なんと「タンドリー釜」がある立ち飲み屋さん
東中野に新しくできた立ち飲み屋さんが、なにやら面白いらしいと聞いて駆けつけました。
立ち飲みだけど、タンドリーチキンが食べられるとか、また、それがやたらと本格的だとか。
立ち飲み、手軽でいいですしね。それでつまみがおいしければ最高ですよね。
ということで、さっそく行ってみました。
JR総武線・東中野駅の西口のほぼ目の前。 会社帰りに立ち寄るのに最適な立地です。
「稼鶏酒場」。
名前がちょっと変わってますが、見た目はごく普通の、気軽に入れそうな立ち飲み屋さんですね。
もっと近寄ってみましょう。
※写真の価格はすべて税抜です。
!!!
「シェフのお勧め料理」はタンドリーチキン、シシカバブ、砂肝ピーマン炒め……。
砂肝以外は、みんなインド料理っぽいですね。
稼鶏焼きとにんじんシリシリ?
しかも、激安です。
これは面白そうです!
立ち飲み屋さんなのに、インド・ネパール料理が充実している理由
店内には、カウンターの立ち席がふたつ。完全な立ち飲み屋さんです。
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店内に張り巡らされたメニューが期待を高めます。
店長の石井直樹さんにお話をうかがいました。
──変わった形態のお店だと思うのですが、開店の経緯を教えてください。
石井さん:開店は2018年の7月です。以前は17年間インド料理チェーン店「サムラート 東中野店」としてやっていました。
新装開店の機会があったのですが、最近インド料理店が増えているのでそれではインパクトが弱いのではないか、それよりも新しいブランドを作ってインド人やネパール人のシェフに職場を与えるのが我々の役目ではないか、という思いでこのお店をオープンさせました。
ネパール人シェフ2名。火曜日だけ交代要員としてインド人シェフが入ります。シェフによって、味つけが少し違うとか。
店内はいかにも立ち飲み屋さんの雰囲気。
──稼鶏酒場の店名の由来を教えてください。
石井さん:カトリにはふたつ意味があります。ひとつはうちの会社のインド人のオーナーの名前がカトリなんです。
もうひとつは昔の言い伝えで、「稼鳥」というものがあるんです。街が火事になって人々がぼうぜんとしている時に大きな鳥が飛んできて羽ばたくとお金が降ってきたりとか、あと背中に乗っている人が降りてきたら大工さんで焼け野原になった家を直していったという、そういう伝説があって、それが「稼鳥」っていうんですね。ちょうどオーナーと音が同じだったからちょうどいいかなと思って。
──「鳥」は「鶏」に変えたんですよね?
石井さん:そうです。うちは鶏肉とお酒を楽しんでいただくようなお店にしたかったので、「鶏」の字にしたんです。
店内を見渡すと、たしかにあちらこちらに鶏メニューがあります。
──鶏料理をメインにしようというのは最初からなのですか?
石井さん:そうですね。インド料理は鶏料理にいろいろなバリエーションがあります。ただインド料理店にくる日本人のお客様ってほとんどカレーとナンしか食べないんですよ。
でも、こういった形のお店ならその他のメニューもいろいろなものをご紹介できて、なおかつお客様もご注文しやすいかな、と思いました。
それではさっそく、一番好評だというタンドリーチキンからいただいてみましょう!
絶品タンドリーチキンの秘密とは
さて、タンドリーチキンがやってきました。
▲タンドリーチキン(496円)
値段が安いので油断していたのですが、でかいです!
iPhone7と比べてみるとこんな感じ。
重いけど、持ち上げて一気に食らいつきたいですね。
食べてみると、これは、本格的なタンドリーチキンです! 居酒屋さんではなく、インド料理店の味です。
──とても本格的な味なのですが、これはタンドリー釜で焼いているのですか?
