしい。
意外にも普段コメを食べる機会は多いのだが、コメをお菓子にしたものを見たのは生まれて初めてだそう。せんべいがここまで好評なんて、うれしくなるねぇ!
【麦チョコ】
昔から、子供に定番お菓子である。
「ねぇ、これヤギのう◯ち?」
「ヤギのウ〇チにしては、臭わないねー」
恐る恐る口に入れてみると……
!!!
「 C'est bon ! (セ ボン)」出ました!「チョコ味のお米みたい」とのこと。麦チョコが万国にアピールすることが示された瞬間だ。
「さきいか」に衝撃を受けるカメルーンっ子
その後も、
【焼き芋ようかん】や
【芋けんぴ】など、日本のおやつを美味しそうに食べるかわいい甥っ子&姪っ子たち。
ほぼ百発百中の確率。ルネおじさんの株がグングン上がっていく。
そんな中、唯一食べるのを一瞬ためらったものが。
それは、なんと【さきいか】。
日本では、駄菓子系のアイテムであり、酒のアテのような扱いでもあるが、 「木の根っこみたい」「本当に食べ物か?」「干したナマズみたいなニオイ」と怪訝な表情をする子どもたち。
ビビりながら口に入れてみると…
「 C'est très bon !!!(セトレボン)」=「めっちゃ美味しい!!!」
「不思議な味だけど、何故か美味しい」と大喜びである。そこで「イカを薫製にしたものだ」とみんなに説明してみたのだが……。
?????
なんと、全員イカを見たことがなーい!!
「そんなものを食べるなんて日本人は変わってる〜(笑)」と、得意げになってる星野ルネおじさんをからかう子どもたち……。
「いや、きみたちも(日本人からしたら)まあまあ変わったもん食べてると思うで!!」
一番美味しかった日本のお菓子は意外にも……
では採点。いちばん美味しかったお菓子を挙げてもらった。
ポテトチップス(うすしお味・のりしお味・コンソメ味)、せんべい、麦チョコ、芋けんぴ、焼き芋ようかん、さきいか。この8種類のお菓子に、3人それぞれに10点満点で得点をつけてもらった。
さて結果は……
3位【麦チョコ】25点。
2位【ポテトチップス・コンソメ味】26点。
1位【さきいか】28点!!
当初は「本当に食べ物か?」などと散々な言われようだった「さきいか」がナントNo.1に輝いた。
これぞジャパニーズローカルフードとでも言うべき「さきいか」が、ここまでワールドワイドな魅力をもっているとは!!
きっとカメルーン人のハートを鷲づかみにする強烈な魅力があるんだろう。
というわけで皆さんも、旅行や出張などでカメルーン人にお土産を持って行く機会があったら、ぜひ「さきいか」をチョイスしてみては?