iPhoneでの料理撮影が苦手なライターがカメラマンに論理的に指導を受けた結果→憂鬱な撮影が楽しくなった

写真撮影が苦手なライターが、プロのカメラマンによる指導のもと、スマホによる料理撮影のイロハを学ぶ。アプリなどを使わなくても、基本のポイントをおさえれば、料理写真の腕前は格段にアップすること間違いなし!

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まずは、スマホで撮影した2つの写真を見比べていただきたい。

 

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▲上はプロが撮影したもの、下は私(素人)による写真である

 

撮影場所はそれぞれの自宅だが、料理自体はどちらも某大手コンビニチェーンで同時期に購入したハンバーグと冷凍食品の野菜。技術の差は一目瞭然だろう。

 

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▲こちらは寄りの写真。上がプロによるものだが、それに比べて私の写真はハンバーグのジューシーな魅力がまったく伝わってこない

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:すいません、髙橋さんってiPhone使っていましたっけ?

 

発端は私からのこんなLINEメッセージだった。「髙橋さん」とは旧知のプロカメラマン・髙橋定敬さんのこと。

 

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▲髙橋定敬(たかはし・じょうけい)さん。フリーランスフォトグラファー

 

雑誌などのメディアや、広告でのポートレート撮影、ライブ撮影などを中心に活躍しており、ライター&編集業をこなす私とは仕事上でタッグを組むことが多い。

 

新型コロナウイルスの影響で「対面」ではない「リモート」の取材が急増する中、困った問題が浮上してきた。ズバリ、写真撮影である。3密を避けるように厳しく要請されている中でカメラマンを呼ぶわけにはいかない。こうして自分で撮影することを余儀なくされるようになったのだ。

そこで髙橋さんにスマホでの料理撮影を遠隔で指導してもらおうと思い立ったのである。

私がiPhoneユーザーなので、iPhoneを前提に話を進めているが、もちろんAndroidにも応用できることを付言しておこう。

 

写真ビギナーはひとつの光源から考える

幸いなことに髙橋さんからの返事はすぐに届いた。今はiPhone XS MAXを使っているとのこと。すかさず一気に畳みかけていく。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:料理の写真を自分で撮影しなきゃいけないので、超初心者でもわかるようにコツを教えてほしいです。
自分の機種はiPhone11 Pro。前に使っていたやつを水没させて買い替えたばかりだから、操作方法がおぼつかなくて。
“カメラ”と“ポートレート”ってモードが2つありますけど、これって何が違うんですか?

 

……ずいぶんと甘ったれた話だが、仕事が関わっているだけに私も必死である。

 

「僕も料理写真は専門じゃないので偉そうなことは言えないですけど……」と困惑しながらも、髙橋さんは“超初心者用アドバイス”として以下のポイントを教えてくれた。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:完成した料理を撮るなら、全体を入れるのではなく、寄ったりして中心からズラすこと。
材料を並べるような説明的カットは俯瞰で抑える。
光源はひとつ。

 

超初心者用と言われたものの、早くも頭の中は混乱してくる。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:あの……光源をひとつって、どういうことですか?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:外の光なら外の光だけで撮るということです。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:昼間に撮るなら、室内のライトは消すってこと?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:簡単に言えば、太陽ってひとつしかないじゃないですか。基本の光があったうえでの補助光なので、写真ビギナーはまずひとつの光源から考えたほうがいいんですよ。それからレースカーテンなどをして、光を少し柔らかくするのもオススメです。

 

なるほど、それくらいなら簡単にできるだろう。そう思った私はテーブルに置いてあった子供の昼食(キーマカレー、ひじき、さくらんぼ、キュウリ、ミニトマト)をためしに撮ってみることにした。

 

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送った瞬間にすごく不味そうだなと自分でも感じたが、案の定、髙橋さんからはダメ出しLINEが矢のように届いた。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:う~ん……これじゃ何を撮りたいのかわからないです。まずは料理の背後にある荷物を片付けてください。話はそれからです。

 

