【ソロ活】ぼっちの達人・朝井麻由美さんに聞く「ひとりぼっちでも楽しく生きる方法」

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“ぼっち”のプロ・朝井麻由美さんに聞く「ひとりぼっちでも楽しく生きる方法」【ソロ活の達人】

2035年には日本の人口の半数が独身になるというデータもあり、いまや男女ともに“ひとり”でいることは珍しくない時代。『ひとりっ子の頭ん中』(中経の文庫)『「ぼっち」の歩き方』(PHP研究所)などの著書を持つコラムニスト・朝井麻由美さん。

朝井さんは、ぼっちメシ、ぼっち飲み、ぼっち花見、ぼっち映画、ぼっち遊園地、ぼっちバーベキュー、ぼっちスイカ割り……ひとりで楽しみ、ひとりで生きることに大きな価値を見出し、ひとりで活動すること=「ソロ活」の素晴らしさを啓蒙(けいもう)しています。

ひとりっ子の頭ん中 (中経の文庫)

ひとりっ子の頭ん中 (中経の文庫)

  • 作者: 朝井麻由美,小山健
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2014/10/27
  • メディア: 文庫
 
「ぼっち」の歩き方

「ぼっち」の歩き方

  • 作者: 朝井麻由美
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

そんな朝井さんに、ソロ活の極意、ひとりぼっちでも楽しく生きる方法を聞いてきました。

 

ひとりっ子にありがちなこと

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── 私はきょうだいがいながら、ひとりで行動するのが大好きなのですが、朝井さんはひとりっ子だったことが、「ソロ活」好きであることと関係あると思いますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:思い返せば、ひとりっ子で常に家でひとり遊びをしていたことが今につながっている部分はあります。ただ、なかには「ひとりっ子で寂しかったから、みんなでワイワイするのを求める」と真逆のことを言う人もいるので、きょうだい構成が必ずしも関係あるとは言えないとは思います。家での原体験に満足しているかどうか次第なのかもしれません。私は家で黙々とひとり遊びをするの、楽しかったんですよね。寂しいと思ったこともないですし。

 

── ひとりっ子でよかったことや得したことはありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:家庭内で競争がないのはよかったですね。お菓子の取り合いもなければ、きょうだいと成績などを比べられることもない。また、兄や姉のお下がりばかりということもないのも、得かもしれません。でも、きょうだいがいればいたで、たぶん別のいいことがあったと思いますし……。

 

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▲「ひとりバーベキュー」のひとコマ

 

── なるほど。では、ひとりっ子だったことで悪かったこと、損したことはありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:主に「他人からの勝手な目線」が嫌でした。「ひとりっ子って寂しいでしょ?」とよく聞かれるんですけど、きょうだいのいる状態を経験していないので、比較はできないし、寂しいというのはよくわからないですね。また、「ひとりっ子はかわいそう」と、なぜかかわいそうがられます。自分としては、ひとつもかわいそうなつもりはないのに。「かわいそう」って“相手が自分よりも劣っている”前提でものを語る、見下した言い方ですよね……。あと、「ひとりっ子だからワガママなんだね」と決めつけられることも。きょうだい持ちの人が同じ行動をして、そんなにピックアップされないようなことでも、わかりやすくレッテルを貼られてしまう感じがありました。

 

── 「ひとりっ子ってこうだよね」というステレオタイプな見方をされてしまう、と。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:『ひとりっこの頭ん中』という本は、こういった自分が嫌だったことを人と共有したかったから書きました。ある意味、あるあるネタもレッテル貼りの延長になってしまう部分があるのですが、これってひとりっ子である自分が書くからこそできることで。ひとりっ子じゃない人が「ひとりっ子って●●だよね」と言うと決めつけ感が出ますが、ひとりっ子自身が言うと、自虐込みで“ひとりっこあるある”をまとめて面白がる、という方向にできると思いました。

 

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▲ひとり花見

 

