「ステーキの達人」に自宅で焼くためのコツを聞いてみた ホットプレートが合理的な理由とは

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数℃単位、数秒単位で「狙ったステーキ」を焼くポイント

お店レベルの絶品ステーキを自宅で再現してみたい! しかしシンプルな料理だからといってそれがカンタンというわけではありません。ましてや求められる水準が以下のようなものであればなおさらです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:ウチのステーキは240℃で表面1分5秒、裏面10秒で提供しています。焼く際の温度管理が一番のキモですかね。

 

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いやいや、理屈としてはわかりますけど、それを自宅の台所でマネするにはめちゃくちゃ難しいですよね? 

そんなこちらのギモンに対し、オーナー兼シェフの赤久保良次さんは「カンタンですよ」とあっさり答えてくれた。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:ホットプレートを使えばいいんですよ。

 

「アメリカの遺伝子が受け継がれた街」は、埼玉にあった

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みなさんこんにちは。メシ通ライターの飯炊屋カゲゾウです。

ジョンソンタウン」という埼玉県(入間市)の観光スポットをご存じでしょうか?

 

johnson-town.com

 

もともとは磯野農園に建設された日本家屋の住宅地でしたが、1954年頃から米軍のジョンソン基地(現航空自衛隊入間基地)の駐留軍家族のために米軍ハウスが作られ、アメリカナイズされた街並みへと変貌していきました。

 

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米軍の引き上げ後、一時住宅街としては廃れてしまうものの、2004年頃からここを運営する磯野商会により古い住宅が手直しされ、昔の面影を取り戻しました。

 

さらに新たなハウスも建て増しされ、住宅だけではなく、飲食店や雑貨店なども次々にオープン。現在では他県からも観光客が訪れる話題のスポットとなっています。

 

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いろいろな意味でアメリカンなこの街。その中でも最古参の店舗のひとつであるEAST CONTENTS CAFE(イーストコンテンツカフェ。以下、“ECC”と略)というお店にお邪魔してきました。

 

www2.tbb.t-com.ne.jp

   

アメリカンなダイナーの看板メニューはもちろん「ステーキ」

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細部まで凝ったアメリカンテイストの内装は、ほとんどがオーナーのDIYによるものです。80年代のアメリカのダイナーがコンセプトになっており、この街を象徴するようなお店になっています。

 

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ECCはこれまで映画やMVのロケ地としてたびたび使われ、テレビや雑誌などのメディアに何度も登場しています。

 

そして開店当初からの看板メニューであり、多い日には30枚以上もオーダーされるというのが、この「EAST BEEF STEAK(イーストビーフステーキ)」。

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▲イーストビーフステーキ (1,700円/ディナー時は単品の価格。ランチ時はライス・スープ・ドリンク付き)

 

冒頭、裏面を10秒だけ焼くと書きましたが、火入れの時間が短いのは、ステーキを熱々の鉄板皿にのせて提供するからです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:はじめはレアで、後半はウェルダンで楽しんでもらいたいですね。

 

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皿の上でも熱が入っていくため、お客さんは食べている間に、レア>ミディアム>ウェルダンへの焼き加減のグラデーションを楽しむことができます。

 

──あ、すいません、念のためにお聞きしますが、ステーキに使われているお肉は……?

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:もちろんUSビーフを使っています(笑)。

 

さて、このスペシャリテの作り方を赤久保さんから特別に手ほどきしてもらいました。

 

USビーフのサーロインを2cmくらいの厚みで

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【材料】

  • 牛肉/サーロイン・ステーキ用(200g)
  • 塩コショウ:適量
  • ガーリック&醤油ソース:適量
  • ポテト、ミックスベジタブル:適量
  • ニンニクチップ:適量 
  • 油(サラダオイルなど):分量外

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:肉はUSビーフのサーロインを使っています。オージー・ビーフと比べると少し値段が高いですが、噛み応えと柔らかさのバランスがいいと思います。冷めても硬くならないのがいいですね。

 

──他の産地の肉や部位はどうですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:自宅でやるなら、値段も手ごろだしおいしさがあるのでオージー・ビーフやもも肉などもオススメですね。噛み締められるので肉をしっかり食べた感もありますし。肉のチョイスはお好みで。

 

──サイズはどんな感じでしょうか?

