ハイボールに合います! 唐揚げ万国博覧会(ハイカラ)の巻
「ハイボールに合うおつまみは?」と聞かれれば、それはもう断然「唐揚げ」ですね。もちろんあのCMの影響です。
アレ以来「美人ママ」「ハイボール」「唐揚げ」は男子憧れの組み合わせとなったのです。
「というわけでお酒に合うおつまみシリーズ、最初はハイボールに豪華〝色んなお肉の唐揚げ〟よ(はぁと)」と我が妻。
「で、美人ママは?」と私。
……。
秋らしい風がスッと通り過ぎていきました。
我が妻は、美人かどうかは知りませんが、食欲が全面に出ている顔とは言えます。
今回の企画立案は全て妻なので、好きにさせるとどうなるかわからないという一抹の不安がよぎります。
「ちなみにコレ〝料理解析〟じゃないよね」と私。
「〝唐揚げの本質に迫る〟って意味じゃ料理解析ヨン♪」と妻。
肉のラインナップ[第一弾]
妻からの伝言「今日、お肉が届くからね♥」ピンポーン! さっそく自宅兼事務所に肉が届きました。
!?
ワニ肉!(テールフィレ)。えっ?
ラクダ肉!(フィレ)。えっ、えっ?
ダチョウ!(フィレ)。……。
カンガルー!(ロングフィレ)。
やられました。「色んなお肉」ってそういうコトですか……。わたしゃてっきり鶏の色んな部位の肉とか、せいぜい豚牛羊程度かと思ってましたヨ。
「唐揚げの本質に迫る」ってSo・You・Koto、S.Y.Kですかい……。
肉の調理ざます!
「全部唐揚げにしちゃって大丈夫? それぞれにベストな料理法がありそうなのに…」
「ダイジョウブョ〜、任せといて」と、我が妻はノリノリで調理。
下味とコロモはすべて統一。妻によるとレシピはまあ、普通に鶏の唐揚げをカラッと揚げる要領で良いそうです。
参考の為に一応今回のレシピは以下のような感じ。
各お肉が約200gずつぐらいで計800g程度に対して、
[下味]各肉に塩コショウを少々して、ニンニクすりおろし大1、ショウガすりおろし1片分、酒大3を混ぜた液を作り、各肉に分けてもみ込んでおきます。
[コロモ]玉子1ヶ、醤油大1、片栗粉大3、小麦粉大2をボウルに混ぜて用意。
[揚げ]肉を揚げる時にコロモにつけ、約170〜180度の油に投入(菜箸を油に入れてシュワ〜っと泡が出るくらい)。各お肉5〜6分揚げれば出来上がり。
以上です。面倒だったら市販の唐揚げの素とかで作っても十分とのこと。
写真:右上ダチョウ、左上ラクダ、右下ワニ、左下カンガルー。
まずはお肉を解凍します。
ワニは綺麗な白身で、ラクダ、ダチョウ、カンガルーはバリバリの赤身。匂いはワニ、ラクダ、ダチョウが全くの無臭でカンガルーのみ独特の香りがします。またカンガルーのみレバーっぽい柔らかい肉質で、他は引き締まった肉質。
肉を食べやすい大きさにカット。
ワニ、カンガルーはサクッと切れますが、ラクダは多少筋があり、ダチョウの筋は一番硬くて切り辛い感じでした。
下味をつけて。
コロモをつけて、揚げます。
ジャジャジャーン!!!とな
唐揚げ第1弾を食す
さあいよいよ試食です!
