全国各地にひしめく女性アイドルグループの中で、今まさに上昇気流の中にいるグループがいます。南菜生さん、高嶋楓さん、今田夢菜さん、大上陽奈子さんという、大阪出身の4人によるそのグループの名前はPassCode。
他のアイドルとは一線を画すラウドでヘヴィなバンドサウンドと、シャウトを交えた激しいライブパフォーマンスを武器にする彼女たちは、2016年10月にメジャーデビュー。現在はバンドとの対バンライブや、ロック・フェスへの参加なども積極的に行っており、その活動は今やアイドルという枠にとどまらず、広範囲で話題を集めています。
ただ、彼女達のこれまでの活動は、決して順風満帆なことばかりではありませんでした。ライブに3人しかお客さんが来なかったこともあるという活動初期の不安から、メンバーの追加による環境変化、上手く歯車がかみ合わずに試行錯誤してきたツアーでの試練、アイドルならではの体形維持と食欲の葛藤まで。
2014年の結成から4年間の濃密な歴史について、南菜生さん、高嶋楓さん、大上陽奈子さんの3人に話をうかがいました。
大阪出身PassCodeの好きな食べ物はやっぱり……?
―― PassCodeの皆さんは全員大阪出身ということで、大阪と言えば食の街というイメージが強いです。大阪の食べ物で、一番好きなものは何ですか?
南菜生(以下、南) 大阪と言えば、お好み焼きとかたこ焼きとか、粉もののイメージが強いと思うんですけど、私もソースとマヨネーズの組み合わせがすごい好きなんです。粉ものって、やっぱりソースとマヨネーズで食べるのが一番おいしいと思うんですよね。お好み焼きとごはんも一緒に食べるよな?
高嶋楓(以下、高嶋) 家では白米と一緒に出てきますね。
大上陽奈子(以下、大上)うーん、うちはあんまり。
南 陽菜子(大上)は違うみたいなんですけど、お好み焼きは普通におかずって感じですね。わざわざお店に食べに行ったりするっていうより、粉ものは生活の中に普通にあるものというイメージです。ソースとマヨネーズの、濃い味の粉ものが皆好きなんですよね。
高嶋 私やったら、カップ焼きそばのUFOとか食べる時にも麺が見えなくなるくらいまでマヨネーズをかけて、一層食べたらまたかけて……を繰り返したりします。
―― 大阪の人は、お好み焼きではご飯食べるけど、たこ焼きでは食べないって話もよく聞きますね。
南 そうですね。お好み焼きの時はご飯出てくるけど、たこ焼きは出てこない。
大上 確かに、たこ焼きはたこ焼きやなぁ。たこ焼きはお腹いっぱいになるまで自分のペースで作って食べられるから。
―― そうか。たこ焼きもお店とか出先じゃなく、お家で作る方なんですね。
大上 小学生の時とか、月3・4回くらい土日に家族でたこ焼きやってましたね。
―― 「たこパ」ってよく聞きますけど、それだとパーティーっていうより日常ですね。
大上 たこ日常です(笑)。
―― はははっ! でも、アイドルと言えば、どうしても体形維持やダイエットが付き物ですよね。皆さんが努力していることはありますか?
南 特に食事制限とかはしてないですね。でも私は時期によって食べる食べないのムラがあるんです。でも、ここの2人は一年中本当によく食べてくれて(笑)。ツアーの時とかも、現地の食べ物を食べる前なのにお弁当に手を付けてしまうんです。香川に行ったときも、お昼にうどん食べようっていう話になってたのに、もうお弁当を半分以上食べてて、それからさらにうどんも食べるっていう。
大上 (手を挙げて)はいはい! でも、大上はちょっとだけダイエット始めたんです。やちい(南)は量食べるときと食べないときがあるんですけど、かえちゃん(高嶋)はすごい食べるのにほんまに太らないんですよ。
南 かえちゃんは前からそうやなぁ。
大上 夜中にポテチとか食べてるんですけど、全然大丈夫。でも、大上はそれをやってしまったらもう終わりもんなんですよ(笑)。自分のことを太らない人種だと思ってたけど、そうじゃないのかもって最近になって思い始めたんです。でも、食べたいときは食べたい、それが幸せ! っていう感じなんで、この日はいっぱい食べるけど、次の日はどこにも行かんから家で野菜食べとこか、みたいにやりくりしてます。
―― 普段、事務所の方とかマネージャーさんから注意されたりはしないんですか?
