写真提供:有限会社ヒロシ・コーポレーション
キャンプの楽しみといえば……「メシ」!
お笑い芸人で、現在は「ヒロシちゃんねる」でソロキャンプの様子を配信するユーチューバーでもあるヒロシさん。
結局キャンプではモツ鍋が一番うまい説 【ヒロシキャンプファン】
ソロキャンプの魅力をたっぷりと語っていただいた前編の記事をご覧いただいて、実際にやってみたくなった人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ヒロシさん流ソロキャンプの心得や、キャンプメシの楽しみ方についてもじっくり聞いてみました。
ひとりキャンプの絶対条件
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──ヒロシさんがソロキャンプをするうえで、いちばん大切だと感じるのはどんなことですか?
ヒロシさん:それはもう、間違いなく「場所選び」ですね。ひとりになれる静かな場所であることは、ソロキャンプの絶対条件です。特に夏場は、大学生の集団とか、BBQだけにしに来て騒ぐグループとか、ヤンチャなリア充カップルとかが増えるので。とにかく場所選びはすごく神経を使います。
──みんなが利用できるキャンプ場などでは、なかなか難しそうですね。
ヒロシさん:そういったところでも、隠れたポイントを見つけますよ。じゃないと、向こうの方から「あの人ひとり?」「まさか。あとから友達が来るんだよ」って聞こえてきたりして、居づらくてしょうがないんです。ヒロシってバレるのもイヤなので、自然と顔もうつむいちゃうし。
──そういう人たちからしたら、「ひとりでキャンプ」なんて発想がありえないんでしょうね。
ヒロシさん:それにね、そういう連中に限って、正直イイ女を連れてたりするわけですよ(笑)。で、ホットパンツでフラフラされたりしたら、ちょっともう、心が乱れる! 乱される! いつもは山に行くと健康になって帰ってくるのに、人が多いと具合が悪くなっちゃいます。
──キャンプといえば夏のイメージでしたが、ソロの場合はあまりよくないんですね。
ヒロシさん:ソロキャンプでおすすめの季節は、断然秋から冬。虫も少ないし、大学生やリア充軍団も減るので、安心してキャンプに没頭できます。まさに我々にとってのキャンプシーズンです。秋は枯れ葉や枝が多くなるし、紅葉もきれいだし、肌寒くなってたき火が非常に気持ちいいので、1年でいちばんキャンプに適していると思います。冬も冬で、雪の中のキャンプは幻想的で素敵ですよ。
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──まさにこれからですね! ソロキャンプ初心者が場所選びで失敗しないためのアドバイスがあれば教えてください。
ヒロシさん:キャンプ場のウェブサイトをうのみにしないことです。連休だと景色がいいところでキャンプをしようと遠出をすることも多いのですが、ウェブサイトでは海の見える素晴らしいロケーションだったのに、5,6時間かけて到着してみたら、柵に囲われて海が見えないとか、失敗することがよくあるんです。
──そればかりは行ってみないとわかりませんね。
ヒロシさん:あとは、たしかに人は少ないけれど、管理人さんがやたらとフレンドリーで、マグカップを提げて混ざりに来るとかね。こればっかりは着いてみないとわかりませんが、ひとりになりたくてわざわざ遠くまで来ているソロキャンプの精神をわかってもらえないと、ガッカリしちゃいますよね。
ヒロシ流「キャンプメシを楽しむ道具」3選
──お次はキャンプメシについて聞かせてください。ヒロシさんなりのこだわりってありますか?
ヒロシさん:メシはどうでもいいと思っているんで、こだわらないのがこだわりです(笑)。でも、例えばカップラーメンなら、川の水をろ過して、火をたいてお湯を沸かすとか、作業や過程を楽しみますね。お湯の沸かし方ひとつでもいろいろな方法があるので、今日はどうやって沸かそうか、どの道具を使おうかって考えるところから楽しいんですよ。それによってメニューを決めることも多いです。そうやってできたごはんを、自然のなかでハンモックに座って食べると気分が違いますよ。味は一緒ですけどね(笑)。
──では、ヒロシさんおすすめのキャンプメシ道具を3つほど教えてください!
