静岡市初のクラフトビール醸造所『AOI BREWING』は、深い地元愛とビール愛に満ちた静岡の新名所だった!

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今日は静岡の新名所をご紹介します。

とある地方の醸造所で、できたてのビールの旨さを知って震えた時、

「日本にはどんな醸造所があって、どんな職人がどんな歴史を辿り、どんなこだわりを持ってビールを仕込んでいるんだろう。そのビールにはどんなアイデンティティがあるんだろう……。よし! 全国々浦々飲んでみようじゃないの!」

と、ビアライゼ(ビールの旅)を心に誓い、ちょこちょこ出かけ始めて数年。地酒がそうであるように、クラフトビールも地域の歴史や文化、風土に根差し、作り手の想いや感性が結実したものです。今や日本には200以上の醸造所があり、静岡県にも11箇所ありながら、伊豆半島など東部ばかりで県中部にはなかったのです。

そんな中、2014年6月に静岡市葵区に誕生した醸造所が『AOI BREWING』


そして10月には、醸造所隣接のブルワリーレストラン『BEER GARAGE』がオープン!

 

これはケンミンビアラバ―として行かないのは不義理でしょう!(普通に行きた過ぎる!)

 

と、いうわけでJR静岡駅に来ました。

駅から徒歩20分ぐらい。ちょっとありますが、徒歩圏内というだけでありがたいもの。飲む前の軽いお散歩にぴったりです。

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北口から大通りをまっすぐ5分程歩くと、大きな交差点の角にある商業ビルの1階に「AOI BEER STAND」と書かれたカフェのような店が目に留まります。

え、もう着いた!?

 

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実は『AOI BREWING』が誕生してすぐにできたバーが、こちら。
駅近くにも直営店があるんです。こちらの店舗取材予定はなかったものの、まだアポまで時間があったのでこれは(私的に)寄るでしょう。

 

こんにちはー!

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椅子のあるカウンターが6席、座席よりタップ数の方が多いという小さな小さなお店ながら、オリジナルのAOIビールとゲストビールが最大8種類楽しめます。おつまみは300円~500円とリーズナブル! 厨房がない分さっと出てくるものばかりなので、0次会や買い物ついでに軽く喉を潤すのにはもってこいです。ふと足元を見ると「テイクアウトはじめました」の看板が。

 

テイクアウト……します!!(取材前だけど)

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「ヴルタヴァピルスナー」(テイクアウトは600円)

エール(上面発酵)ビール中心の『AOI BREWING』で初醸造のラガー(下面発酵)ビールです。ピルスナーらしいライトな飲み口に、穏やかで上品なザーツホップの香り。喉を通った後に麦の余韻も顔出し、すっきりと切れ上がる。キリッとよく冷えたラガーが1日の疲れを吹き飛ばしてくれます(まだ働いてない)。

そして駿府城公園の横を進み、昔ながらの面影を残す静岡浅間通り商店街へ。

 

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店先でコップ酒片手に「しぞーかおでん」をつつく静岡スタイルが見られます。初めて静岡に来るという人は、通り道にある駿府城公園や、静岡らしさ満点の商店街で気分を高めましょう。

 

10分程で商店街を抜け、静岡浅間神社のすぐ手前で見つけたのが……、

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「この紋どころが目に入らぬかぁ~~~!(ドーン)

こ、これは家康公の家紋、三つ葉葵……じゃない!……麦ー!!

 

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家紋型のトレードマークが目印の『AOI BREWING』の醸造所。そしてできたてのビールを味わえる『BEER GARAGE』に到着。三角屋根の見た目はまんま倉庫!
(老舗の醤油醸造会社が所有していた倉庫を改築したそう)。

 

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「できたてのビールあります」の看板や美味しそうなメニュー写真、開け放たれたドアにめちゃくちゃウェルカムな雰囲気を感じます。お邪魔します!