南 元々そんなになかったんですけど、去年のリリースの時期に大上がけっこう言われてました。差し入れとかいただくじゃないですか。そしたらマネージャーさんが「それ、本当に食べるんすか?」みたいに言ってきて、2人の間でバトルみたいになってて、ほんまに大変やったよな?
大上 うん、大変やった(笑)。
南 でも食べたいから、泣きながら反抗して、修羅場(笑)。
大上 ゴディバのアイスやったんですー。
南 普段から食べられるものではないから、こっちもなんとか食べさせてあげたいじゃないですか。だから、マネージャーさんがいない隙を狙って……。
大上 食べさせてくれた(笑)。その時、他にもけっこう協力してくれたんです。プロモーションで地方に行ったときに、駅にワッフル屋さんがあったんですね。南が「めっちゃおいしそう、食べたい! でも、ひなちゃんの前で食べるのはかわいそうやから」って我慢してくれて。
南 食べてんのを見たら、自分も食べたくなっちゃうやろなって思って。でも、一番若いから、きっと食べ盛りなんやと思うんですよ。だから、しゃあないよな?
大上 しゃあないよー(笑)。
南 今年20歳超えるんで、それ過ぎたらちゃんと自分で管理しなさいよって思ってます。
高嶋「今考えるとほんまにイタくて、闇歴史です」
―― それではここからはPassCodeの活動について振り返っていただきます。南さんは2013年にPassCodeに加入。現メンバーの中では最も長くグループに在籍しています。どのような形で、PassCodeに加わることになったのでしょうか?
南 もともと高校生の頃に軽音部でバンドをやっていて、そのつながりでよくライブハウスに行ってたんです。その時、うちの事務所の社長がバンドでドラムをたたいてて、「アイドルを作りたい」って言っていて。私もアイドル好きやったから、最初はお客さんとして普通に見に行ってたんです。
―― 自分が参加する前から、PassCodeや事務所の社長とは知り合いだったんですね。
南 でも、結成してすぐにメンバーが抜けていったりして、私が入らないと解散するしかないという話になって。元のメンバーも前から知り合いで、続けたいから菜生に入ってほしいって言われ続けてたんですけど、自分にはバンドもあったから悩んでたんです。でも、(アイドルグループが)いざ解散するって話になった時に、一生懸命やってるものがなくなるってつらいよなって思って、自分が加入することで少しでも助けになるんやったら、という気持ちで加入しました。
―― それで、バンド活動は止めてしまったんですか?
南 バンドはそんなに一生懸命やってたわけでもなかったんで。Shout it Outっていうバンドが高校の同級生なんですけど、その子たちがライブハウスに出だして、その流れで高校一緒やからみんなライブハウスに出てたんです。
―― アイドルにしろバンドにしろ、もともと自分の中に表現欲求みたいなものはあったんですか?
南 もともとは全然なかったです。今はすごく根暗になっちゃったんですけど(笑)、その当時はそういう感じでもなくて、高校生らしい元気な感じやったんです。いろいろ経験して考えていくうちに、今の感じになっていきました。
―― それから翌年、高嶋さんが今田さんと同時加入で入ることになりました。当時のお互いの印象はどうでしたか?
高嶋 当時、私は専門学生やったんですけど、南は高校生で制服着てレッスンに来てたりしたんです。なんか、若いっていいなぁって思ってました(笑)。高校生なんでメイクとかもしてなくて、今より純粋っぽいピュアな感じやったんで、めっちゃアイドルっぽい子やなって印象でしたね。
―― 南さんは初めて先輩になったわけですが。
南 その時は私が一番年下やったんですけど、入ったのは先。当時は年上の人とどう接していいか分からなかったですね。しかも、甘えるのも下手やから、年下らしく甘えることも出来へんくて、高嶋と今田からしてもどう接していいか分からなかったんじゃないかと思います。
―― 高嶋さんの印象はどうでしたか?
