衝撃的な「具の衝撃」シリーズ
ある日のこと、雑誌『栄養と料理』の編集委員ケンモツさんから連絡があった。
オーマイから新しく出た冷凍食品、試しました?
なんでも、今年2018年春に発売された「オーマイ 具の衝撃」というシリーズが本当に“衝撃”だったとのこと。さっそくスーパーに買いに行ってみた。
▲「オーマイ 具の衝撃 ペペロンチーノ/バジルトマト」(いずれもオープン価格)
具を食べるパスタ!
それぞれ1食300g、なかなかボリュームもある。ケンモツさんが言うからには栄養バランスも良さそうだ。
さっそくチンしてみると……
たしかに!
具の存在感すごい!
「オーマイ 具の衝撃 ペペロンチーノ」は揚げなす、ブロッコリー、赤黄パプリカにベーコンとチョリソー入り。それぞれ食感もいいが、揚げナスのリアル感にうなった。
なによりガーリックがガツンときいて「男メシ!」という感じ。
「オーマイ 具の衝撃 バジルトマト」はエビ、ブロッコリー、スナップエンドウがゴロゴロと。こちらは一転、やさしい味わいのトマトソースが女性受けしそうな感じだ。
エビやブロッコリーは冷食の定番、安定の仕上がり。しかしスナップエンドウは正直……怖かった。あの独特のシャッキリした歯ざわりは表現できるのか?
こわごわ食べてみれば……うん、食感がきっちり残っていて、ウマい!
冷凍野菜、進化してるなあ……。この満足感、今までの冷凍食品にはなかったものだ。たしかに“衝撃”受けましたよ、ケンモツさん。
教える人:監物南美(けんもつなみ)
女子栄養大学の月刊誌『栄養と料理』前編集長。現在は編集委員。「どうしたら栄養情報をもっと面白く読んでもらえるか?」に取り組みつづけて早20年 。『食生活ジャーナリストの会』幹事。
監物:ですよね? 私も「完成度高いなあ……」と驚かされました。パスタ自体の量はどちらかといえば控えめなのですが、野菜が多めでなおかつ食感がいいので、満足感が得られますね。
── こちらの商品、栄養バランス的にはどうでしょうか?
監物:ほかのパスタ冷凍食品と比べてとてもいいと思います。
「具の衝撃 バジルトマト」ですが、ブロッコリーはカロテンやビタミンC、葉酸や食物繊維のほか、カルシウムを骨に取り込むのを助けるビタミンKも豊富。チーズにカルシウムも含まれますので、骨力アップを心掛けたい人にうれしい組み合わせかも。
「具の衝撃 ペペロンチーノ」は食塩相当量が3g切っているのに驚きました。ベーコンとチョリソーを使うと高塩分になりやすいものなのに……。揚げナスがボリューム感アップに役立っています。パプリカが入っているのもいいですね、特に赤パプリカはビタミンA、C、Eが豊富で、ビタミンエース野菜などと呼ばれることもあるんですよ。
── なるほど。総合的なバランスを考えた場合、さらにプラスするといいものってありますか?
監物:大豆でしょうかね。たんぱく質と食物繊維の両方を一度にとることができます。以前の記事でもお伝えしましたが、ここで塩分を足さなくてすむように、食塩無添加の豆水煮缶や、蒸し大豆などを活用してください。
減塩&中性脂肪を下げる冷凍和食
ケンモツさんが監修してくださった以前の記事「冷凍食品で栄養バランスはよくできる?『栄養と料理』編集委員に聞いた【忙しい人必見】」。
▲ツイッターのRT数、1万4千超え!
このとき読者さんからの反響で、「冷凍野菜だけでなく、冷凍食品でもおすすめのものがあれば教えてほしい」という声があったんです。
── 「オーマイ 具の衝撃」のように、何か良いものが他にあれば教えてくれませんか?
監物:わかりました。それではまず、ニッスイからこんなのが出ています。
▲ニッスイ「からだ想いのお惣菜 きんぴらごぼう&ひじきの煮つけ」(オープン価格)
監物:この商品を選んだ理由としては、
- 副菜が2品一度に用意できる
- かむ回数がわりと必要な料理である
- 食塩相当量が1.2gと控えめ
以上のポイントで選びました。
── なるほど。あとこれ、機能性表示食品(パッケージ右上に注目)なんですね。機能性表示食品とは「科学的根拠にもとづいた機能性を示した食品」ですが、それはあくまで「事業者の責任」によるもの。パッケージによると「中性脂肪を下げる作用があるEPA・DHAを1パックで450mg含む」とあります。
監物:EPAやDHAには、中性脂肪値をおさえたり血栓をできにくくしたりする作用があります。動脈硬化をはじめとする生活習慣病の予防効果が期待できます。
── あれ、でもEPAやDHAって魚に含まれている成分じゃなかったですか?
監物:調理に魚の油を使っているんです。けれど食べてみると魚くさくはない。そこがまず、すごいなと思いました。毎日の生活でなかなか魚がとれないという人は、こういったものを利用するのも手です。
── 味に関してはいかがですか?
