進化形“八重山そば”ここにあり! 「平良商店」【石垣島】

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知ってほしい、我がソウルフードを!

ハイタイ! メシ通レポーターの泡です。今回は私の故郷、沖縄は石垣島から地元グルメネタをお届けいたします。ちなみに「ハイタイ」というのは「ハイサイ(こんにちは)」の女性語です。

 

沖縄本島から飛行機で約1時間のところにある石垣島は、八重山諸島のメインアイランド。八重山諸島には、竹富島、西表島、小浜島、黒島、波照間島、鳩間島、与那国島が含まれます。なんとなく聞いたことのある島もありますか? 

 

この八重山諸島で古くから地元民に愛されているソウルフードが“八重山そば”です。

蕎麦粉ではなく小麦粉で打った麺を用いる “沖縄そば”の一種でありながら、沖縄本島や宮古島のそばとは異なる個性を持っているのが特徴。

 

これが八重山そばだ!

①麺は細めの丸麺。

沖縄本島では、平たい麺やきしめん状に太い麺も一般的ですが、八重山そばはつるりと喉ごしのいい細めの丸麺。ただし、お店によっては平麺を使っている所もあります。

 

②スープは豚とカツオのダブルスープが基本。

豚骨のダシと、カツオ節でとった濃いめのダシを合わせて使います。味付けは塩がベース。クラシカルなタイプのスープは黄金色に透き通っていることが多いです。

 

③“ヒバーチ”という島胡椒がお供。

八重山の住宅地を歩いていると、塀や石垣に濃緑色の葉がはっているのをよく目にします。これが“ヒバーチ”と呼ばれる島胡椒で、実を乾燥させて粉末にしたものをそばの調味料として使うのも八重山そばならでは。辛味はほとんどなく、爽やかで甘やかな香りが特徴です。若葉は刻んで“じゅーしー”という沖縄風炊き込みご飯に混ぜ込むと美味。

 

今回ご紹介する「平良商店」は、そんな八重山そばをこよなく愛するご主人が2年前に始めたお店です。平良は「たいら」と読みます。

 

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石垣市街の中心部にあるバスターミナルから東へ徒歩8分ほど。

 

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ハイビスカスと猫なんていう、カメラ女子の好物的な景色を眺めつつ歩いて……。

 

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昔ながらの漁港を通り過ぎればお店はもうすぐ。

 

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ウッドデッキを備えた、カフェっぽい造りのお店です。

 

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店内はテーブル席に加え、カウンター席もあり。

 

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店主の平良誠さん。石垣市で生まれ育ち、高校生時代から小遣いで八重山そばを食べ歩いたそばラバー。市内の有名リゾートホテルで働く傍ら、趣味で八重山そばを作っては友人や同僚たちにふるまっていたのだそう。

 

彼らの「おいしい!」の声を励みに、「いつかは自分で商売を」という夢を実現するべく独立。2014年に「平良商店」をオープンしました。

そば店で修業などはせず、レシピは独学で。

 

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麺は、市内の老舗「金城製麺所」の丸麺です。1人前230gと、ほかのお店の大サイズがデフォ。「少ないと哀しくなるからね」と、そばラバーならではの視点がいきています。素晴らしい~。

 

王道から変わりダネまで、八重山そば三昧!

それでは、いざ、平良さん渾身の八重山そばをご覧くださ~い。

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まずは、基本の八重山そば 550円。

 

カツオ節にうま味成分を足す昆布を加えたダシと、3日かけてとった豚骨と鶏ガラのダシを合わせるのが平良さん流。開店当初よりもさらにうま味と深みを出すべく、このスタイルに変えていったといいます。各素材のバランスが絶妙で、とても滋味深い味わい。

調味料は塩がベースなので、ダシの風味がしっかりと感じられます。具は、細切りにした豚肉を甘辛く煮たもの。これにかまぼこを加えるお店も多い。

 

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ちゅるんっと唇をすべっていく丸麺、いとおしや。

 

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まずはそのままを楽しみ、途中で風味を変えるのがオススメ。卓上には島産の調味料が揃っているのでお好みで加えてみてください。

「コーレーグース」は、泡盛に唐辛子を漬け込んだ辛味スパイス。めっちゃ辛いので、試す時は少~しずつ加えてくださいね。

 

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八重山そばに欠かせないヒバーチ。ピパーチ、ピパーツなどと呼ばれることもあります。

 

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私は大好物なので、ふぁっさふぁっさ~とかけちゃいます。ああ、この香りをお届けしたい! 清涼感のある香りが、コクのあるスープによく合うのですよ。

 

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お次は、辛味噌野菜そば 700円。

 

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基本のダシにマイルドな風味の宮古味噌や豆板醤を加えたスープは、じんわ~りと辛味が広がるタイプ。具は、味噌味に合うもやしや辛子菜、ダシ骨の周りの肉(うまいッスよね、骨周り)。見た目からは意外なほどあっさりとした後口です。

 

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そして、ヤングに評判の軟骨そーきそば 700円。

 

軟骨ソーキとは、豚のアバラ周りの肉のこと。

軟骨のコリコリッとした食感とゼラチン質を残すべく、強すぎず弱すぎずの火加減で延べ8時間ほどかけて煮ています。泡盛や砂糖、醤油でこっくりと味付けされた肉は、箸で持ち上げるとふるんふるんっと震えますよ。

 

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後半にはほんのりソーキの味がスープにしみてくるのもイイ!

 

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最後は、変わりダネの八重山ジャージャー麺 750円!

(温・冷が選べます。写真は冷)

 

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こちらのお店では、麺を前述のノーマルタイプかクロレラ麺かを選べます。石垣島産クロレラを練り込んだ緑色の麺に一番よく合うのはこのジャージャー麺だと平良さん。

 

豚肉ミンチに宮古味噌、そばダシ、甜麺醤、豆板醤、玉ネギや筍を加えた肉味噌、もやし、キュウリ、島ネギをたっぷりと。これをよーく混ぜて、混ぜて食すべし!

 

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混ぜるとこんな感じ。これも八重山そば……なのか? という一抹の疑問は残りますが、うまけりゃいいじゃない! しっかりとクロレラの香りがする麺には、味わい濃厚な肉味噌が確かによく合う。もやしのシャキシャキ感もいいアクセント。

これはビールのアテにもなりそうですな。

 

八重山そばを愛し、日々進化を続ける平良さん。そんな彼の作る一杯は、幅広い年代の島人の心をガッチリとつかんでいます。好き嫌いが多い子どもさんが「ここのそばは食べたい」と親御さんにねだったり、グランド・ゴルフ帰りのお年寄りの方々がみんなで並んで小サイズをたいらげたりと心温まる風景が生まれるのもこのお店ならでは。

 

各離島への船便が出る離島ターミナルからも近いので、八重山旅の際には気軽に立ち寄ってみることをオススメします。

 

店舗情報

平良商店

住所:沖縄県石垣市登野城506
電話番号:050-3680-2116
営業時間:11:30~14:30(LO)
定休日:水曜日
Facebook:https://ja-jp.facebook.com/tairashoten/

※金額はすべて消費税込みです。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:泡☆盛子

泡☆盛子

ライター。沖縄出身、京都在住。京都の水というか食がカラダに合い、40kg肥えたのが自慢。立ち呑みと、おかずケース食堂での昼酒が好き。

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