石井さん:そうなんです。そして、肉を柔らかくするためにヨーグルトでしっかり漬け込んで、スパイスはオリジナルブレンドで。スパイスは粉末の方が安いのですが、ホールのものを使っています。新鮮なスパイスを使っているので、香りが肉を焼いても残るんですね。そういうところにこだわりを持ってやっています。
なるほど、立ち飲み屋さんなのに本格的なタンドリーチキンが味わえるのは、そんな理由だったんですね。それではさっそく、タンドリー釜を見せていただきましょう。
タンドリー釜だから実現できる味
厨房に鎮座する立派なタンドリー釜です。
中も見せていただきましょう。
近づくと、熱い空気が迫ってきます!
この中で、鶏肉などの食材がこんがりと焼かれるのです。
タンドリーチキンはこんな感じで串刺しにして、
タンドリー釜の中に立てた形で入れて、
ふたをして、じっくりと焼きます。
驚きの絶品まかない料理
そういえば、昨年は一部で「タンドリー秋刀魚」がはやってメニューで出しているお店もありました。
──こちらでは、魚系のタンドリー焼きはやらないのでしょうか?
石井さん:まだやっていないのですが、お魚系はいいですね。今年の課題にしています。ぜひやりたいです。
なんて話をしていたら、タンドリー釜の横に、魚があるじゃないですか!?
──魚、あるじゃないですか? これはアジですよね?
石井さん:そうです。これはまかないなんですよ。ネパール人たちがお金を出し合って自分たち用に買ってきているんです。ネパール人は魚が大好きなんですよ。
──アジはどのようにして食べるのですか?
石井さん:カレーとご飯と一緒に食べます。
なんと、メニューにはない豆のカレー、ダルも大鍋に作ってありました。
石井さん:毎週木曜日にはダルを作るんですよ。わりとスパイスにクセがあるのでメニューには載せていないし、そういうのがわかるお客様にしか出さないのですが。常連のお客様が1人だけ、毎週木曜日に食べにいらっしゃいます。
──ダルは裏メニューなんですね。お願いすれば出していただけますか?
石井さん:ある時なら言っていただければお出しします!
特別に、アジとダルとご飯のセットで出していただきました。
一見、日本の朝ご飯のような、焼き魚定食のような雰囲気です。
でも、アジはスパイスをまぶしてタンドリー釜で焼いてあります。
こんな感じでいただいてみました。
ダルはかなりスパイシーでコクもある味でしっかりタイプ。ご飯に合います!
アジはさっぱりした身をスパイスが引き立てています。
──これもメニューに入るとうれしいです!
石井さん:お客様の要望が多ければ、いずれメニュー入りさせたいです。そうすれば、ネパール人たちも喜びますしね。自分で買わなくて良くなりますし(笑)。
まだまだある! タンドリー焼きのめくるめく世界
自慢のタンドリー焼きの鶏料理をどんどん出していただきましょう。
▲カルミカバブ(421円)
片手でいただけるチューリップです。一人飲みだとこのくらいのサイズがいいかも。
表面の衣には各種スパイスの他にしょうゆがちょっとだけ使ってあって、微妙に和の風味になっています。
お次は、もも焼ききました!
▲稼鶏焼き(540円)
ひとりでもクリスマス気分になってしまう大きさです。
艶々としたシズル感がたまりません!
ジューシーです。柔らかくて、スパイシーだけど、普通のタンドリーチキンとは違う味付けです。クリスマスのローストチキンとタンドリーチキンの中間のような?
石井さん:ソースのメインはマスタードソース、はちみつ。そこにカレーのスパイスも入っています。もちろんタンドリー釜で焼いています。
ホッピーと居酒屋メニューも大充実
さて、ここが立ち飲み屋さんだということを忘れてはいけません。
飲み物のメニューもばっちり充実しています。そして安い!
ビール、ホッピー、サワー、ワイン、焼酎、日本酒、梅酒、テキーラ……となんでもこいです。
グラスワイン(237円)もこんな安い!
▲55ホッピーセット・赤(432円)
1日限定6本の赤ホッピーをいただきました。
石井さん:赤は仕入れ値が高いので、限定なんですよ。あれば絶対お得です!
