「横浜ブギ」というゴキゲンな響きの洋食屋で出会った、レアなハイボールと王道ハンバーグ&ナポリタン

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世界的に有名なチョークアート作家が描いたメニューボード

女子と初めて食事に行くとき、お店選びに迷ったらメニューにオムライスがある店を選びましょう。まずハズしません(注:実行するときは自己責任でお願いします) 。いまやオムライスは、筆者のような昭和世代の懐かしい洋食メニューではないみたいですね。レシピも進化していて、ふわとろのオムレツの上にデミグラスソースをかけるタイプのオムライスが若い世代の方にも評判だとか。

 

かたや、オムライスと肩を並べる洋食の王道「ナポリタン」はどうか。最近はこちらも専門チェーン店などができ、若い世代にも認知されはじめているようです。

ここで「ナポリタンとはなんぞや?」という平成生まれな諸氏のためにちょっと解説を。今のようにイタリアンがポピュラーではない時代、ナポリタンは喫茶店や洋食屋で絶大な支持を得た昭和の洋食メニューでした。作り方をざっくり言うなら「茹でたパスタを、タマネギやウインナーと一緒にケチャップで炒める」。もっちりした麺の独特の食感や、酸味のきいたケチャップの風味は、本格派イタリアンとはほど遠いものの、多くのファンを集めてきた定番アイテムのひとつです。

 

そんな中、伝統的なナポリタンの風味を踏襲しながら、今風にアレンジされたナポリタンを出すお店が横浜にあるという情報が。さっそく横浜市内でも有数の繁華街にあたる関内・南仲通に出かけてみました。

 

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お店の場所は、バーやクラブが入っているビルの地下1階。

 

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ここがお店の入口です!その名も……

 

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横浜ブギ」。なんともゴキゲンな響きじゃありませんか。

 

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おそるおそるドアをくぐると、マスターの岡添さんが「いらっしゃいませ!」と出迎えてくださいました。

 

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店内はカウンター席だけでなく、テーブル席もゆったりしていて落ち着いた雰囲気。

テーブル席の奥はプロジェクタになっていて、古いアメリカ映画を鑑賞しながらゆったりと過ごせるそうです。

 

テーブルについたら、まずは飲み物を。ここは「ハイボールと洋食のお店」をうたうだけあって、ドリンクメニューの種類が多いこと多いこと。何をお願いしようか目移りしていた時、マスターからおすすめいただいたのがこちら。伝統的なスコッチ「デュワーズ」をソーダで割ってレモンをあしらったハイボール(480円)。

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ところで、ハイボールという名前の由来は、有力な説が二つあるんですね。一つは、アメリカのセントルイスの鉄道で使われていた鉄道信号が起源ではないかという説。その鉄道では列車の信号用に、ロープの先にボールをくくりつけ、高くボールが上がっていたら進行の合図だったそうなんです。たまたま仕事を終えた後、ウイスキーをソーダで割って飲んでいた鉄道作業員が、グラスの中で炭酸の泡が上がっていくのを見て叫んだのが「ハイボール(列車進行)」。以来、ウイスキーをソーダで割ったものを飲む時に、「ハイボール」と皆が言うようになったという説です。「乾杯」みたいなニュアンスでしょうか。

 

もう一つは、スコッチウイスキーの醸造家トミー・デュワーズが起源という説。デュワーズが、スコッチを楽しむ(have a ball)ためにサロンに行った際に、背が高いグラスにすれば、もっと楽しめる(high ball)とウエイターに言ったことに由来するのだとか。どちらが本当かはわかりませんが、シュワッと爽快な気分になったところで、そろそろお食事を。ところが、フードメニューも多くて選ぶのに迷いました。

「よろしかったら、あちらのメニューからお作りしましょうか?」とマスターが指さしたのは、天井に飾られた鮮やかな手描きのメニューボード!

