おとなのぶらり旅 ~こんなにも、ある。南熊本編③~

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全国々浦々、名物、名産、ご当地グルメに郷土食! タベアルキストの旅に美味しいご飯は欠かせません。

日本中の美味しいものを、そこに込められたハートも一緒に味わいたい。

そんな想いから始めた大人のための食の旅こそが『おとなのぶらり旅』。

「知って食べれば、もっと美味しい」

食と人でつなぐグルメ旅最終日スタートです!

 

朝一で絶品バーガーに出会う。球磨の黒豚

いよいよ最終日。

この日のスタートは黒豚から。

そうです、鹿児島だけでなく熊本にも黒豚がいるんです。モンヴェールで食べたバブコック種との違いが楽しみ!

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黒豚を育て始めて30年になる球磨の黒豚。

まだ黒豚がメジャーでは無かったころからずっと育て続けています。

生産者直営のこちらの店舗では、その黒豚を使用した軽食を頂くことができます。

 

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▲クマクロバーガー 540円

 

今回は3品頂きましたが、抜群に美味しかったのがこちらのクマクロバーガー。

自家製のバンズに、黒豚のメンチカツ、特製のソースを合わせたボリューム感のある一品。

 

モチっとした柔らかめのバンズと、厚みのあるメンチとの一体感が素晴らしいです。

溢れる肉汁をバンズでしっとりと受け止め、ソースで奥行を膨らませる合わせ技の前に、あっという間にお腹の中へ納まってしまいました。

一食の価値ありです!

 

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▲ホットサンド 380円

 

こちらは、ロースハムとメンチカツを使用したホットサンド。

クマクロバーガーのバンズとは異なり、こちらのパンは密度の詰まったしっかり系。見た目以上にボリュームを感じられます。

手を汚さずに食べたいときはこちらがおススメ。

 

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▲黒豚メンチカツ 195円

 

最後はメンチカツ。

昨日いただいたメンチと甲乙つけがたい美味しさ。

どちらかというと、こちらの方が脂にコクがあり全体的にパワフルな印象です。

球磨の黒豚は、肥育期間を通常に比べて約10か月間と長くすることで、繊維が細かくなり、もも肉にまでサシが入るようになるそうです。

このあたりが、味の秘訣になっていそうです。

 

ホルモンもいただいてみたかったけど、仕入れの関係で取り扱いは無いとのこと。

代わりに、ほるもん街道というホルモンをウリにしている町のことを教えてもらいました。

 

お店情報

球磨の黒豚

住所:熊本県球磨郡あさぎり町免田西3003-2
電話番号:0966-45-9096
営業時間:10:00~18:00
定休日:土日祝日
ウェブサイト:http://www.kuma-kurobuta.com/

 

ほるもん街道の名物 黒ホルモンを目指して

ほるもん街道を目指して、車を走らせることしばし。

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219号線沿い、錦町のあたりにはのぼり旗が。

ここがほるもん街道です。ほるもん・よかもん・うまかもん。なかなかいい感じに韻を踏んでいます。

 

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我々が向かったのは錦町で創業60年という「市房食堂」。

市房山から命名したというそのお店を、現在は創始者のお孫さんにあたる2代目が運営しています。

 

名物は黒ホルモン。

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▲イチフサ黒ホルモン(たれ) 530円

 

たしかに黒い!

ミノは黒い皮を付けたまま、ハチノスも磨かず黒いまま、なのが「黒」の秘密。

さらにギアラもくわえています。

こうやって並べてみると違いがよくわかりますね。

 

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新鮮な牛のホルモンを薪火でじっくりと炊いて、韓国産唐辛子と地元の味噌や醤油を使った特製ダレにつけ込むことで、臭みもなく、柔らかな黒ホルモンが出来上がります。

甘辛のタレとホルモンの食感についつい箸がのびます。

お酒がすすみそう。

 

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▲豚足(炙り) 1本 250円

 

ホルモン屋さんが多く立ち並ぶこのあたりは、食肉文化が浸透しているようで、豚足もよく食べるそう。

熊本では揚げたり焼いたりというのがポピュラーみたいですが、市房食堂では「炙り」が評判。

 

柔らかくボイルした豚足を火で炙り、仕上げに特製ダレを塗ります。2社の味噌をブレンドしたというこだわりのタレで、パリパリの食感の豚足がいっそう芳ばしくおいしくいただけます。

人目を気にせず豪快にかぶりつきたいですね。

 

朝からメンチカツ、ホルモン炒めとガッツリ食べてきたので、少し口をサッパリさせたいところ。

実は人吉の温泉は飲用に適している温泉も多く、なんと温泉水を使ったかき氷があるとか。

八代の温泉塩とはまた一味違った、温泉グルメ。

行ってみましょう!

