【ニッポンの秘境探訪】私が「離島ひとり旅」に夢中になってしまった理由

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▲©️大畠順子

ニッポンの「離島」がおもしろい

島国である日本は、多くの離島に囲まれています。その数、おおよそ6800。そのうち人が住んでいる島は約400島ほどになると言われています。

たったひとりで日本の離島を旅することをはじめ、その魅力の虜になってしまった女性がいます。

 

大畠順子(おおはた・じゅんこ)さん

1983年生まれ。群馬県出身。離島女子ひとり旅の先駆者で、普段はラジオ局に勤務する普通の会社員。2011年より日本の離島ひとり旅をスタート。さまざまな離島旅を実践し、旅先で得た経験をブログや書籍などで発信している。

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大畠さんは、この夏にこれまで訪れてきた30の離島への旅の経験をまとめた『離島ひとり旅』(辰巳出版・刊)も刊行。

離島をひとりで旅することの醍醐味(だいごみ)、インパクトがありすぎて忘れられない思い出の食べものなど、ユニークな旅のエピソードを聞いてみました。

 

離島ひとり旅

離島ひとり旅

  • 作者: 大畠順子
  • 出版社/メーカー: 辰巳出版
  • 発売日: 2018/07/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

──『離島ひとり旅』、とても面白い本でした。離島の旅はいつから始めたのですか? 旅行は海外にも行きますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:離島の旅は7年前から始めました。国内ばかり行っていて、海外は韓国とハワイしか行ったことがないんです。パスポート以外に何か申請するものあったっけ? とか、なんで空港でこの列に並んでいるのとか、まったくわかっていなくて、海外に行ったら空港から出られる気がしないです (笑) 。

  

──海外には興味がないんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:そんなことは全然なくて、『地球の歩き方』はけっこう持ってるんですよ。でも、ひとり旅が好きで、勝手にひとり旅のハードルを上げてるんだと思います。海外でタクシーにひとりで乗ったら、絶対どこかに連れて行かれちゃうんだろうと考えてしまったり……。いわゆる王道の観光地には、そんなに興味があるタイプではなくて、みんなが本当によく行くようなところよりも、ちょっと変わったところに行きたいんですよ。

 

──お友達とか、誰かと一緒に旅行に行くことはあまりないんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:ほとんどないですね。まったくないわけじゃないんですけど、旅先で人に「ご飯食べる?」って聞くことがもう仕事みたい、接待みたいになってしまうんですよね。性格なんでしょうけど、ホスト側になってしまうというか……。名物があったらお店を予約したり、おいしいものがあったら「どっち食べる?」と聞いたり、車を借りたら、「どこへ行きたい?」と聞いて運転している自分がいて、まるで接待してるみたいな感じになっちゃうんです。でも、ひとりだったら、別にお腹が減っていなければ食べなくたっていいじゃないですか。誰かがいると「12時から2時までの間に、この人にご飯を食べさせないと」と勝手に考えちゃうタイプなんです。

 

──すごく人に気を使ってしまうんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:知らないうちにそうなってしまうんです。

 

──以前、『ぼっちの歩き方』の朝井麻由美さんに取材した時、「本当においしいものは、ひとりで食べたい」というような話になりました。旅もやっぱりひとりのほうが、味わい深いものになるのでしょうか?

 

www.hotpepper.jp

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:世の中的な流れでいうと、「人と食べるご飯はおいしいよね」「家族でご飯を食べよう」って、あるじゃないですか。でも、本当に焼肉が好きな人って、「肉は誰にも邪魔されず1枚ずつ焼きたい」って言うんですよね。その気持ちは私にもわかります。

 

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──前書きにも書かれていましたが、ひとりで行くと自由もあるし、島の人の人間味をすごく感じられると。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:本当にそうですね。2、3人でグループでタッグを組んで旅をしてる人に対して、島の人はたぶん話しかけてこないと思うんです。壊してはいけない世界観があるから。でも、ひとりでいると助けてもらう機会が多いですね。もちろん、助けを当てにしているわけではないのですが、スキがあるんでしょうね。それに、都会とは違った、島の方たちの地域的なものも後押しして。例えば、キャリーバッグをガラガラ引きながら歩いていると、「車に乗りなよ」って声かけてもらえる。その感じもすごく好きです。