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アメリカンダイナー風の店内には15名掛けのコの字型のカウンターにテーブルが2席。タップは6つ。その中央でビールを注ぎながらお客さんと談笑するのは、赤い帽子と黒縁メガネがアイコン化しつつあるマネージャーの福島さん。

 

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「どうも帽子と眼鏡を取ると僕って認識してもらえなくて……(笑)」
……なんかわかります。

17時過ぎでもお客さんがちらほら。店内が見渡せるカウンターの端っこに座り、早速この日のドリンクメニューに目を落します。

 

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5種類の自社ビールに、ゲストビールを合わせて6種類。他には自社ビールを使ったビアカクテルやソフトドリンクも。価格はグラスのサイズで統一です。たくさん飲みたい時はライトなものから順番に、というセオリー通りに選んだ2杯目はこれ。

 

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季節限定醸造の「プリムールフレンチセゾン」(グラス750円)

濁りのある明るい小麦色。鼻を近づけるとレモンやオレンジの爽やかな香りが鼻を抜けます。口に含むと清々しい柑橘のアロマに清涼感を伴う酸味、苦味はほとんどなくするする飲めます。これも暑い夏にピッタリのフレッシュな1杯!

 

“セゾン”とはベルギーで農民が夏の農作業の合間に飲むために自家醸造していたビール。衛生状態の悪い水替わりに飲んでいたのでアルコール度数が低く、ハーブやスパイスを使った爽やかな風味が特徴。

 

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「数種類のホップにクローブやオレンジピール、レモン、コリアンダー、シナモン、それにフレンチセゾン酵母を使って華やかで爽やかな香りを持ちつつも、スパイスで味を引き締めています」と教えてくれたのは、若きイケメンブルワー福山さん。軽やかなターンでカウンターとキッチンを行き来しながら、さりげなくお客さんに目を配ります。支払いは商品と引き換え清算のキャッシュオンデリバリー方式。予算以上に飲み食いする心配がないシステムです。

 

料理と同時にオーダーしたのは「ハワイアンガーリックシュリンプ」(800円)とラムチョップグリル(500円)。

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んんまーいっ!!

濃厚なガーリック香りとぷりぷりのエビの旨味がぎゅっと合わさって、食欲もビール欲もそそりますよコレは。 濃いめの味付けが多い中、後に残るしつこさがないのもいいです。残ったソースにポテトを浸して食べるとサイッコー!

 

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やわいっ! 絶妙なレア感のラム肉に日本人好みの甘いソースが絡まって、やみつき系のウマさです。これは直接手で持ってむさぼるように食べたい。

 

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料理はハンバーガーやピザを中心に、自家製スモークやマリネなど手軽なおつまみも。ビールと相性抜群のこれらの料理を送り出しているのは、

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渋めワイルドな山本総調理長! 既に十分美味しいですが、イケメン料理長だと分かると1.5倍ぐらい美味しさUPしますね、感覚的に。

 

陽が傾く頃にはネクタイを緩めたサラリーマンが次々と来店。陽気な福島さんを取り囲むように続々とカウンターが埋まり、店内が一気に活気づいてきました。
ビールもどんどん出るよー。

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面白いのが、決して人通りの多くない通りにあるのに女性客が多いこと。

てっきりビールマニアな常連さんかと思いきや、「前から気になってたけどチラシを見て初めて来てみたのよ~」とか「普段飲むのはワイン。ビール(大手メーカーの缶)は夏しか飲まないのよね」とか「日本酒仲間と来てみました(2回目)」と、むしろクラフトビールを飲み慣れていないお客さんが目立ちます。

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そんな初めてのお客さんには、福島さんが普段飲むお酒や好みをヒアリングして、おすすめのビールを丁寧にセレクト。ビアパブやイベントの多い東京に比べたら、正直静岡ではまだそれほどクラフトビール文化が浸透していません。なので、このお店の一人でもふらっと寄れちゃう感と、明るく気さくなスタッフのキャラクターはすんごく大事なことなんです。

カウンターでは顔馴染みの常連客がビールを酌み交わし、一人で来たお客さんも肩を並べていつの間にかその輪に加わっていたり。いいねいいね、その雰囲気!