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もはや芸術ですよね。それもそのはず。チョークアートで世界的に有名な川崎在住の作家・齋藤陽子さんの作品とのこと。マスターの岡添さんとお知り合いだそうで、このお店のために制作されたそうです。

よく見ると、ボード上にはメニューベスト5が挙げられています。ではその中からいくつか作っていただくことにしましょう。

 

ソーセージ、ハンバーグの肉汁がジュワ〜っと……

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まずは、彩り季節野菜の特製パーニャカウダ(980円)。

神奈川県内の湘南方面でとれた野菜の中から、マスターが食べ頃のものを見繕っているそうです。さっそくいただいてみましたが、ソース自体がしっかり香りがあるのに、野菜それぞれが負けていない。ニンジンの甘味や、珍しい「うぐいすきゅうり」のみずみずしさが引き立っているのです。バーニャカウダって、前菜とかサラダ的に食べるものだと思っていましたが、これだと酒の肴でも通用するでしょう。

 

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続いて、自家製ソーセージ&じゃがいものピューレ(800円)。

出していただいてまず思ったのが、「本当にこのお値段で大丈夫なの?」という驚き。あのですね、じゃがいものピューレってすごく手間がかかるんですよ。簡単にいうと、マッシュポテトをさらになめらかな口当たりになるまで、ひたすら裏ごしするんですけど、言うは易く行うは難し。時間も手間もテクも必要なんです。

 

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ソーセージを皿にとりわけてナイフを入れてみたら、肉汁がじゅわーと溢れて出てきました。そのまま口に運ぶと、練り込まれたハーブの香りが実に心地よい。市販のソーセージにありがちな豚肉の臭みはまったくなくて、とてもまろやかな口当たりです。鳥肉をブレンドしてあるとのことですが、しつこさがまったく口の中に残らないので、思わずもう1皿おかわりしたくなってしまいました。

 

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続いてはメインのナポリタン。今回はハンバーグを乗せたナポリタンハンバーグ(1,280円)です!

両雄並び立つこの光景、見ているだけでよだれが出てきませんか。

 

「いいですか? よく見ててくださいよ」

マスターがハンバーグにナイフを入れると、待ってましたの肉汁ジュワワワ〜。もちろん味も、ストロングスタイルのハンバーグ。最高!

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一方、ナポリタンは生パスタを調理したみたいに、麺がもちもちした感じ。ウインナーは表面が香ばしくなるまで炒めてあるし、なすや野菜はそれぞれの持ち味がケチャップソースを吸って素材ごとに独特の味を形成しています。そこへ最後に舞い降りた粉チーズが全体をまろやかに包んでいて、ケチャップの酸味をほどよく抑制。レトロ感と洗練された味付けのバランスが絶妙で、あたかも「よそ行きのスーツを着たナポリタン」に出会ったような印象です。具材と一緒に麺をいただくと、懐かしいナポリタンの味の後に、未体験の濃厚な味がゆっくりと口の中に広がっていきます。

 

ハンバーグを一口食べて、ハイボールを一口。ナポリタンをすすった後に、またハイボールを一口。飲むほどに、デュワーズのほどよい苦味が次なる一口を誘い出してくれるのが意外でした。きっと、ハイボールと料理の組み合わせの数だけ、こういった新鮮な驚きがあるのでしょうね。今回は試せませんでしたが、次の機会は横浜発祥といわれる幻のハイボール「77(セブンセブン)」を片手に、この「横浜ブギ」で新しい味のマッチングを探ってみたいと思います。

 

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▲レアなハイボールも取り揃え中!

 

お店情報

隠れ家酒場 洋食とハイボールのお店 横浜ブギ

住所:神奈川横浜市中区南仲通2-25-1 エクセレントXII地下1階
電話番号: 045-651-3787
営業時間:17:00~翌5:00
定休日:年中無休

www.hotpepper.jp

※本記事は2015年5月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。

 

書いた人:松沢直樹

松沢直樹

1968 年福岡県北九州市生まれ。SE、航空会社職員などを経て、1994年よりフリーランスの編集者・ライターとして活動。主に扱うジャンルは、食全般、医療、 農業、安全保障、社会保障など。マグロ解体ショーの実演、割烹の臨時板前などとして、メシを作ることも。近著に「うちの職場は隠れブラックかも(三五 館)」。

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