南 かえちゃんの印象は、その時髪の毛が明るくて、ツインテールとかしてて。お姫様みたいな感じでした。そのときちょうど、きゃりーぱみゅぱみゅさんがそんな感じやったんで、うちのサウンドプロデューサーがかえちゃんのことを「きゃりちゃん」って呼んでたんです。フワフワしてて不思議な感じやったから、今は大人になったなと(笑)。
高嶋 あのときはちょっとおかしかったんですよ! 似てる子が専門学校にもう1人いて、2人で「この学校のお姫様になるんやー」とか言ってました(笑)。今考えるとほんまにイタくて、闇歴史です。
―― そこから、どうやって今の落ち着いた感じになったんですか?
高嶋 PassCodeはこういう楽曲なので、だんだん染められていきました。
南 でも最初はツインテールにしたり、けっこう抵抗してたやんな(笑)。こういう楽曲やから、かわいい衣装は与えてもらえないじゃないですか。普通のアイドルやってたら黒とか選ばないですけど、全身黒とかで。でも、髪の毛とかで抵抗してるんですよ。でっかいカチューシャ着けたりとか、髪の毛でミッキー作ったりとか。
高嶋 缶バッジをゴムに刺して、髪の毛につけたりしてました。今考えるとひどかったな。
―― それはどんな缶バッジだったんですか?
高嶋 おもちエイリアンっていうキャラクターのをずっと着けてました。
南 そのおかげかは分からないんですけど、PassCodeとおもちエイリアンで何回もコラボさせてもらってるんです。
高嶋 うれしいなぁ。つけといて良かった!
―― 高嶋さんはもともとアイドル好きだったそうですけど、どういうアイドルが好きだったんですか?
高嶋 ももクロ(ももいろクローバーZ)さんとかしゃちほこ(チームしゃちほこ)さんとかのライブを、1人で東京まで遠征して見に行ってましたね。でも、自分がアイドルになりたいって気持ちは特に強くはなかったです。
―― 高嶋さんと今田さんが加入してから、PassCodeは本格的に今のラウド路線になっていきました。自分達がやりたいアイドルのイメージとのギャップは感じませんでしたか?
高嶋 入った時は何にも考えてなかったんで、こういうアイドルになりたいとかこういう音楽やりたいとかは全くなく、流れに身を任せてました。4人でデビューするってなった時位に初めて渡された曲が“アスタリスク”っていう曲で、そこから今みたいな音楽性に定まったんですけど、その時も「あー、面白ーい」くらい。抵抗とかはなかったです。
PassCode - MISS UNLIMITED (Full Size)
南 私はそういう音楽をやりたいって話もしてたんで良かったんですけど、今田が一番そういう音楽を聴かないんでビックリしたんちゃうかな。きゃりーぱみゅぱみゅさんが好き! みたいな感じやったから。
―― その今田さんがシャウト担当になっていったというのは面白いですね。
南 身長が一番低いからやってみよう、みたいな感じでした。一番小さい子がシャウトしたら面白いんちゃうか、くらいの感じで始めたのが上手いこといって、運も良かったんでしょうね。
▲ライブでシャウトをする今田夢菜
大上 (ニヤニヤしながら)うわー、今の録音しておけば良かった!
―― 大上さんはその後、2015年の8月に加入。その話が決まった時はどう思いましたか?
大上 めっちゃうれしかったです。もともと1人で活動してたんですけど、グループに入るっていうのが昔からの夢だったんで。PassCodeはあんまり知らなかったんですけど、やったー! グループに入れる! って。でも、ミュージックビデオ見てびっくりしました。
―― どういう感想を持ちましたか?
大上 カッコいいとは思いましたね。今からアイドルやるなら、王道のアイドルじゃなくて今まで見たことないようなアイドルができたらなぁとは思ってて、まさにコレや! って。その後にライブ見に行ったらまた、激しさにびっくりして、私こんなに動けんのかなぁと思いました。
―― グループ・アイドルへの憧れは昔からあったんですか?
大上 私は小さい頃からモーニング娘。さんが大好きで、ハロー! プロジェクトさんが大好きやったんです。ダンスをピシっと合わせるのとか、すごいなぁって、ずっと憧れてました。
―― 1人でやっている時期は寂しかったですか?
大上 寂しかったですー。
南 (笑)こういうひなちゃんの話聞くと笑っちゃうんです。その時こっちは入ってくるのイヤやったから。
―― そうなんですか?
