【漁師直伝】たった5つの材料で作る「あら汁」が美味しすぎる

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こんにちは。
鹿児島のライター、横田ちえです。

 

皆さんは自宅で魚を調理しますか?

私はせいぜいスーパーで刺身を買ってきたり、焼き魚をしたりするくらい。魚料理というほどのものはほとんど作っていません。魚は外食でいただくことが多いです。

魚の煮つけなどの手が込んだ料理は、「下処理が面倒」「手早く調理しないと生臭くなりそう」という気持ちもありなかなか重い腰が上がりません。

とはいえ魚は大好き! 家でおいしい魚料理が作れるに越したことはありません。

そこで、魚のことを一番心得ている人、漁師さんに調理法を教わることに。

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キャリア35年、飲食店経営歴14年。長崎のベテラン漁師・三浦さんに魚初心者でもトライしやすい魚レシピを教えてもらってきました。

レシピは「あら汁」と「魚のすり身揚げ」です。

 

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▲愛犬のミケと三浦さん。三浦さんが経営する飲食店「おおとり丸」にて。三浦さんの仕事は現在漁が中心のため、「おおとり丸」は「のもざき水仙まつり」と「のもざき伊勢エビまつり」の開催中に、期間限定でオープンしています。

 

材料たった5つ、シンプルな「あら汁」レシピ

このあら汁レシピのポイントは、

  • 材料はたった5つとシンプル
  • 下処理などの複雑な工程一切なし
  • ほかの料理の片手間に作れる

ということです。教えてもらった私自身「これなら自分でも作れる!」と感動しました。ぜひ皆さんにも知っていただきたく、レシピをポイントと共に解説します。

 

【材料 4人前】

  • 水 800ml
  • あら 1パック分(400gくらい)※できれば2種類の魚が入ったもの
  • 味噌 適量
  • おろし生姜 適量
  • 刻みネギ 適量

 

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材料のあらは何でもOK。

夕方スーパーへ行くと半額シールが貼られたものを目にすることも多いのでは? そんな日には、このあら汁レシピを試したらいいんじゃないかなと思います。

 

ポイントは「できれば2種類のあらを購入すること」。その方が味に深みが出るそうです。もちろん1種類しかなければそれでも大丈夫です。

 

下処理は「洗うだけ」でOK

では実際に作っていきましょう。

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まずは鍋に水を入れて沸騰させます。

 

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沸騰させている間にあらの下処理をしましょう。といっても、ボウルに水を張って洗うだけ。

ボウルの水を3回取り換えるくらいが目安ですが、そんなに神経質になる必要はありません。

 

──三浦さん、下処理は洗うだけでいいんですか?

 

三浦さん:「湯引き」も「酒で洗う」も「血合いをとる」も一切必要ありません!

 

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洗い終わったあら。水で洗うだけで下処理が済むのはありがたい。

 

フタをせず、ひたすら30分煮込む

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次に、洗い終わったあらを沸騰したお湯に入れます。あとはひたすら煮込むだけ。フタをしないで、中火~強火で30分位煮ます。

 

──弱火でことこと煮るのかと思っていました!

 

三浦さん:最初の10分間くらいは生臭い匂いがするけど、それ以降は意外なことに生臭さが薄れていきます。フタをしないで煮込むのもポイントです。昔お店が忙しい時に、仕込みをしながらあら汁を作っていたら結構煮込んでしまって。でもその時にそれがおいしかったので、うちではこのスタイルになりました。

 

まるで失敗から生まれた林檎のお菓子「タルトタタン」のようなレシピ誕生ストーリー。ポイントはフタをしないことと、30分くらい煮ること。フタをしたり、10分くらい煮ただけだと生臭いあら汁になってしまうので注意。

 

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時々鍋をのぞいて、アクを取ります。

 

三浦さん:ずっと鍋を見てこまめにアクをとる必要はありません。ほかの料理をしながら合間に見るくらいで大丈夫。

 

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強火で沸騰させているので水分が蒸発して煮詰まっていきます。水位が減っていたら随時水を足しましょう。

 

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30分煮込んだら、あらを取り出します。この頃になるといい匂いがしてきます。

 

味噌、おろし生姜を投入して出来上がり

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ここで火を止めます。スープがすっかりおいしそうに色づいています。

 

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味噌を茶こしで溶き入れます。

 

三浦さん:味噌は、あら汁の味に負けないように結構多めに使います。ただ、味噌の味は地域によって違うため好みで調節してください。

 

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次に、すりおろした生姜を入れます。生姜をこのタイミングで入れるのがポイント。煮込まずに後から入れた方が、生姜のフレッシュな香りがあら汁に清涼感を添えてくれます。

 

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お椀にあらを盛り付けて、スープを注ぎます。

 

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最後に刻んだネギをのせて完成!

