一流の寿司がコースで3,000円代 これが“お魚王国”福岡の食の底力ばい

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マグロにカンパチ、真鯛にアナゴ。アジやサバの脂もノリノリ。博多に来たなら、酒の肴にゴマサバ必須!

ってことで、ここは“お魚王国”福岡。刺身もウマけりゃ、煮付けもウマい。とくりゃもちろん、寿司もウマくて、値段も手頃。とはいえ、ここまで良心価格な店もそうはありますまい!ピンからキリまでありますが、福岡の鮨屋の相場はだいたいコースで10,000万円〜1,5000円。これでも「安い!」とありがたがられるけれど、この店寿楽」は桁違い。お財布ニッコリ(どころか、ケタケタ笑いが止まりまへん〜)の3,300円(税別)〜でございます。しかも、ネタは上級、技もピカイチ。落ちたほっぺたが地面をえぐるほどの美味しさとくりゃぁ、毎日でも通いたくなる気持ち、分かるでしょ?

さらにさらに、その3,300円の『おまかせコース』の内容は、小鉢に刺身盛り、季節の御料理が2品とテンコ盛り。最後に汁物と寿司が6貫(+卵焼き)、デザートで〆て、いやはや感無量とはこのことか!

で、今回いただいたのは、その『おまかせコース』にイカの刺身が付いた『やりいかコース』4,000円。おいしさと値段が噛み合わなさすぎて、「あれれ〜」と頭が混乱。コントロールが効かなくなった手が勝手に財布の中の諭吉さんを選んでしまう、なんて言いたくなるほどのオススメ店です。

 

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と、福岡のオアシス『大濠公園』のすぐ近く、荒戸という町にやってきました、メシ通レポーターのマツータケシです。

 

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荒戸を含むこの界隈は私的三大福岡グルメエリアのひとつで、実力派料理人達がしのぎを削っています。とはいえ、そんな戦国時代が訪れたのもここ10年ほど。西の繁華街・西新と、福岡最大の繁華街・天神の通過点であったため、この町を目指して足を運ぶ人が少なく、“食の不毛地帯”だった時代もあったそうです。

そんな時代でありながら、今や福岡では「言わずもがな」な名店にまで上り詰めた「たつみ寿司」はこの町からスタート。そして移転後の跡地を受け継いだのが、この「寿楽」なんだそうです。

そもそも、「寿楽」の大将・片山盛信さんは和食の料理人。さまざまな名店を渡り歩いて腕を磨いていたところ、「たつみ寿司」の親方に独立のきっかけをいただいたのだとか。「たつみ寿司」で本格的な修行をしたわけではないが、現スタッフと共にその技を学び、今に活かしているといいます。だから「まだまだ技術が足りんけん」と、値段で謙遜。この地に店を構えて18年、料理人としては40年のキャリアを誇っていても、良心価格を貫いているというわけです。

だからといって手抜きは一切ございましぇん!見よ、ショーケースに鎮座する、見るも麗しく食材たちの威風堂々たる様を。毎朝、長浜魚市場に足を運んでは最良のモノを仕入れているからこそ、驚き価格なんです。

 

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店は、地下鉄「大濠公園駅」から徒歩5分圏内。駅を出ると目の前に見える「平和台ホテル」のアーチ型看板をくぐって、北に進んでください。

 

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寿司屋でありながら、それらしからぬ店構えも、何だか通な心をそそりまくりです!

というのも、店があるのはビルの奥。「あぁ、ここやここや」と確認しながら歩かないと見逃してしまうかもしれないので、看板の発見が最優先です。

 

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いい意味で年季を感じる大衆的な店には、カウンターと小上がりの座敷があり、配膳係のおばちゃん達がにこやかに、元気よく迎えてくれます(この日はランチ終わりに特別に取材をさせていただいたので、おばちゃん達は休憩中でご不在でした〜)。

 

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カウンターの奥には一品料理のお品書き。「なまこ」に「ぶりかま塩焼」「たらの白子」に「あん肝」など、品数豊富な酒の肴を目的にやってくる常連も多いようです。と、ちょいとここで想像タ〜イム。脂がしたたるぶりかまをねぶりながら、おちょこに溢れる地酒を「くいっ」。あん肝のような珍味も日本酒と合わせれば、クセのある味が旨味に変わって、クセになる! っつぁぁぁぁ〜、こりゃ、たまらんちんですな〜!!!!!