 

──この本を読んでいると、本当に離島に行きたくなりますよね。もちろん自然がきれいというのもありますが、人との交流が素敵です。大畠さんの、人とのふれあいのエピソードがすごく面白いです。土地にまつわる歴史とか、ドラマや映画の話もいいですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:調べるのがすごく好きで、いろんなことを調べて、けっこう頭でっかちになって行くようにしてるんですけど、それでも旅先で必ず全然知らなかった情報が入ってくるのが、離島の情報の少なさだと思うんです。いわゆる観光地に比べると異世界、異文化であることが世間に出回っていない。旅を始める前の人生でいろんな島の情報に絶対触れてるはずなんですけど、それまではまったく気にとまらなかった。他の観光地に比べて情報の少ないところが、逆に面白みかもしれません。

 

日本に「人が住んでいる島」は418島

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鹿児島県トカラ列島の宝島 ©️大畠順子

 

──行く島はどのように選んでいるんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:最初、旅を始めた7年くらい前、当時人が住んでいる島は424島くらいだったと記憶していますが、今は418島になりました。数年先にはもっと減っているかもしれません。人が住んでいない、名前もついていない島、岩とかも入れると6800もの数になるんですけど、いわゆる生活圏の存在する島でも418島もあるとなると、どこから行っていいかわからないじゃないですか。

 

──確かに。それこそ“ダーツの旅”のように偶然に任せるとか……?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:なので、まずは一番南に行ってみる。次は一番西に、北に行ってみる。また、「絶海の孤島」にひかれたり、映画で見たあの風景を見たいとか、「絶景の一枚」を撮ることができる島だったり……。あとは会社員をしているとそんなに4日も5日も休みが頻繁に取れないので、1泊2泊でいける島があったから、とりあえず行ってみようとか。418島もあると、逆にいくらでもカスタマイズできるところは見つかるという感じです。

 

──島の情報はどうやって調べているんですか? インターネットですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:日本離島センターが出している『シマダス』という本のように、全島の情報だけが載っている本で調べたり、日本の島の大御所の方、写真家の加藤庸二さんと、島の歴史本を書いている齋藤潤さん、この2人の島図鑑みたいな本は持っています。でも、それだけだと情報的には少ないので、そこからインターネットで調べますね。島に行き始めると、実際に行った島で会った人が、「あっちの島が……」と情報をくれて知ったこともけっこうあります。一番南に行く人って、やっぱり一番北にも行くんですよね(笑)。

 

──そういう口コミは参考になりますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:なります、なります! 本当に行かないとわからないところもあるんです。最南端の有人島といわれている「波照間島」のニシハマビーチって、すごくきれいで、今まで行った海だけのベスト3があるとしたら絶対入れたいくらい、エメラルドブルーとも違う、すごい色の海があるんです。でも、波照間島には「サンゴの浜」という、サンゴで埋め尽くされた小さなビーチがあって、その浜は草むらの先にあるから、よっぽど勘のいい人か、仲良くなった島の人に教えてもらわないと行けない。観光サイトには載っていないので。

 

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▲波照間島のサンゴの浜 ©️大畠順子

 

──それは、あえて載せていないのですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:どうですかね? 行った人の個人ブログを見るか、もしくは島の人に聞かなければわからなかった。他には、現地で仲良くなった島に住んでる若い人に、「島の暮らしって大変ですよね?」と聞くと、「いや、アマゾンで買い物してるから」というんです(笑)。けっこうみんなアマゾンで買ってるんだなーって。行って聞いてみないとわからないことはけっこうありますね。

 

──そのアマゾンの話と、船が欠航して何日も帰れないとか、物資が届かないみたいな話とのギャップが、また面白いなと思います。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:そうですね。帰れなくなってしまうことは本当にありますね。東京都にある青ヶ島だと、ストレートに帰れた人に会ったことがないです。閉じ込められたのが「何日?」「私は2日でした」っていう会話になる。船の欠航率は5割、時期によっては7割で、9席しかないヘリコプターは毎日飛んでるんですけど、なにかしらが起きて飛ばない日に限って、帰れなかった人が出てくる。つい最近も、1週間以上も島から出られなかった人がいて、その人のツイッターが面白かった。船が待ち遠しくて、待ちわびる人の気持ちになって短歌を詠みはじめたりしていて(笑)。本当に不運で、羽田—八丈島間の飛行機まで止まって、ヘリの機体不良を直す手段がなくなり、船も出ないから島を出られなくて、島の人が気を使って宴をしてくれたみたいです。