(付箋は全部ブタさんですが、お気になさらず)
薬味はレモン、マヨネーズ、スイートチリソース、シーフードチリソース等々を用意。
【ワニ(テールフィレ)】
引き締まっていて歯切れの良い鶏のムネ肉といった味わい。アッサリとクセのない味なので、用意したどの薬味にも合います。
【ラクダ(フィレ)】
鯨の肉に似た感じですが、全く臭みがありません。肉を切って揚げている時はモロに赤身の塊だし、もっと硬くて血なまぐさい味なのではとビビっていたのですが、全くそんな心配はいりませんでした。
【ダチョウ(フィレ)】
手羽元もしくは豚肉に近い味わい。切る時に苦労した筋も歯切れがよく、軟骨好きにはたまらない味。私は骨付の鶏の軟骨を深追いしながら「あぁ、この骨まで全部食べられたら良いのに……」と思ってたりするんですが、その夢が実現したかのような食感です。
【カンガルー(ロングフィレ)】
揚げている時から独特の香りがしていて一番心配だった肉。けれども確かにクセがありますが、悪くありません。匂いはありますが上品な感じ。以前に食べたことのある鹿肉にちょっと近いかもしれません。比較すると羊よりはクセがないかなと。スイートチリソースをつけていただくのも旨いですが、独特の香りが消えちゃいます。この香りが好きな人はレモンをふりかける程度に。
第1弾は総じて「旨いよコレどりゃぁぁなんじゃゴリャぁぁ!!!」でした。硬いんじゃないかとか、クセが強いんじゃないかとか、そういう心配は全く無用でした。どれもしつこくなくてヘルシーな味わい。アッサリとパクパク頂けてしまいました。
それからハイボールに合うこと山のごとし。
遅れましたがハイボールのウイスキーは公平に両横綱を準備致しました。
今回のお肉は『PLUS IMPACT』さんのネット販売で「肉のお試しコンボ」というセットを注文しました。
念のために余り肉をステーキにして食べてみましたが、唐揚げよりも歯ごたえがあり、肉の香りが立ってコッテリした味に。どちらかというと私は断然唐揚げで食べるのが好きです。
肉のラインナップ[第2弾]
さて、前回のお肉がた〜いへん美味しかったので、ワクワクして待っていると。
ピンポ〜ン! 届きました!
ドドン!
ウサギ肉骨付ブツ切り半身。
うずら肉 丸焼き用 2羽。
鹿肉ロースブロック(狩猟)。
熊上肉スライス(狩猟)。
前回が洋物だったので、今回は和物で揃えてみました。
『肉のスズキヤ』さんからネット販売で注文。
一緒に梱包されていた包み紙がカワイイ。
さて、サクサクと一口サイズに肉を切り分け、下味つけてコロモつけて揚げていきます!
ええと、若干、うずらがですね……、丸ごと一匹なんで揚げるのに時間がかかります。それとグロいです、ね……。
ジャーンジャーンジャーン!!!とな
出来上がりです!
唐揚げ第2弾を食す!
今回も薬味を色々と準備。マヨネーズ、柚子胡椒マヨ、ニンニク味噌マヨ、卵黄おろしポン酢、レモン、スダチなどなど。
【ウサギ肉 骨付ブツ切り】
鶏の唐揚げをもっと高級に上品にした味わい。肉も柔らかく弾力があります。繊細な味なので、レモンをふるのも勿体ない感じもします。
肋骨などの骨の間の肉も美味しい。ちょっと食べるのに苦労しますが、ケンタッキーを深追いするのと同じ感じです。
【鹿肉ロースブロック(狩猟)】
鯨の竜田揚げに似た感じの食感ですが、臭みは全くありません。高級なお肉なので唐揚げにするのは勿体ない気もしますが、唐揚げにしたなりの美味しさがあります。卵黄おろしポン酢にサッと漬けて食べると、抜群に旨い。
鹿肉をブロックで買う場合200〜300g位からなので、半分を唐揚げ半分をタタキなどにすると良いと思います。
【熊上肉スライス(狩猟)】
熊肉はスライスしか手に入らなかったのですが、コロモをつけて丸めて揚げても問題ありませんでした。とにかく濃厚で肉の味が強く、抜群の美味しさ。今回のラインナップの中でも一番肉の旨味が感じられ、肉好きにはたまらない一品。とにかく濃厚でマッタリしています。
思いつきで急遽やってみたのですが、ワサビをたっぷりつけていただくのがおススメ。白いご飯に熊肉唐揚げ、そしてワサビをたっぷりでいただくともう最高でした。
