焼酎バーの店主がセレクトした「死ぬまでに一度は飲みたい焼酎」10選【ヒョイ飲み】

f:id:Meshi2_IB:20180301123845j:plain

焼酎はハードルが高い。

どうもそういうイメージが拭えないんですよね。

飲んでみると、いろいろ味が違うのはわかる。はっきりわかる。

濃いのやら、香りが強いのやら、辛いのやら、それぞれに個性があるのだな、ということはわかります。

どれも同じだとは思わない。

 

でも、どれがおいしいのかと言われるとよくわからない。

ちょっと品ぞろえのいいお店で焼酎でも飲むかって時も、つい聞いたことのある銘柄を頼んでしまったりするわけです……って、以前まるっきり同じようなことを書いたような気がしないでもないですが(笑)、とにかく焼酎も銘柄がいろいろありすぎて、よくわからないんですよね。

 

最近は酒屋さんに行っても、日本酒よりも焼酎の方が品ぞろえがよかったりするくらいですが、「好きな焼酎は?」と聞かれても、つい口ごもってしまいます。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123300j:plain

▲焼酎バー「ZEN」のマスターの青木栄軌さん。営業中もけっこう飲んでます。「試飲も仕事だから」とのこと(笑)

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainでもそういう時は、お店の人に聞いちゃえばいいんですよ。芋で、あんまり癖が強くないのがいいとか、香りが華やかなのが飲みたいとか……。

 

と教えてくれたのは、高田馬場の焼酎バー「ZEN」のマスターの青木栄軌さん。

そうか、やっぱりどんなジャンルでもそれが一番の方法なわけですね。

じゃあ、面白そうなのを適当にみつくろって10種類飲ませてもらえませんか!

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainえ、10種類!?

 

そんなわけで、焼酎バー「ZEN」のマスター、青木さんおすすめの焼酎10番勝負です。事前にお願いしておいて、10種類をセレクトしてもらいました。

 

焼酎バーの店主に最高の焼酎をセレクトしてもらいました

f:id:Meshi2_IB:20180301123319j:plain

▲明治通り沿いです。窓が大きくて中が見えるので入りやすいです

 

さて、焼酎バー「ZEN」は高田馬場駅から早稲田通りを早稲田方面に向かい明治通りを右折してちょっと行ったところにあります。

副都心線西早稲田駅からだと3分くらいで、もっと近いですね。

今年でオープンして9年だそうです。僕はもう20年も高田馬場に仕事場を構えて、この辺もよく通っているのに全然知りませんでした。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainうち、開店が遅いから……。

 

いちおう20時開店なんですが、もうちょっと遅くになったりすることも多いとか。

そうか、僕は遅い時間だとこの辺、あんまり通らないかもなぁ。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123339j:plain

▲オモチャも並んだ雑多なムードのカウンター。上には漫画もズラリと並んでいます

 

広めのカウンターのみで、落ち着いた雰囲気。

確かにバーなんですが、漫画なんかも置いてあって、お客さんがみんな読んだりしていて、なんか緩いムードもあります。

基本的にBGMは無し。

気取った感じはなくてリラックスできそう。

ああ、これはいいお店だ。

今まで気づかなかったことを後悔しましたね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123404j:plain

▲あんまり見たことのないラベルの一升瓶が並べられています。もちろん有名銘柄もちゃんとあります

 

さて、カウンターの向こう側には、焼酎の一升瓶がずらりと並んでいます。

100種類以上あるそうです。さすが焼酎バーと言うだけのことはありますね。

米麦芋はもちろん、黒糖焼酎、干し芋焼酎、シソ焼酎、レンコン焼酎、のり焼酎、牛乳焼酎なんてのもありますが、もっとも多いのはやはり芋焼酎。

今日も芋焼酎中心のセレクトになっているそうです。

 

まずは1杯目から

f:id:Meshi2_IB:20180301123421j:plain

▲ほたる/知覧醸造/鹿児島県(500円)

 

まず1杯目はなんでしょうか、青木さん。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plain鹿児島県の知覧醸造の「ほたる」からいきましょうか。知覧は、戦時中に特攻基地があった町なんです。特攻隊員の姿をほたるに例えたという焼酎です。このラベルのデザインは、「特攻の母」と呼ばれた食堂の鳥浜トメさんのお孫さんがデザインしたものですよ。

 

おお、なんかいきなりヘビーな背景を持つ焼酎ですが、さっそくいただきます。

f:id:Meshi2_IB:20180301123448j:plain

▲この日は全部ロックでいただきました

 

お、これは飲みやすい。爽やかな辛口といったところでしょうかね。

スイスイと飲めてしまいそうです。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plain最初はやっぱり飲みやすいものからいった方がいいですからね。次はまろやかなのをいってみましょうか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123504j:plain