 

三浦さん:夏はその日中※、冬でも次の日くらいまでに食べるのがおすすめです。好みで野菜やわかめなどを一緒に煮てもOK。

 

※気温や状況によっては痛んでしまうこともあるので冷蔵庫に入れるなどしてください。

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さっそくいただいてみました。しっかりコクのあるあら汁は生姜が効いていて本当においしい! 

あらの種類や鮮度にもよりますが、今回三浦さんの指示どおりに作ってみたら、全然生臭さを感じませんでした。こんなにシンプルな工程でおいしく作れるならお味噌汁を作るくらいの気軽な感覚でトライできますね。私はスーパーでお手頃なあらを見つけた時の定番にしようと思いました。

 

刺身が余った時にぴったり「魚のすり身揚げ」

続いて紹介するのは魚のすり身揚げ。たくさん買った刺身が余ってしまった……なんて時におすすめです。こちらの材料も極めてシンプルなのでトライしやすいですね。

 

【材料 約2人前】

  • 刺身(魚の切り身ならなんでもOK) 200g程度
  • 塩 ひとつまみ(2.8~3g)
  • 砂糖 大さじ1
  • 卵白 1個
  • 酒 少々

 

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刺身は200gほど使用。

砂糖や塩、酒の量は随時調整してください。あまり厳密に守らなくても大丈夫です。

 

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まず、刺身を包丁で叩いて細かくします。

 

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ある程度細かくなったらすり鉢に入れてすりつぶします。

 

三浦さん:すり鉢を持っていない人はフードプロセッサーを使っても大丈夫。その場合は熱が入ってしまうので氷を入れるといいですよ。

 

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卵一個分の卵白、砂糖大さじ1、酒少々を入れて、引き続きすりつぶします。

 

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だんだん粘り気が出てきます。最後に塩をひとつまみ入れてすりつぶします。早めに塩を入れてしまうと固まるので最後に入れるのがポイントです。

 

三浦さん:塩は必ず最後で。卵白や砂糖、酒を入れる前に塩を入れないように気を付けてください。

 

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魚のすり身を俵型に成形。

 

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200gでこのくらいできました。このまま素揚げすればすり身揚げになりますが、鍋の具にしてもおいしいです。

 

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170℃の油できつね色になるまで揚げます。

 

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完成! 

揚げたて熱々がおいしいですよ。軽く塩を振って食べるも良し、しょうゆやマヨネーズで食べるも良し。からしマヨネーズもおすすめです。

 

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個人的にはマヨネーズで食べるのがおいしかったです。もしも刺身が余ったらすり身揚げにして生まれ変わらせてみてはいかがでしょう? 

 

さいごに

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レシピを教えてもらった長崎市野母町では、すり身揚げは家庭の味。魚がたくさん獲れる土地柄のため、保存食として家庭ですり身揚げやかまぼこが作られてきたそうです。

 

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海は透き通るように透明で、港と海の織り成す風景がとても美しい漁師町です。近くには軍艦島や夫婦岩などの観光スポットも。

 

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もし長崎に行く機会があれば、ぜひ現地の味を確かめに野母町のいろいろなお店を訪れてみてください。家庭で手軽にできるレシピを教えてもらいましたが、現地の風景を楽しみながら食べる味はやはり格別です。

 

取材協力:山本春菜

 

店舗情報

おおとり丸

住所:長崎長崎市野母町1432-13
電話番号:095-893-2113
※「のもざき伊勢エビまつり」(9月)と「のもざき水仙まつり」(1月)期間のみ営業。事前に電話にてご確認ください。

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書いた人:横田ちえ

横田ちえ

鹿児島在住フリーライター。九州を中心に取材、WEBと紙の両方で企画から撮影、執筆まで行っています。鹿児島は灰が降るので車のワイパーが傷みやすいのが悩み。温泉が大好きです。

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