電線を鑑賞しながらカレーを堪能すると、どんな味がするのか

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※注意)これは『メシ通』の記事です。記事の途中からおいしいカレーが登場します

カレーの魔力には、抗えない

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▲『ZIP!』(日本テレビ)などにも出演していた石山蓮華さんが今日のゲスト

 

「そうだ、今日のランチはカレーを食べよう」

カレーのことをいったん考えはじめると、カレーのことしか考えられなくなるのはなぜでしょう。

「カレー、カレー」呪文のようにつぶやけば、カレーの魔法はますます強くなります。カレーのことだけ考えて午前の時間をやりすごし、いつもは12時にランチをとるのに、そんな日は近所のカレー屋がオープンする11時30分に店に向かいます。

週に一度、私は抗えないカレーの魔法にかかるのです。

 

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▲笑顔の彼女はどこへ向かうのか

 

古いビルの階段を登るとカレーの匂い。

ここは神田神保町。「カレーの聖地」として名高いこの街には、有名無名を問わず、多くのカレー店が営業しています。

誰が神保町を「カレーの街」と呼びはじめたのか知りませんが、私は御茶ノ水の予備校に通っていた浪人時代にエチオピアという店でカレーを食べたとき、そのうまさに開眼したことをよく覚えています。

ここは私にとってもカレーの街。

その中でも、特にお気に入りの店に、女優さんを案内しましょう。

 

電線をこよなく愛する女優さん

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▲店に着くなり窓から外を一心不乱に眺める石山さん。うら若き女性をこの店に案内した理由は、彼女が持つ性癖に合致する店だと思ったからです

 

女優の石山蓮華さんは、電線をこよなく愛する「電線愛好家」としてその名を知られています。つい最近『電線礼賛』なるDVDもリリースし、若手電線愛好家の第一人者として、その世界で名を馳せています。

石山蓮華の電線礼讃 オリジナルDVD

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  • 出版社/メーカー: アミューズ
  • 発売日: 2019/03/06
  • メディア: DVD

 

そんな彼女に胸を張ってご紹介できる店がこの「Cafe HINATA-YA」なのです。

 

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▲窓の外には神保町の街並みと、電線が見えます

 

店は古いビルの4階にあります。

エレベーターもありますが、かなりレトロ。二人乗れば「もう無理」と悲鳴をあげているように感じられるので、不安症な私たちは、急な階段をのぼって店にアプローチしました。電線を見るために。

  

電線を眺めているだけで、幸せな気分になる

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▲窓外には電線が。変圧器が目の前にありますね

 

窓の外には神田神保町の街並みが広がります。

私は眺望がいいことに気持ち良さを覚えますが、その隣で、石山さんは静かに興奮しています。彼女は電線を眺めることに、なににもかえがたい幸せを感じるのです。

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:この趣味を広く理解して欲しいけど、昔は諦めに似た気持ちもありました。ブログに電線の写真をよく載せていましたが、「#いい電線」というハッシュタグを考えてSNSで発信するようにしてから、より多くの人に知ってもらうことができました。今はみんなが電線に興味を持ってくれることが嬉しいんです。

www.instagram.com

 

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▲窓の外には神田駿河台の街並みが広がり、眼下には電線が

 

こんな風に熱心に電線を眺める彼女を見ていると、がぜん興味が湧いてくるというもの。電線のどこが、彼女をこんなにも惹きつけるのでしょうか。

 

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▲電柱に沿った電線のむっちりした質感に目を奪われました(撮影とキャプション:石山蓮華)

 

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▲ぐるんとした線は、野生のヒツジの一種「ムフロン」の角を思わせます。「力」「灯」と書いてあるのは低圧引込接続箱で、中にはヒューズが入っているそう。それぞれ動力用、電灯用とわかりやすいようにしてあります(撮影とキャプション:石山蓮華)

 

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▲お店の窓から電線にズームしてみると緑色のくるくるした線が! アース線のような色をしているけれどこれは何の線だろう……情報お待ちしております(撮影とキャプション:石山蓮華)

 

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▲一本路地を入ると電線が立体的に交差しながら空を飛んでいます。電線は「空を飛ぶインフラ」なのです(By大山顕さん)(撮影とキャプション:石山蓮華)

 

「電線は面白い」と石山さんはいいます。 

失礼かつ愚かな質問だと思いつつも、あえて聞いてみました。

いったい電線のどこが面白いのでしょうか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:電線、そして電柱は町の歴史の積み重ねなんです。人間がいるから電線がある。電線は人間の営みを想像させてくれます。そして目の前を走るあの電線が、どこまで続くのか思いを馳せる。それが幸せな時間なんです。

 

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▲変圧器を見下ろすことに笑みを隠せない様子。電線に流れる電流は主に6600Vで、変圧器によって100Vないしは200Vに変圧され各ユーザーに送られます

 

しばらく電線を眺めていたら、お腹がすいてきました。

そう、この店はカレーが名物、というかカレー屋さんです。電線を見ながら美味しい食事を楽しむという、彼女にとって最高に贅沢な時間がこれから始まるのです。

 

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▲メニューを真剣にながめる石山さん。さてどれにしましょう

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:即決です。人気の手羽先カレーにします。グリーンライスってなんだろう?