── TOKIOの松岡昌宏さんや博多大吉さんがゲストとともに居酒屋さんで飲み語り合う深夜番組『二軒目どうする?』(テレビ東京系)に、居酒屋案内人として時々出演していらっしゃいますよね。あの番組で朝井さんが紹介されているお店が、気になるお店ばかりです。やっぱりひとりで飲みに行かれることも多いのですか? また、ひとりで入りやすいお店はどのように選びますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:食べ歩きが好きなので、SNSで見かけた気になるお店をメモしておくなどして積極的に行くようにしています。仕事柄、日々いろいろな街に行くので、近くで仕事があるときはついでに行きたいお店をリストアップしてから行きますね。ひとりで行くときにオススメのお店は、その人の目的によって変わってきます。見知らぬ人と話がしたくて飲みに行くなら、カウンターのあるお店のほうが、人との出会いとか常連さんとの会話が楽しめます。逆に完全にひとりの世界に入りたい場合は、仕切りがあるなど、常連さんばかりではないお店を選ぶといいですね。

 

── なるほど。目的によって選ぶお店が変わってくるんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:チェーン店とか、都会のお店は放っておかれる率が高いです。私は知らない人と極力話したくないので、地方や個人のお店の場合は“話しかけるなオーラ”を出して、話しかけられても話を広げないようにしますね……。人と話しながら食べると、「人と話すこと」自体がコンテンツの1つになってしまって、ご飯に集中できない。ひとりで行った時のほうが、食べたものをよく覚えています。人と行くと、意識が分散されてしまう気がします。

 

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▲ひとり懐石料理。絶妙なアングルの写真も三脚を用いてすべて朝井さんが自分で撮影している

 

── ひとりで行くときに人目は気になりますか? 少し前に、ひとりで映画を見に行くという女性向けウェブメディアの記事が話題になりました。「人に見られないようにあえて遅刻して行く」とか、「エンドロールの途中で退出する」と書かれていて、それは迷惑だという反論がネットで続出していましたが、この件についてはどう思いますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:そこまで無理するなら、ひとりで行かなくてもいいのでは……と思いました。たぶん、「映画に行くこと」よりも、「ひとりで行くこと」のほうが先に来ていたんですよね。一般的にダメなことをしてまで、ひとりで映画に行く必要はないと思います。「人目が気になる」という気持ちより、「どうしてもひとりで映画を見たい」気持ちのほうが上回っていれば行けばいいのです。

 

── たしかに、映画が好きな人は、ひとりでも自分の見たいものを見に行っていますよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:でも最近は、このように、ひとりで行くことをやってみたいと思う人が昔より増えていると感じます。件のひとり映画の記事が掲載されていたウェブメディアは、キラキラOLが読むような媒体でしたよね。そもそも、そういう場で“ひとり”の記事が扱われるのが驚きです。私自身も先日、女性誌の『BAILA』(集英社)から「おひとりさま特集」でインタビューを受けたんですが、そういう雑誌が特集することも意外でした。ファッション感覚で「ひとりで行きたい」という人が増えているのかもしれないですね。

 

カラオケって絶対ひとりで行ったほうが楽しい

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▲ひとりでリムジンのバースデープランを貸し切り

 

── どうして「ひとりで行きたい人」が増えているのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:「ひとりで行く」ことに関する世間の環境も整ってきたと思います。ひとりカラオケやひとり焼肉のお店も結構あるし、以前より挑戦しやすくなって大衆化してきました。今から15年くらい前、私が中学・高校生くらいの時って、そういう専門店もなかったですし、そもそも「ひとりカラオケ」という発想自体がなかったと思います。もしかしたら、社会人の間ではやっている人もいたかもしれないですが、少なくとも当時はひとりカラオケをしている同級生なんて、学年にひとりもいませんでした。今はたぶん、中高生でもひとりカラオケをしていると思うので、時代は変わったなぁと。

 