▲赤芋熟成古酒 明るい農村/霧島町蒸留所/鹿児島県(700円)。赤いのは瓶だけで、中身は透明です

 

赤芋熟成古酒 明るい農村」です。

「明るい農村」というのはよく見ますが、それの赤芋熟成古酒ですか。

グビリ。ううむ、甘くてまろやかですね。

甘みに厚みがある。これは3年以上長期熟成させた古酒だからでしょうか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123542j:plain

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainこれも飲みやすいでしょう。焼酎初心者だとこの辺から始めるのがいいんじゃないですかね。じゃあ、そろそろ個性的なやつもいきましょうか。大久保酒造の「侍士の門」です。芋焼酎のイメージを変えたと言われる焼酎ですよ。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123600j:plain

▲侍士の門/太久保酒造/鹿児島県(700円)

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123617j:plain

▲「薩摩(いも)の皇帝」のキャッチフレーズが頼もしい

 

飲んでの第一印象が「辛い」「キツい」。

香りも独特です。ちょっと臭いと言ってもいいくらい。

確かにこれは個性的。

苦手な人はダメかもしれない。

でも、僕はわりと好きですね。

サムライって感じの鋭さがあります。

 

── これ、度数高いんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainいや、普通と同じ25度ですよ。

 

同じ度数でも、こんなに強く感じるんですね。

実はカメラマンのねじ君と半分ずつで飲んでいたのですが、それでも3杯目となるとだんだんいい気持ちになってきましたよ。

この辺でもうちょっと量を少なめにしてもらいます。

そうしないと10杯目までたどり着けなそうですからね(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123633j:plain

▲薩摩維新/小正醸造/鹿児島県(500円)

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plain今度は小正醸造の「薩摩維新」です。うちではこればっかり飲んでるお客さんもいますね。食糧難時代にみんなのお腹を満たしていた農林二号という芋を復活栽培して作った鹿児島限定の焼酎なんですよ。

 

ほう、他では手に入らない焼酎ですか。

そう聞くとありがたい気がしてきますね。

というか、このお店にある焼酎、聞いたことのない銘柄ばっかりなんですよね。

飲んだことのある「明るい農村」も赤芋熟成古酒バージョンだったりするし。

全く知ったかぶりが通用しないです(笑)。

味がドスンときます。

そして香りが華やか。

これぞ芋焼酎、という感じですね。

あー、これはクセになるのもわかるな。

 

芋焼酎以外もいってみましょう

f:id:Meshi2_IB:20180301123657j:plain

▲長雲 長期熟成/山田酒造/鹿児島県(700円)

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainそろそろ芋以外もいってみましょうか。山田酒造の「長雲 長期熟成」、これは黒糖焼酎ですね。

 

── 長期熟成ってどれくらいですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plain焼酎の場合、基本的に3年以上なんですよ。でもこれは2006年のだから、12年か。

 

── 12年!

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123709j:plain

▲2006年から眠っていた焼酎

 

おー、芋に慣れたところに黒糖飲むと、全然違う感じがしますね。

というか、普段飲んでいる黒糖焼酎ともだいぶ違います。

黒糖焼酎を日本のラム酒と呼ぶ理由が実感できます。

後味がまたちょっと変わってるんですよね。焼酎っぽくない。

これは30度ということもあって、ズンとした飲み心地です。

でも12年熟成(瓶詰めは10年)しているだけあって、すごくまろやか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plain次いきますか? 大丈夫ですか?

 

── だんだん(酔いが回って)怪しくなってはきています(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainでは米焼酎いきます。那須酒造場の「鴨の舞」、これは熊本県ですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123723j:plain

▲鴨の舞 琥珀熟成/那須酒造場/熊本県(700円)。アイガモ農法栽培米使用が、なんだか嬉しい

 

うっすらと琥珀(こはく)色がついてます。

飲んでみると、ほほう。

ずっと芋焼酎を飲んでいて、米焼酎を飲むと、爽やかに感じますね。

飲みやすい。ほっとします(笑)。

 

── さすがに米は飲みやすいですね。ほっとします(笑)。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainでも、これ、ちょっとバナナっぽい風味もあるでしょう。さて、次で7杯目ですね。ちょっとアルコール高いのにしますね。33度。福岡県の「喜多屋 長期熟成 麦焼酎甕」です。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123736j:plain

▲喜多屋 長期熟成 麦焼酎甕/喜多屋/福岡県(800円)

 