「大衆」の良さが絵になっていて、実に酒が似合う店。贅沢にも居酒屋使いをするお客もしばしばだというから、うらやましい限りです。と、今日はお酒はお預け。涙涙の、とほほのほ〜。

さてさて気を取り直して、コース料理の登場。

 

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まずは小鉢。今日は『イカと深ネギのぬた和え』でした。

プリッとセクシーなイカちゃんは、歯切れがGOOD。ぬた和えって、もっとノドに刺さるような印象があったけど、これは酸味が優しくて食べやすい。さすがは和食の料理人。ナイスヒット!と、小鉢から胸にグッときます。

 

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続いては、うひょ〜、刺身の盛り合わせ(唐産ヤリイカの刺身付き)です!!!!!!!!!!(10個)。

イカや天然真鯛、カンパチなど、、、得も言われぬ官能的な舌触りが新鮮さを物語っています。マグロは赤身赤身しすぎず、かといってトロの脂っこさもなく、旨味と口溶け感が程よい絶品。透明感のある甘みはボタン海老ならではで、生穴子の煮穴子とはひと味違ったプリッと食感。2品目にしてすでに昇天〜でございます。

(ちなみに、ヤリイカコースは2人前〜注文可なので、あしからず ※写真のお刺身は撮影用に特別に1人前程度を盛りつけてもらいました)。

 

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すでに息切れ状態ではありますが、続く3番バッターは『銀ダラの味噌焼き』。3,000円代のコースにこんな贅沢な一品が登場するなんて、思いも寄らず、二打席連続ホームランです。

 

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そして、意表をついての登場は『寄せ鍋』。一人前の鍋が可愛いなと思いつつ蓋をあけると、鶏肉、豚肉、イワシのつみれ、イカ、その日の魚、そして野菜が、ダンスグループかのごときフォーメーションで並び、一体感あふれる美味しさで、口を楽しませてくれます。

 

そして、いよいよ真打ちの登場です。

心のドラムロールが鳴り渡ります。

そして心の司会者が声を上げます。(ドキドキ、、、)

「レディス&ジェントルメ〜〜〜ン、、、、」(ワクワク、、、)

「さぁご覧あれっ! 我が国が誇る、伝統の美味の登場で〜す」

と、見るも凛々しき精鋭たちが、美しい飾り包丁の装飾を纏って、まずは目に幸せを運んでくれています。

 

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この日、お皿を飾ってくれたのは、サンマ、カンパチ、ヒラメ、赤貝、穴子、そして厚焼き玉子。

それぞれの食味を膨らますべく、醤油やポン酢、柑橘類や大根おろし、塩などで味付けがされており、その味は「これぞ、寿司」たる風格。「切れ味とは切って味を成す」と言うがごとく、切っ先はキリッと立っていて、シャリは口の中で優しくほろり。食材の香りが鼻を抜けて、おいしさの余韻が残ります。

何度も言いますが、これは高級店の味。にして、この価格。

福岡の食の底力を支える“寿司酒場”、ここにあり!

と、声を大にして言いたく存じます。

 

[補足]

ちなみにランチも大賑わいで、毎日のように、店の外の臨時テーブルも埋まっているとか。一番の注文数はランチでのみ提供する『海鮮丼』(865円)で、『にぎり』(975円)、『中にぎり』(1,840円)、『上にぎり』(2,380円)もあり。寿司はお持ち帰りも可。

 

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お店情報

寿楽(じゅらく)

住所:福岡福岡市中央区荒戸1-3-20 メゾンアクア1階
電話:092-711-8123
営業:11:00〜14:00/17:00〜21:00(祝日は20:00)
定休日:日曜日
ウェブサイト:https://www.hotpepper.jp/strJ000112730/

www.hotpepper.jp

 

書いた人:マツータケシ

マツータケシ

福岡在住。某出版社を経て、フリーのカメラマン&ライターとして活動中。好きな言葉は「一日三度のメシ」。福岡の安くてうまい穴場を発掘することにはまっている。

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