南 最初入るってことを全然知らされてなかったんです。その年に初めてTIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)に出られることが決まってて、そのステージで初お披露目になったんです。当時はTIFに出るぞ! って意気込んでたのに、なんでわざわざ時間がない中で不安定な状態で出なあかんの? って思ってました。
大上 TIFまで2週間くらいやったよな。
―― でも、出来上がってるグループに途中から入る方もつらいですよね。
大上 初めの顔合わせの時に、もうそれがにじみ出てるんです(笑)。たまたま同じイベントに出ることになったんで、楽屋で「今度新しく入る大上です」って紹介してもらったんですけど、みんな顔が引きつってて。
高嶋 その当時は、大上が入る前の形がベストやと思ってたんですけど、今考えるとそんなこともなかったな。入ってくれて良かったです。
―― その年の10月には、今の4人体制になり、初めての全国ワンマンツアー『TRIAL OF PASSCODE tour』を行うことになります。この時はまだ、お互い打ち解けていたわけではなかった?
南 それまで5人だったのが突然4人になって、ツアーまで本当に時間がなかったんです。しかも、ひなちゃんが5人体制で覚えたものじゃなくて、4人でのポジションを急いで覚え直さないといけなくなってしまって。学校とかもあって忙しい中で大変やったと思うんですけど、それでも完璧に覚えてきてくれて、そんだけやる気見せてくれるんなら、一緒に頑張っていかなあかんなって見直しましたね。
大上 (ニヤニヤしながら)うわー、今の録音しておけば良かった!
―― 本当にうれしそうですね(笑)。大上さんは当時のこと覚えてますか?
大上 時間があっという間に過ぎていったような感じで、あんまり大変やったとか覚えてないんです。でも、ツアー初日のBIG CAT(大阪にあるライブハウス)辺りで、ちょっとずつ認めてもらえたんかなって実感した記憶はありますね。
南「記憶に残っているのは今でもチケットの山」
―― その大阪BIG CATでの初日を皮切りに、初めての全国ワンマンツアーがスタートしました。全国を回るツアーは大変でしたか?
高嶋 その頃は地方に行ってもあんまりお客さんが入らなかったんで、その日何人来るんやろう? とか、チケットの心配ばっかりしてましたね。
南 今やっとチケットどれくらい売れてるんやろう、とかあんまり心配せずにライブ出来るようになったんですけど、その当時はツアー行くたびに「お客さんどうしよう?」ってみんなで心配ばかりしてました。
大上 その時、手売りでチケット売ってたんですけど、物販の横で見てるとどんだけ余ってるか、よく分かるんですよ。チケットの束を見て、整理番号でどれだけ売れてるか分かるんで、今まだ何番や、とかよく話してました。
―― これまでのツアーでは、赤坂BLITZ、Zepp DiverCity TOKYO、新木場スタジオコーストといった大きい会場でもライブを開催していますが、大バコだと心配も大きかったですか?
南 Zepp DiverCity と新木場の時が一番つらかったです。そのときはサインを書いて手売りしてたんです。それが書いても書いても減らへん(苦笑)。そんなにガラガラというわけではなかったんですけど、記憶に残っているのは今でもチケットの山。
高嶋 みんなPassCode好きになってくれへんのかなぁ、とかみんなで絶望してました。
南 またチケット売れへんとかで悩むのイヤやなぁ。今やっと身の丈に合った会場でワンマン出来るようになってきて。
高嶋 前まではちょっと調子に乗ってたなぁ(笑)。
南 前のツアーでやっと全公演ソールドアウトにできて、ようやくこれが正しい形やったんやって思えました。全公演即完やったんで、今どれくらいのキャパやったら行けるかなぁ? Zeppと新木場が埋められなかったのは今でも悔しいので、いつかやりたいですね。
―― パフォーマンス面での心配はありませんでしたか?
