「ローストビーフ自作」のメリットを最大化する方法
ネットの海は広大なので、ローストビーフの自作レシピも乱立しております。
我こそは最ウマ、我こそは手間なし、我こそは目ウロコ落としなど、特徴ある作り方がたくさんあります。
たくさんあるのは豊かなことですが、知りたいのは「自分にとってのベスト」です。
質が高くおいしいものを食べたければ、結局はお店に行くのがコスパ最強。
単に安く食べたいなら、スーパーで売られてるカット済み完成品を買うのが最適。
今回は「ローストビーフを自作することで享受できるメリットを最大化したい」という正直な欲望を基準にして、レシピを比較考察します。
結論を先に言っておくと、 自作のメリットは「圧倒的な物量と味付け自由度のもたらすぜいたくを勝手に楽しむこと」でした。
作り比べ作戦です
やってみた焼き方は3種類です。
- フライパン
- フライパン + オーブントースター
- オーブントースター
筆者はフライパンとトースターを両方使うやり方が気に入りました。
まずは焼く前の下ごしらえ。
これはどの方法でも共通です。
牛肉のかたまりです。だいたい250〜300グラムかな。
これは肩ブロックですが、ローストビーフの場合は赤身メインのモモ肉がおすすめです。
冷蔵庫から出して室温にします。
温度が上がるのにはけっこう時間がかかるので、調理の半日くらい前に出しときましょう。
調理開始30分前になったら、全面に塩コショウをすり込みます。
ここでさらに放置。
塩コショウしてから30分ほど経ったら焼きますよー!
では、3つの焼き方で試作していきましょう。
フライパン
- 全面10カウント焼き & 5分休み
- これを5~7セット繰り返す
フライパンは中火。
なんらかの油をひいて肉をどーん。
1面あたり10秒、というか「いーち。にー。さーん……」と10まで数えたら次の面を焼きます。
油が跳ねるので長ーいトング推奨です。全面クリアしたら次の工程。
火を止めて、肉を焼き網などに乗せてフライパンの底から浮かせます。
肉を休ませる、というやつです。
そしたらフタをして保温効果に期待しつつ5分待つ。
キッチンタイマーがピピっと鳴ったらフタを取り、網を外し、再び中火で肉を全面10カウントずつ焼きます。
この工程を5~7セット行なうと。
じっくり熱が通ったかたまり肉はパツパツとした弾力が出てまいります。
感触と見た目で焼き終わりを判断します。
表面は焼き目もくっきり。
中身はシズル感あふれるローズピンク。
十分な出来のローストビーフではないでしょうか。
肉に小1時間つきっきりでお世話してきました。
じっくり手をかけて作った満足感はありますけど、この手間をどう考えるかは難しいところ。
フライパン + オーブントースター
- フライパンで全面焼き(1面あたり30秒)
- 耐熱プレートに置いてオーブントースター(中)で10分焼く
- 冷めるまで庫内で予熱調理
牛脂などを溶かして中火のフライパンにぱーん。
1面あたり30秒焼いていきます。
まあ、だいたいでいいです。
貫禄あるたたずまいですなあ。
こんな具合に全面に薄く焦げ目がついたら次の工程。
オーブントースター用の天板にそのまま乗せます。
こういうのは100均で買えます。
くっつかない加工がされていて、いろいろ便利です。
アルミホイルでも代用可能です。その場合はへりを折り上げて汁がこぼれないようにしましょう。
オーブントースターの出力は「中」くらいで10分焼きます。
チンとなっても扉は開けずに、触れる温度になるまでそのまま冷まします。予熱調理ってやつですね。
フレッシュと加熱済みのちょうど中間の色、アミノ酸がおいしくなってるのが目でわかります。
ローストビーフ自作はこの境地、この断面を見る瞬間が楽しい。
ちなみに作業もめちゃくちゃ簡単です。
フライパンで焼き目つけたら、あとはトースターに入れっぱなし。
機械任せでオッケーですからね。
オーブントースター(ホイル包み焼き)
- スライス玉ねぎやキノコと一緒にアルミホイルでびっちり包む
- オーブントースター(強)で30分焼き庫内で予熱調理
アルミホイルを広げて、玉ねぎのスライスをしき、肉を置き、玉ねぎのスライスを乗せます。
玉ねぎ以外ではキノコもアリです。
玉ねぎやキノコは肉が直接アルミホイルに当たらないためのスペーサーでもあり、甘味づけ風味づけのアイテムでもあります。