何を撮りたいのかを明確にする

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:キーマカレーを見せたいなら、たとえば中心にあるカレーの上のミニトマトをタップして長押し。長押しするとAFロックといって、ピントが固定されます。すると背後がボケます。そしてキーマカレーをもっと大きく入れる。
もう少し窓から距離を離しましょう。
真逆行じゃなく、少し斜めの逆光で撮ってください。逆光のアングルだと、光が反射して料理に照りが出る。なおかつ手前が暗くなるので立体感が生まれます。
室内にオレンジっぽい照明はありませんか? ないなら、補正する方向でいきましょう。

 

……ほっ、補正ですと? そもそもスマホのカメラ補正機能なんて使ったこともないぞ。それでもGoogle先生に尋ねながら補正を操作する機能を見つけて、とりあえず「ビビッド(暖かい)」を選択。髙橋さんの指示に従って撮影し、「少しはマシになりましたかね?」と送ったところ、「キーマカレーを撮りたいのは伝わってきました」とのお言葉をいただく。

 

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f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:もっとキーマカレーの入ったお茶碗を画角から外しましょう。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:画角から外す?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:もう少し近くで撮って、一部を画面の外に出すんです。あとレンズが広角すぎますね。「×2」というところを押してみてください。

 

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f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:「×2」、補正=ビビッド(暖かい)、若干引き、トマトを長押しで撮ってみました。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:う~ん、もう少しキーマカレー全体を画角から切ってください。たとえば、こういう感じで。

 

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これはヤバい。写真の心得がない私でも違いが明確にわかる。コップを撮っているだけなのに、なんなら美味しそうだ。どう考えても髙橋さんの写真が正解で、私のは間違い。ちなみに髙橋写真は右部分に余白があるが、これは小野田写真のピンク皿スペースを意識して空けているということである。

 

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f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:角度が斜めすぎて、ピンク皿の中身が見えないかな。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:そうですね。キーマカレーの存在は主張できていますけど、もっと上からでもいいと思います。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:それとキーマカレーが画角から出すぎ?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:というより、出方が中途半端かと。もっと大胆に出しちゃってもいいです。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:そういうものですか……。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:iPhoneの“設定”から“カメラ”を選んでください。“グリッド”ってありますよね。それをオンにしてくれますか?

 

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f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:なんかマス目みたいなやつが出てきました。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:タテ軸とヨコ軸で交差する箇所が4つありますよね。そこがポイントなんですよ。その交差するところに強調する対象物を置く。この場合はキーマカレー上のミニトマトを左下の交差ポイントに合わせます。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:……頭がパンクしそうです。

 

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f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:おっ、だいぶよくなってきたんじゃないですか。上のピンク皿は、もう少し切ってもいいかもしれないですけど。でも、かなり進歩していますよ。

 

うれしい。ちょっと褒められただけで充実感・達成感がみなぎってくる。しかし髙橋先生、飴と鞭の使い方が絶妙すぎるなぁ。

こうして唐突に始まった初日のレッスンは終了した。

 

余計なものが写らないように注意を払う

初日のレッスン以来、私は料理を作るたびにゲリラ的に写真テロを行うようになる。以下はそのやりとりの一部である。

 

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f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:肉野菜炒めと子供の夕飯です。ダメっすか?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:う~ん、厳しいな……。まず最低限、仕上がりの料理は綺麗に盛りつけてください。特に肉野菜炒めはキッチンペーパーで皿を拭くなどして……。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:お恥ずかしい。撮影テクニック以前の問題ですね。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:完成した料理を撮るときは、あらかじめスペースを用意して、邪魔な荷物をどけ、綺麗にしておくこと。これは鉄則です。

 

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f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:こんな感じかな。LEDライトの調子が気に入らないし、ビール飲みながらの撮影だけど。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:やっぱりすごいですね。全部のレベルが違うんだろうけど、一番の差は構図というかトリミングの問題ですか?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:皿の切り方はポイントかもしれないです。僕のやつも見本としていいとは言えないけど、小野田さんの写真は全体的に皿を入れすぎなんですよね。切り方が中途半端。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:なるほどー。難しいものですね。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:逆に材料とかを撮るときは、もっと俯瞰で。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:俯瞰ってことは、もっと引きで?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:引きだけど余計なものは写らないように椅子とか使って。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:椅子に乗って撮る? そんな発想すらなかったです。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:あと今回は肉料理なんだから肉がメイン。肉が前。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:いちいち勉強になります!