監物:「従来品に比べ塩分を30%カット」とありますが、減塩商品という感じではなく、一般的な味つけとして十分楽しめますね。コンニャクや油揚げの食感もいいし、全体的に素材の食感が損なわれていません。
── ホントだ。どちらも甘めの味つけで、お弁当のおかずにそのまま活躍してくれそう。国産野菜と国産ひじきを使用していて、その点でも安心感を得る人は多いでしょうね。塩分に関してはいかがですか。
監物:全量で1.2gとおさえめではありますが、100gあたりと考えると決して薄味ではありません。「塩分30%カット」はあくまで“当社比”となっています。“ほかの製品と比べて”の評価であることは意識して活用したいですね。
おやつ&夜食に最適な冷凍リゾット
▲明治「完熟トマトリゾット」(オープン価格)
── さて、次のおすすめ品はこちらですか。もち麦入りのリゾットで「トマト約100g分使用」(パッケージ右下に注目)なんですね。どのあたりが良い点なんでしょう。
監物:トマトを中心とした野菜類、たんぱく質とカルシウムが取れるチーズ、お米には食物繊維の多いもち麦が加えられています。積極的に取りたいものを補いつつ、小腹が満たせるという点ですね。そしてトマトのうま味効果でしょうか、塩分も1.6gと控えめ。
── なるほど。
監物:ただ全量で210gと、これで一食にするのはちょっとつらいと思います。おやつや夜食にどうでしょうか。カロリーは314kcalで、塩分は1.6g。ダイエットや減塩を考えるとありがたい数値です。ボリュームを出すとしたら、冷凍野菜のインゲンやブロッコリーを細かく刻んで加えたり、シーフードミックスを加えたりするのもいいですね。
「さば味噌」はダイエットにぴったり
▲トップバリュ 「さばの味噌煮と麦ごはん 10品目入り」(321円)
監物:一食完結の便利な冷凍食品、最初にスパゲティを紹介しましたが、こちらはお弁当タイプです。
── いろんなものがありますねえ、バランスも良さそう。
監物:これだけ多種類の素材を一度にあたためても、ムラなくおいしくいただける。進化していますね、感激しました。「さばの味噌煮」はしっかりした味付けで万人に好かれそう。「ほうれん草とにんじんのごまあえ」は昔の冷食の味を思うと「よくぞここまで……」と思いましたね。
ただ、ボリュームは控えめ(約239g)、健康に配慮してか全体量は少ないです。なので、食べ過ぎた翌日のリセット的に使うのがいいでしょう。
しかし、歯応えのあるレンコンや揚げナスを添えることで満足度を高める工夫がなされているのを感じます。
── 1袋のカロリーが385kcal。ダイエット中などにこれ一食で済ませようという場合に役立ってくれそうですね。
監物:ええ、そういうターゲット視野はあると思います。1食で塩分が1.1gとかなり控えめですし、副菜に「うの花」があり、ごはんは食物繊維の豊富な押し麦入りなのもいい。
── 塩分はかなり低いけど、さばの味つけはしっかりしていますよね。全然物足りなさがない。しかし量はケンモツさん言われるように、少なめですね。バランスを考えつつ、もうちょい食べるとしたら、どういうものがいいでしょうか?
監物:インスタントの味噌汁などに、カットわかめを加えていただくのはどうでしょうか。わかめは食物繊維が豊富ですし、カロテンやビタミンK、カルシウム、鉄などのミネラルも補給できますよ。
好きに選んでいいけど食べ過ぎ禁物!
── さて保存がきいて便利な冷凍食品ですが、選ぶ際に気をつける点があれば教えてください。
監物:これはですね、みなさん普通に好きなものを選んでいただければと思います。
── えっ。
監物:気をつけるとすれば、「野菜が少ないな」と思ったら、ホウレン草なりブロッコリーなり、冷凍野菜でいいので足すようにする。たんぱく質(肉・魚・大豆加工品など)が足りないなと思えば、シーフードミックスなり、冷凍食品ではありませんが納豆を足すとか、ゆで卵なり目玉焼きなりをプラスする。まずは、こういう食習慣をつけてほしいです。組み合わせを考えてプラスしていくことで、栄養バランスのよい、健康的な食事に近づけることができます。
── たしかに「ほぼ炭水化物と塩分と脂」みたいな内容の食事ってありますもんね。
監物:あと気を付けたいことといえば、冷凍食品は「1食のサイズとして控えめなものが多い」ことですね。物足りなくて結局他に何か食べてしまうという経験、ありませんか? 私はあるんです(笑)。要注意ですよー!
── それも分かります(笑)。ケンモツさん、今回もありがとうございました!
月刊「栄養と料理」
女子栄養大学が発刊する1935年創刊の月刊誌。栄養バランスを考えたレシピが毎号たっぷり掲載されている。プロの栄養士が愛読するのはもちろん、ビギナーでもわかりやすくがモットー。毎号「食物繊維をアップ」「風邪をひかない!」などのテーマのほか「お酒好きのための健康術」「夏までにきれいにやせる」など、『メシ通』の読者にもおすすめの特集が組まれている。