さあ、並びましたは野菜のにぎり寿司。
ミョウガ、シイタケ、タケノコ、コンニャク。これ、高知県の郷土料理で「田舎寿司」(いなかずし)と呼ばれるものなんです。甘酢につけたり、煮て味をつけた野菜がネタになっています。
高知を旅した際に、そのおいしさに驚きました!
というのも……
寿司めしにワザありなんです。
この田舎寿司、酢を使わないんですよ。酢のかわりに用いられるのが、
ユズ!
ユズをたっぷりしぼって果汁をとり、それを寿司酢のかわりとして使うんです。だから香りが実によくて、すっきり爽やか。酢独得の強さがなくて、口当たりがやさしいんですよ。それがまた野菜ネタとすばらしく合うんだなあ。
さて、この田舎寿司。なるたけ簡単に、家で再現できるレシピを考えてみました。
高知風 田舎寿司
材料(2人前程度)
- ミョウガ 2本
- シイタケ 4枚
- タケノコ(水煮) 30g程度
- コンニャク 80g
甘酢 200ml程度(カンタン酢、らっきょう酢などでOK)
【A】
- だし 300ml
- 醤油 大さじ2
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 塩 少々
1:ミョウガは縦に切って、熱湯に30秒ほどつけてざるにあげ、水気を切ります。
2:ミョウガが熱いうちに甘酢に漬けておきましょう。
3:シイタケは軸を切っておきます。
4:タケノコは5㎜幅ぐらいの薄切りに。
コンニャクは厚さ5~6㎜幅に切って、タテ7㎝×ヨコ3.5㎝程度の長方形にします。斜めに切り込みを入れておくと味が染みやすいですが、難しければ無しでもOK。
(その場合は後の、Aで煮る時間を10分ぐらい増してください。)
熱湯で3分ほど下ゆでします。これはコンニャクがもともと持つにおいを取るため。こうすることで、味が入りやすくなります。
3分たったら、ざるにあげておいてください。
5:鍋にAをすべて入れて一度沸かします。沸いたところにシイタケ、コンニャクを入れて弱めの中火にして、まず10分煮ます。
※シイタケが6枚入っているのは……余っていた2枚も一緒に煮てしまったためです。どうか気にしないでください
6:タケノコも入れてさらに10分煮ます。
7:10分たったらバットなどに移して、置いておきます。さあ、ここから寿司めしの準備にうつりますよ。
田舎寿司の寿司めし
作りやすい分量(2人前程度)
- 米 2合
- ゴマ 大さじ1
【B】
- ユズ果汁 60ml
- 砂糖 大さじ2
- 塩 小さじ1/2
ユズ果汁、砂糖、塩は先によーく混ぜておきます。私はきび砂糖を使っていますが、白砂糖でもちろんOK。甘みをしっかりつけたほうが田舎寿司の寿司めしには合うようです。
ごはんは、ちょい硬めに炊きたいところ。浸水は30分にして、水は気持ち少なめに。
炊きあがった米を飯台、またはボウルに移して、Bをかけ、ゴマも加えて、しゃもじでよく混ぜます。混ぜたらウチワなりであおいで軽く熱が取れたら、にぎりますよ。
それぞれの具材をのせて、完成。
「寿司の形ににぎるのはちょっと大変」という場合は、ちらし寿司のようにするのもアリ。それぞれ作りやすいように楽しんでください。
もし手間でなければ、ごくごく小さく刻んだショウガ、さらにはユズ皮のみじん切りを寿司めしに加えてもおいしいですよ!
こちらは高知市内で購入した田舎寿司。 右から2番目の緑のものは、高知ではおなじみ「りゅうきゅう」という野菜です。
調理前の、りゅうきゅう。別名はハスイモです。酢でしめたものを押し寿司にしたのが先の状態。しゃくしゃくした触感が実に面白いんです。
高知で売られていたコンニャクの田舎寿司は、こんなふうに切り込みを入れて中に寿司めしが詰まっていました。今回のレシピでは簡単に板状に切りましたが、中詰め方式にトライしてみたいかたは、ゼヒ。
高知の田舎寿司です。 pic.twitter.com/zNq4LBnj9r
— 美馬勇作 (@50bell1917) October 9, 2018
高知の知人がちょうど田舎寿司の写真をアップしていたので、こちらにも貼らせてもらいました。サンマやらのお寿司と一緒にもられて、なんとも豪華ですな。
美馬さん、ありがとうございます!
そして田舎寿司、「作るのは面倒だけど……食べてみたい!」というかたには通販もいろいろとあります。ぜひ検索してみてください。
またユズ果汁も買ってしぼるのは大変ですよね。もちろん通販もありますし、
銀座1丁目にある高知県アンテナショップでも手に入ります。私はユズの名産地・高知県馬路村(うまじむら)農業共同組合の「ゆずしぼり」をよく使っています。
田舎寿司は、高知ならではの野菜や柑橘がたっぷり使われている郷土料理。ユズ、ミョウガ、ショウガは高知を代表する農産物なんですよ。
他にもいろいろな野菜をネタとして活用できそうですよね。焼いて皮をむき、甘酢につけたパプリカは田舎寿司のためにあるんじゃないか、ってなぐらいマッチしたので、興味あるかたはぜひお試しを。
高知のおいしいベジ寿司、「田舎寿司」を今回はご紹介しました!
企画・文・撮影:白央篤司(はくおう あつし)
「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と土日の洗濯、猫2匹の世話を担当。