昼飲みの背徳感……「中央酒場」で教わった三冷ホッピーの正体とは

昼飲みには背徳感がある。しかも心地良い。おいしいお酒を飲みたい一心で、背徳感を肴にすると決めた取材チームは、神奈川・横須賀に向かった。歴史的背景で古くから昼飲み文化が根付くこの街で60年以上の老舗「中央酒場」(横須賀中央)の開店時間は朝10時。開店から1時間で満席の店内で、いよいよ宴の始まりだ。

エリア横須賀中央 (神奈川)

f:id:Meshi2_IB:20170824115207j:plain

夏が……終わる……。

照りつける太陽の下、火照ったカラダへキンキンに冷えたアルコールを流し込むという、この上ない快感を味わえる季節が……終わってしまう……。

いや、待てよ。

初秋といえどもまだまだ暑い日中なら、真夏に負けない爽快感が味わえるんじゃなかろうか? しかも、同僚が仕事に精を出しているさなかとあれば、背徳感も加わって、なおのことおいしいお酒を味わえそうじゃありません!? この夏、夏らしいことをほとんどできずに過ごしたのならなおのこと。

「昼飲み」で、夏の名残を楽しんじゃいましょうよ!

 

「昼飲み」なら横須賀へGO!

とはいえ、いわゆる「昼飲み」を楽しむためには、早い時間から開いている飲み屋さんを探さなければなりません。

だいたいの酒場は夕方オープンなので、探すだけでもひと苦労……と思うでしょ?

ところが、そんなことはないのです。

横須賀まで足を延ばせば、朝から飲めちゃう酒場がごまんとあるのですから!

f:id:Meshi2_IB:20170824115138j:plain

▲横須賀のとある港

 

軍港都市として栄えた横須賀は、古くから異国文化が浸透していた地域。

それゆえ、“ランチビール”のような感覚が自然に根付いたとのこと。

さらに港町でもあるため、漁港で働く漁師さんが、仕事を終えた朝方におつかれさまの一杯を楽しむことも相まって、自然と「昼飲み文化」が定着したとの説もあります。

f:id:Meshi2_IB:20170824115147j:plain

▲「中央酒場」。京浜急行線横須賀中央駅から徒歩1分程度と立地もステキ

 

そんな横須賀で64年の歴史を持つ「中央酒場」は、なんと朝10時開店!

さすがにそんな早い時間じゃ、まだお客さんも少ないのでは? と、のれんをくぐってみると……。

f:id:Meshi2_IB:20170824115155j:plain

開店から1時間足らずでほぼ満席。

しかもみなさん、日常の1コマのようにナチュラルな雰囲気でお酒をたしなんでおります。

まさに昼飲み文化が定着しているからこその空気感!!

「アイツ昼から酒頼んでるよ」なんて周囲に白い目で見られる心配もなく、でも、仕事中の上司の顔を思い浮かべてひとりにんまりと酒を味わえるこの空気感、昼飲みに欠かせない大事な要素ですよね!

同店が元祖!? キンキンに冷えた「三冷」ホッピーとは?

入店して早速に、昼飲み文化の定着した横須賀らしい雰囲気を感じたら、酒もつまみも横須賀らしさを味わいたくなってきた。

そこで、店員さんにお声掛け。

f:id:Meshi2_IB:20170824115201j:plain

▲店主の井上さん

 

快く応じてくれたのは、店主の井上さん。

先祖代々続く同店を引き継いだ3代目店主とのこと。

「横須賀ならではのお酒が飲みたい!」とお願いすると、迷わずこちらを出してくれました。

f:id:Meshi2_IB:20170824115207j:plain

▲ホッピー(500円)

 

いや、普通のホッピーじゃん? と思ったら。

「横須賀のホッピーは“三冷”と言って、ホッピー、焼酎、ジョッキの3つが冷えているんです」とのこと。

あ、本当だ。ジョッキが汗かくくらいキンキンだ!

f:id:Meshi2_IB:20170824115212j:plain

▲焼酎の量は140cc。氷がないぶん濃いです

 

米兵がビールの代用として飲みはじめたとされるホッピー。

だから本当は、氷なしが基本スタイル。

東京などで広まる以前から飲まれていた横須賀だけに、きちんと踏襲しております。

しかも、氷がないぶん焼酎の量が多めで、濃いホッピーが味わえちゃうんです。

く~! 氷なしとは思えないほどよく冷えているし、焼酎の量も多めでガツンと来ますねっ!

