ドイツでおでんを作ってみました

ああ、寒い……。

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はじめまして、溝口シュテルツ真帆と申します。

ドイツはミュンヘンに嫁いで、はや1年半。

こちらは長くて暗~い冬が……まだまだ続いています。

 

外国暮らしをしていたって、体は純・日本製です。

日に日に恋しくなるのが、日本のたべもの。

そう、この寒さをいやしてくれるような、あったかいたべもの。

 

おでんが……!

 

 

おでんが恋しい……!

 

 

 そう、「あったかいおでん」に思いが募るばかりなんです!

 

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※こころのイメージ。もちろんドイツではそう簡単に食べられません

 

そうだ……考えてみれば、ドイツにだっておでんに入ってるような野菜はある。

 

それにソーセージといえば、こっちが本場。
つくねの代わりになりそうなアレや、ちくわぶっぽいアレもあるじゃないの。

 

これ、もしかしていけるんじゃない?
そう、今回の記事のテーマは「ドイツでおでん」、これです。

 

わたし、作ってみせますとも!!

 

 

 

そもそもおでんの作り方がわからない

しかし、はじめから根幹をゆるがす大問題が。
わたし、食べるのは大好きなんですが、料理となると……まだまだ新米主婦。エヘッ

日本にいたころは「月に1度料理すればよいほう」でした。

冷蔵庫はいつでもすっからかん。

あ、コンロの上にずっと観葉植物を置いてたこともあったな……。
そう、それを見て昔の彼があきれてそのあとケンカになって……アハハ。

 

はい。

 

おでんなんて作ったことないんです!!

 

そして嫁いでみたら、ドイツは「料理しない派」には天国のようなところでした。
なんていうか……みんな、シンプルライフ? というか粗食?
冗談じゃなくてうちの夫、そしてうちの夫の家族、

みなさん「ハム・チーズ・パン」があれば満足なんです。

 

ええ、毎日でも。

 

 

これ誇張なしです!そんなこんなで1年半……。

 

まず、手っ取り早く日本の母親に聞きました。

 

一番の決め手はやっぱり、だし!
私は昆布だしのみで、鰹節は使いません

 

ふむふむ、なるほど。で?

 

味つけはしょうゆ、濃口は味が出すぎるので、薄口で。
お酒を少々。うどんつゆの素とか、鶏ガラスープの素を足してOK。
最後に味見をして、物足りなければ塩で味を調えてね

 

薄口しょうゆと、うどんのつゆや和風スープの素は自宅にない。

あるのは濃口しょうゆと料理酒(清水の舞台から飛び降りるつもりでドイツで買いました。たっかいんですよこっちだと!)、そしてだし昆布と鶏ガラスープの素は日本から持ち込んでたはず。

 

よし、これでだしはなんとかなりそう。

 

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注:ここは本当にドイツです

 

 

おでん食材を求めていざ、ミュンヘンの街へ!

ミュンヘンにも日本食品専門店はありますが、価格は日本の数倍はあたりまえ。

せっかくですし、具は土地のものだけで挑戦です。

まずはミュンヘンで最もにぎわう市場、ヴィクトアーリエンマルクトへ!

 

 

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「ヴィクトアーリエン」って、古いドイツ語で「備蓄食糧」という意味だそう。

上の写真に写っている手前のとんがった野菜、なんだかわかりますか?
これ、キャベツなんです。丸いキャベツより、柔らかくておいしいんですよ。

ロールキャベツやスープの具材、あるいはサラダにしたり。

ちなみに、ドイツ料理として有名なザワークラウトですが、最近は自宅で手作りする人って、こちらでもほとんどいないそう。手間のかかるものだそうです。

 

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市場のすぐそばには、精肉店が軒を連ねる通りがあります。

 

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白ソーセージはミュンヘンの名物

地元の人は朝ごはんに食べます。

白ソーセージはいたみやすいので、冷蔵庫がなかった時代は早朝に作られたものを朝テーブルに並べていたそうなんですね。その名残のよう。

いまでも午前中しかオーダーできない正統派レストランも多いんですよ。


さっとゆでて食べれば、ぷりぷり、ふわっふわ

肉を表現するのになんですが、まるで魚肉ソーセージのような……。

一度食べればみんな大好きになる、軽くてやさしい味わいです。

 

うん、これはおでんにマストでしょう!

 

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ここはミュンヘンの中央広場。向こうにそびえる塔はなんと市庁舎!

