北海道の飲み物はちょっと変わったものが多いと思うんです。
雪印メグミルクが北海道限定で販売する乳酸飲料「カツゲン」に、樹液100%のドリンク「森の雫」など、バラエティー豊かなラインアップ。
そして、今回は真打登場。
不思議なドリンクの代表格と言っても過言でないのがこちら!
超合金ロボットのような力強い名前の「タングロン」。
北海道のご当地ドリンクで、昔から親しんだ人の多い飲み物です。
ネーミングも特徴的な商品ですが、注目すべきは材料。
なんと「昆布エキス」なのです!
それって……ダシではないんですよね?
だって昆布でしょ?
これを読めばタングロン博士。
その歴史や味わいをレビューします。
珍しいご当地ドリンクをご紹介
▲タングロン 4本入 280円(芦別市道の駅)
面白いものを探して北海道をグルグル。
メシ通レポーターの裸電球です。
今回も強烈なものをご紹介!
昔ながらの力強いフォントが最高ですね。
英語で書くと「TANGLONE」
Tシャツの真ん中あたりにプリントされていたらオシャレに見えませんか……?
北海道には「タングロン」の長いファンがたくさんいます。
実は私もその一人。
幼少期にスーパーで買ってもらっては飲んでいました。
私が子どもの頃の印象でも「昔からありそうな飲み物」だったのに、
それから何年が経ったのか。
創業は昭和44年。
ということは……来年が50周年ということでは!?
老若男女、みんなに愛されているんです。
昆布エキス飲料って何?
「タングロン」を語るうえで最初に触れなければならないのが、
「昆布エキス飲料」という点でしょう。
パッケージにもビシッと書かれています。
よく見ると、左右の緑も昆布の絵。
ここまで昆布が前面にくるドリンクって素敵すぎます。
そして昆布といえば。
みなさん、何を思い浮かべますか?
味噌汁、おでん、煮物と、どれもダシの類ではないでしょうか。
どうして「昆布」を?
「タングロン」を販売する、株式会社TKSタングロンにうかがったところ、
いろいろなエピソードを教えてもらうことができました。
「タングロン」が作られている芦別市は炭鉱で栄えたマチ。大勢の炭鉱社員とその家族でが暮らしていました。しかし、昭和42年の炭坑閉山をきっかけに、主要だった産業が衰え、人口はみるみる減少……。
そこで、国の地域復興事業によりテコ入れが行われ、新たな事業として昭和44年から「タングロン」の販売が始まったそうです。
「タングロン」を開発したのは、元・北海道大学の近江彦栄先生。
この当時、抽出した昆布エキスや酵素を使ったドリンクは世界でも他にありませんでした。
海藻に含まれる成分が抽出されている珍しい飲み物で、健康成分として注目されていた「ヨード」も含まれていると、爆発的なヒット商品になったそうです。
「タングロン」はどんな味?
それでは、日本で唯一の昆布エキス酵素飲料をありがたく。
付属のストローでチューチュー。
飲んだことのない人からすると、
「昆布エキス」がどんな味か、ちょっとドキドキですよね。
これがですね~、おいしいんですよ!
昆布そのものの味って実は感じないんです。
青森産のリンゴ果汁と合わせているので、爽やかな酸味が広がります。
現在は紙パックでの販売ですが、私の母親は瓶入りで飲んでいたと。
発売当時、価格は20円で、牛乳のように1軒1軒配達していたんですって。
スゴイ歴史ですよね!
「タングロン」名前の由来は?
ここにも「昆布」の要素がぎっしり。
昆布を英語表記すると、「tangle(タングルー)」
これを、呼ばれやすいように「タングロン」と造語で名付けたそうです。
確かに、「タングロン」。
一度聞くと不思議と耳に残り、声に出すとなぜか気持ちの良い響き!
学校給食にもなったソウルドリンク
酵素分解した昆布エキスとりんご果汁の健康保険飲料「タングロン」は、
なんと学校給食にも登場。
昭和50年代以降、北海道全域にわたり、幼稚園や病院、福祉施設などで利用され、
スーパーマーケットでも販売されるようになりました。
これが、北海道のソウルドリンクになった背景なのです!
今でも「タングロン」は道内のあちこちで売られており、
北海道在住の人はもちろん、帰省した人が懐かしんで購入しています。
ちょっと”大人な”タングロン
焼酎を「タングロン」と強炭酸で割ってみました。
その名も「酎タングロンハイ」
りんごの酸味が爽やかで、程よい甘さもあり最高!
まさか「タングロン」でお酒をつくるなんて。
大人になるって楽しいですね。
がぶ飲みしちゃいました。
昆布エキスの「タングロン」。
懐かしいという方も、初めての方も、ぜひ飲んでみてください。
本州から定期購入する根強いファンもいるそうですよ。
たしかにクセになる味わい何ですよね~。
北海道のお土産にも喜ばれると思います!
お店情報
株式会社 TKSタングロン
住所:北海道札幌市厚別区厚別南2丁目12-8
電話番号:011-893-2338
書いた人:裸電球
北海道を拠点に食べ歩き。CATVでグルメ番組のレポーターを担当したことをきっかけに、ハシゴ酒が趣味となる。入りづらいお店に突撃するのが大好き。現在はフリーで、映像制作とライターの仕事をしている。
- ブログ:「裸電球ぶら下げて」