【うずら肉 丸焼き用】
最後にじゃーん! コレはもう「キング・オブ・唐揚げ」と呼称して良い一品。羽と腸を取り除いただけの、頭やツメ、内臓付きの丸ごとです。鶏好き、骨好き、軟骨好き、筋好き、内臓好きにはたまりません。ただし調理時も、そして食べる時もかなりグロいので、見かけでムリな人は多そうです。そういうハードルの高さも「キング・オブ」と冠を付すにふさわしいと思います。
骨も頭から胸までバリバリと食べてしまえますが、モモの部分の骨は硬いのでさすがにムリ(妻は食べちゃってましたケド)。内臓も濃厚で美味しいです。ただしちゃんと火が通っていても、肝臓とかから真っ赤な血が出てきますんで、そこはやはりショッキングだったりします。もっと油を低温にして、揚げ時間を長くするなどの工夫をすれば良いかもしれません。
ちなみに我々夫婦は血が固まるくらい揚げたのも作って食べ比べたのですが、どちらかというと血がしたたるぐらいの方が美味しいと思いました。
ハツ(心臓)も小さいのがそのままの形で出てきます。コリコリで美味しいです。残酷です。うずらを食べていると自分が獰猛なケダモノになった気分がします。
第2弾の和物肉は洋物に比べて濃厚で、とても精がつく感じです。なんの肉が原因かわかりませんが体の奥からポッポポッポしてくるんですよね。
薬味は色々用意しましたが、まあお好みでといったところ。柚子胡椒マヨ、ニンニク味噌マヨなど凝ったのも用意したんですけど、あまり意味がなかったかなぁと。鹿唐揚げ+卵黄おろしポン酢と熊唐揚げ+ワサビはベストマッチングでした。
総評
いやあ、ビックリしましたが、どの肉も唐揚げにして正解!です。改めて妻の獰猛さ……もとい食への探究心には感服致しました。マサカ注文した全部の肉が唐揚げにして美味しいとは、思ってませんでした。
中でも外見に似合わずワニ肉が一番アッサリとしていて優しい味でした。
ウサギ肉が旨さと上品さでダントツ。熊肉も甲乙つけ難く、ガッツリと肉好きな人は熊肉でしょうか。
そしてやはり「キング・オブ・唐揚げ」はうずらの丸揚げでしょう。丸焼きとか、煮たりとかもありますが、うずらは断然唐揚げを推します。
余談ですが、もしかして何でも唐揚げにすれば美味しくなっちゃうのかと思い、牛のサーロインを唐揚げにしたらば、油っぽくってとても食べられたものではありませんでした。コレ残念。牛は赤身の部分とかの方が良さそうです。
それから残った熊肉で熊鍋も作ったのですが、独特の臭みがきつくて、私は唐揚げの方が好きです。妻はどちらかというとクセのある味が好きなので、熊鍋を気に入っていましたが。
ちなみに熊鍋の肉にもワサビをたっぷりつけて食べると、臭みが和らぎとても甘くなって、コレはおススメです。
今回は全てネットで注文して買いましたが、麻布にある『日進ワールド・デリカテッセン』さんでは、ジビエ肉を店頭で買えます。時期によって肉のラインナップは変わりますが、ワニ、ウサギ、カイユ(うずら)等が見つけやすいところ。
そしてわざわざ作って食べるのが面倒な人は高田馬場のジビエ居酒屋『米とサーカス』さんがおススメ。唐揚げのメニューはなかったかなぁと思いますが、色々な肉を様々な料理で味わえます。
最後に「全ての唐揚げはハイボールに合う!」と断言出来るコトが今回わかりました。
(というのは主観ですが)
ビバ! 動物の皆さん!
作った人:
浅見ゆき
吉田の妻。旧姓「浅見」の方がカッコイイので旧姓をペンネームに。某建築会社事務員。吉田が自宅の仕事場で編集者と打ち合わせをしていると、突如居酒屋『路地亭』を強制的に開店し、酒と肴をお見舞いする。ピクニめし作家。料理解析家(だいたいの料理は一度食べれば再現できる!)。
書いた人:
吉田いつし
東京出身。エディトリアル・デザイナー。書籍の装幀や雑誌のデザインをしながら、散歩のフリーペーパー『路地と道くさ』を発行。東京ストローラブラボ代表。HPでブログ「路地と道くさな日々雑感」を毎日更新中。日曜GarageBand家。文化的駄菓子屋。
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