肉ブームの最終兵器
皆さん、肉はお好きですか?
私は大好きです。肉といってもいろいろ種類がありますよね。
一般的な牛、豚、鶏、羊以外にも、鴨、鹿、猪、熊、うさぎなどのジビエも、普通に食べたことがある人も多いでしょう。
これまでに自分がどんな肉を食べたことがあるか振り返ってみたら、上記のほかにも、
などなど、あらためていろんな肉を食べてきたな〜と思い出しました。
先日は、大久保のチュニジア料理屋でヒトコブラクダのコブも食べたりしました。
レバーと砂肝の中間のような、ねっとりしつつ歯ごたえもある濃厚な味で、どれもおいしくいただいた記憶ばかりです。
最近だと羊肉あたりはブームというか定着した感じすらあります。
では、次に来る肉は何か。
それは……「カエル」ではないでしょうか?(ケロケロ)
実はいま、中国では「カエル鍋」がブームだそう。
カエル肉は中国で揚げ物や炒め物で食べるポピュラーな食べ物ですが、近年、本格中華の店が続々開店している埼玉の西川口に、カエル鍋の専門店「安老爺炭火蛙鍋(アンラオイエタンフオワグォ)」が2019年6月にオープンしたばかり。
この話はちょうど先日取材した『日本の異国』の著者・室橋裕和さんに教えてもらいました。
日本ではまだ珍しい「カエル鍋」を食べられるということで、『メシ通』でもおなじみのライター・千葉こころさんに声をかけ、さっそく西川口まで足を運んで食べてきました!
本場では有名なカエル鍋のチェーン店
さて、こちらのお店「安老爺炭火蛙鍋」は、中国のカエル鍋チェーン(!)の日本支店。
肉や野菜などの食材は日本で仕入れていますが、調味料は本場中国のものを使用しているとのこと。
社長は10年ほど前に来日。中国料理の料理人としてキャリアを積み、以前は、西川口の別の鍋の店に勤めていましたが、この6月に独立したそうです。
聞けば、お客さんはまだまだ圧倒的に中国人の方が多いとのこと。
もちろん店員さんもネイティブの方ばかりで、一歩足を踏み入れると本当に上海の専門店に迷い込んだような気がします。
実際、19時過ぎから団体の中国人客が次々に訪れ、あっという間に店内はいっぱいになってしまいました。
▲醋香松花蛋(¥680)ピータンの前菜
▲牛肉拌黄瓜 (¥880)牛肉ときゅうりの和え物
▲羊肉串 (1本¥150)羊肉の串焼き。他に豚肉や牛肉の串焼きもあり
▲牛肉蛙锅(¥6,980)牛肉とカエルの鍋
皆さん、もちろんカエル鍋を注文していますが、それ以外にこういった前菜、羊や牛の串焼き、麺類など、いろいろな料理を頼んでいて、どれもおいしそうでした。
カエル&ザリガニの2段の組み合わせを注文
さて今夜の主役のカエル鍋は、豚肉や鶏肉、牛肉、魚、エビ、ザリガニとの組み合わせも選べます。今回は、カエルとザリガニの組み合わせで2段の鍋を注文しましたが、メニューには4段重ねの鍋もありました。
さて、いよいよカエル&ザリガニ鍋の登場です!
▲霸道龙虾拿下蛙(バタオロンシャナシャワ)(¥7,980)ザリガニとカエルの鍋
2段の鍋にカエルとザリガニがたっぷり乗った姿はさすがの迫力です。
ドライアイスで白い煙が立ち上る演出もあり、写真映え、動画映えもバッチリ。
上段にはザリガニ15匹ほどが並んでいます。
下段のカエルは8匹ほどで、約600グラムとのこと。
「炭火蛙鍋」という、文字どおり炭火で加熱するタイプの銅製の鍋です。
真ん中が空洞になっており、その部分に炭を入れています。
グツグツ煮る鍋というよりは、炒め煮に近いような感じ。肉や野菜は調理されているので、鍋が届いたらすぐに食べられます。
肉の下には、もやし、きのこ、キャベツ、ネギ、きくらげ、にんにく、ナツメがぎっしり鍋の底まで詰まっています。
唐辛子や山椒の効いたスパイシーな味です。
取材にご一緒したライターの千葉さんも大絶賛。
千葉:実は以前にもカエル肉は天ぷらでいただいたことがあります。カエルの肉は淡白なので、火鍋のピリッとした香辛料がぴったりだと思いました。
カエルは鶏肉のようなあっさりとした風味
カエルは若干骨が多く感じますが、肉の味わいそのものは、まさに鶏肉のようにあっさりとしています。ほんのり草のような香りが感じられるのが特徴のようです。
特に脚の部分は手羽先のようにするっと食べられ、肉の旨味が楽しめます。
脂身の少ない淡白な肉に濃いめの味付けなのでビールにも合い、あとを引く味でした。
ちなみに、この取材の撮影カメラマンの斎藤さんの印象を聞いてみると……。
斎藤:パッと見のビジュアルとしての“カエル感”が低いので、初めてでも抵抗なく食べられると思います。味はスパイシーな手羽先みたいな感じで、食べ始めると病みつきになる感じ。一般的な火鍋とかに比べると、辛さや刺激はマイルドかな。
ザリガニはどんな味?
ザリガニは、最初殻をむくのに手間取りました。
爪の部分は意外と小さくて、うまく中身が取れないのですが、尾の部分は、頭をひねって取った後、歯で挟んで引っこ抜くときれいに身が取れます。慣れると簡単に取れて食べやすいです。
「ザリガニは泥臭い」とよく言われますが、そんなことはなく、エビというよりは、かにとエビの中間くらいの食感でした。
エビよりもあっさりしているので、これまたスパイシーな味付けと合います。
頭の部分にある味噌もほんのり苦くて、いいアクセント。身が小さいので、次々と殻をむきたくなり、手が止まらなくなりました。
どちらも濃いめの味付けなので、味変したい方は、酸味のあるタレにつけると、さっぱりと食べられます。
香辛料の効果か、体の中から熱くなってきて汗が出てきました。
食べ終わった後にはスーッと身体が涼しくなってくる感じでした。
店内はまるで本場のような雰囲気
店内は中国語が飛び交うゆるい雰囲気。
唐辛子のスパイシーな香りが漂い、まるで本当に中国に旅行に来た気分も味わえて、なんだかとても心地よいです。
辛いものが好きな人、元気になりたい人におすすめ。みんなでワイワイ食べるのにぴったりです。
社長さんや店員さんも日本語があまりわからないので、電話予約や来店は日本語ができるジャンエンさんのいる時(※17:30〜23:00・月曜と水曜はお休み)に合わせた方が良いかと思います。
写真:斎藤泉
お店情報
安老爺炭火蛙鍋(アンラオイエタンフオワグォ)
住所:埼玉県川口市西川口1-22-7上新ハイツ1F
電話番号:080-6107-4567
営業時間:11:00~2:00
定休日:無休
書いた人:西野風代
ライター&編集者&夜遊び探検家。東京生まれ。週刊誌記者、女性誌編集を経て、タイに移住。雑誌やウェブのライター、フリーペーパー編集長、コーディネーターとして活動後、現在は東京を拠点に、旅やカルチャーなどの記事を執筆。