 

──それは島の人の温かみを感じるエピソードですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:島って娯楽が少ないから、青ヶ島には2軒しかない居酒屋さんの1軒にカラオケがあるんです。期間限定で赴任してくる学校の先生が、他に遊ぶものがないから、カラオケがめっちゃうまい(笑)。今の最新のカラオケじゃなくて、スナックに入ってるような古い昭和のカラオケで最新曲が入ってないから、ある一定世代のヒット曲がめっちゃうまいんですよ。それを毎日歌ってるのがよくわかる。あと、島では頻繁にバレーボール大会をやっている。たぶんそれも娯楽がないから、島の若人たちが青年部とか女子部みたいなのを作って、よくバレーボール大会をやってるんですよ。面白いです。

 

「不便」だと、おおらかになる

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東京伊豆諸島の青ヶ島 ©️大畠順子

 

──都会ではあまり考えられないというか……不思議な感じがしますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:本当にそうなんですよ。船が4日、5日、1週間来なくても、もともと島に住んでいる人はへっちゃらですよね。庭で鶏を飼い、ジャガイモが取れて、「全然別に」みたいな感じで生きてる。すごいなと思いますよ。

 

──離島のキーワードとして、まず「不便」がありますよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:都会と比べたら不便ですね。携帯が直せない。落としちゃって、島によっては携帯ショップに行くために乗る船は何日か後ということも。アクシデントに絶対に対応できないこともあるんです。

 

──そうなると、自然とおおらかになりますよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:おおらかになります。しょうがないなって。今って便利すぎますよね。例えば、私が京都に出張に来て、一眼レフの電池を忘れてしまった場合、アマゾンで買って、下手したら当日ホテルに届くじゃないですか。でも、たぶん離島だったら4日後とか。もう仕方ないですよね。都市だったらセブンイレブンで売ってたりするものが、島では当たり前に買えない。ドライヤーも、民宿にないかもしれないし、あってもそよ風みたいなドライヤーの可能性があるから、文句を言わないために絶対持って行きますもんね。なくて当たり前と思って行く。

 

──準備万端になりますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:なります。例えば、ゴミ袋は必ず持って行きます。穴を開けてキャリーケースにかぶせるだけで、ずぶ濡れの中歩いてても荷物だけは守れる。南の島ってスコールがけっこうあるんですけど、雨が降っていても、吹きっさらしのなか移動しなければいけなかったりするので、ゴミ袋は必ず持ってますね。

 

──他に何か必ず持って行くものってありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:キャリーケースのポケットにタコ足コンセントは入ってますね。フェリーの中や民宿で、たった2個とかしかないコンセントを分け与えないといけないときにあると便利です。

 

──本のなかにも書かれていますが、失敗を重ねて上達してきたようなところもありますよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:基本、失敗を繰り返して学習しますね。失敗はだいぶ重ねてます。最初の頃は大失敗しました。まず、酔い止めを持っていなくて、船を降りたときに気持ちが悪くてなにもできない。本当に船がこんなに酔うって知らなくて、40分、待合室で寝てたこともあります。いちど船の中で吐いてしまったことがあって、それ以来、酔い止めはいっぱい持って行くようにしています(笑)。

 

──そういう失敗があったからこそ、もう一度同じ島へ行って、今度こそもっと楽しもうと思いますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:粟島と、石垣島とか、経由しないといけないターミナルの島以外は、1回しか行っていないです。粟島はサイクリングが好きなので、サイクリングするためにアウトドア感覚で通ってるんですけど、それ以外の島は一期一会で、2回行った島はないです。もう一度行きたい島はたくさんありますが、何せ数が418島もあると、限られた休日と、行きたい島とで、リピートするまでに至らなくて。民宿の方が東京に出てきたときに、連絡をくれて会ったことは何回かあります。

 