── ひとりカラオケのお店、はやっているようですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:あんまり共感されたことがないのですが、私はカラオケって絶対ひとりで行ったほうが楽しいと思うんですよね。人とカラオケに行くと、メリット以上にデメリットが多すぎます。その場の空気に合わせて選曲しなければいけないし、待ち時間が多くて歌える曲の総数も少ない。人が歌っているときは、たとえ知らない曲でも手拍子やタンバリンなどで盛り上げなければならない空気や、逆に自分が歌っているときにスマホ見てる人とかがいたら微妙な気持ちになる。あと、曲を入れてみたものの、いざ歌い始めて「やっぱりこの曲わかんなかったわー」ってことがあっても、途中で演奏中止すると変な空気になるのとか……。

 

── 一緒に行く人によって選曲も変わりますよね。他の人が全然知らない歌は選びにくいですし……。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:カップリングの曲とか、アルバムの8番目に入っている誰も知らない曲とか、入れられないですよね。人と行くカラオケというのは、「歌を歌うというツールを使って人とコミュニケーションを取る」ということだと思います。純粋に自分の好きな歌を歌いたいなら、ひとりで行ったほうがいいですし、「おいしいこと」に集中したいなら、食事もひとりで行ったほうがいい。このお店のこれがおいしくて、それを食べたいから、そこに行くのであって、人としゃべることが目的なら、逆に言えば別にお店はなんだってよくて、食べ物よりもむしろ個室でしゃべりやすい、とかが重要です。

 

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▲「ひとり北京ダック」。円卓が一段と大きく見える

 

── わかります。人と行くと、おいしいと思うのは、ひと口ふた口くらいで、食べるものより話の内容のほうが重要だったりしますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:あと、これは特に私の場合ですが、人にものをすすめることがあまり得意ではなくて……。食べたものをSNSに投稿するのは好きなのですが、対面で人と話しながらおいしいものについて共有したい、という欲求はあんまりありません。テレビ(『二軒目どうする?』)でオススメのお店を紹介しているわりに、人から求められなければ特に自分から話したいとも思わないんです。まわりの友達に自分の好きなものを紹介したり、広めたり、共有することに興味がないんですよね。インターネットで何かを書けば共感してくれる人はいるから、この仕事は楽しくやっていますが、現実ではまわりとうまく共有できないというか……オススメしてあんまり反応がなかったら怖いからできない、という感覚です。

 

── インターネットならばいろいろな人がいるので、どんなに少数派の意見や趣味でも誰かしら合う人はいますものね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:原体験として中学・高校時代、集団行動が苦手で、みんなが共感するものに対して共感できなかったし、人と感覚がずれてるという意識があったので、自分の好きなものを他の人が気に入ると思っていないんです。まわりの友達に自分の好きなものを紹介したり、共有したりできる人は、単純にすごいと思います。そういう人は、自分に自信があるのかな。私は自分の趣味を押し付けられない、と思ってしまう

 

── すごく共感します。自分のセンスを披露するのは恥ずかしいというか……。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:もともと自信がないから、「そんなのが好きなの?」って言われそうな気がして。自意識が強すぎるのかもしれないですね。

 

── 主張はあるけれど自信がない。そして、自意識は過剰……と複雑ですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:ひとりっ子だったことで、自分のことを人にプレゼンする機会が少なかったように思います。きょうだいとの戦いがないので、欲しいものを得るためにプレゼンする必要がない。「今日はパスタが食べたい」と思ったら、そう言うけれども、他の人は本当に食べたいのかな、と思ってしまうんです。プレゼンしてゴリ押ししてまで、自分に合わせろとは言いたくありません。自分のしたいことはあっても、自分が主張して他人の邪魔をしたくない。パスタを食べたい私と、ハンバーグを食べたいあなたがいたら、じゃあそれぞれ別のお店に行こうか、というのが理想です。自分の主張をすることも、他人の主張を聞くことも両方ストレスになるんです。

 

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▲ひとりビアガーデン

 