大上 Zeppの時が本当にヒドくて、当日終わってからみんなで反省会するくらいでした。
南 その時が初めてのバンドセットでのパフォーマンスだったんです。でも、リハーサルも1回しか入れなくて、イヤモニも初めてっていう、全部初めての状態でやってしまったんで。何もかもがいつもと違うっていう状態でやっちゃったんです。
大上 今考えると本当に申し訳ないよな。もっと練習していけよっていう。
南 しかも、その日がメジャーデビュー発表の日だったんですよ。もう不甲斐なくて。その後しばらく、PassCodeのバンドセットはクソや、やめろって言われ続けてました(笑)。でも、バンドセットでのツアーも決まってしまってたんで、メンバーも「どうする? やりたくないんやけど」みたいな(笑)。
大上 しばらくはめっちゃ怖かったよな。
南 そのツアーがMISS UNLIMITED(PassCodeのメジャー・デビュー・シングル)のツアーやったんですけど、回数を重ねるうちにバンドセットでのライブの仕方も分かってきたんです。今バンドとのライブがちゃんと成り立ってるのはそのMISS UNLIMITEDのツアーがあったからこそだと思いますね。結果的にはやって良かったです。
―― そのツアーでバンドセットに慣れたからこそ、今があるんですね。
南 今はもうほとんどバンドでしかやってなくて、PassCodeの音楽を聴いてもらうなら、バンドセットの方が良いって思うようになりました。
大上 あの時乗り越えて、本当に良かったなぁ。
ツアーで訪れた、全国各地や台湾で食べた思い出の味とは?
―― ツアーでは全国に行って、地方のおいしい食べ物も食べられると思います。一番記憶に残っている食べ物は何ですか?
高嶋 福岡の水炊きはすごいおいしかったです。連れていってもらったお店がサイドメニューもたくさんあって、生牡蠣とかとり天とか、全部おいしかったです。
南 去年初めて熊本に行かせてもらって、馬刺し食べたんですよ。私生肉大好きなんですけど、最近あんまり食べられる所がないんで、すっごいおいしかったです。タテガミっていう白い部分が特においしかった。
―― 昨年は台湾での初の海外パフォーマンスもありましたね。
南 「大港開唱 Megaport Festival」っていう大きなフェスに出させてもらったんですけど、行く前はPassCodeのことなんて誰も知らんやろって思ってたんですよ。でも、800人くらい見に来てくれて、なんで? ってビックリしました。
高嶋 1曲目からすごい盛り上がってくれて、皆さん声出して下さってたのがうれしかったです。
大上 スター感めっちゃあったよな。全然そんなことないんですけど、ちやほやしてもらいました。
―― iTunesでも日本だけでなく、台湾、香港、タイ、シンガポールなどでロックチャートの1位を獲得したりと、海外からの反響がすごいことになってますね。
全員 あとホンジュラスな!
――(笑) ホンジュラスでも1位になりましたね。ちなみにホンジュラスの場所は分かってますか?
南 画像検索したんで、ばっちりです。1位になるまでは正直、ホンジュラスという国は聞いたことなかったんですけど、そういう知らない国でも私たちの音楽が聴かれてるのは、みんな誇りに思ってるんです。
―― いろんな国にファンがいるのはうれしいですよね。
南 チャートで1位になったのもそうですし、YouTubeに海外の方がコメントくれることが増えてきてるんです。ただ、そうは言っても一部の人だけなんやろと思ってたんですけど、実際に現地に行ってみてこんなにたくさんの人が待ってくれてたんや! ってびっくりしました。これからも機会があったらいろんなところに行きたいよな。
大上 何でなんやろう? って本当に不思議。いつか現地行って「何で知ってくれたんですか?」って聞いてみたいです。
―― ちなみに、台湾で食べたものでお気に入りは?
大上 ウニ味の小籠包があったんですよ!
高嶋 そんなのあったっけ? その時まだ食事制限言われてなかったから、全部1人で食べちゃったんちゃう?
南 あの時のひなこはすごかったもんな。私はハッカクが苦手なんで、食べられるものと食べられないものがあったんですよ。だから、一口食べてあかんかったら全部ひなこに回してた(笑)。
大上 中華料理のテーブルって、回るじゃないですか。それで全部私の前に集まってくるんです(笑)。あと台湾風の北京ダックみたいなやつもおいしかったです。
今田の活動休止を乗り越えて進むPassCodeの未来
――昨年は9月に今田さんが活動休止し、しばらくは3人でのパフォーマンスを行うことになりました。かなり大変な時期だったんじゃないでしょうか?
