「ウチは儲けがないからね」
そんな飲食店を尊敬してやまない、メシ通レポーターの裸電球です。
北海道札幌市に、お客さんに美味しく食べてもらうためには、妥協を許さない、
職人気質なお店があるという噂を聞きつけてやってきました。
この道40年以上の店主が作る、四川料理が自慢だと言うのです。
スープにタレ、調味料に至るまで、全てが複雑なレシピのもとに手作りされた料理は、
素人感覚でも、「材料費がすごいだろうな」と思ってしまいます。
一口が、次の一口を強烈に欲する、
悟りの境地のような四川料理 を堪能してきました。
耳に残る「紅麹屋」という店名
「四川菜麺 紅麹屋」です。
一度聞けば覚えられる、特徴的な名前ですよね。
やはり、紅麹を使ったお料理がいただけるのでしょうか。
紅麹自体、ほとんど食べたことがない食材なので、期待が膨らみます。
入店早々、あれですが。私は今、運命の分岐点に立っています。
常連さんから得た情報なのですが、最初に食べたものを次またお店に来た時もリピートしてしまうため、他の料理を食べたくても食べられないというのです。
なるほど、胃袋はひとつですからね。
種類も豊富なので、本当に悩みます。
四川麻辣湯麺(マーラータンメン)にしようか、担担麺にしようか。
このままではまずいぞ。
空腹すぎて、思考回路がフニャフニャだ。
まずは、麺類を忘れて。
大好物の麻婆豆腐からいきましょう!
小野さんは紅麹屋をオープンさせるまでに、様々な有名ホテルで腕を磨いてきました。
寡黙に料理と向き合う姿は、職人そのもの。
恐る恐る、声をかけてみると、
優しい語り口で調理法について教えてくださいました。
しかも、その解説が、とても専門的なんです。
そのあたりもまさに職人気質です。
段階を踏むごとに、何度も味見する小野さん。
火加減や味覚に全神経を集中し、まさに「渾身」という言葉がぴったりの料理です。
▲成都麻婆豆腐 880円
麻婆豆腐がきました! 香りがこれまで食べてきたものと全然違う!
どの中華料理店でも必ず頼む、マーボー好きですから、期待が高まりますね。
美味しい。
素晴らしい料理を食べると、感想も極めてシンプルになりますね。
ただただ、美味しいのです。
目をつぶってうなっちゃうやつですよ。
最初の一口、幸せのひとときを堪能します。
いや、驚きました。
自家製マーラーソースが、驚くほど深い味わいを演出し、
複雑に絡み合う香辛料が食欲をかきたてます。
お店秘伝の黄金スープで豆腐を煮込んで、中国醤油でまとめているそうです。
額には汗。確かに辛いのですが、辛いと思って口に運んでいないのが不思議な感覚です。
辛さを通り越した、旨味の波状攻撃!
麻婆豆腐を一口、そこに、紅麹ご飯をかきこみます。
このご飯がまた美味しいのです。
紅麹の自然な甘さと風味がプラスされ、ビリッと辛い麻婆豆腐とも相性抜群です。
お店の名前にもなった、紅麹。
医食同源のエッセンスを加えるため、全ての料理に使用されています。
麻婆豆腐にはお好みで「花椒油」をタラリとかけます。
この油ももちろん自家製です。
青山椒と赤山椒を1対3の割合で2時間蒸して使用するそうです。
ほんの少し入れただけでも、香りがグッと変化します。
ご飯もついてボリューム満点ですからね。
勘弁してくださいよ!
次から麻婆豆腐のリピーターになって、
麺類食べられないじゃないですか!
先ほどは決められなかった麺類ですが、麻婆豆腐で汗を流したので、今度はガラッと変えて、酸味を楽しもうじゃありませんか。
▲酸菜辣羹湯麺(スーラータンメン) 880円
ドンブリには、所狭しに様々な食材が散りばめられています。全て記載することは控えますが、その一部がこちら!
《紅麹粒、酸菜(白菜漬け)、発酵鶏ハム、玉子、冬筍、きざみ湯葉、小松菜etc…...》
まだまだ入っています!
紅麹屋では、お客さんが具材を追加注文する「トッピング」はありません。
「具」は、増えたり減ったりするものではなく、
そのラーメンに必ず入っていなければならない食材という考え方です。
トロリとしたスープが絡んだ麺をズズズっとすすります。
何が入って、どうなって、この味なのか、考えるのはやめにしようじゃありませんか。
ただただ、頭の中を「美味しい」が駆け抜けていきます。
インドの黒胡椒をはじめ、自家製の紅麹辣油や塩麹、中国醤油など、
とんでもない量の食材が使われ、それぞれの旨味が最大限に引き出されています。
これ、すごく余計なお世話でしょうが。
材料費、すごいことになるんじゃないですか?
「ウチは儲からないから」の一言に納得です。
これまでの人生、いろいろな「酸味のある食べもの」を経験してきましたが、
紅麹屋さんの酸菜辣羹湯麺が、
マイベスト酸っぱいランキング、1位に輝きました。
酸味の奥で複雑に絡み合う調味料や、食材の旨味に脱帽です。
今日は欲張って「大人食い」しますよ。
最後に注文したのが「紅麹屋特製餃子 650円です」
プックリとした見た目がたまりません。
ものすごく好みです。
カリカリ、モチモチ、シャキシャキが口の中で一度に楽しめます。
蒸してから、焼き目をつけるのが紅麹屋の特徴だそうです。
ネギがたっぷり入った特製のタレをたっぷりつけて食べると……、
まだまだいくらでも食べられます!
すごい四川料理でした!
ご主人、ありがとうございました!
素晴らしい食材へのこだわり、それでいて、このコストパフォーマンス。
紅麹屋に足を向けては寝られませんね。
食材のひとつひとつにまでこだわりぬいた四川料理。
皆さんも味わってみてはいかがでしょうか。
1度食べると、リピーターになる率が高いので、
他のメニューに挑戦できなくなるという、
「紅麹屋あるある」を、身を持って体感しました。
お得な晩ごはんコースもあるので、チェックしましょう。
ごちそうさまでした!
お店情報
四川菜麺 紅麹屋
住所:北海道札幌市豊平区美園5条6丁目3-13 NSビル1F
電話番号:011-831-5505
営業時間:(昼の部)11:00~15:00
(夜の部)17:00~21:30
定休日:木曜日
※本記事は2016年5月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。