東京では約5倍のプレミアがつくのに、北海道で普通に買える日本酒「神川」の意外な戦略

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都内ではなかなか手に入りづらく、北海道のコンビニには普通に並ぶ話題の日本酒。この情報だけで、日本酒好きの方はピンとくるかもしれません。

 

日本で一番新しい酒蔵上川大雪酒造をご存知でしょうか。

 

2017年にできたばかりの酒蔵のお酒が、数々の鑑評会で評価され、その名を全国へと広めています。

 

そんな上川大雪酒造のお酒、ネットではなんと定価の5倍の値がつくこともあるんです。その理由は、この酒蔵のコンセプトにあります。

 

わかりやすく一言にまとめるのであれば、「飲みたいなら上川町に来て」なのです。

ネットショップで定番のラインナップは全国から買えるのですが、プレミアがついている酒は、北海道上川町に訪れなければ買うことができないのです。

今回は、このマチでしか味わえない貴重なお酒ばかりをご紹介していきますよ。

 

知名度が上がっているにも関わらず、生産量は酒税法が定める最低ギリギリのライン。しかも、そのほとんどが北海道の特約店(メーカーと直接契約を結んだお店)のみで販売されています。

 

そんな上川大雪酒造に、プレミア日本酒が集う「ギフトショップ」がオープンしたとの情報をキャッチしたので、早速上川町に飛んできました。

 

日本酒が町を元気にする

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レアな日本酒に目がない、メシ通レポーターの裸電球です。

 

さて今回は、知る人ぞ知る話題の酒蔵「上川大雪酒造 緑丘蔵」にやってきました。

 

オンラインショップがあり、全国どこでもこちらのお酒は買えるのですが、ここ上川町でしか買えないお酒があるとのこと。

 

私も東京のグルメな友人から「ねえ、そっちで普通に買えるの? 送ってくれない?」と電話を受けたことで、首都圏では手に入らないのかと驚きました。

 

だって、こっちではそんなプレミアのついたお酒が、普通にコンビニで売ってるんですもの。

 

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北海道の上川町は、旭川市から車でおよそ1時間。大雪山(だいせつざん)国立公園の麓にある人口およそ3550人の小さな町です。観光地としては年間200万人もの観光客が訪れる「層雲峡(そううんきょう)温泉」があることでも有名です。

しかし、町内が人で賑わっているかというと、正直なところ課題が残る部分も。

そんな上川町に「お酒を通して、全国・世界からも人を集よう」というのが、今回ご紹介する「上川大雪酒造」の考え方なのです。

 

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全国的に見ても酒蔵は減っていく一方。そんな中、上川大雪酒造は日本で最も新しい酒蔵として2017年に産声をあげました。

 

しかもそのやり方がすごい。発想がすごい。

 

お酒を造る以上、酒税法が絡むため、免許が必要です。その免許を新設の酒蔵が取得するのは、ものすごくハードルの高いことだそうです。

 

そこで着目したのが、三重県の酒造会社。とはいっても、ここはもう酒造りはおろか、蔵さえも存在していない状態でした。この酒造りの「免許」は取得しつつも、お酒を製造していない酒蔵を、なんと上川町に「移転」させて、上川大雪酒造として設立するという、前代未聞な方法をとったのです。

 

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▲上川大雪酒造の杜氏(とうじ) 川端 慎治さん

 

酒蔵において、お酒造りの最高責任者である杜氏。そしてこちらの川端杜氏は、日本酒を愛する人たちにとって知る人ぞ知る存在。以前いらっしゃった道内の新十川町・金滴酒造時代には、手がけたお酒が全国新酒鑑評会で金賞を受賞。その腕前から「カリスマ杜氏」としての評判も名高い方です。

 

私もこれまでに、テレビのインタビューに答える姿を度々見ていました。なので、このインタビューも大変緊張したのですが、厳しさの中にも優しさがキラキラ。色々なお話を伺いました。

 

どうして上川町でなければならなかったのか

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酒蔵が無かった町でお酒を造る。そのプレッシャーで心休まる暇がなかったと川端さんは当時を振り返ります。知識と経験はあるものの、スタッフのスキル、設備や規模など、これまでとは全く違っていたからです。

 

歴史ある酒蔵が「よりよい酒を造る」のと、新設の酒蔵が「よい酒を生み出す」のは、天と地の差があるそうです。

 

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では、なぜそんな苦労をしてまで選んだ場所が「上川町」だったのでしょうか。そこには深い理由がありました。

 

川端さんはまず、日本酒造りに欠かせない「米と水」に注目しました。

 

日本酒に使うお米は、全国的に知名度の高い「酒造好適米(お酒造りを目的に作られたお米)」を購入して使うのが一般的でした。そんな中、上川大雪酒造がこだわったのが、北海道のお米、特に上川地方のお米でした

 

もともと北海道のお米がお酒に使われなかったことには理由があり、川端さんも「昔の北海道米では美味しい酒は造れなかった」と振り返ります。しかし、北海道のお米の質は近年メキメキと上がり、今では全国のブランド米と戦えるレベルへと成長しました。