── 人に気を使いすぎではありませんか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:そうかもしれないです。あと、すべての選択肢に対して、こうしたいという決断が早いんですよね。いつも人より決めるのが早いから、先に意見を言うと、「それでいいよ」と返されて、「ああ、また譲ってもらってしまった」と気に病むことは多いですね。

 

── 誰かと一緒にいることで、気を使わなきゃいけない状態が続くとしんどいですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:だから、基本的には利害が一致した時だけ一緒に行動すればいいと思っています。世の中には、恋愛にしろ友人関係にしろ、関係性を固持するために我慢をし過ぎて悩んでいる人が多いように思います。よく不思議な集まりだなと思うのは「女子会」です。高校生の時はいいけれど、30歳になればそれぞれライフスタイルも変わってくるのに、無理に同じグループで仲良くし続けようとしなくてもいいんじゃないでしょうか。

 

── そうですよね。大人になるにつれ、価値観や興味のあることも当然変わってくるはずですし。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:よくも悪くも人は変わる生き物なので、自分が変わったぶんだけ、気が合う人も変わっていくはず。気が合わなくなっているんだったら、その時その時で付き合い方を変えていっていいんじゃないかと思うんです。で、別にそのとき気が合う人がいなければ、無理に誰かと一緒にいても、しんどいだけなのではないでしょうか。

 

ひとりでいることは間違っていない

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▲ひとりスイカ割り

 

── 確かに、常に人と一緒にいなきゃいけないってこともないですし、誰かと一緒にいないからといって、「ひとり=寂しい」ということではないですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:そうですね。「ひとり=寂しい=悪」という風潮がなくなってほしいとずっと思っています。

 

── 朝井さんは「アンチリア充」というわけではないのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:アンチではないです。ぼっち関連の連載を始めたばかりの頃は、「リア充と自分とを比べた自虐」をよく書いていたのですが、じゃあ果たして自分はリア充になりたいのかと言われたら、別にそうでもないな……って。だって、ひとりでいることは楽しいし。「リア充になりたくてもなれないこと」が嫌なわけではなく、「リア充的な文化」のほうが世の中で「正解」とされていて、「ひとり=悪」と押し付けられて否定されている感じが嫌だったんだ、と途中で気づきました。なので、リア充についても否定したくありません。自分が否定されていたのが嫌だったんだから、相手も否定しちゃダメです。

 

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▲ひとりクリスマス

 

── ソロ活の連載は毎回意外な発想で面白いです。『「ぼっち」の歩き方』にも掲載されていた「ペアリングをひとりで作る」という回など、特にインパクトがあって印象に残っています。今後も続けていかれるのですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:ソロ活の連載は3年も続いているのでひと通りやり尽くしてしまって、特別新しいものを提供するのが難しくなっている感じはします。過去の連載で結構、「ひとり論」のようなものも言い尽くしてしまっていますし……。

 

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▲ひとりボウリングなら、ハイタッチしなくていい!

 

f:id:Meshi2_IB:20180416185351p:plain朝井:それに、連載記事を書くことで自分の中で溜め込んでいたモヤモヤがどんどん解消されていっているので、書く動機がどんどんなくなっていっているところもあります。書けば書くほど、ひとりでいる自分を肯定できていって、幸せな気持ちになれるという。リア充とかパリピとかの生息する場所にもっと積極的に飛び込んで行って、自分を痛めつけないと……頑張ります。

 

もともと筆者も「ひとり行動」が好きだったのですが、偉大な先輩である朝井さんにお会いしたことで、勇気づけられ、ますますひとりでいろいろとやってみようという気持ちになりました。

「ぼっち」は恥ずかしくなんかない!

 

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書いた人:西野風代

西野風代

ライター&編集者&夜遊び探検家。東京生まれ。週刊誌記者、女性誌編集を経て、タイに移住。雑誌やウェブのライター、フリーペーパー編集長、コーディネーターとして活動後、現在は東京を拠点に、旅やカルチャーなどの記事を執筆。

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