飲食店なんてひとつもない「日本最秘境」の島

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鹿児島県奄美群島の請島で近海へ釣りに行った時に釣った魚 ©️大畠順子

 

──民宿の人が東京に来て再会するって、すごいことじゃないですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:本当にうれしいです。自分があれだけ苦労して行ったところの人が、東京に来てくれたっていうのはうれしいですよね。

 

──そういうことって誰でもができることではない気がします。大畠さんは、初対面の人とも仲良くなりやすいですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:わりと仲良くなって帰って来ますね。もともと私はよくしゃべるタイプだからというのもあるかも知れません。それと、女子がひとりで行ってるということもあって、ご飯の時間に民宿の方が話に付き合ってくれることも多くて、いろんな話をするうちに自然と親しくなっています。例えば、「日本最秘境」といわれるトカラ列島の「宝島」は、1回行くと3日は出られないんですよ。船が来ないので。人口も100人くらいしかいなくて、飲食店も1軒もなくて、泊まった民宿で朝昼晩食べるんです。

 

──そうなると、宿の人と過ごす時間も自然と長くなりますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:朝出かけて行って、昼ごはんの時間に戻ると、ご飯を作って待っててくれるので、民宿の人がお父さんとお母さんみたいな感じ。電動自転車を借りてるから、坂も上れるんですけど、「坂がきついから、自転車をトラックに積んで山頂まで行って下ろしてあげるよ」と言ってくれる。ありがたく電動自転車を運んでもらって、帰りは自分で好きな時間に下ってくる。

 

──親戚のおじさんみたいに親切なんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:それから、民宿の人が案内してくれたことによって、洞窟の奥の方まで行けたということもありました。ひとりだったら心細くて、奥までは行かなかったかもしれません。宝島の話は本に書きましたけど、帰り際に民宿のご主人から「おじさんがこの世の中で一番好きなお菓子をあげよう」って、言い方がまた素敵だなと思うんですけど、ボンタンアメみたいな飴を2箱もいただいて。世の中で一番好きなものを2箱ももらってすみませんって思ってしまって、食べることができずに同じものを空港で買って食べてみました。

 

──いいですね。大畠さんの旅には、この時代になかなか貴重な要素がいっぱい詰まっている気がします。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:そうですね。本当に。島の人たちって、わりとそういう感じなんですよね。都会にいたら、たぶん、そこまでの関係にはならないかもしれない。おもてなしの素晴らしい一流の宿のサービスは質が高くてタイミングも絶妙ですが、それと比べるとずいぶん適当とはいえ、親戚のおじちゃんの家に行った感じというか、そのくらいの距離感が心地いい。ズケズケ入ってくるんですけど、嫌な感じがしないんですよね。

 

──お話を聞いていると、本当に私も離島の旅に行きたくなって、どこから行こうか迷います。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:ぜひ! 「これがしたい」とか「この風景が見たい」から入ってもいいと思いますし。(新刊で)初級・中級・上級って分けてよかったなと思っています。知っていると得だということと、ここにこんなすごいことがあったよという面白みが伝わればいいと思いました。この本が旅の入り口になれば、私と同じことをしなくてもいいし、その人なりの楽しみ方を見つけてほしいと思います。

 

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──いま大畠さんは会社員として働いていて、それほど長期のお休みが取れるわけではないですよね。あちこちの離島に行っていて、帰りが間に合わなかったことはないのですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:結果オーライで助かったということはあります。1回の旅でちょっと島渡りをする癖がついて、青ヶ島に行った後に御蔵島に行こうと思って、御蔵島のヘリコプターを押さえていたんですね。一番閉じ込められる可能性の高い青ヶ島の後ろに旅が付いていたことによって、たとえ青ヶ島に4日いることになっても、御蔵島の2泊をキャンセルすれば間に合う。御蔵の方に「すみません。ヘリが飛ばなくて」と連絡すると、「もうしょうがないから」ってキャンセルとも言わない。かなりフランクですね。延泊するのはもちろんお金かかりますけど、受け入れるほうも「しょうがないね」といいう感じです。結果、仕事への影響は免れました。

 