①ナイフ
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ヒロシさん:使い込むほどに柄の色が変わっていくし、研ぎ方で切れ味を変えることもできるので、育てる楽しみがあります。
──「育てる楽しみ」ですか。いいですね。
ヒロシさん:料理に特化するなら「オピネル」という折り畳み式ナイフを使っている人が多いですが、僕は「ヘレ」というナイフで、まき割りから料理まですべてを1本のナイフでやっています。ナイフもいろいろあるので、自分好みのナイフを見つけるところから楽しんでください。
②鉄板
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ヒロシさん:これも、使えば使うほど油が染み込んで味が出るし、より焦げつかなくなっていくので、育てる楽しみを味わえます。手入れが大変なメーカーもあるのですが、僕が使っている「WOOP's」は、ヘラでこすっても、ガシガシ洗っても平気なので、使い勝手がとてもいいんです。
──なるほど、これ1枚でいろいろな用途に使えそうですね。
ヒロシさん:鉄板の厚みやデザインに種類があるので、目玉焼きや野菜炒め、サンマなどなんでも焼けるし、肉も、高級なステーキ屋さんで目の前の鉄板で焼いてもらったような焼き上がりになるんですよ。
③アルミ素材のクッカー
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ヒロシさん:キャンプメシにこだわらない僕でも、米だけはうまく炊きたいんです。そこでこだわっているのが、クッカーの素材。アルミやチタン、ステンレスなどがありますが、米を炊くなら、全体的に熱が伝わるアルミがいちばんです。
──けっこう使い込まれてますね。
ヒロシさん:使い込んでいくうちに、ボコボコになったり、いぶし銀のような色味になったりと、これまた育てることができるんですね。見る人によっては汚いだけのクッカーかもしれませんが、僕にとっては一緒にキャンプをした年数が刻まれているんです。
──ヒロシさんにとって、キャンプ道具を「育てる」ことも楽しみのひとつなんですね。
ヒロシさん:そうですね。道具ひとつも相当楽しいですよ。道具は、キャンプにひかれる入り口でもあると思います。勢いで買ったものの、回数を重ねていくうちにいらなくなる物もあるんですけど、そうやって荷物が減っていくこともまた楽しかったり。最終的には、ナイフ1本で山で生活できるくらいのスキルを得たいなと思っています。
「結婚したって死ぬときはひとりですから」
──今後のソロキャンプの目標はどんなことですか?
ヒロシさん:毎年進化していきたいですね。例えば、海外でキャンプをするとか、山林を買って、木を切ったりシェルターを建てたり、自分のやりたいキャンプができる環境をつくるとか、キノコや野草の種類もわかって、狩猟もできるとか。だんだん理解されない世界に突入していますけど(笑)、もっと理解されない山での楽しみ方を追求していきたいと思っています。
──それこそソロキャンプだからできることかもしれませんね。
ヒロシさん:そうなんですよ。彼女や奥さんがいたら、「ナイフと味噌だけで一緒に行こう」なんてムリでしょ? 僕も、女性は多少香水とかでいい匂いさせているくらいじゃないとイヤだし(笑)。一昨年くらいから、自分のやりたいキャンプを手に入れるためにはどうすればいいのかってずっと考えていたんですけど、そうしたら、なんで結婚しなきゃいけないのかな? とも思うようになったんですよね。
──理解のある奥さまなら、ヒロシさんのやりたいソロキャンプをやらせてくれるのでは?
ヒロシさん:嫁が優しいとは限らないですからね。いろんな厳しい目にあっている旦那の話を聞いていますので、結婚することが必ずしも幸せになることではないと思っています。もし嫁からもバカにされたら「なんで僕をバカにしてくる嫁を養わなきゃいけなんだ」って思っちゃいますよ。
──結婚生活には悲観的なのですね。
ヒロシさん:それに、僕はきっとすぐ死ぬので、「余命1ヵ月」って言われて急いでキャンプに行っても、せいぜい行けて2回とかでしょ? 仕事が入っていたらそっちを優先するだろうし、体が動かなければ行くことすらできないわけだから、後悔しないためにも、行けるとき、行きたいときに自由にキャンプに行けるのがいいなって。40歳を過ぎたころから、「このままだと孤独死するよ」って言われることが増えましたが、結婚したって死ぬときはひとりですから。
写真提供:有限会社ヒロシ・コーポレーション
──家族にみとられて……と言いますが、たしかに一緒に死んでくれるわけではないですからね。
ヒロシさん:でしょ? 例えば僕が結婚していて、子どもや孫もいて、家族や親族に囲まれて最期を迎えていたとしたら、「なんで俺だけ?」「おまえの方が年上じゃん!」とか、絶対思うと思うんですよ。「そんなに泣いてるんなら代わってくれよ!」って(笑)。「遺産相続でモメるんだろうな」とか「この人たちはまだ生きるのに」とか思いながら死んでいくなんて、僕イヤですもん。そんなの苦痛でしかないじゃないですか。それなら、結婚しないで、好きなだけソロキャンプを追求して、人生を最後まで好きに生きていきたいです。
否定し合わず、好きなことをすればいい
ソロキャンプ愛から、最後は人生観や結婚観まで語ってくださったヒロシさん。最後にこんな素敵な言葉を残してくださいました。
ヒロシさん:ソロキャンプって、最初はいかれていると思われていたし、いまだに「ひとりでなにやってんの?」とか言われますけど、楽しくて行きたいから続けています。僕がいくらゴルフの楽しさを聞いても理解しきれないように、ソロキャンプに魅力を感じない人には、どんなによさを伝えたって楽しいとは思ってもらえないでしょう。でも、それでいいと思っています。それぞれ好きなことは違うんだから、互いに否定し合わず、好きなことをすればいい。ソロキャンパー同士でも、キャンプメシに力を入れる人もいれば、僕みたいに道具にこだわる人もいるように、人生もキャンプも、楽しみ方は自由なんですよ。
お店情報
FOREST COFFEE
住所:東京都中野区中央2丁目8-5 B1
電話番号:03-3365-0777(11:00~15:00)
営業時間:12:00~15:00
定休日:不定休
ウェブサイト:https://hiroshi0214.com/forest-coffee/
撮影:渡邊浩行
書いた人:千葉こころ
自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するフリーライター。旺盛な食欲と好奇心を武器に、人生を楽しむことに全力を注いで滑走中。