ホッピーに合うつまみも頼んでみましょう。
▲シェフの気まぐれおつまみセット(540円)
こんなに盛りだくさんで、ロティも2枚ついてこの値段!
一人飲みならこのセットとホッピーで十分満足できてしまいそうです。
石井さん:最初はロティはつけてなかったんですが、お客様からご要望があったのでつけてみました。
そうですよね。巻きたくなりますよね。
冷製砂肝は評判メニュー。ネギと和えて、ポン酢で味つけしてあります。
いろいろ合わせて巻いてみます。1枚で多国籍なコンビネーションです。
インド風ではない、いわゆる日本の居酒屋風のメニューも普通にあります。
──インドメニューと居酒屋メニューが混ざっている感じなのですが、お客様はどんな感じで注文されていますか?
石井さん:半々くらいです。居酒屋メニューしか頼まない方もいらっしゃいますし、逆に面白がってインドメニューを頼んでくださる方も。
最初はどっちにウエイトを絞ろうかとずっと悩んでいたのですが、いらっしゃるお客様が偏っていないので、どちらもおいしいものを提供して、お客様もどちらでも注文できるようにした方がいいんじゃないかと思いまして。
──もっとコアなインド・ネパール料理を出す予定はあるのですか?
石井さん:もちろんコアな料理も提供はし続けていくつもりですインドのチーズを野菜を混ぜてサラダにしたりとか、そうやって親しみやすい形で紹介していきたいです。
彼ら(ネパール人シェフ)もまだまだいろいろなメニューが作れますし、タイ料理も得意なので。
──そういえば、「タイ風ハルサメサラダ」って書いてありますね。しかも200円(税込216円)!
石井さん:そうなんです。小皿なので、これなら気軽に試していただけると思います。小さいポーションでいろいろと頼んでいただければと思っています。
▲にんじんシリシリ(270円)
──突然、沖縄料理のにんじんシリシリがありますね?
石井さん:これは、私が沖縄で食べて大好きになったんですよ。東京だと食べられるお店が限られるので、自分が食べたいからメニューに入れました。
もうひとつ気になった居酒屋メニュー、シェフのスパイシー焼きそば。辛さが3段階あるので、激辛好きな私はサードでお願いしてみました。
▲シェフのスパイシー焼きそば(453円)
艶々の焼きそばがきました!
見た目は日本の焼きそば的です。インド風ではないのでしょうか?
石井さん:スパイスはたくさん使っていますが、インドとはちょっと離れたオリジナルのスパイス焼きそばです。何が入っているかは企業秘密です。「シェフのスパイシー焼きそば」なので作るシェフが変わるたびに味も少しずつ変わっていきます。
食欲をそそるソースの香り。ベースは普通のソース焼きそばです。
辛い! でも辛すぎるほどではなく、辛いのが好きな人ならおいしくいただけるはずです。
インド風ではなく、唐辛子系の辛さです。何が入っているのかはわからないのですが、複雑な香りで、間違いなくビールやホッピーが進みまくりです。
──メニューはこれからも変わっていくのでしょうか?
石井さん:日々メニューを増やしたり、減らしたり。スクラップ&ビルドを毎日しています。試しにやってみて、お客様の反応が良ければグランドメニューに落とし込んでいこうかな、と。そういった感じでやっております。
これから、どんなメニューが現れるのか楽しみ過ぎます!
お店に行ったら、店長さんに気軽に声をかけてみましょう。裏メニューを出していただけたり、リクエストに応えてくれるかもしれませんよ。
ごちそうさまでした!
お店情報
稼鶏酒場
住所:東京都中野区東中野1-57-6 福山ビル 1F
電話番号:03-5937-0839
営業時間:月曜日〜金曜日17:00~23:30(LO 23:00)、土曜日15:00〜23:30(LO 23:00)、日曜日15:00〜22:30(LO 22:00)
定休日:不定休