料理したくても、時間がない。
食事にあまり手間をかけられない。
そんな場合、どうしたら栄養バランスをよくできるか?
こんにちは、フードライターの白央です。
忙しい現代人に読んでもらいたいシリーズ第2弾、今回は「冷凍食品の活用」がテーマです。
「冷凍で栄養が取れるの?」と思う人も多いでしょうが、取れます。
味も品質も、昔より格段に進歩しています。保存できる期間も長いし、冷凍野菜などは下ごしらえが要らず、そのまま料理にプラスできるのもうれしいところ。
解説は、今回もこのかたにお願いしますよ。
監物南美
けんもつ なみ:『栄養と料理』(女子栄養大学出版部 刊)編集委員。「どうしたら栄養の情報をもっと面白く読んでもらえるか?」に取り組みつづけて早20年 。2017年春、『栄養と料理』編集長から編集委員に。監物(けんもつ)という名字を「堅物(かたぶつ)」とよく間違えられるのが悩みでもある。食生活ジャーナリストの会幹事。
【雑誌『栄養と料理』とは ?】
女子栄養大学が発刊する1935年創刊の月刊誌。栄養バランスを考えたレシピが毎号たっぷり掲載されている。プロの栄養士が愛読するのはもちろん、ビギナーでもわかりやすくがモットー。毎号、「食物繊維をアップ」「風邪をひかない!」などのテーマのほか、「お酒好きのための健康術」「夏までにきれいにやせる」など、『メシ通』の読者にもおすすめの特集が組まれている。
監物:みなさん、こんにちは。『栄養と料理』の編集委員をしております、ケンモツです。「野菜をたっぷり取りたくても、なかなかできない」というお悩みを、読者のかたから聞くことはよくあります。野菜が足りない、十分に取れていない……と感じていらっしゃるかた、少なくありませんね。
これ、冷凍野菜でプラスするの全然アリなんですよ。
冷凍野菜は収穫後、新鮮なうちに急冷されてマイナス18度以下で管理されます。風味や栄養価も損なわれにくく、また旬の時期に適切に冷凍されて管理されたものは、旬でない時期の生鮮野菜より栄養価が高いこともあるんです。
実際にどんなふうに加えればいいか、やってみましょう!
パスタに冷凍野菜をプラス
監物:冷食のパスタ、おいしいものが増えていますね。
食は楽しみの要素も大きいもの。好きなものを選んで、楽しく食べてほしいと思いますが、もし「こっちとこれと、どっちにしよう?」なんて迷うことがあったら、裏面の栄養成分表を見てほしいんです。ダイエットを気にする人はカロリー控えめのもの、さらには塩分量が少なめのものを選んではいかがですか。
減塩することで、高血圧や脳卒中の予防効果が期待できます。またカロリーに関しては、ざっくりですがトマト系や塩オイル系(ペペロンチーノなど)は控えめの傾向にあります。
※写真の冷凍パスタは、
監物:今回は一例として、トマトソースのパスタを選んでみました。ここに、冷凍野菜をプラスしていきましょう。インゲンやブロッコリーなどが合わせやすいですが、よく売られている野菜ミックスが便利ですね。
監物:1食に対して、このぐらいの量をプラスしましょうか。
味つけは、もともとのパスタソースにからめるだけ。こうすることで、塩分や油分をプラスせず栄養だけを取れます。冷凍野菜が多すぎると、ソースが足りなくなって物足りなくなりますのでご注意を。
さあ白央さん、ここからはご自分でやってみてください。
── はい、がんばります。それぞれをチンして……
── 元のパスタを開けたところ(写真上)。ここにさっきの野菜をのせると……
── こんな感じ(写真上)。よーく混ぜて、野菜にソースをからめます。
── おお、野菜がちょっと多いかなと思ったけど、結構しっかりからまるものですね(写真上)。
── 食べ終える寸前。ソース、わりに余っています。これならあとブロッコリー2つぐらい足せたなあ。このへんは慣れで調整しますかね。
あ、ちょっと味が薄く感じられたら、塩をふるよりまず先にコショウをふるのも手ですよ。実は私、以前に減塩に挑む連載を『栄養と料理』でやっていたんですが、これはかなり有効な手でした。
ちなみに今回選んだトマトソースのパスタ、1食で344kcal、塩分相当量は2.4g。1食の塩分相当量を3g未満におさめられたら、けっこう優秀だと思います。
監物:野菜ミックスを加えたことで、βカロテンやビタミンC、そして食物繊維がプラスされました。ひと手間の調理が苦にならない場合は、ここにピーマンの薄切りやプチトマトなどをのせてもいいでしょう。
カレーに冷凍野菜をプラス
監物:レトルト食品にも冷凍野菜の「後のせ」、おすすめです。特にレトルトカレーはぜひやってみてほしいんです。調理してない野菜を加えても、カレーだと味がしっかりからみやすいんですよ。
じゃあ白央さん、まずはカレーを選んでみてください。
