静岡県中西部にある御前崎は港町。このあたりには「ガワ」という料理が伝わります。これ、カツオなどの魚をたたき、梅干しや玉ネギなどを薬味として食べる冷たい味噌汁なんですよ。
ちょっと意外な組み合わせ、実際に食べてみたらなんともおいしく、私はすっかりハマってしまいました。ハイ、もうちょっと残暑感のある間にご紹介したかったのですが……。(;^ω^)
秋が随分と早く来てしまいましたが、秋の戻りガツオでもぜひお試しください。今回も従来のやり方をちょっとアレンジ、なるたけ簡単に作れる方法を考えてみました。
作り方(1人前)
【材料】
- カツオのたたき 2切れ(40g)
- 味噌 大さじ 1/2
- 梅干しのたたいたの(練り梅でOK) 小さじ 1
- 氷、薬味(玉ねぎスライス、青ネギの小口切り) 少々
※本来はカツオの刺身でやりますが、地域やスーパー規模によってはなかなか置いていませんね。なので手に入りやすい「たたき」を使用しました。
※味噌は甘めの米味噌がおすすめ。また味噌はものによって塩辛さも随分違います。少なめに設定してあるので、完成して薄ければ味噌を足してください。
1:まず、カツオを細かく刻みます。
2:このぐらいになればOK。
3:味噌汁のお椀に味噌を入れて、味噌汁1杯分よりちょい少なめに水を入れて(分量外)味噌をときます。
4:刻んだカツオと青ネギ、玉ねぎスライス、梅干しのたたいたの、そして氷2~3個入れますよ。
5:全体をよく混ぜて、もう完成です!
混ぜるときに氷と器がぶつかる音が「ガワガワ」と聞こえることから、この名前になったと伝わります。
さあ、いただきましょう。
「(たたいたカツオ×梅干しの風味×玉ネギ)+水溶き味噌」がかもす、なんとも独得の味わい。クセの強いものが合わさってるんですけど、不思議とさっぱりした味わいになる。食欲のないときにもいいんですよ。
薬味は大葉やミョウガなど、好みのものを足してください。おろしショウガを加えてもまたおいしい。
地元のかたにうかがうと、カツオ以外にもアジやイサキなどでやることもあるそう。その日にあがったもので、バラエティも豊かに作られてきたんだろうなあ。ただ、「やっぱりカツオが一番合う!」という声が多いようです。
- 御前崎ならではの新鮮な魚を包丁でたたく
- 薬味類
- 味噌
これらを一緒に、冷水で溶く。
もともと海の男たちが船上で食べていた料理だそうで、船の上ではいちばんの若手がガワ係として“まかない”的に作られていたのだそう。
スルスルッと入って食べやすく、腹持ちもいい。漁を続ける上でのスタミナ食だったんでしょうね。
ちょっとトライアル
「これ、あったかいバージョンでやってみたらどうだろう?」
と考えて、トライしてみました。先のレシピの「味噌を溶く水」を「熱々のお湯」に替えてみただけなんですが……おお、これはこれでアリです!!
カツオのミンチから出た良いダシが梅干しと合わさって、なかなかオツな汁になりました。サッパリ感は残りつつ、ホッと胃が落ち着く味わい。ごはんにかけたくなるのう。
何度か作ってみたんですが、ホットの場合は玉ネギよりも長ネギスライスのほうが合いましたよ。
「ガワ」、地元ではそのままごはんにかけたり、そうめんやうどんを入れたりして楽しまれているよう。写真のは冷や麦を入れてみたバージョンです。実にうまい。
全国、ホントいろいろなものがありますな。来月は四国の「ベジ寿司」をご紹介しますよ!
企画・文・撮影:白央篤司(はくおう あつし)
「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と土日の洗濯、猫2匹の世話を担当。