さっきの状態からアルミホイルでビチーと包みます。
空気は断熱効果が高いので、空間ができないようにきっちりシメます。
オーブントースターに入れて、強モードで30分焼きます(実は10分焼きだとほとんど生だったのです)。
チンと鳴ったら、触れる温度になるまで庫内で放置。
扉は閉じたままです。
毎度おなじみ予熱調理です。
肉のカーニバルや~。
そりゃそうです。
いやあ、玉ねぎのいい香りがします。
これ、つまり「ホイル包み焼き」なんですよね。
「ローストとはなにか」という根源的な疑問が思い浮かびます。
ローストとは炙り焼き、蒸し焼きとのこと。
コーヒー豆の焙煎もロースト。
本格的なオーブンでじっくり焼くのもローストですね。
じゃあ、これは……。
この包み焼きメソッド、熱は通りますが、表面は焦げないのでちょっと食感のおもしろみに欠ける気がします。
ネットには「最高の焼き方」ばかりで迷うでしょ
さて3つの焼き方をやってみました。
たぶん、ローストビーフ自作のベストは「コンベクションオーブンでじっくり焼く」なんですけど、そんなもん一般のウチにはありませんわい。
そこで「ウチにあるものでできるアイデアレシピ」がネットにあふれてくるわけです。
炊飯器の保温モードを使う有名な方法もありますよね。
どのレシピも「自分のやり方が最高」というテンションで書かれるので、普通にレシピを探してると迷ってしまいます。
今回やってみたローストビーフ自作法はどれも満足いく結果となりましたので、好きな方法でビーフをローストしてみてください。
私はこれから食べます。
圧倒的な物量と味付け自由度を楽しむ
ローストビーフの自作のメリットとはなんでしょう。
安い。
そうですね。
ローストビーフを自作すると、どうしてもたくさんできてしまいます。
それが安さにつながるんですけど、自作のメリット最大の部分は「どういうふうに食べてもいい、だっていっぱいあるしさ」という自由とぜいたくにあります。
スーパーのローストビーフ売り場にあるローストビーフのソース。
ホースラディッシュが入っているアレでビタビタにひたして、マッシュポテトと一緒にいただくオーソドックスな食べ方をしてみました。
ソースをかけてちょっと置いたものは、味が染みて、なぜ外国人がこのように食べようと思ったかがよくわかります。
牛肉とこのソースの組み合わせは実においしい。
マッシュポテトで味の濃さも調整できるし、一緒に食べてもおいしい。
先人の知恵に「なるほど」と納得です。
そして次は。
ウニ、どさー!
違うんス。
聞いてください。
自作ローストビーフのメリットは圧倒的な物量と味付け自由度のもたらすぜいたくです。
ウニと牛肉。
そう、このウニ乗せローストビーフ丼。
お店で食べられる憧れのメニューですし、実際おいしいんですけど、ウニと牛肉をこんだけのバランスで食べようとするとサラリーがバーンアウトします。
丼だとご飯の量も多いので「アタマ」と「飯」のバランスも難しくなってきます。
ローストビーフを自作すると、自分が食べたかったバランスで「ウニローストビーフ丼」とフードファイトできるんです。
わさび醤油をかけて泣きながら食べましょう。
なんてぜいたくだ。
最高だ。
ローストビーフ丼はおいしいけど、丼で食べると1杯で満足しちゃうじゃないですか。
家で茶碗で食べるとおかわりができるんですよ。
味変えて。
何度でも。
バカみたいでしょ。
筆者は常々、ローストビーフと「牛のたたき」の違いについて疑問がありましたので、生姜とにんにくをガバガバに溶かした醤油でローストビーフを食べる実験をしましたね。
ローストビーフとか偉そうに言っても、西洋の牛たたきでしょ、こんなの。
生姜にんにく醤油でビタビタになったローストビーフでこういうふうにご飯を巻いてパクっですよ。
ううう、うまい。
生姜とにんにくを溶かした醤油と白ご飯、そこに最高のコンディションで加熱された牛肉。
人間がダメになりますね。
翌日の昼メシです。
自作するとどうしてもたくさんできちゃうので、食べ放題になってしまうんですな。
いやあ、うれしい悲鳴が出ちゃうなあ。
まいったなあ。
自作ローストビーフのメリットを最大化する方法は、この圧倒的な物量と味付け自由度のもたらすぜいたくを楽しむことだと思われます。
パンにはさんでもいいし、丼にてんこ盛りしてもいい。
お店でオーダーを特注しないとできないアホな食べ方ができる。
それが楽しいのではないでしょうか。