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:高さがある料理の場合、もっと横の角度から撮ってもいいです。ただし、そのときはスマホの影が入らないよう絶対に気をつけてください。俯瞰に気を取られていると、プロでも影が入りがちなんですよ

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:そういうものなんですね。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:説明的になりすぎるので、料理を真ん中にしすぎない。余計なものは片付けてから撮る。盛りつけに気をつけて、汚れはキッチンペーパーで拭く。半逆光を意識して、テカリを出す。このへんを意識すれば、プロじゃなくても雰囲気は出せると思いますよ。

 

主張したいものを自分の中で整理する

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f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:今日も撮影練習です。納豆ツナパスタ。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:いい感じじゃないですか。ただし、中央の卵黄が隠れていますね。この料理は卵黄が写真の主役級なので、もっとしっかり見せたほうがいいです。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:なんだか具材がよくわからないですよね。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:そうですね。納豆とツナも見えにくいし。トングを使って、もっと盛りつけのバランスに意識を向けたほうがいいかと。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:たしかにそうかも……。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:食べるだけだったら、これで全然いいんです。でも誰かに見せるんだったら、誰かに伝えるんだったら、主張したいもの(=テーマ)を自分の中で整理したほうがいいと思うんです。そこは小野田さんがやっている文章の技術と同じじゃないですかね。

 

そこまで言われたら、ぐうの音も出ない。正直、こんなにもスマホでの料理撮影が奥深いものだとは思わなかった。これは生半可な覚悟じゃできないぞ。全身に心地よい緊張感が走ると同時に、そっとジャージの襟を正した。

 

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f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:今日は近所のスーパーで買ってきた総菜です。どうですかね?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:これじゃ撮っただけ。一体、これで何を伝えたいんですか? テーマは?

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:しっ、失礼しました!

 

またしても出ました、「テーマが伝わってこない」問題。振り返ってみたら、私はこれまで写真を撮るときに何も考えていなかった。考えようともしなかった。ボタンを押していただけだったのだ。

そんなふうにウジウジ悩んでいる私を見て、たまたま隣にいた妻が「料理の写真というのは斜めから撮れば、おしゃれに見えるんだよ。貸してみ」とドヤ顔で撮った写真がこれだ。

 

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f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:これは厳しいなぁ。そもそも、なぜ斜めなんですか? どっちから見ればいいんですか?

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:いや、なんか斜めから撮ったほうがインスタっぽくておしゃれだって妻が言うものですから。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:奥さんの意図は? 意図があっての斜めならいいですけど、ただ意味なく斜めにするのはNGですよ。写真というのは、まっすぐが基本形ですから。ついでに言うと、この写真は皿自体が斜めなところもダメですね。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:皿が斜め?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:奥さんの写真はスマホが皿に対して平行じゃないんですよ。ついでに言うと、小野田さんの写真も実は並行ではなく曲がっています。水平は感覚でもあるので、たしかに一般の人だと平行じゃないのもわかりづらいかもしれませんが。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:なるほど。妻のダメなところがよくわかりました。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:そこまでは言っていません(笑)。ライブ写真とかで躍動感を出すために斜めにすることはありますけど、料理に躍動感は不要。テーブルと皿の角度を絶えず意識して、撮るときは脇を締める。これはスマホでも変わらない基本です。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:実際、インスタグラマーとかは斜めに撮る傾向が強いんですか?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:どうだろうな。ただ、素人でも上手な人はたくさんいますよ。繰り返しになりますけど、撮るときはテーマとか意図が大事なんです。おしゃれっぽいからなんとなく斜めにしているだけなら、それは単なる自己満。人に届ける写真ではない。

 

見る人に味を想像させることが大事

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f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:今日の昼メシは、ひっぱりうどんです。夕刊紙が入っている時点で、どうしたっておしゃれ度は下がりますが……。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:うどんは一目見てわかるんですよ。たとえばですが、めんつゆに具材を入れたものをメイン扱いにして前に持ってくる。そして背後にうどん。こっちのほうがバランス的にはいいかもしれない。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:そもそもの発想からして間違えていた?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:見る人に味を想像させることが大事なんです。うどんというのは基本つゆの味が重要じゃないですか。ここでも「どう見せたいか?」という考え方が足りないんですよね。逆にうどんの麺をもっとアピールしたいのなら、つゆから箸ですくっている絵を押さえるとか。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:言われてみたら、つけ麺の写真もスープが前面に出ているパターンが多いですね。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:そうそう。麺が重要じゃないとは言わないけど、味が想像しづらいんですよ。