 

お店情報

市房食堂

住所:熊本県球磨郡錦町一武2111
電話番号:0966-38-0071
営業時間:11:00~14:00(ランチ) 17:00~23:00(ディナー)
定休日:火曜
ウェブサイト:http://www.ichifusa.com/

www.hotpepper.jp

 

魔法の口どけ 温泉水のかき氷

温泉水のかき氷があると聞いてやって来たのは、人吉温泉発祥の地、翠嵐楼。

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温泉水のかき氷がいただけるのは、球磨川のほとりに建つ「翠嵐楼」。

「美肌の湯」「美人の湯」「香りの湯」と呼ぶ3つの源泉を持ち、温泉巡り気分が味わえる旅館です。

この3つの源泉のうちの「美人の湯」を使ったかき氷がいただけます。

無色透明、無味無臭のアルカリ泉でミネラルをたっぷりと含んでいるそう。

この温泉水を氷屋さんに運び、本格的に製氷しているのは全国でもここだけなんだとか。

氷屋さんが丸二日かけて作った本格的な氷は美しい氷です。

 

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この氷を削るとパウダースノーのようなキメの細かい氷。

従来のかき氷のイメージとは違う、温泉水ゆえのやわらかさ。

空気を含んでふわふわとした氷は、口の中でスッと溶けて消えていきます。

 

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▲温泉かき氷 各648円

 

かき氷のシロップは緑茶蜜とイチゴの2種類。

とくに緑茶蜜は球磨地方の銘茶、相良緑茶を使ったもので、スッキリとしたお茶の味わいが楽しめます。

なんと、この温泉水の氷はリンガーハットの一部店舗でも「ふわふわマンゴーかき氷」として夏季限定で提供してるそうですよ。

お店情報

翠嵐楼

住所:熊本県人吉市温泉町2461-1
電話番号:0966-23-2361
営業時間:11:30~14:30 (冬季はイチゴのみ 事前確認推奨)
定休日:無し
ウェブサイト:http://www.suiranrou.jp/

www.jalan.net

 

さて、時間はお昼もまわり、いよいよ東京に戻る時間が近づいてきました。

人吉、最後のグルメは名物うなぎ!

 

人吉の名物 鰻で締め

最後は鮎と並んで、人吉で評判の鰻にすることにしました。

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近くにある、国宝 青井阿蘇神社でお参りを済ませ、いざ最後のグルメへ! 

 

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人吉うなぎとして有名なお店は2軒あり、しらいしうなぎ屋と上村うなぎ屋といいます。

2軒並んで立っている両店は、どちらも創業100年を超え、いずれも根強いファンがついています。

今回はしらいしうなぎ屋を訪問しました。

 

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少し気を付けたいのが、うな重とうな丼の扱いについて。

こちらのお店では「うな重」はご飯と鰻が別々の盛りで、「うな丼」がご飯の上に鰻が乗ったスタイルになります。

今回は少し贅沢をしてうな丼の特を注文してみました。 

 

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▲うな丼特 2,760円

 

待つことしばし。

どどんとやって来たうな丼の鰻はあらかじめカットされたスタイルでした。

少し強めに利かせたコゲ感が食欲をそそります。 

味の方はやわらかく上品な仕上りながら、それでいて炭の香りも残っており、バランスの良い仕上がりです。

皮はバリッと焼き上げて脂をしっかり落とすタイプではなく、ムチッとした食感を残しています。

 

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話題のお店が隣り合っているので意識しているのかと思いきや、そんなことは無く、「うちはうちの味を守る」というスタンスだそうです。

店主・白石さんのこだわりは、地元の2軒の蔵から仕入れた醤油を、絶妙割合でブレンドして生み出す独特の甘みを持つタレ。

 

そしてやや柔らかめの鰻を仕入れるようにしていること。

意識的に仕入れるうなぎのタイプをコントロールし、さらに個体差を見極めて焼き上げることで、「しらいし」の味を生み出しているそうです。

3日間、最初から最後まで、それぞれに特徴とこだわりのあるグルメに出会えて、満腹、満足! 最後にもう一か所、グルメじゃないけど食に欠かせないところを訪れて東京に帰りましょう。

 

お店情報

しらいしうなぎ屋

住所:熊本県人吉市紺屋町126
電話番号:0966-22-2450
営業時間:11:00~15:00(ランチ) 17:00~21:00(ディナー)
定休日:不定休

www.hotpepper.jp

 