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f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:店だと200gです。厚みは2cmほどです。肉は常温に戻しておいてくださいね。

 

──肉を焼く1時間くらい前から冷蔵庫から出しておいた方がいいのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:いやいや、牛の脂の融点は低いので、そんな前から出したら脂が溶けてベタベタになっちゃいます。厚みが2cmくらいのものであれば、焼く10~15分前、夏場だったら5分くらい前で大丈夫です。

 

ステーキ皿を用意しておくと、もっとステーキを楽しめる

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f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:肉が常温に戻るタイミングを見計らって、ステーキ用の鉄板皿に油を引いて強火でチンチンにしつつ、付け合わせの野菜ものせましょう。

 

──熱した皿の上でジュウジュウいってるステーキって、それだけで胸踊りますもんね。でも私、自宅にステーキ皿なんて持ってないんですよ……。

 

 f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:本当は鉄製のステーキ皿で食べてもらいたいんですが、ご自宅にないときは、もちろん普通のお皿でかまいませんよ。その場合、お肉の裏面の焼き時間を30秒にしてもらえばいいと思います。

 

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──付け合わせの野菜で何か下準備しておくことありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:店ではポテトは素揚げし、冷凍のミックスベジタブルは一晩冷蔵庫で解凍しています。

 

──やっぱりミックスベジタブルが定番なんですかね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:ご自宅用なら、付け合せの野菜はお好みのものでどうぞ。例えば冷凍ポテトはレンジで温めて、ミックスベジタブルの方はステーキを常温にしているときに、一緒に軽く解凍するくらいで大丈夫ですよ。

 

自宅でステーキを焼くのにホットプレートが最適な理由

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焼く直前、お肉の両面に塩コショウをしたら、240℃でキープしていたホットプレートの鉄板にライドオン!

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:フライパンと違って温度帯の管理が明確なので、ご自宅ではホットプレートで焼くことをお勧めします。ここで気を付けるのは焼き時間のみ。その方が合理的だし、簡単にマネできますよね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:ウチのステーキは240℃で表面1分5秒、裏面10秒(※熱したステーキ用の鉄板皿で提供の場合)で提供しています。一応タイマーは使ってますけど、肉をつまみ上げたときの水分の抜け具合でだいたい焼き加減がわかるようになりました。

 

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アラームが鳴ったら素早く裏返し、表面をもう10秒焼く。その後すぐにステーキ皿に移し替え仕上げへ。自宅に鉄製のステーキ皿がない場合は、最初に裏面を焼くときの時間を30秒で。

 

仕上げのソースには隠し味で醤油を

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肉にどんどん熱が入ってしまうため、ここからはスピード勝負。

お店特製のソースをかけると、皿に触れたところからじゅっと香ばしい香りが立ち上がります。ニンニクチップを振りかければ完成です。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:お店のソースは醤油とよく炒ったローストガーリックがベースになってます。さすがにこのソースのレシピは内緒にさせてください(笑)。ご自宅用ならお好きな市販のソースでいいと思います。

 

──あ、お店のソースには少しジャパニーズも入ってるんですね(笑)。では、市販のソースを使うときになにかポイントってありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:商品にもよりますけど、市販のソースって粘度が高いものが多いので、ステーキ皿にこぼれると焦げたりダマになったりしちゃいます。そうなるとおいしくないので、ソースに醤油を1/3ほど足してサラサラにするとあまり焦げ付きませんよ。

 

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──なるほど、市販のものは熱々のステーキ皿上で使われることを想定してないものと思われるので、このひと工夫は良さそうです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:でも、粘度が高めのソースが好きだということなら、鉄板の上にココットみたいなものを準備して、そこでひたしながら食べればいいと思います。

 

イーストビーフステーキをいざ実食!

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切り始めはレアになっています。2cmとさほど肉が厚くないのと、USビーフが柔らかいため「ガッツリ系」というよりは「サラリ系」。パクパクいけちゃいます。

 

ソースはただでさえ食欲をそそる深煎りニンニクに醤油が入っているわけですからね。

日本人なら遺伝子レベルから心震える王道の味付けです。

 

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後半になると赤久保さんの狙いどおり、肉にしっかり熱が入ってウェルダンに。

軽やかにいただけるステーキなので、おそらく少食の方でもペロリと食べ切ってしまうことでしょう。200gしっかりいただいたはずなのに食後感も重くありません。

 

昼間はカフェ、夜はフード&バー

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もともと赤久保さんは、昼は建築・土木系で汗を流し、夜は修行のためバーでアルバイトをしていました。5年ほど資金を貯めて、2000年に一件目のバーを隣町で開業。

 

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その後、ジョンソンタウンの運営会社から誘われ2008年にECCを開業しました。 

ECCは昼間はカフェの営業ですが、夜はフードに加えてバーとしての利用もできます。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:バーテンダーの経験があるので、カクテルは100種類くらいご用意しています。

 

なので夜に訪れてお酒だけの利用もOK。イーストビーフステーキを始めとするフードメニューは夜も置いてあるので、食事も普通に楽しめます。

 

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▲もう一つの看板メニューであるビーフペッパーライス(1,270円/ディナー時は単品価格。ランチ時はスープ・ドリンク付き)

 