南 大変は大変でしたけど、メンバー1人1人がスキルアップできる時やっていう意識でやってました。誰か1人が休んだとしても、ライブのクオリティーを落とさないようにしようって思ってたので、いつも以上に練習していつも以上にお互い注意し合うようになりましたね。それでだめって言われたら、私たち3人もイヤやし、今田もゆっくり休めないじゃないですか。3人でいつもと変わらんくらいのライブができるようになれば、今田が帰ってきた時にもっと良いライブができるはずやっていう話をしましたね。
―― その後、昨年11月から今年1月にかけて行われたツアー『PassCode ZENITH TOUR 2017』で今田さんが復帰しますが、そこでも万全の状態ではなかったようですね。
大上 今田が復帰直後っていうのもあって、他のメンバーもステージでどう振舞うのがベストなのか、やればやるほど分からんくなっていったような気がします。でも、最終的には絶対にやって良かったなっていうツアーだったと思いますね。
南 本編13公演で、全員が満足できたライブはたぶん1本もなくて。その中でも試行錯誤しつつ良いライブを見せたいと思いながら続けていったんですけど。私は特に初日のTSUTAYA O-WEST公演で歌うことができなくなって、2人には迷惑かけたと思います。本当は3人で1人を支えないといけないところを、2人で2人を支えないといけない状態を作ってしまった。
―― 万全ではない状態でツアーが進む中で、ライブに臨む意識には何か変化がありましたか?
南 それまでは自分1人でどうにかしないとっていう気負いがあって、それでそういう状態になってしまったんで、ここの2人をもっと信用して任せようという気持ちになりました。ここはかえちゃんがやってくれる、ここはひなちゃんに任せとけば大丈夫っていう振り分けができるようになってきました。
大上 私は逆にそれまで南に頼りっきりで、南に任せとけば何とか成り立つやろうっていう気持ちがあったんですけど、自分がやれることを見つけ出すことも必要なんやと思いました。自分ができることをちゃんとやろうという気持ちが出てきましたね。
高嶋 私はZENITHツアーまで、1人で楽しんで1人で盛り上がってイエーイ! みたいな感じやったんですけど、もっと周りを見ないといけないって思いました。ステージの前にいるお客さんだけじゃなくて、ステージの中のことも見ていかないといけないんやなって。
―― 昨年メジャーデビューアルバム『ZENITH』、今年2月に過去曲を再録したアルバム『Locus』をリリースして、いよいよニューシングル“Ray”が発売されました。タイミング的には、今がPassCode第2章の幕開けと言えそうですが、今後どのようなグループになっていきたいですか?
高嶋 これまでもいろんな曲に挑戦してきたんですけど、これからもPassCodeらしさは曲げずにいろんな曲を届けていきたいです。新曲の“Ray”はPassCodeの中でも一番ストレートで爽やかな曲になっていると思うので、この曲をきっかけにPassCodeのことを好きになってくれる人が少しでも増えればいいですね。
PassCode - Ray
南 他のバンドさんとかアイドルさんとか見てると、「あっ、この人たち絶対売れるな」って直感する時があるんですよ。そう感じた人たちは必ず売れてきてるんで、それをPassCodeにも感じたいなと思います。自分たちのことは客観的に見られないというのもありますけど、今はまだまだ足りないと思うところがたくさんあるんです。でもいつか、マリオでいうスター取った時みたいな、無敵な状態で駆け上がっていけるようになりたいです。
大上 私は“PassCodeをずっと続けたい”って思い続けたいんです。“Ray”は今までとはちょっと違うジャンルで、今までPassCodeのことをちょっと違うなって思ってた人でも入っていけると思うから、ここからまずはPassCodeをたくさんの人に知ってもらいたいですね。
PassCode新曲リリース情報
『Ray』【初回限定盤】
2018.05.23 RELEASE
¥ 3,240
『Ray』【通常盤】
2018.05.23 RELEASE
¥ 1,080
PassCode Official HP
撮影:山口真由子
書いた人:青山晃大
1983年三重県生まれ、音楽ライター。2006年からフリーランスで活動。現在は〈ザ・サイン・マガジン・ドットコム〉〈Qetic〉〈CROSSBEAT〉〈Real Sound〉他で執筆しています。