──間に合わなかったことはないんですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:そうですね。船が出なかったことはありますけど、往路だったから助かったとか。鹿児島の川内駅で、延々と駅前で待ったことがありました。高速船とフェリーの2つ港があって、どっちが出るかわからないんです。最初の便で行こうと思ってたので、朝、駅に着いたのが7時くらいなんですけど、結局、船が出たのは夕方6時くらい。その間、駅前のイタリアントマトで過ごしたということはあります。でも、島にいられる時間が10時間減ったくらいで済みました。これまで大失敗はなかったです。本当にラッキーです。

 

──離島への旅には本を持って行くと書いてありましたが、どんな本を持って行くんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:本はたくさん持って行きます。ハードカバーを持って行くのもへっちゃらで、重たいのでキャリーケースを引いてます。読書が好きで、世の中のすべてのものの中で一番面白いのが小説と思っているので、小説を持って行きます。旅に出ると一気に読めるのがうれしいですね。旅が終わった時に、3冊4冊読み終わっているとすがすがしさがあります。そのすがすがしさのおかげで、船やバスを長時間待つのもイライラしない。沖縄本島や奄美大島、石垣島クラスになると、雨が降っててもショッピングモールとか、行くところがあると思うんですけど、離島でスコールにあうと、本当にやること何もなくなってしまい、1日民宿に缶詰っていうときも、本があるとはるかに有意義な時間が過ごせます。あと、飲食店がない島では夜に出歩くところがないので、楽しく本を読んでいます。民宿の部屋にテレビのないこともあるので静かですし。本当にいい時間を過ごしてますね。

 

めちゃくちゃ量が多くて食べきれないご飯の量

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鹿児島の名物「きびなご」 ©️大畠順子

 

──離島の旅で、特においしかった食べ物はなんですか? 

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:基本は海のもので、島の人が釣ってきた魚を食べることが多いです。島の人もそれをおもてなしと思っているんでしょうし、私たちもそれを喜んで食べます。高級料理とは違うんですけど、うれしいですよね。刺身も焼き魚も煮魚もありますね。

 

──やっぱり土地によって魚の種類も違うんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:鹿児島の島だったらキビナゴだらけ。3食キビナゴを食べ続けることもあれば、大東島へ行った時は、普通の人がマグロ漁船じゃなくてボートで釣ってきたマグロを食べました。まわりが深い海に囲まれて海流があって、よく船が欠航になる島は、魚がよく釣れるんです。瀬戸内だとタコとか。でも、グルメという意味で一番おいしかったのは北の利尻島・礼文島でした。料理というか、もう素材自体がおいしい。

 

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▲礼文島のウニいくら丼 ©️大畠順子

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:ミョウバンの入っていないウニとか。時期にもよりますけど、エゾバフンウニとか、キタムラサキウニのような、そんなに気軽に食べられないものが、当たり前のように採れたてで食べられる。東京の高級店と比べてもここまでの味はないと思います。

 

──他に印象に残っているものはありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:印象深いご飯はたくさんありますね……。天候不良の欠航で延泊を余儀なくされた島で、もちろんもう1泊を予定していなかったから宿に食事の用意がなかったのか、出してもらったレトルトのハンバーグもかなり印象的でした。また、離島の旅を始めて最初の頃に行った伊豆諸島のとある島で、民宿のおばちゃんが、閑散期ということもあり、ひとりしかいないお客さんのためにご飯を作るのが面倒で、「夕飯食べに行こう」って外食に誘われたのも、すごく印象的で、いい思い出です。

 

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▲たましろの夕食 ©️大畠順子

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:宝島で3泊して、朝から晩まで、全部その宿で作ってくれたご飯を食べたこともすごく印象的でした。日本有人島最南端の島・波照間島の民宿「たましろ」は、日本の宿のなかで一番汚いんじゃないかという宿で、「そこに泊まるなんて漢(おとこ)だね」と言われるんですが、その民宿のご飯はめちゃくちゃ量が多くて、誰も食べ切ることができない……でも延々と作り続けるという。それもパンチが効いてました。炭水化物オン炭水化物オン炭水化物……。

 

──かなりインパクトありますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:ご飯が食べ放題なのに、うどんも大盛り。メインがわからない。なかなか印象的でした。でも人が作ったっていうと、やっぱり飲食店のない島の民宿のご飯は、非常に思い入れ深いものになります。ゲテモノ系でいえば、粟島の2,000円もするラーメン。

