「おにぎりはラップよりアルミで包むほうが美味い」説は本当か?

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それは、1つのツイートから始まりました。

料理家・藤村公洋(ふじむらきみひろ)さんが、2015年11月のある日つぶやいた、こんなツイートから……。

 

 

このツイート、またたく間に4000RT超え!

なんとまあ驚異的な伸びっぷり。

おにぎりに対する関心って高いものなんだなあ……。

  

うーむ、これはメシ通でさらに掘り下げてみたい!

おにぎりって、ラップで包むよりアルミのほうがうまいのだろうか?

そんな明確な差が本当に出るものなのか?

そして他により良い方法があったりしないものか?

 

より詳しく迫りますよ!

  

アルミにぎりは、5時間後に一番うまくなる

つぶやきのご本人、藤村公洋さんに登場していただきましょう!

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藤村さん、じっくりと研究中。

 

 藤村さん、実際にそんなに差が出るものなんですか?

 

藤村さん:はい、実際にはおにぎりを4種類の方法で保存してみて、差を比べてみたんですが、僕の実感としては明らかな差がありました。

 

 藤村さんが比較したのは以下の4つ。

  1. アルミホイル
  2. ラップ
  3. クッキングシート
  4. タッパー

 

まず、1時間半後の状態をチェック

  

藤村さん:この状態ではどれもさほど変化がないんです。

  

次に3時間後の状態をチェック

 

藤村さん:この段階ではタッパーが一番でした。急に「あれっ、タッパーに入れておいたものが一番おいしいな」と感じられて、差がついてくるんですね。でも驚いたのは、この次です。

 

5時間後の状態をチェック

 

藤村さん:この段階のアルミに包んだおにぎりにビックリしたんです。「これだけ違う米だっけ⁉」と思うぐらいにうまさが際立ちました。ツイートにも書いたとおり、空気感があるんです。ふんわりして食感がいい。ビックリすると思いますよ。それに比べてラップは、温度自体はそんなに変わらないのに冷たく感じる。食感もかたくて、米がギュッと詰まっているんです。

 

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その違いに驚嘆する藤村さん

  

その後、24時間後までの状態を藤村さんは比べてみたそう。

結果としては包んで5時間後をピークに、どれもうまさは落ちていき、美味しさは下降線をたどるとのこと。

 

藤村さん:けれど、ここでラップがさすがのがんばりを見せます。レンジにかけると作って1時間半後ぐらいのうまさに戻るんですね。アルミに包んだおにぎりを蒸し器にかけてみましたが、ラップの再生能力には及びませんでした。タッパーもレンジにかけられるものだったので試したところ、ラップの再生度にはおよばない。

  

うーん、興味深い。なんでアルミは「5時間後に一番うまい」となるんでしょうねえ。

 

藤村さん:アルミホイルの中でゆっくり余熱調理されてるのかもしれません。一度蒸気として飛び出した、米や塩の成分がうま味となって再着地する……という感じ。5時間後がそのピークなのかもしれません。昔はおにぎりって、アルミで包むことが多かったと思います。朝に作ってアルミに包み、ちょうどお昼ぐらいに食べることを考えると、理に適っている。朝の7時に作って昼12時に食べると、ちょうど5時間ぐらいですからね。

 

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「アルミで5時間おにぎり」を食べて思わず笑顔の藤村さん

 

なるほど! 確かにうちもおにぎりといえばアルミでした。

アルミ包みで5時間後のおにぎり」……急に食べたくなってきたな。

それはともかく、せっかく料理家の藤村さんに来てもらったので、

藤村流・おいしいおにぎり」を紹介してもらいますね!

  

リゾット風で意外や美味! ブルーチーズおにぎり

◇アナゴめしのおにぎり

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藤村さん:好物でよく作るのがアナゴのおにぎり。水と砂糖、醤油だけで煮つけたアナゴを細かく刻んで、煮汁と一緒ににぎります。砂糖はコクのある「きび砂糖」を使うのがポイント。さっぱりさせたいときは刻んだシソなんかを一緒ににぎりますよ。

  

◇ブルーチーズおにぎり

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藤村さん:驚く人も多いんですが、これがやってみたらおいしいんですよ。ごはんに粉チーズを適量混ぜて、中にブルーチーズを入れてにぎります。それをフライパンか焼き網で全体に軽く焼き目をつけて、出来上がり。チーズリゾットをにぎったような、そんな感じになるんです。おつまみのブルーチーズが余ったときに是非試してみてください。

 

青菜とうま味と味噌の熟成香が渾然一体!

続いては山形・青菜漬けの焼きおにぎり

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藤村さん:山形の郷土漬物で青菜漬け(せいさいづけ)というものがあるんです。山形青菜という高菜の一種を漬けたもので、地元のかたにお土産でいただいたんです。そのとき教わったおにぎりなんですよ。まずは味噌をつけてにぎったおにぎりを、この葉でくるみます。

 

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おにぎりにまず味噌をつけて、

 

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漬物の葉でくるむ。それを軽く両面焼き上げると……

 

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完成!

 

藤村さん:焼きおにぎりの香ばしさ、水分の抜けた青菜の凝縮したうま味と歯ざわり、蒸された味噌の熟成香が三位一体となって、とても奥行きのある味わいになりますよ。

 

さて、私も実際に「アルミで5時間おにぎり」とそのほかを比べてみましたが、うーむ……確かにうまいぞアルミ! 適度に空気が抜けるのもいいのでしょうね。その抜けすぎないギリギリのバランスが5時間前後、ということなのかな。昔は他のものがなかったからアルミだったのではなく、そのことを体験的にお母さん達は知っていたのかも?

  

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これからの行楽シーズンに欠かせない、おにぎり。

もし朝方にランチおにぎりを作ることがあったら、

ぜひぜひ「アルミとラップ」で味わいの差を比較してみてくださいね!

  

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料理家 藤村公洋(ふじむらきみひろ)

日本映画学校卒業。放送作家を経てバーテンダーとして20年勤務。自らの生活習慣病克服のために体系化した「野菜たっぷり、合理的で時短調理の日常食レシピ」を提案する。モットーは「料理に愛は必要ありません」。2016年は料理会、料理教室を定期的に開催予定。目下の興味:おにぎりと目玉焼きとレモンサワー。著書に「病気になったバーテンダーの罪ほろぼしレシピ」(講談社)がある。

 

企画・文・撮影:白央篤司(はくおう あつし)

白央篤司

「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と土日の洗濯、猫2匹の世話を担当。

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