かわいい仕掛け時計もついています。

最初にここに立ったときは映画のヒロインにでもなった気分でしたねぇ。

 

 

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さて次は、ビオ食品・製品のみを扱っているスーパーマーケットへ。

こちらのスーパーには「練りもの」のかわりになりそうな加工食品がありました。


※編集部註:ちなみにドイツではオーガニック製品を希望する人が多く、エコ意識がうーんと高いのだそう。家のエアコン設定も「地球にやさしめ」が基本なんだそうです。冒頭の毛布をかぶってる溝口さんですが、ヒーターの設定温度を高くするたびドイツ人の旦那さんが低めに戻すので、あんな格好になってしまうのだとか。地球にやさしく、妻にはきびしく……。

 

 

ドイツおでんのメンバーが出そろった

こうしてそろえてみたのが、以下の食材です!

 

◇まずは日本おでん的な食材群

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じゃがいも、卵、太ネギ、大根。

大根は日本のものより小ぶりで、辛み強め。

こちらでは薄切りにして肉料理の付け合わせなどになります。

シャキシャキしていてなかなかおいしい。

 

太ネギは、日本のものよりかなり太くて立派。

火を通すとトロッと甘くなります。下仁田ネギに近い感じかも?

 

 

◇ソーセージ

f:id:Meshi2_Writer:20151113090815j:plain大きくてつながった、マンガみたいなソーセージ。

白ソーセージのほかに、ドイツ人に人気の

カットチーズ入りソーセージを選んでみました。

 

さて、ここからは日本では珍しい食材の紹介です!

 

◇コールラビ

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ちょっと妖怪チックというか……カブのおばけみたいですね(笑)。

ゆでて食べると、カブとキャベツの中間のような香りで美味。

ドイツではさいの目に切ってスープの具にしたりします。

 

 

◇ドイツ豆腐

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「これが…豆腐?」

日本のみなさんの声が聞こえてくるかのようですが、豆腐です。
「TOFU」として売られていて、ビーガン(完全菜食主義者)に人気の食材。

日本の豆腐よりかなり水気が少なく、沖縄の島豆腐のような感じ。

色つきのはフレーバータイプ。

手前のいかにも豆腐然としたものが「ナチュラル」タイプで、

(時計回りに)
・アーモンドとゴマを加えたスモーク豆腐
・トマト豆腐
・バジル豆腐

なんともフリーダム……。

ナチュラルタイプはおでんに入れても間違いなくおいしそう。

変化球タイプの豆腐は……どうでしょう……。

でもほら、日本でもおでんの具にトマト入れたりするし?

 ええい、思いきって全部入れちゃえ!!

 

 

あと、おでんといえば欠かせないのが練りもの。

こんなのを買ってきてみました。

 

 

◇クヌーデル

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ドイツの巨大団子、とでもいいますか。

ゼンメル(白パン)、じゃがいも、レバーなどがメイン材料。

直径5~7センチもあるんです。

上の白いのがゼンメルクヌーデルで、肉料理と一緒によく出てきます。

これ「ちくわぶ」っぽくなるんじゃないかなぁ。黒っぽい4つはレバークヌーデル。

つくね」としてコク出しになることを期待します!

 

 

◇マウルタッシェン

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味つけをしたひき肉を小麦粉の生地で包んだドイツの郷土食です。

スープの具になるので、おでんに通じるところもあるような? 

大きなラビオリみたいなものですね。

うん、おでんの具でいえば「巾着」みたいな存在になってくれるかも?

 

 

◇ファラフェル

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ひよこ豆のコロッケ。これもビーガンの人が好んで選びます。中東地域を中心に食べられていて、クミンやコリアンダーなどのスパイスが使われてます。見た目が「イカ団子」っぽかったので、思わず買ってしまいました。

 

 

 

いよいよドイツおでん、調理開始

 

Also, jetzt koche ich!(訳:さあ、作るぞ!)

 

母親からの教えどおりに、昆布だしをとります。

ドイツの水は硬水で、だしが出にくいと聞きました。

なので昆布はたっぷりと使い、煮出す時間も長めに。

それと同時に卵、大根、コールラビを下ゆでします。

 

 

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子どものころから果物をむくのだけは大得意。

ちょっと野菜を切るくらいならほら、一人前にできてるでしょ?

 

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独身時代は観葉植物の置き場だったコンロが、

今ではこんな素敵マダム系の雑誌に出てくるような状態に……感無量です!

 

 

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続いて昆布だしにしょうゆ、酒、鶏ガラスープ、塩で少しずつ味つけ。

ああ、なんか遠くに「おでん屋さんのカウンター」が見えてきたような……?

 

う~ん、味見しすぎてわからなくなってきました(涙)。

おでんってどんな味だったっけ? 

まあ、ものは試し! すべてを大鍋で煮ていきます!

