「玉ねぎ麹」とは
塩麹や醤油麹などは聞いたことがあっても、「玉ねぎ麹」は初めて聞く方も多いかもしれません。
最近、発酵好きや麹好きの間で徐々に話題になっている魔法の調味料です。
玉ねぎ麹とは塩や醤油の代わりに玉ねぎをメインに使って作る麹の調味料で、塩麹や醤油麹と違って玉ねぎの甘さや旨味が溶け込んでいるところが特徴的です。
お肉を漬け込んだり、そのままドレッシングとして使っても美味しく、まさに「簡単で美味しい」を作ってくれる魔法の調味料なのです。
玉ねぎ麹のレシピ
玉ねぎ麹作りは非常に簡単です。
まず材料となるのは、塩、麹、そして玉ねぎの3つだけ。
準備するのもとても簡単です。
分量は、
- 玉ねぎ 300g(中くらいの玉ねぎを1個半)
- 乾燥麹 100g(スーパーで売っています)
- 塩 35g(お好みの塩でどうぞ)
たったこれだけ。作り方もとても簡単で
- 麹と塩を合わせる
- 玉ねぎをすりおろす
- 上記の1.と2.を合わせて混ぜる
- きれいな保存容器に入れて、常温で1週間ほど寝かせる
- 完成
……と、とても簡単にできてしまいます。
料理が苦手な人でも作れちゃうのがオススメしたいポイントのひとつですね。
玉ねぎ麹を作ってみた
では、実際に作ってみましょう。
まずは玉ねぎの皮をむき、すりおろしやすいように半分に切ります。
このとき、玉ねぎの芯の部分を先に落とすとすりおろしが大変になるので必ず残してくださいね。
うっかり芯を落としてしまうと、すりおろしがとてもイライラする作業になってしまいます。
大きい玉ねぎであれば1個で300gありますが、中ぐらいのサイズだと1個半で300gでした。
続いて玉ねぎをすりおろしていきます。
この作業が玉ねぎ麹作りのなかで一番の難所でしょう。
意外と力が必要です。
玉ねぎはすりおろしていくと泣けてきますね。
これは生産者への感謝の気持ちがこみ上げてきて、自然と涙するわけではなく、玉ねぎの中に含まれている硫化アリルの成分がすりおろされることで空気中に舞い散り、鼻や目の粘膜を刺激します。
すると目に染みて涙が出てきてしまうのです。
生産者への想いはそう簡単に自然とこみ上げてきませんから、意識して感謝しましょう。
半玉すりおろしました。筆者は既に目に涙を浮かべています。
ちなみに玉ねぎをよく冷やした状態ですりおろすと、硫化アリルの飛び散りが抑えられて目に染みにくいそうです。
目に染みるのが嫌な方は玉ねぎを冷やしてからすりおろしてみてください。
すべてすりおろしました。
これで玉ねぎ麹作りの山場は越えました。
すりおろしをすると、芯の部分がどうしても少し残ってしまいますね。
このまま捨ててしまうのはもったいないですから、使えるところはみじん切りにしてしまいましょう。
なるべく余すことなく使い切るのが本当の意味で生産者への感謝に繋がりますね。
みじん切りはあまり細かくなくても大丈夫。
発酵されることで勝手に小さくなりますので、大きさは写真くらいの感じで良いと思います。
続いて麹を100gです。
麹はスーパーで「乾燥麹」として売っていますので、手に入りやすいものでかまいません。
こんな感じで板状になっているタイプの乾燥麹であれば、まずはしっかりとほぐしてあげましょう。
これくらいバラバラになったらOKです。
続いて塩を加えていきます。
塩 35gです(※お皿の重さは除いています)。
塩の銘柄や産地によって微妙に味が変わると思います。
基本的にはお好みの塩を使えばいいと思いますが、ミネラルの豊富な海塩や藻塩などを選ぶとヘルシーで良いでしょう。
塩を麹と丁寧に混ぜ合わせていきます。
この作業を「塩切り」とも言うそうで、お味噌作りなどでは必須の作業になります。
麹の発酵がスムーズに行われるために必要な作業だそうです。
