メシ通レポーターの森が今、気になっている料理ナンバー1は、燻製料理!
そもそも燻製料理とは何かといいますと……。様々な食材を木材などを使って燻し、食材に風味を加える調理法のこと。身近な燻製の例としては、ベーコンやスモークサーモンがありますが、他にもバナナや豆腐など多種多様な食材を燻すことで、一味も二味も違った美味しさを引き出すことができるのだとか。
燻製が気になり出したきっかけは、燻製料理を楽しむ同棲カップルを描いた漫画『いぶり暮らし』。
「燻製って時間と手間がかかる」、「アウトドアで楽しむもの」、「渋い大人の味で、とっつきにくい」といった燻製に対するイメージを見事にくつがえしてくれました。
『いぶり暮らし』を読んでいくうちに、燻製にもいろいろな種類があり、簡単なものは家の鍋やカセットコンロを使って短時間で作れるということ、燻製は食材本来の旨味を引きだす調理法であることがわかり、俄然、燻製料理への興味がわいていったのです。
何より『いぶり暮らし』に登場する、同棲カップルの巡と頼子の燻製ライフがすごく楽しそうで憧れてしまいました。まったりと2人の休日を楽しみながら、今日燻製にして食べたいものを相談し、食材を燻している間、仲良くゲームをしながら待って、できあがった燻製を「おいしいね」と言いながら食べる……。くぅ~、なんて幸せな休日の過ごし方なんだ! 『いぶり暮らし』は美味しいものをじっくりと、時間をかけて作る喜びを思い出させてくれます。
グルメ漫画『いぶり暮らし』の魅力
それでは、そんな『いぶり暮らし』の中身を少しだけ!
今回は燻製カレー特集ということで、第1巻の燻製を使ったカレーの話をご紹介します。
同棲カップルの巡と頼子は、2日目のカレーを美味しく食べる方法を考えていました。スーパーで安いひき肉を見つけ、ひき肉を燻して、カレーに入れて、キーマ風カレーにしよう! とひらめきます。
さっそく家に帰って、燻製を作り始めます。
スモークウッドを燃やして、鍋の底に置き、その上にひき肉と玉子をセット。
少し隙間をあけた状態でフタをしたら、燻す準備完了!
たったこれだけで、玉子とひき肉の燻製はできるんですね。意外とお手軽です。
30分くらいで、燻製が完成!
ほわっといい香りが漂います。
頼子によれば「炒めただけではでない香り」。
この燻製の香りはカレーの中に入れても消えず、あまりの良い香りに「食べる前から美味しい」と巡が名言を発します。
カレーに燻製玉子と燻製ひき肉を投入!
キーマカレーといえば、やっぱり玉子が必須ですよね。
しかも燻製玉子っていうところが贅沢。2日目のカレーの中でいい感じにとろとろになったお野菜と燻製ひき肉が混ざって……。う~ん、見てるだけでたまらない!
待ちに待った一口目。
辛くても、燻製の香りをしっかり感じることができるようです。
2人とも思わず目を閉じて、味をかみしめています。
©大島千春/NSP 2014
「うめーっ!!」って思わず叫んじゃう美味しさ……。
2人とも幸せそうな笑顔までシンクロしています。
「“隠し味”じゃなくて、ちゃんと両方が活かされた美味さ!」、それ素敵です……。
たいていのものはカレーに入れると、カレーの風味に負けて、隠し味になってしまいますが、燻製はカレーの濃さに負けずに主張しつつ、マッチするんですね。
作者・大島千春先生に直撃!
なんと、『いぶり暮らし』を描いている作者・大島千春先生がインタビューに答えて下さったので、ご紹介します!
──燻製カレーの魅力を教えてください。
カレーのスパイスに薫香が混ざると、とても味わいが深くなります。
私は、ひき肉を燻してキーマカレーのようにして食べましたが、熱々を口に運ぶと鼻からふわっと燻製の香りが抜けます。おいしい!!!