 

 

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ジャーーーーーン!

う~ん……なんだかおでんというより……闇鍋?

そんな思いに駆られながらも、20分ほどコトコト煮たあたりで、完成!

 

 

 

 

おそるおそるの試食タイム!

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ん?

 

 

おおっ!

 

 

 

これは……。

 

 

 

 

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おでんだ♡

 

 

存外に……きちんとまとまっている! 

各食材からしみ出た味で、はじめのだしとは段違いの美味しさに! 

予想以上にこれ……おでんです!!

 


ああ、おでんだよ!!!!!!!!!

 

 

 

自分でも、びっくり。
おでんって、なんて包容力のある料理なの!!

 

 

た・だ・し・・・合わなかったものも。

 

 

 

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………………………………………。

 

スパイスのきいたファラフェル、TOFU変化球チームのトマト&バジル。

やっぱりというか当然というか、元の味が強すぎて……NGでした。

ゼンメルクヌーデルも味がしみ込まず食感イマイチ。もっと煮込めばいけるかなぁ?

 

 

ドイツおでんランク別評価(あくまで独断)

では結果発表します。

Aチームはレギュラー確定、Bチームは今後に期待、Cチームは降格という格付けに。

 

Aチーム

◎卵
◎じゃがいも
◎大根
日本でのスタメン食材は文句なしの美味。卵やじゃがいもは素材がいいので、下手したら日本のものよりおいしいかも。ドイツの大根も立派にがんばってくれました!

◎TOFU(ナチュラル、スモーク)
ナチュラルは、だしをしっかり吸い込んで、ふわっとした木綿豆腐のような美味しさに。スモークは風味も立ち過ぎずちゃんと馴染んで、サクサクとしたアーモンドの歯触りも楽しい!

◎コールラビ
日本の味にきちんと寄り添ってくれて違和感なし。

◎太ネギ
予想通り甘くとろけつつ、香りもちゃんとあって美味しい。

◎白ソーセージ
スープで長く煮られることを想定していないためか皮がはじけてしまったものの、さすがミュンヘンのご自慢、大いにあり!

 

Bチーム
〇カットチーズ入りソーセージ
チーズ入りソーセージは、食べてみるとあれ? チーズの姿がどこにもない。不思議とスープにすっかり溶け出してしまったみたいです。

〇レバークヌーデル
少しレバーの臭みが残ってしまいましたが、上々。

〇マウルタッシェン
悪くないけど、ファラフェルなどと同じ理由で、元からついている味がだしと少しケンカをしてしまっている感じ。

 

Cチーム
△ファラフェル
△TOFU(トマト、バジル)
△ゼンメルクヌーデル

 

 

ドイツ人の夫のリアクションは……

「僕の奥さん、一体なにをやっているんだろう」

ちょこちょこ不安げにキッチンをのぞいてた夫にも食べさせてみました。

 

 

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こら、においかがない!

 

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どうよどうよ?

 

 

 

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笑顔出ました!!

― Und? Wie ist mein ODEN?? Schmeckt es gut?? 

(で、わたしのおでんはどう?おいしい?)

― Ja. Nicht so schlecht. 

(うん、わるくないね)

― Nicht schlecht??!! 

(わるくない!?)

― Nein, nein. Gut. Sehr gut!!! 

(いやいや、おいしい、すごくおいしいよ!)

 

ドイツ人って、食に保守的なんです。


はじめは「白ソーセージを海藻(=昆布)スープの中に? なにそれやめてよ~!」

なんて言っていた旦那ですが、最終的にぱくぱく、もりもり。

 

結局私より食べてます。

 

― Was schmeckt dir am besten?? (お気に入りはどれ?)

― Kartoffeln! (じゃがいも!)

 

ってあたりは、いかにもなんですけど。

でもたしかに、じゃがいもおいしいよね。

 

しかし、見てくださいよこれ? 

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ルックス的に立派なおでんですよね! でもなにか忘れているような……

 

あっ! からしだ!

残念。ドイツおでんにドイツのマスタードつけて食べてみたかったなあ。

ということで、またドイツおでん作ってみなきゃ。

 

 

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みなさんも日本で素敵なおでんライフ、楽しんでくださいね!

 

書いた人:溝口シュテルツ真帆

溝口シュテルツ真帆

1982年、石川県生まれの編集者。(株)講談社にて楽しく週刊誌→グルメ誌編集者をしていたはずなのに、なんのご縁か2014年、ドイツに嫁ぐことに(自分でもびっくり!)。現在はフリーランスとしてドイツのあれこれなどを研究、発信中。

ウェブサイト:南ドイツの旅と暮らし / am Wochenende

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