 

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▲オーダーが入ると調理が始まりました。辛さの調整にも応えてくれます

 

オーダーが通ると、厨房に火が入ります。

やがてカレーのスパイスが奏でるハーモニーが店中に響き渡ります。お待ちかねのカレーの時間のはじまりです。

 

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▲10分ほどで提供された「グリーンライスの手羽先のせチキンカレー」(1,200円)

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:かわいい色ですね。緑のライスはなんだろう。そして、ライスの上にはおいしそうな手羽先が載っていますが、こういうルーが別添えタイプのカレーって、いっぺんにルーをかけていいのか、いつも悩むんです。

 

店の人が笑いながら「ご自由に」と伝えると、石山さんは少しだけスプーンにとりました。それではいただきます。

 

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▲緑と茶色のコントラストが鮮やかです。美しい。

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:おいしい! 全体的にスパイシーなんですけど、そんなに辛く感じないです。そして、深い味わいがする。口の中にスパイスの香りと、甘さと辛さがじわじわと広がる感じがして、とてもおいしいです。

 

彩り鮮やかなカレーを食しながら

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▲「もっとグイグイ食べてもいいですか?」「どうぞどうぞ」

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:なんというか、はじめての味です。特にグリーンライスがおいしい。不思議な感じがするなあ。なんだろうこの味は。ほうれん草? へえ。色鮮やかで、さらに味わいもプラスされて、これは素晴らしいアイデアですね。

 

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▲可愛らしい雰囲気のお店で女性のお客さんも多く訪れます

 

ごはんだけでもおいしいのに、カレーと食べるともっとおいしい。

「当たり前ですけど、カレーって本当においしい食べ物だと思います」と今日の衣装を指差して笑う石山さん。実はサフランとカレーをイメージして、黄色いワンピースを着てきたのだとか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:まさかごはんが緑とは。カレーといえば黄色だと思っていましたから。世界は自分が思っているものだけじゃないんですね。

 

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▲食後はコーヒータイム。

 

今年の3月に、いままで在籍していた事務所をやめ、最近はのんびりした時間を過ごせているという石山さん。フリーになったことで、それまで事務所という大きな存在に守られていたことを改めて実感したと言います。

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:昔は髪を切るにも事務所に確認が必要でした。服を買うときも、仕事でも使えるようにしようって無意識に選んでいました。でも今はそれがなくなった。不安だけど楽しいですよ。この黄色い服はセールで衝動的に買ったんです。カレーぽいでしょ(笑)。

 

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▲こちらは自慢の「電線ネイル」

 

最近の石山さんは、朝10時に起きて、メールのチェックをして、台本を読んで、豚汁を作って、ひたすら散歩をして、電線を飽きるほど眺めて、本屋に行きます。とにかく毎日が充実しているのだとか。

 

f:id:Meshi2_IB:20190521184453p:plain石山:先日、仕事でご縁があって電車のことを考える機会があったんですね。そのとき、「電車って、電気で動いているんだ」って改めて気がついたんです。パンタグラフが接して電車は走る。電車は電線がないと何もできない。だから、電線とつながっていなくてはいけない。私にとっても電線は、走り続ける元気を与えてくれる大切な存在なんです。

 

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▲電線とカレーを楽しみたい方は「Cafe HINATA-YA」へどうぞ

 

・・・

 

都会の電線を見ていると、どこまでも続くかのように思えることがあります。

あの電線の先に何があるのか。電線に希望を感じるのは私だけではないでしょう。もしかすると電線は人生に通じるのかもしれません。

 

街を走る電線を指差しながら熱く語る石山さん、その横顔は美しいと思いました。 

 

お店情報

Cafe HINATA-YA(カフェ・ヒナタ屋)

住所:東京都千代田区神田小川町3-10 振天堂ビル4F
電話番号:03-5848-7520

営業時間:月曜日~金曜日、祝前日11:30~21:00 (料理L.O. 20:30)、土曜日11:30~17:30 (料理L.O. 17:00)
定休日:日曜日、祝日

www.hotpepper.jp

 

書いた人:キンマサタカ

キンマサタカ

編集者・ライター。パンダ舎という会社で本を作っています。尿酸値13の痛風持ち。足を引きずりながら飲み屋の取材をしてます。『週刊実話』で「売れっ子芸人の下積みメシ」という連載もやっています。好きな女性のタイプは人見知り。好きな酒はレモンサワー。パンダとカレーが大好き。近刊『だってぼくには嵐がいるから』(カンゼン)

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