 

ここで、ふと疑問が沸き起こった。たとえば、こういった典型的な定食が存在する。

 

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配膳の基本として前面左にライス、前面右に汁物。そして奥におかずが並ぶ。

髙橋ロジックでは、メインのおかずを前面に持ってくるべき? それとも配膳された状態で撮るのが料理写真の基本?

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:それは媒体にもよりますね。街の定食屋巡り的なほのぼの系記事だったら、配膳された状態のまま俯瞰で撮るのが正解。全体をしっかり写すわけです。だけど週刊誌の魚特集みたいにテーマが明確に決まっていたら、皿を並び替えて焼きサバを前に持ってくる。ご飯とか味噌汁は申し訳程度に入っていればOK。なんだったら、おぼんも要りません。

 

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f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:今朝もキーマカレー。以前に撮った残りを冷凍させたやつと野菜類です。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:いや~、だいぶ前回よりも上達しましたね。明るさもいい感じです。

 

f:id:exw_mesi:20200620161501j:plain小野田:率直に言って、うれしいです。

 

f:id:exw_mesi:20200620155734j:plain髙橋:子供のごはんだから、やっぱり健康的な感じが大事。そういう意味でこの光はバッチリです。

 

こうして髙橋さんによるスパルタ式のLINE料理写真レッスンは続いた。

しかし「ああでもない、こうでもない」と毎日のように苦闘しているうちに、いつの間にか撮影すること自体が楽しくなってきたのも事実だった。

特にテーマを考えながら撮るという発想は目から鱗。ネットや雑誌の料理写真を見る際も、どういう撮影意図が込められているのかを想像するようになる。これはコロナ禍における怪我の功名と言ってもいいかもしれない。

 

料理撮影で気をつけるべきポイントまとめ

さて、最後に問題。

これはレッスン初期に私が焼きそばを作ったときの写真である。

 

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当然のように髙橋先生からはすさまじいダメ出しを喰らったのだが、ここまで記事を読んでくれた人なら修正すべきポイントもわかるだろう。

もし自分だったらどのように撮り直すか?

実際に授業を受けているつもりで考えてみてほしい。

 

正解=先生のダメ出しポイント
  • 汚れた皿部分をキッチンペーパーで拭く。
  • 野菜類の色味バランスが悪すぎ。人参、キャベツ、キクラゲの位置を再考。
  • 皿の下に影が入っている。
  • スマホが皿に対して平行でない。
  • 画角が中途半端。なるべく料理は真ん中に配置しない。
  • 逆光、もしくは半逆光にする。現状の光ではシズル感が皆無。
  • 自然光だけでは暗い場合は補正で明るく。対象をタップしたまま上にフリック。
  • 必要とあらば、明るさだけでなくコントラストも調整。
  • 画角が広すぎる。最新iPhoneなら「×2」に設定し、自分が被写体から離れる。
  • テーマや伝えたいものがわからない。

 

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髙橋さんからご指導ご鞭撻いただいたうえ、撮り直した写真がこちら。先生からも「まるで別人ですよ」とお褒めの言葉をいただいた。

写真の基礎もセンスも一切なく、スマホのカメラ機能すら把握していない私でもこの進化ぶりなのだ。きちんとした指導を受ければ、誰だって飛躍的に写真技術が向上することがおわかりいただけるだろう。

コロナ騒動が収束しても、これからのSNS時代にスマホの撮影テクはますます必須となるはず。とりあえず髙橋さんにビールでも奢って、人物や風景の撮り方もイチから教えてもらおうと固く心に誓ったのだった。

書いた人:小野田衛

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雑誌やネット媒体で仕事をするフリーのライター/編集者。アイドルやスポーツ、貧困問題に関する記事を作ることが多い。趣味はサウナ。特技はサウナ。オフの日の過ごし方はサウナ。

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