 

2,000円のラーメン

──ゲテモノですか!? すごく豪華なラーメンに見えますが。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:東京だったら、これだけで2,000円取れる量のアワビがどっさりラーメンにのっているわけです。絶対、別皿で食べたら、この倍はお金取れるのに! 2,000円の意味はわかったけど、刺身で食べたほうがうまいよ、と思いました。どうしてこれをラーメンにしようと思ったんだろうか、取材をしたいです。

 

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▲2,000円の「粟島ラーメン」 ©️大畠順子

 

──見た目がきれいなご飯もありますよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:フォトジェニックなご飯なら、「ヨロン島ビレッジ」です。離島でこんなにおしゃれなご飯が食べられるとは思わなかったので。「インスタ系女子は与論島に行け!」と思いますね。予想どおりのかき氷のカフェがあって、きれいなビーチがあって、おしゃれご飯が出てくるって感じのところです。すべてが満たされて帰ってくると思います。

 

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▲ヨロン島ビレッジの朝食 ©️大畠順子

 

──逆に苦手だったり、食べられなかったものはありましたか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:好き嫌いもそんなにないので、なかったです。あえて食べなかったのは、南大東島の「インガンダルマ」。人間の体に入れてはいけない脂が乗ってるから4切れ以上食べてはいけないって言われている魚で、食べすぎると下から出てきちゃうらしいんですよ。お腹が痛くなってもしょうがないし、なんとなく食べない方がいいだろうと思って、それはさすがに食べなかったです。なかなか来られないところだったし。

 

──旅先での体調管理も大事ですよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:本当にそうです。最初の頃の船酔いはありましたけど、それ以外に風邪をひいたとか、お腹が痛くなって病院に行ったとか、体調を崩したことは今のところ1回もないです。もともと健康で、そんなに無理もしてないというのもあるかもしれません。明け方まで飲むというのもやらないし。体力はけっこうあるほうで、島に行く以外で山に登ったり走ったりするのも、サイクリングもへっちゃらなので慣れっこですね。

 

──次に行きたいところはどこですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:本を書き終わった時点では、海外の島に、と思っていたんです。生きているうちに1回行きたいと思っている島は、大西洋のアフリカ大陸と南アメリカの間にあるトリスタンダクーニャという島。地球上のすべての大陸から一番遠い島と言われていて、ケープタウンから片道6日間船に乗らなくてはいけなくて、2カ月に1回しか船が出ない。

 

──片道6日間の船が、2カ月に1回ですか!

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:でも、そこは仕事を辞めないと行けないなと思っています。現実的な話をすると、ミクロネシア諸島に日本人が運営しているジープ島という小さい島があるんです。3分で一周できる小さい島で、ヤシの木とコテージがあるだけ。そこへ夏休みに行こうと思っていたら、今度の連休で山口県の周防大島に行くことになったので、その隣の人口12人くらいのか笠佐島とあわせて行ってきます。2軒しかない民宿の予約も完了しました。

 

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──民宿の予約はネットでできるんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181008093015p:plain大畠さん:絶対に電話です! ウェブサイトがない民宿も多くて。メールの返信がこないこともありますし、ネットを使えない人が民宿をやっている可能性のほうが高いです。もしネット予約が可能な民宿があるとすれば、移住した若い人が経営しているゲストハウス的なところですね。でも、怖いので本当に電話をしたほうがいいと思います。本にも書きましたが、「5月と9月を聞き間違えられた問題」があった民宿は、電話の横のカレンダーに「オオハタ」って書いてあるような管理の仕方なんです。なので絶対に電話して確認することをオススメします。

 

──ありがとうございました。さっそく、次の連休にはどこかの島の民宿に電話して、ひとり旅に出かけたいと思います!

 

書いた人:西野風代

西野風代

ライター&編集者&夜遊び探検家。東京生まれ。週刊誌記者、女性誌編集を経て、タイに移住。雑誌やウェブのライター、フリーペーパー編集長、コーディネーターとして活動後、現在は東京を拠点に、旅やカルチャーなどの記事を執筆。

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