きっとあなたの“好い場”“酔場”になる、居心地満点の立ち飲み屋さん「すいば」【京都】

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京都市内に3店舗を展開

こんにちは、メシ通レポーターの泡です。 今回は、京都で地元っ子、特に女子たちに大評判の立ち飲み屋さんをご紹介させてください。

 

「すいば」は、2014年に1号店となる「六角富小路店」をオープン。

現在は「四条河原町店」「室町蛸薬師店」と合わせて3店舗で展開しています。ちなみに店名はそれぞれ京都の通り名に由来。例えば「六角富小路店」なら、六角通(横の通り)と富小路通(縦の通り)が交差する辺りにあるという意味です。

 

1号店ができたとき京都の立ち飲み好きの間で話題になったのが、「お店がキレイ! ほんで安い!(重要ポイント)」ということ。あっという間に話題のお店となり、予約がとりにくい状況にまでなったというからすごいじゃありませんか。立ち飲み屋さんなのに!

 

そう、ここは「予約可能」「全席禁煙」「荷物置き場あり」を掲げる、ちょっと新しいタイプのお店なのです。それでいてコンセプトは「美味い、安い、早い、楽しい」というのだから流行らないわけがありません。

 

今回は、私が個人的に一番好きな「四条河原町店」で酒材……もとい取材して参りました。 さぁご覧ください、「すいば」の素晴らしさを!

 

めくるめく安うまアテの世界

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阪急河原町駅⑤出口から地上へ。

 

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四条通の横断歩道を北へ渡り……

 

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河原町通の1本西にある細い路地を北へ上がります。

 

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コンビニの角を左折。道なりに西へ進みます。

 

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すると、左手のフェンス越しにお店が見えてきます。

 

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店内に入りきれないお客さんがお店の外でも立ち飲んでいます。楽しそう!

 

せっかくなのでいろんなアテを食べられるよう友人たちを招集。1人は「すいば」ヘビーユーザー、あと2人は初めてだそう。

「ここははしご酒のスタートにちょうどいいねん。空気がキレイだから若い女の子連れてきても喜ばれるし」と、オッサンのようなことを言うヘビーユーザー。

 

メニューは3店舗共通の定番に加え、各店舗ごとに工夫を凝らした料理が揃っています。四条河原町店は和洋ミックス型で品数80種類以上。壁にずらりと並ぶ手書きメニューを眺めもって飲むのも一興であります。

 

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▲自家製ポテサラ 150円、漬けイカ 280円、生ビール 300円。

 

まずは小鉢ものでスタート。 とりあえずビールの時にさっと出てくるアテが多いのも魅力です。 駄菓子かと思うような値付け、そう、これが「すいば」流。

 

10種類ほど大鉢で並ぶ「本日のお惣菜」はすべて150円。白菜とお揚げの炊いたん、高野豆腐としいたけの炊いたんなど、いわゆる京都のおばんざいもラインナップ。高級店に行かずとも、京都らしさを堪能できるのがうれしいところ。

 

お酒の値段にも注目です。発泡酒ではなくちゃんとキリン一番搾りがこの安さ! 飲まな損とすら思ってしまいますわ。

 

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▲ローストビーフ おろしポン酢 480円。

 

ロゼ色の断面も麗しき自家製ローストビーフもワンコイン以下。厚めにカットされているので口いっぱいに肉の甘みが広がります。しっとりとした食感も素敵。同席していた料理家の友人もこれにはびっくり。「絶対原価高いわ、コレ!」だそうです。

 

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▲色々お魚の頭煮 150円、お造り盛り合わせ 600円、アサリとゴボウの深川煮 250円。

 

こちらでは、京都府の北、日本海側にある舞鶴の漁港から直送の新鮮な魚を使っているのだそう。丸ごと仕入れるだけに、お造りはもちろん、このようにアラの部分も美味しく無駄なく(そして安く)味わえるって寸法。鮮度抜群なので調味料で味をごまかす必要がなく、あっさりめなのもイイ! この日はグレのお頭でした。

 

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▲キーマカレー大根 280円、カマンベールチーズフライ 350円、アジのフライ(1匹) 150円。

 

350円のものが高級品に思えてくる「すいば」マジック。このキーマカレーもひとひねり効いててうまかった! すっと箸が通るほど柔らかく煮たふろふき大根に自家製のキーマカレーをたっぷりと。ごろごろミンチにほどよいスパイス感、そこにあっさりとした大根の風味がよく合ってます。ビールが進みまくってしょうがない(この頃3杯目)。

 

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大根&カレーという、ありそうでない組み合わせが楽しい。

 

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そしてこのあたりで日本酒にチェンジ。

 

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▲「雁木」純米ひとつ火 480円、「鳳凰美田」ワインセル 680円。

 

「雁木」は日本酒らしいうま味がストレートに楽しめ、「鳳凰美田」はワイン酵母を使っているとのことで、白ワインのようなフルーティーさも。立ち飲み屋さんでこんな日本酒が飲めるなんて、ひと昔前は考えられなかったように思います。