本物のアメリカンダイナーがここにある

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ECCに遊びに来たのであれば、ぜひ凝りに凝った内装にも注目してほしいと思います。遊び心が随所にありつつも備品や作りが本物なので、本当にアメリカのダイナーに迷い込んでしまったかのような錯覚に陥ります。

 

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前述のとおり赤久保さんは建築系で働いていた経験もあるので、内装のほとんどが自身の手によるもの。よく見るとニヤリとしてしまう仕掛けや、感心してしまう装飾も。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:例えばバーカウンター下の化粧板は、米軍ハウスが解体されたときの廃材をもらって貼り付けたものです。それこそ70年前は外壁だったものです。

 

梁にある照明もまた然り。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:その照明のガラスとフレームは、日本家屋が解体されたときにもらって加工して取り付けましたね。

 

トム・クルーズの映画『トップガン』に出てくるようなダイナーにしたかった

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──このお店をアメリカンダイナーにしたのは何か理由があったのですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:まずせっかくジョンソンタウンの中なので、街の雰囲気に合ったお店にしたかったというのはありますね。

 

──いやほんとこの街にピッタリのお店だと思います。ここを作るときに何かお手本とか参考にしたものはあったのですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:昔トム・クルーズが主演して大ヒットした『トップガン』っていう戦闘機のパイロットの映画があるんですけど、そこにダイナーが登場するシーンがあるんですよ。ここも空軍基地でしょ。

 

──なるほど、ジョンソンタウンと親和性がとても高くて必然性もありますね。

 

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f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:まあ、映画の方は厳密にいうとネイビー(海軍)の話ですけど。

 

──映画はもちろん私も当時観ましたが、ダイナーのシーンってどんな感じでしたっけ?

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:映画のラストにトム・クルーズがそのダイナーでビールを飲んでいる場面があって、そこに出てくるようなお店にしたかった。だから私の後ろにあるこの白いブラインドはまんまその影響です(笑)。

 

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 ──店内の壁にはいたるところにレトロアメリカンなプレートがありますね。その他ジュークボックスや冷蔵庫などの渋いアンティークもかっこいい。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:20代の頃からいつかこういうお店をやりたいと思って、プレートとかはちょっとずつ集めてましたね。

 

──開業に合わせて集めようと思ったら、これだけの品数を一気に揃えようというのはムリですもんね。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:近くに福生(米軍横田基地)があるので、アメリカ軍の放出品を扱ってるお店もいろいろ巡りました。

 

──備品も多くは「本物のアメリカ」なんですね!

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:あとジュークボックスなどの大きなものはオークションとかで落としてます。

 

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壁にかかるこちらのビンテージギターは「Stella(ステラ)」といって、あの『ティファニーで朝食を』でオードリー・ヘップバーンが劇中で奏でていたものと同じ型だそうです。こちらもオークション落札品で額装は赤久保さんが自ら製作。

 

f:id:Meshi2_IB:20190628181930p:plain赤久保さん:プレートとかもそのままじゃなくて、削ったりわざと汚したりしてエージング加工してから貼ってますよ。

 

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建物も内装も備品も、ディテールまでこだわり抜いてこの店は出来上がっていました。

「日本の中に本物のアメリカンダイナーがある!」といって差し支えないお店だと思いました。

 

赤久保さんのステーキが食べたくなったらジョンソンタウンへ

また片隅にはPA機材やスピーカーも。大人が楽しめる遊び場を提供したくて、時折LIVEなども開催されるそうです。

 

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店の隅々までオーナーの熱情と愛情がみっしり詰まったこのお店。訪れた際はお酒や食事だけではなく、内装までじっくり味わえばさらに楽しさは増すと思いますよ。

 

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ジョンソンタウンは商業店舗が多く、エリア全体でも楽しめます。

また夜は夜で各店舗がライトアップされ、昼間の様子からはガラリと雰囲気が一変。夜のECCも格好いいです。

 

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遠方から来られる方は、ジョンソンタウンやお店のHPで時間帯をじっくり吟味してから来訪することをオススメします。

 

お店情報

EAST CONTENTS CAFE(イーストコンテンツカフェ)

住所:埼玉県入間市東町1-7-3
電話:04-2937-4710
営業時間:ランチタイム 11:00~15:30(LO 15:00)、ディナータイム 17:30~00:00(LO 23:15)
定休日:月曜日 

www.hotpepper.jp

 

書いた人:飯炊屋カゲゾウ

飯炊屋カゲゾウ

1974年生まれの二女一男のパパ。共働きの奥さんと料理を分担。「おいしいものはマネできる」をモットーに、料理本やメディアで紹介されたレシピを作ることはもちろん、外で食べた料理も自宅で再現。家族と懐のために「家めし、家BAR、家居酒屋」を推進中。「双六屋カゲゾウ」名義でボードゲーム系のライターとして活動中。「子育屋カゲゾウ」名義で育児ブログも更新中。

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