 

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……と、いい気分になってきたところで3杯目。「ヴァイツェン」(グラス750円)と、ブラックペッパーがきいた「牛タンスモーク」(500円)。

バナナのような甘い香りと飲みやすさが特徴のヴァイツェン。この日も多くの女性が頼んでいました。初めて飲んだという女性に感想を聞いてみると、「あまりお酒は強くないけどこれは美味しい! 苦くないビールもあるんですね」と大好評。

 

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牛タンスモークの塩気がまたヴァイツェンの甘味をぐっと引き立てて、見事な相乗効果!

 

杯も進み、気づけば4杯目の「アルト」(グラス750円)。

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ローストした麦芽の深い香りに適度な酸味、飲むと徐々に苦味が広がってきます。温度が上がると苦みと香りが強くなり、じっくり飲みたいタイプ。

 

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お客さんがオーダーしたアボカドとチーズたっぷりの「ザ・サンフランシスコ/ポテトセット」(1,200円)を撮らせてもらう。豪快にかぶりつきたいビジュアルです。

「飲みながら仕事なんて最高ですね!」と言われましたが最高ですよ!

 

ふとサーバーを見ると……。

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マース入りマース!

 

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オクトーバーフェスト(ドイツビールのイベント)やドイツビール専門店でたまに見かけるマースジョッキ(1L)。ここではすべてのビールがマースジョッキでオーダーすることもできるんです。超マッチョ!

 

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グラスでゆっくり味わうのもいいですが、豪快なジョッキでワイワイやるのもビールの楽しさ! マースが登場すると店全体のテンションも上がりマース。
これでスタウトをぐびぐび飲むおねーさん、かっこ良すぎでしょう。

 

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ビールの種類は「ペールエール」「ヴァイツェン」「アルト」「スタウト」「IPA」を中心として、季節によってフレンチセゾンやクリスマスエールなども。スタンダードなものから遊び心のあるものまで、今後も様々なタイプを醸造予定だそうです。

軽いタイプのビールは早くて1か月、濃いめのものでも2カ月程度でなくなってしまうそうなので、足を運ぶたびに新しい感動を味わえそう。6月下旬には、甘夏と文旦を掛け合わせた静岡名産「スルガエレガント」を使ったビールがお目見え予定だとか!

 

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静岡名産のお茶や和のスパイスである山葵など、地元食材を使って創意工夫しながら、静岡の人たちにはもちろん、県外の人からも静岡のビールとして広く愛されるものを目指したいという『AOI BREWING』。

静岡は人が穏やかであたたかくて、すごく居心地がいいんですよね」と言うのは青森県出身の福山さん。

海も山もあって新鮮な食材が豊富、そんな豊かな静岡を感じられるビールとお店で、みんなに愛される場所にしたい――。活気あふれる店内と笑顔の数を見れば、その想いは着実に叶いつつあるようです。美味しいビールを飲みながら、深い地元愛とビール愛に触れ、心地良く酔いしれた晩。

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ごちそうさまでした!(タイプの異なるイケメンに出会えるお店というのも記しておきたい)

 

お店情報

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BEER GARAGE

住所:静岡静岡市葵区宮ケ崎町30番地
電話:054-294-8911
営業時間:平日:17:00~24:00、土日:15:00~24:00(日:23:00まで) ※8/31(月)までサマータイム。9月以降は月~土23:00まで(日:22:00まで)
定休日:火曜日

 

AOI BEER STAND

住所:静岡静岡市葵区御幸町4-6 Den bill1F
電話:054-260-5203
営業時間:11:00~23:00
定休日:無休

 

Beer Junkie Motel

住所:静岡静岡静岡静岡市葵区七間町11-5イマココビル1F
電話:054-253-6558
営業時間:月~土:17:00~25:00(土は26:00まで)、日:15:00~22:00
定休日:火曜日 ・2階のロフト席は予約可(チャージ料300円)
※メニューや価格は時期によって変動する場合があります。

 

書いた人:山口紗佳

山口紗佳

ビアジャーナリスト/ビアテイスター 1982年愛知県出身、名古屋と東京の編集プロダクションで雑誌や広告、書籍の制作経験を経て、静岡県西部でビール代を稼ぐフリーライターに。休日はオートバイで食材調達ツーリング。ビールとバイクと赤が好き。

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