 

日本酒にはやっぱりこの手のアテがいるのでは……。

 

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▲干しイカ炙り 180円。

 

ちゃんと炙りたてでほの温かい。素知らぬ顔で、ワタがみっちり詰まったところばかり狙い撃ちしてしまった……すまんみんな。

 

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▲若鶏の唐揚げ(3個) 220円。

 

……日本酒で仕上げかと思いきや、唐揚げとビールで第2幕だか3幕だかが開く四十路チームの欲望丸出し宴。だって、なんでもあるんだもん、ここ。

 

通常は3個入りのところ、4人なので人数分に変更してもらいました。この融通きく感じもうれしいのよねぇ。 ビールがきちゃったからにはアレもいっときますか。

 

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▲牡蠣フライ 300円。店員さんの素敵な笑顔とともに。

 

こちらのお店は、安うまなアテとお酒だけではなくスタッフの接客も好評の秘密なのです。 常に満席状態でワーワーしてるのに、みんな笑顔を絶やさずこまめに気を配ってくれます。 この笑顔でサーブされたら味わい倍増でしょ!

 

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▲大きなフランクフルト 580円。

 

そんな雰囲気につられるのか、お客さんたちもとても楽しそう。愚痴ったり言い合いしたりの暗いお酒ではなく、明るいお酒の時間を過ごしている人ばかり。いい循環ですよね。

 

我々もすっかりゴキゲンでそろそろ〆ましょうかという流れに。 最後のオーダーはこちら。

 

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▲りんごの天ぷら白味噌ソース 180円。

 

なんとデザートまで! 不思議なマッチングなれど、これ、めっちゃおいしい! 白味噌のほの甘さと塩気がリンゴによく合うのですよ。日本酒にもいけそう……。

 

てな感じでエンドレスに飲めそうな懐深き品揃えに改めて感嘆。 これだけ食べて、飲んで、お会計は1人2,000円強でした。安っっっ。 (この日はレディースデイで、女性グループまたは女性1人客は一部を除くドリンクが100円引きだったのです。たくさん飲んだ我らにはさらに優しいサービス!)

 

手間をかけつつ手ごろに提供できる秘密とは

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前述の通り、驚くほどリーズナブルでありながら、どの料理も「安いし、これくらいでええやろ」的な手抜き感は皆無でした。 なぜ、このスタイルでやっていけるのでしょうか。 四条河原町店のマネージャー・梶さんにお話をうかがいました。

 

シャイなので撮影は後ろ姿のみで、と梶さん。

 

「もともと、母体は飲食とは関係ない会社なんです。でも社長も社員の僕も飲むこと食べることが好きやし、自分たちが行きたいと思うお店を作ろうということになって」

 

10代の頃から家業の居酒屋さんを皮切りに料理の道を歩んできた梶さん。イタリア料理店シェフを務めたりと幅広い経験を積み、今に至るといいます。誰よりも早く仕込みに入り、5口コンロをフル稼動させながら次々と料理を仕上げていきます。

 

「正直、原価はかかってます(笑)。でも、150円のお惣菜もそうですが、うちは基本的に1人前盛りなので、1品ずつの価格を抑えることができているんですね。よそさんだとあの倍以上は盛りつけるでしょうし、そうなるとお値段もあがるという仕組みで。それに、僕がなんぼ料理を作っても、人件費が余分にかかるわけじゃないから、それならたくさん作って安くで食べてもらいたい」

 

根っからの料理好きということもあって、仕込みも楽しそうです。 グラタンに使うベシャメルソースも手作り。スパイスのナツメグは粉末ではなくホールをひいて使うこだわりよう。ぬかりなし、ですねぇ。

 

「僕もこんなお店で飲みたいですもん。その気持ちは常に忘れません」

 

店名の由来も聞いてみました。

 

「『すいば』っていうのは昔から京都で使われてきた言葉で、主に男の子が放課後なんかに『今日、俺のすいばに行かへん?』っていったりする感じの、お気に入りの場所、秘密基地的なニュアンスを含んでいるんです。年配のお客さんには『懐かしなぁ。すいば』って言われたりしますね。それに、“酔(う)場”、“好(きな)場”、“粋場”などいろんな漢字も当てはめられるでしょ。好きなようにとらえてくれたらええなと思います」

 

なるほど、私にとってはその3つとも当てはまりますわ。 きっとあなたも、一度来てみれば同じ気持ちになれるはず!

 

店舗紹介

すいば 四条河原町店

住所:京都京都市中京区中之町569-2
電話番号:075-212-7701
営業時間:火曜日~金曜日   16:00~24:00(L.O.23:30)
     土曜日・日曜日・祝日 15:00~ 24:00(L.O.23:30)
定休日:月曜日、第1火曜日

※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:泡☆盛子

泡☆盛子

ライター。沖縄出身、京都在住。京都の水というか食がカラダに合い、40kg肥えたのが自慢。立ち呑みと、おかずケース食堂での昼酒が好き。

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