 

上川大雪酒造では「吟風」「彗星」「きたしずく」の3種類の酒造好適米を使用。これらのお米は同じ町内で生産されたもので、日頃から顔を合わせる生産者から仕入れている点もポイントです。

 

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そして酒造りに外せない、もうひとつの大きな要素が仕込み水。上川大雪酒造では、大雪山国立公園の麓の天然水を使用しています。

 

こちらの天然水は、お店で売られているほどの高品質。そんな天然水を贅沢に使用しているので、美味しいお酒ができるというわけです。

 

「原料以上のものは造れない、ここにはそれがある」という川端さんの言葉が響きます。

 

上川町でしか買えないお酒

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そんな上川大雪酒造のお酒や日本酒に関するグッズが買えるお店が、このたびオープン。観光地・層雲峡温泉が近いので、バスが乗り付けられる観光スポットを作ったのかと思いきや、そうではありませんでした。

 

中は落ち着いた洗礼された空間。本当にお酒が好きな人が、休日にこっそり通うような雰囲気です。

 

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▲雫取り 5,500円(税込)

 

ここで冒頭に書いていた「ここ上川町でしか買えないお酒がある」という話に繋がってきます。上川大雪酒造は手造りの伝統的な手法の酒造り。大きな仕込タンクもありません。

 

「ありがたいことに本州からもたくさんの問い合わせがあるが、そもそも量を造れない」と川端さん。しかも造ったお酒は、ギフトショップを始め、上川町内の酒屋やコンビニ、北海道の酒屋に優先して卸していくので、北海道以外では品薄になるのだそうです。

 

飲みたい人は上川町に買いに来て欲しい。そのコンセプトがしっかりと機能しているのです。ギフトショップでしか買えないお酒、私もちょっと晩酌用に……!! 

 

東京ではプレミア、上川町では当たり前

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 ▲斉藤商店 北海道上川郡上川町中央町579 

上川町に来て買って。そのコンセプトはこんなところにも。こちらは駅前にある昔ながらの酒屋さん。ちょっと覗いてみましょう。

 

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 ▲「神川」 純米 1,320円(税込)

こちらが今、なかなか手に入らないと話題の「神川」シリーズです。

先ほどご紹介した酒蔵の横にあるギフトショップですら、売っていません。欲しい人は町の酒屋へ。すごいでしょ? 徹底してるでしょ? 

 

このお酒が美味しいと瞬く間に評判になり、北海道内のあちこちから人が集まってくるのです。これも晩酌用にっと……。それに友達用にも……。妻の実家にも……。

 

レアなお酒で素敵な晩酌をメイク

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▲「上川大雪」吟風特別純米 1,936円(税込)

 

お刺身と合わせたのは、上川町のギフトショップでしか買えない特別純米の生酒。さっそく一口。

 

おおお! 芳醇で口当たりは柔らかく美味しい! 

 

華やかさが、心地よい長さでスッと抜けていき、お米の甘み、旨みが広がります。

 

お酒だけ飲んでもちろん美味しいのですが、刺身と合わせた瞬間に、驚きの変化が。

さっきまで「主役」だったお酒が、今度は肴の美味しさを引き立てる「裏方」に! 

 

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▲「神川」 純米吟醸 1,980円(税込)/「神川」 純米 1,320円(税込)

 

地元の酒屋さん・コンビニでしか買えない、「神川シリーズ」からは、純米と純米吟醸を。こちらも本当に美味しい。 

 

水がいい、米がいい、上川町の自然がいい、その全てをギュっと凝縮した味わいです。

 

飲兵衛な意見としては、よく「フルーティー」と例えられるような芳醇なお酒って、確かに美味しいんですけど、あまりたくさんの量を飲めないって感覚わかりませんか? 

その点、この「神川」は仲間とワイワイ、一晩中酌み交わしていられるような味わいです。

 

北海道弁でいう「飲まさる」お酒なのです。

 

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ということで、「上川町に来ないと買えない」お酒を造る上川大雪酒造をご紹介しました。北海道外の方は、まずはオンラインショップで是非。そこでこの味わいを知ったなら、よりディープに、よりレアなお酒がきっと飲みたくなるはずです。

 

是非、北海道の上川町で最高の1本をお買い求めください。

 

お店情報

上川大雪酒造 Gift Shop

住所:北海道上川郡上川町町25番地1
電話番号:01658-7-7380
営業時間:10:00~16:00(夏季)10:00~15:00(冬季)
定休日:火曜日・水曜日(祝日は営業)、不定休あり

kamikawa-taisetsu.co.jp

書いた人:裸電球

裸電球

北海道を拠点に食べ歩き。CATVでグルメ番組のレポーターを担当したことをきっかけに、ハシゴ酒が趣味となる。入りづらいお店に突撃するのが大好き。現在はフリーで、映像制作とライターの仕事をしている。

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