── というわけで、近所のスーパーで選んできました。パッケージの裏や脇に印刷されている成分表をチェックしつつ、塩分、カロリーが控えめだったものをセレクト。
※あくまで「私の近所のスーパーの品ぞろえの中で」ということです。
1食分のグラム数もまちまちで(今回選んだ3つのカレーだと、1袋で180g~230g)単純比較はできないですが、1袋で1.8g~2.4gの塩分量。カロリーはもっとばらつきがあって、212kcal~311kcalでした。商品によってホント、違いがあるもんですね。
監物:そうですね。ちなみにですが、1食分のカロリーはざっくり600kcalを目安にするといいでしょう。ごはんは1膳がだいたい150gとして250kcalと覚えてください。
── さて、今回はこの組み合わせにしてみましたよ。エスビー食品の『カレー曜日』はもともと野菜が多めでゴロッと大ぶり。そしてこの冷凍グリル野菜、ひと口大にそろっていて使いやすく、カラフルで見栄えもいいんですよ。
── 冷凍野菜、全体量の3分の2を加えてみます。カレーと野菜、それぞれを温めて、
── 盛りつけてみました。うん、まったく問題なくルーとなじみますねえ。うまいッ! この後、もう一度試したときは1袋全部を加えてみましたが、ルーが足りなくなるということは全然ありませんでした。けっこう野菜プラスできるもんだな。ごはん量を減らしても、野菜のぶん満足感がキープされて、ダイエットにもよさそう。
ちなみにこの『カレー曜日 中辛』だと1食分で239kcal、ごはんと足して約490kcal。
監物:ひと手間がOKなら、ここに卵を1つ加えると栄養バランス、さらによくなります。飲み物に牛乳、あるいはデザートにヨーグルト1カップをつけたらカルシウムも取れちゃいますよ。給食にも負けない栄養バランスではないでしょうか。
冷凍カボチャを上手に活用
堅物:カボチャは栄養価の面からいうと、“お得”な野菜なんです。ビタミンEやビタミンC、カロテンを多く含み、それらを一度で取れるのは魅力です。
── 費用対効果の高い野菜ということですか?
監物:そうですね(笑)。また皮がかたいので、生で調理するのはちょっと大変。すぐに使えるのは冷凍野菜の長所のひとつですよね。そしてカボチャは、冷凍しても食感が損なわれにくいんです。
監物:カボチャと相性のよいところでは、冷凍のチーズリゾットがおすすめ。商品によってチーズの量も違いますが、カルシウムがたっぷり取れるものもあります。
成長期のお子さんは特にカルシウムたくさん取ってほしいので、忙しいお母さんなどはうまく活用してほしいと思います。
それでは白央さん、実践してみてください。
── 1食に対してカボチャ、このぐらいをチンしてみました。
── 明治の『濃厚チーズリゾット』、温めるとこんな感じ。これ1食でカロリーは307kcal、塩分は1.9g。けっこう低塩でうれしいな。
── カボチャをのせて、いただきます!
監物:カボチャにしっかりチーズをからめてくださいね。
── おお、確かにカボチャの食感がいい。そしてチーズの塩気とカボチャの甘味、いい相性だなあ。
── こんなふうに、しっかりつぶしあえてもうまかったです! アツアツのうちにカボチャをつぶして、全体をからめてください。カボチャを加えることで、腹持ちもすごくよくなって満足でした。カボチャに味つけしてなくても、十分味わえるものですね。
監物さん、きょうもありがとうございました!
コンビニ弁当にも応用OK
冷凍野菜のプラステク、コンビニ弁当などにもゼヒ、活用してみてください!
上の写真はクリーム系の冷凍パスタに冷凍野菜ミックスを足したもの。彩りもよくなって、一食としての満足度も上がりました。
あ、ちなみに冷食のホウレン草はクリーム系と相性抜群でしたよ。ドリアやグラタンに足すのもいいけど、グラタン類は塩分高めのものも少なくありません。
またチャーハンや汁物、麺類も高めのものがあるので、そこは成分表をチェックしてくださいね。1食の塩分、できたら3g未満をまずは目標に。
冷凍食品って便利だけど、私にはちょっと量が少なめで、もの足りなく感じることがままあったんです。でも冷凍野菜を足すことで、カロリー&塩分を気にせず満足感アップにつながりました。※冷食でもそら豆や枝豆など塩味がついてるものもあり。
監物さんに教わる第1回目 「コンビニ食で栄養バランスを整えるには」でもありましたが、野菜ジュースなどを1食にプラスするのもおすすめですよ。
下ごしらえの要らない冷凍野菜、最近私は朝の弁当おかずづくりにも活用しています。冷凍食品、スーパーでたまに4~5割引きになるのもうれしいですよね(笑)。
お得にまとめ買いしつつ、日々のごはんに「ちょい足し」して栄養バランス、整えてみてはいかがでしょうか。
※この記事は2017年7月の情報です。
※各商品のパッケージおよび価格が変更される場合があります。