旅の終わり 日本一の清流 川辺川を訪ねて

空港までの帰り道。

そのまま高速で帰ることもできますが、どうしても寄りたい場所がありました。

それは球磨川、そしてそれに連なる川辺川。

今回旅した先で出会った人たちが口々に薦め、誇った水の源を見ておきたかったのです。

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車窓から水源となる山々を望みながら、川沿いを進みます。

 

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中流の辺りまで来ると家の数もだいぶ減ってきます。

 

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水の色は驚くほど透明で、水底が見えます。鏡のように反射した水面に映る木々の姿が素晴らしい 。

 

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更に登って五木村周辺。

ここまで来ると大分川幅も狭くなってきました。

バンジーの名所 高さ66mの小八重橋の上からでも、水底が見えます。

この水こそが、数々の美味しい食を生み出す、澄んだ水。

その清らかな流れを見届け、私たちは東京へ戻ってきました。

 

熊本の食旅を楽しむ3か条!

食から食へと渡り歩いた2泊3日。いかがでしたでしょうか。

今回の旅で見出した南熊本の食を楽しむポイントを3か条にまとめてみました!

皆様の食旅のご参考になればと思います。

 

1.美味しい食材がいっぱい! あらかじめターゲットを決めるべし!

 本当に、「こんなにも、ある」です。

晩白柚や太刀魚など、今回だけでは食べきれなかった食材・グルメがまだまだたくさんあります。

 

  • 温泉に浸かって温泉グルメを食べる
  • 鮎弁当の食べ比べをしつつ、鮎の育つ球磨川を下ってみる
  • 柑橘類をいっぱい味わって、お気に入りの品種を探す

 

などなど、あらかじめテーマを決めて旅を組むと充実すること間違いなし!

 

2.登って下って、山海の幸を堪能するべし!

日本三大急流の1つ球磨川が流れているだけに、山と海の距離が非常に近いです。

今回の旅も、登って下っての繰り返しでした。

その分、海の幸・山の幸、何でも楽しめる環境が整っています。

ドライブを楽しみつつ、肉も魚も野菜も果物も欲張って楽しんでしまうことが、南熊本を食べつくす第一歩です。

それでも食べきれないのが南熊本

 

3.食のつながりが面白い。恥かしがらずに色々聞いてみるべし!

食材や、料理はそれぞれの生産者や調理人の努力や想いが詰まった結晶です。

美味しいと思ったら、是非そのこだわりや想いを聞いてみてください。

熊本県南地域は結構、生産者同士も繋がっていて、思いもよらぬ話が聞けたりします。今回の旅では、岬の御塩とモンヴェール農山のソーセージのつながりが一番の驚きでした。

聞いた人だけが楽しめる裏話も旅の醍醐味!

 

こんなにも、あった! 熊本県南は美味いもんの宝庫

食から食へと渡り歩いた2泊3日。いかがでしたでしょうか。

今回訪れたお店・生産者の方は全部で19軒。一つ一つにストーリーがあり、どれも美味しく、そして記憶に残る一品。「こんなにも、ある。」を確かめに行った旅は、「こんなにも、あった!」で幕を閉じました。

 

最初に旅の行程を立てたとき、食をテーマに旅をするなら、最初に食べる一食と、次の一食に何か繋がりを持たせた、スゴロク的な旅にしたいと考えました。

全部が繋がったとはいきませんでしたが、この試みは思った以上に上手くいきました。私たちが想像していた以上に「食」は繋がっていて、それを知るほど面白い旅になりました。

 

例えば、モンヴェール農山のソーセージに使っている塩が、岬の御塩というのは、塩結び館で聞いて初めて知りました。

東京でそれぞれの店から通販で買っていたら、絶対に気付かなかったこと。

旅をして、産地を訪れ、話を聞いたからこそ得られた醍醐味です。

 

熊本県南にうまいもんあり!

旅行で訪れた際は、うまいもん同士のつながりに、少しだけ想いを馳せてみてください。

 

書いた人:タベアルキスト

タベアルキスト

タベアルキストとは、「食べる幸せ、探す喜び」をモットーにした実名制の食べ歩きマニアのコミュニティ「Tabearukist Association」に所属する、年間300軒以上の外食をしているメンバーのことを「タベアルキスト」と言います。その一食、一食を、お腹も心も満たされる幸せな時間とするため、「一般人による一般人のためのグルメ検証」を旗印に、公正中立な立場から「食べる価値のある逸品」の情報を発信しています。

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