めんどくさがらずにしっかりと混ぜ合わせてあげましょう。
次に、すりおろした玉ねぎと合わせていきます。
ちなみに混ぜ合わせる作業は素手で行っていますが、作業の前にしっかりと手を洗っていれば素手で混ぜ合わせてもOKです。
むしろ素手で混ぜ合わせた方が個人的には良いと思っています。
自分自身が持っている常在菌も混ぜ合わさることで、より美味しい玉ねぎ麹となる気がしています。
もちろん雑菌が入ってしまう恐れもあるので、気になる人はポリ手袋をつけたり、ヘラなどで混ぜ合わせましょう。
混ぜ合わせが完了しました。
きれいな容器に移して常温で寝かせます。
寝かせていると麹菌が玉ねぎの成分をエサに発酵を始めてくれます。
1週間~10日ほど寝かせてください。1日1回程度かき混ぜてあげると発酵が進んで、より美味しくなります。
また、蓋は密封してしまうと空気が入らずに発酵が起こらなくなってしまいます。
蓋は軽くのせておく程度にしてください。
玉ねぎ麹の完成
1週間ほど寝かせた玉ねぎ麹です。
きれいなピンク色になりました。
玉ねぎ麹は発酵していくと色が変わっていきます。
これは玉ねぎに元々含まれる色素や発酵の過程で色が染まるようです。
以前、麦麹で仕込んだ時は茶色になったので面白い変化です。
玉ねぎの品種により色素の強さが違ったり、麹の種類によって色の変化があるようです。
また、仕込んだときよりも香りが変わっていて甘い匂いもしますね。
発酵が終わったら冷蔵庫で保存するようにしましょう。
保存期間は仕込んだ時期や発酵の具合によって差がありますが、1カ月~3カ月の間で使い切りましょう。
(※カビが生えたり、匂いが変わってしまったり、酸っぱくなっている場合は傷んでいる可能性が高いので捨てましょうね!)
「簡単で美味しい」漬け込むだけ料理例・玉ねぎ麹のチキンステーキ
【材料】
- 玉ねぎ麹 大さじ1
- 鶏もも肉 1枚(約250g)
簡単で美味しい玉ねぎ麹レシピといえば、王道のチキンステーキが良いでしょう。
鶏もも肉に玉ねぎ麹をすり込んで半日ほど漬け込むだけです。
▲鶏もも肉1枚に対して玉ねぎ麹を大さじ1杯
▲玉ねぎ麹をまんべんなく広げます
▲ビニール袋に入れてしっかりと揉み込む
これを豪快に焼き上げた玉ねぎ麹のチキンステーキが最高に美味しいのです。
▲玉ねぎ麹が焦げやすいため、火加減に注意しながらしっかりと火を通す
どうでしょうか?
このボリューム感のあるチキンステーキ。
塩麹や醤油麹と違って、玉ねぎの甘味と旨味が鶏肉の旨味と合わさって相乗効果を生み出します。
また、玉ねぎ自身に含まれる酵素の力でより柔らかくてジューシーなチキンステーキにしてくれます。
この時は鶏もも肉を30分程度の漬け込み時間で焼いてみましたが、それでもしっかりと味がついていて美味しかったです。
ちなみに栄養士からのアドバイスとして、お肉とご飯だけではバランスが悪いのでしっかりと定食スタイルで副菜やみそ汁をつけるのを忘れずにしましょう。
自宅で過ごす時間が増えたからこそ、自分で育てることができる麹を使った調味料は作るのも食べるのも楽しいです。
ぜひ一度、チャレンジしてみてくださいね!
書いた人:パーソナル栄養士いっしー
パーソナル栄養士、エキスパートファスティングマイスター。大学卒業と同時に栄養士を取得。「タニタ食堂」で勤務し、健康な方へより健康的な食事を提供する経験をする。 退職後、かねてより夢であった世界一周の旅に出発。世界中の有名料理から地元人しかいないようなローカル屋台飯まで食べ歩き、各国の市場やファーマーズマーケットに足を運んで食文化に触れる旅をする。 帰国後、フリーランス栄養士として「食の力で楽しく健康に」をテーマに「食べる楽しみ」を伝える活動をしている。
- 公式ブログ:パーソナル栄養士石川威弘の公式ブログ