 

昼飲みならではのメリットも味わえるオススメつまみベスト3

横須賀流ホッピーを味わったあとは、横須賀流のつまみを。

同店にはちょっとしたつまみからガッツリ食事系まで、100種近いメニューがあるんです。

壁を埋め尽くしそうな勢いのメニュー札の中には、三浦半島産の横須賀ビーフで作った「横須賀コロッケ」や三崎港の「マグロ」など、横須賀ならではのものも。

う~ん、悩む。

そこで、横須賀&同店ならではのベスト3を井上さんにチョイスしていただくことに。

f:id:Meshi2_IB:20170824115217j:plain

▲ゆどうふ(400円/写真は半丁300円)。醤油をかけて召し上がれ

 

第1位に輝いたのは、「ゆどうふ」!

「ゆどうふ」と聞くと豆腐メインの鍋物を想像するけれど、横須賀の「ゆどうふ」はちょっと違う。

出汁湯で温めた絹ごし豆腐にたっぷりとカラシを塗って、大量のかつお節をまぶしているのです。

これ、横須賀では酒の席の定番メニューなんだそう。

ほんのり出汁が染みた豆腐自体もおいしいけれど、涙が出そうなカラシの風味もたまらん!

酒が進むわ……。

f:id:Meshi2_IB:20170824115223j:plain

▲いわしさしみ(450円)

 

第2位は「青魚のさしみ」!

鮮度の高い魚を味わえるのも、漁港が近い横須賀だからこそ。

しかも昼飲みなら、朝の仕入れから時間が経っていない状態で食せちゃうというメリットも!

そんなわけで、近隣漁港の青魚はぜひとも味わいたい一品なのです。

f:id:Meshi2_IB:20170824115232j:plain

▲ポテチキャベツ(350円)

 

第3位は「ポテチキャベツ」!

コールスロー風のキャベツサラダ。よく見ると、かかっているのは細かく砕いたポテトチップス(のり塩味)ではありませんか!

横須賀のソウルフード“ポテチパン”に発想を得た、同店オリジナルメニューです。

キャベツとポテチの歯ごたえが楽しいだけでなく、ドレッシングでちょっとシナシナになったポテチの味わいも、また格別です。

f:id:Meshi2_IB:20170824115238j:plain

どのメニューも100円引きで少量にしてくれるので、ひとり飲みでちょびっとずついろいろな味を楽しむことも可能。

また、カウンターの目の前が調理場とあって、「野菜炒めの肉をレバーに変えて」とか、「カレー掛けの上に目玉焼きをのせてほしい」なんて裏メニュー的なワガママも、可能な限り聞いてくれるのだとか! 

一見で常連気取りも夢じゃない!?

 

f:id:Meshi2_IB:20170828171909j:plain

▲駅に向かうか逆へ行くか……。さぁ、お次はどうする?

 

昼から堂々と飲める横須賀の「中央酒場」でキンキンに冷えた三冷ホッピーと横須賀グルメに舌鼓を打っているあいだ、職場ではいつも通りの日常が流れているはず。

そんな光景を想像するだけで、酒の味わいはいつもに増してうまくなる。

しかも! 店を出たらまだ明るい!

2軒目へ行くもよし。帰って寝て、明日の仕事に備えるもよし。

昼飲みなら、どれだけ飲んでも明日の朝にはすっかり抜けてそうだもんね。

酒は夜が常だと思っていたけれど、昼飲みってけっこうメリットが大きいかも?

 

お店情報

中央酒場

住所:神奈川県横須賀市若松町2-7
電話番号:046‐825‐9513
営業時間:平日10:00~22:30 土曜10:00~22:00
定休日:日曜日・祝日

www.hotpepper.jp

※この記事は2017年8月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。

 

書いた人:千葉こころ

千葉こころ

自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するフリーライター。旺盛な食欲と好奇心を武器に、人生を楽しむことに全力を注いで滑走中。

過去記事も読む

トップに戻る