──今まで作った中で、特にお気に入りの燻製料理を教えてください。
カレーや肉まん、ハンバーグ、餃子等、「ひき肉と燻製の組み合わせ」が大好きです。ソース系に混ぜるとふんわり薫るし、ハンバーグや肉まんは一口ごとにガツンと>香ります。
──カレーに入れるのにおすすめの燻製の具材を教えてください。
ひき肉しかやった事がないです。……が、肉のように油っ気があるものは上手くいきやすいです。
ルーも油で固めてあるので、ルーを燻して好きな食材でカレーを作るのもアリですね。
──『いぶり暮らし』を描く上で特に大切にしていることを教えてください。
絶対に、自分で実際に作ってみる事です。
実際に作ってみようと思ってくれた人の為に、どこが難しかったか・どうすればもっと簡単にできるかをよく考えます。
──これから燻製作りを始めたいと思っている人へのメッセージをお願いします。
ベーコンにするためのでっかいお肉やお刺身など、スモーカーに入れるには勇気の要るものがあります。
いきなり難しいものに挑戦して失敗してしまうより、
まずはソーセージや玉子など、簡単に短時間でできるもので試してみるのをオススメします。
大島先生、どうもありがとうございました!
毎回、燻製を自分で作って、読者に使える情報を提供しようとされているんですね。
真心をこめて作品を描かれていることがよくわかりました。
また、今回の燻製はどこがどう美味しいのか細かく魅力的に描いていらっしゃいますし、燻製の上手な作り方も本当に丁寧に描写されています。
読むだけでも楽しいし、実際に燻製を作る際にも役立つ情報が満載の読んで作って二度楽しい素敵なグルメ漫画です。
『いぶり暮らし』、ぜひ読んでみてください!
『いぶり暮らし』は「WEBコミックぜにょん」にて好評連載中!
『いぶり暮らし』(第①巻~④巻)発売中
大島千春
定価:本体580円+税
発売:徳間書店
手軽に燻製カレーを味わえる「くんかれ」へ
『いぶり暮らし』のように自分で燻製を作る暮らしにも憧れますが、とりあえず、一刻も早く燻製料理を味わってみたい! ということで、燻製料理のお店「くんかれ」に行ってきました。なんと、カレーのルーとカレーに乗せる具材の両方を燻製しているのだとか。
というわけで、やってまいりました、「くんかれ 人形町本店」。人形町本店の最寄り駅は人形町駅と水天宮前駅。お店の近くには水天宮があり、周辺はオフィス街のようですが、雑貨屋さんやカフェもあったりして、おしゃれな雰囲気も漂っています。
それにしても「くんかれ」のロゴの文字とおなべのイラストは、とってもかわいくて親しみが持てますね。
扉を開けてビックリ! 内装がおとてもしゃれです。
赤い壁に黒いイスの組み合わせが粋です。ニューヨークスタイルの内装なのだとか。
これなら女性も入りやすいですね。
実際、女性のお一人様も結構いらっしゃるのだとか。
お客さんの男女比は男性:女性=6.5:3.5くらいなんだそう。
年齢は30~40代が多いのだとか。
ちょっと大人な男女が燻製を楽しむお店なのですね。
お店では「くんかれ」を運営する「株式会社プレミアムダイニングアンドパートナー」の代表取締役・宮島一人さんが取材を受けてくださいました。
まずは実食してから、お話をうかがおうということで、カレーの辛さを決めてオーダーすることに。
「あのぅ……。私、ちょっと辛いのが苦手でして……」
中辛までなら平気で食べられることが多いのですが、中辛がかなり辛いお店もあるので、初めてのカレー店ではとりあえず甘口を食べることにしています。
とはいえ、大人な味の燻製と甘口のカレーはミスマッチなのではと心配していたところ、「甘口の方がむしろ燻製の風味がよくわかっておすすめですよ」と宮島さん。
あまり辛口すぎると、燻製の味は辛さにまぎれて、わかりづらくなってしまうのだそう。
なるほど!
そもそも、こちらの燻製カレーは燻製の味わいを引き立てるために玉ねぎをたくさん入れて、甘めな味にしてあるんですって。ルーもこだわり抜いて作られているのですね。
それでは、いよいよ実食。
一番好評の「燻製全部のせカレー (980円)」を甘口でオーダー。
なんだこれ! うますぎる~!