これはずいぶんと、そのまんまなラベルですね。

裏ラベルが表になってる感じ。

ほほう、これは変わった味ですね。麦感が強烈。

後味に麦がすごいきます。インパクトあるなぁ。

度数が高いせいか、飲み応えあります。

正に麦そのもの。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123750j:plain

▲八幡 ろかせず/高良酒造/鹿児島県(1,000円)

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainでは芋に戻って、次は高良酒造の「ろかせず」。「八幡」という有名な焼酎の無ろ過バージョンですね。これも35度です。飲む前に香りだけ嗅いでみて下さい。ロックなのにモワっときますから。

 

おお、確かにお湯割りでもないのに、芋の香りが濃厚に立ち上ります。

でも飲んでみると、思ったほどクセがなくて飲みやすい。

でも、これも35度。飲み干した後から度数の強さがジワーときます。

10度高いと、やっぱり違いますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainさて、もうそろそろラストスパートということで、「青酎」いきましょうか。

 

── うわ、「青酎」きますか!

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123802j:plain

▲青酎/青ヶ島酒造合資会社/東京都(900円)。銘柄は全て青酎だが、作った杜氏さんによって味がだいぶ違うらしい

 

伊豆諸島の南の青ヶ島という島で作られている焼酎です。

人口160人なのに、焼酎の杜氏さんが10人もいるという焼酎の島なんですよ、青ヶ島。

そして、そこで作られている「青酎」がまた個性的なんですね。

実は僕は以前に新宿の青ヶ島料理店で飲んだことがあるんですが、まぁ、パンチのある芋焼酎ですよ。

久々に飲みましたが、ううむ、やっぱりこれはすごい。

香りといい味といい洗練の対局にある鮮烈さ。

まぁ、ひと言で言えば臭いんですが、そこが魅力なわけですよ。

 

── うわー、この香りすげぇ。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainウィスキーで、ボウモアとかラフロイグとか好きな人は、これも好きですね。

 

── ああ、僕も好きです。アイラ系のシングルモルト。なるほどそういうおいしさがありますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainこういうのにハマって、「もっと臭いのをくれ」って言うお客さんもいますよ。

 

これも35度。

でも度数以上のパンチ力があります。

目が覚めますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123829j:plain

▲熟柿/八千代伝酒造/鹿児島県(600円)

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainじゃあ、最後は優しめのやつで(笑)。八千代伝酒造の「熟柿」です。これは秋だけの限定品なんですよ。

 

ではラストの1杯いきます。

「青酎」の後ですから、すごく優しい味に感じますね。

まろやかで甘い香りが強いです。

でも、やさしいだけじゃなくて、ガツンとくるインパクトもしっかりある。

なるほど、ラストをしめるのにぴったりな焼酎じゃないですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20180301123845j:plain

▲この日飲んだ10種類。こう見るとラベルもいろいろで楽しい

 

しかし、こうやってオススメの焼酎を10種類おまかせで出してもらうと、まるで青木さんがDJしているみたいですね。

最初はおとなしめのから入っていって、だんだん盛り上げて、ちょっとヒネったりして、最後は静かに、みたいな。

面白い体験でありました。

 

── 飲み比べてみると、ホント、ずいぶん味が違うもんですね、焼酎って。

 

f:id:Meshi2_IB:20180303153516p:plainうちは焼酎のお店ですけど、果実酒とか日本酒とかビールだけ飲んで焼酎を飲まないで帰るお客さんもいますよ。別に無理して焼酎飲んでくれなくてもいいんで。


と、青木さん。

出してもらいながらいろいろ説明してもらっていたら、常連さんが「そんなに詳しいとは知らなかった」なんて言ってました(笑)。

聞けば教えてくれるけど、うんちくの押し付けはしないってことですね。

f:id:Meshi2_IB:20180301123857j:plain

▲というわけで大変気持ちよくなったわけですが、この後、「やっぱビールも飲みたいな」と言うわけで、ねじ君ともう1軒行ったのでした
 
普段も飲み屋さんでは後半は焼酎にいくことが多いんですが、こうやってしっかりと味わってみるのもいいもんですね。

必ずまた来ようと思いました。1杯 500円からと価格もお手頃だし、なにしろ近所だし(笑)。

 

お店情報

焼酎バー ZEN

住所:東京新宿高田馬場1-3-10
電話番号:03-5285-2553
営業時間:20:00頃〜翌3:00過ぎまで
定休日:不定休
Facebook:焼酎バー ZEN

 

書いた人:安田理央

安田理央

1967年生まれ。フリーライター、居酒屋お通しコレクター、アダルトメディア研究家、ニューウェーブ歌手、イベント司会、駅弁大会エバンジェリストなど、色々。好きなサッポロ一番はしょうゆ味。

過去記事も読む

トップに戻る