一口食べた瞬間、衝撃が走りました。
すごく深みがある味。
食欲をそそる香りも最高。
こんなカレー食べたことない。
というか確かにカレーなんだけど、普通のカレーとは全くの別物です。
私、久しぶりに食べ物で感動しました。
なんてったってトッピングだけでなく、ルーまで燻製にしているので、一口ごとに薫香が口の中に広がります。ああ、最高!
ルーはさらさらしていて、スープカレーに近い感じです。
トッピングは、燻製されたチキン、チーズ、玉子、ベーコン。
どれも食材の旨味が濃く引き出されています。
ほどよく溶けたチーズに、噛めばじゅわっとジューシーなベーコン、とろっとした半熟で濃厚な黄身の玉子、こんがり焼き目のついたチキン……どれも素晴らしい。
いろんな味が楽しめるトッピングとルーを混ぜて口に運ぶたびに至福。
最後まで飽きず、ペロリと完食してしまいました。
いや~美味しかった!
「くんかれ」にハマったお客さんの中には週一でお店に通う人もいるのだとか。
わかる! だって濃厚で、独特で癖になる味ですもん。
とにかく燻製カレーの魅力は絶対に食べてみなくちゃわからないですね。
食べたら、この味がドンぴしゃな人は絶対、「なんでもっと早くこの味に出会わなかったんだ」と後悔すると思います。
ところで、こんな魅力的な燻製カレーは一体どういう経緯で生まれたのでしょうか?
燻製カレーを発明したのは、居酒屋さんのマスターだった方で、時々燻製料理を提供していたところ、お客さんに「カレーって燻製できないの?」と聞かれて挑戦してみたのだそう。
すると、思いのほか美味しい燻製カレーができて、評判のメニューになっていったのだとか。
そして、燻製カレーを食べた宮島さんがその美味しさに衝撃を受けて、作り方を学び、さらに万人受けする方向に味を調整して、今の「くんかれ」ができあがったのだそうです。
「くんかれ」では、燻製のおつまみと一緒にお酒も楽しめるんです。深い味わいの燻製とお酒の組み合わせは絶対にいけるはず!
ビール、ウィスキー、カクテル、ワインと幅広くお酒がそろっています。
特に注目すべきはワイン。
燻製料理と相性の良いワインを選んでそろえているのだとか。
どんなワインが燻製に合うのか宮島さんに聞いてみたところ、渋みがあって、濃いめの味のものが合うそうです。
燻製の味が濃いのでワインはあっさりめが合うのかと思ったけど、そうでもないのですね。カレーと燻製、濃い味同志の相性が良いようにワインも濃い味の方が燻製に負けず、いい感じのハーモニーを奏でるようです。
ワインとのマリアージュもぜひ体験してみたい!
こちら、「燻製盛り合わせ (2人前 980円)」。
この他にも燻製オイルのアヒージョなど美味しそうな燻製のおつまみがたくさんあります。
今回、燻製の魅力のとりこになった私は全種類制覇したいと思いました。
最後に宮島さんに今後の展望について聞いてみました。
「お店を広げていきたいということと燻製のギフトボックスを作りたいということですね」
燻製のギフトボックス。それ、絶対いいですよ。
プレゼントや手土産として最高じゃないですか!
『いぶり暮らし』では家でまったり手軽にできる燻製カレー、「くんかれ」では ルーから燻した本格燻製カレーをご紹介しました。
二通りの燻製カレーの楽しみ方、どちらもぜひ試してみてください。いつもと一味違う至福のカレータイムが待ってますよ。
お店情報
【閉店】燻製カレー くんかれ 人形町本店
住所:東京都中央区日本橋人形町1-12-11 リガーレ日本橋人形町A棟1階
電話番号:03-3664-3411
営業時間:ランチ 11:00~15:00(LO 14:30)、ディナー 17:00~23:00(LO 22:30)ただし、土曜日・日曜日・祝日は~21:00(LO 20:30)
定休日:不定休
ウェブサイト:燻製カレー くんかれ
※くんかれ大久保店、BAR & dining decora 63 恵比寿でも燻製カレーが味わえます。
※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。