「吉野屋」のきしめん地獄に麺食いブロガーが挑む【名古屋デカ盛り列伝】

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店内には大盛注意の貼り紙が

『メシ通』読者のみなさんはご存じかもしれないが、私は無類のきしめん好き。いつも麺は大盛を注文するのだが、それでもモノ足りないことがある。

一度でいいから、「もう食えねぇ……」ってほどきしめんを食べてみたい。そんな中、全国の大食いファイターをうならせる麺類食堂があるという情報を入手した。

って、私ゃ大食いファイターではないってば。大盛よりもほんの少したくさん食べたいだけなのだ。単身で勢いよくお店に殴り込みをかけるも返り討ちに遭ったら恥ずかしい。

 

チキンな私は、ラーメンを中心にきしめんやそばなどの麺類を年間500杯以上も食べまくる、ブロガーで友人のISOMAXに助っ人を頼んだ。

 

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 彼は以前に『メシ通』で紹介した「カフェテラス ダッカ」の「ハンバーグランチ大盛A」を完食! 強靱な胃袋の持ち主なのだ。

 

ISOMAXとともに向かったのは、名古屋市中区新栄の広小路葵交差点近くの路地にある「吉野屋」。

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一見すると、どこにでもありそうな麺類食堂だが、このフツーっぽさが逆にコワイ。なんてチキン野郎なんだ、私は。

 

店内にはメニューの量についての注意書きが貼られている。

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壁の貼り紙だけで、ここがメガ盛り店であることを思い知らされる。

 

ここにも念押しするように、別の注意書きが。

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一方、ISOMAXはこの「普通の方は大盛は絶対に食べられません」の一文を見て闘志がメラメラと沸き起こってきたらしい。

 

メニューは、うどんとそばのほか、名古屋ならではのきしめんと味噌煮込みもあり、どれにしようかとしばし悩む。完食を目指すのであれば、麺につゆが吸いにくい「ざる」、それも「そば」が有利ではある。

 

しかし、今回は私の大好物であるきしめんを腹一杯食らうのが目的のはず。そんなワケで、シンプルな「きつねきしめん」に決定。

 

ここで問題となるのは量である。私は並盛(610円)に決定。実はISOMAX、以前にここで「親子入り味噌煮込み」の中盛(1,150円)の完食に成功している。

店内の貼り紙にあるように、ここの中盛は約2kg。尋常な量じゃない。

 

ISOMAX、キミはスゴイ人だったんだね……。

 

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手堅く中盛りでいくか、それとも大盛にチャレンジするか迷っていたその時、店主の畔柳謙一郎さんが一言。

 

「ちなみに、これが並盛と大盛の丼です。」

 

なっ、何じゃそりゃぁぁぁ!!

 

並盛でも巷の麺類食堂で使っている丼よりもはるかに大きい。

大盛用の丼は洗面器くらいのサイズ……。直径はおよそ50cmはあるだろうか。まさに悪夢としか言いようがない。

 

ここまで強がっていたISOMAXも目が泳ぎまくり、明らかに動揺している。が、それを振り払うように「大盛を!」とISOMAX。

心なしか彼がイケメンに見えたぞ。

 

たった1杯で約15人前! 

待つこと約10分。最初に運ばれてきたのは、私が注文した「きつねきしめん」並盛だった。

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この丼、通常のものよりもかなり高さがあって、底まで麺がぎっしり。畔柳さんによると、並盛の麺は450gとか。明らかに2人前以上のボリュームだ。

 

続いて、畔柳さんが腕をプルプルさせながら運んできた「きつねきしめん」大盛(1,350円、ただし一人で完食の場合のみ)がISOMAXの目の前に!

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ひぇぇぇっ!

先ほどのイケメンぶりから一転、、ホラー映画的な悲鳴を上げるISOMAX。

 

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それもそのはず、大盛も丼の底まで麺がぎっしりなのだ。

驚くなかれ、その重量3.2kg!

並盛の約7人前だが、ここの並盛は通常の2人前以上だから、ボリュームも15人前近くになる。

 

たった1杯なのに15人前……。

 

思わず私も「ひぇぇぇっ!」と叫びたくなる。

 

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ちなみに並盛と大盛を並べるとこんな感じ。

もう話にならない。いかに大盛が巨大なのかが分かるだろう。

ちなみに麺はモチモチ&ツルツルの自家製麺で、つゆはムロアジとカツオがベース。巷の麺類食堂よりも上品な味わいだ。

 

食べても食べても麺が減らない

ってことで、開始のゴング!

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 気持ちを切り替えたのか「いっただきま~す」とISOMAXは満面の笑み。

それでこそフードファイターだ!

 

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気合い十分に麺をすすりまくりのISOMAX。

うん、いいぞ、その調子! 私もヒィヒィ言いながら並盛に食らいついた。

ところが、食べても食べても麺が減らない。半分よりもやや多めの量を食べたあたりで満腹ランプが点灯。ここで休んでは麺がのびてしまい、余計にツラくなる。必死でかき込んでようやく完食。ふぅ。

 

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ここからはISOMAXの応援に専念しよう。必死の形相で麺を食らうISOMAX。

箸を思いきり開き、麺をつかめるだけつかんで口の中に入れているが、その表情は明らかに苦しそうだ。頑張れぇっ!

 

これぞメガ盛りスパイラル

開始から約20分。ISOMAXの箸が止まった。

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丼を見ると、まだかなり残っている。

 

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ついにうつろな眼差しで遠くを見つめはじめた。

これ、ダメなパターンじゃん! イヤな予感がする…。

 

「時間が経てば経つほど麺がのびてしまい、いくら食べても量が元通りになってしまう。メガ盛りスパイラルだ……。」

 

ここにきて弱音を吐くISOMAX。大丈夫か!?

 

再度、箸を動かそうとするも、身体が拒否反応を示しているのか、まったく進まない。

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天を仰いだISOMAX。

 

そして、

 

絞り出すように語った。

 

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「いや、無理だって! オレはフードファイターじゃないからっ!!」

 

開始のゴングから24分37秒、ISOMAXのKO負けが決まった。

 

大盛り成功率は約1割

「吉野屋」は平成4年に開店。畔柳さん自身が食べることが大好きで、お客さんに満腹になってもらおうと、当初から量は多めだった。

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「丼が割れたので、買ってきた新しい丼にそれまでの量を入れたところ、どうも見た目が悪い。それで麺を増やしたらバランスが良くなりました。こんな感じで、丼を替えるたびに量が増えていきました。中盛や大盛のメニューを出すようになったのは10年以上前になります。中盛は8割方成功するのですが、大盛の成功率は1割くらい。やはり、普通の人では無理ですよ。」(畔柳さん)

 

名古屋でも有数のデカ盛り店として有名になった反面、困ったことも多いという。それは、興味半分で注文して大量に食べ残すお客さんの存在だ。せっかく丹精込めて作ったものを捨てるのは料理人として忍びないという思いから、畔柳さんはやむをえず食べ残したお客さんにペナルティーを科す決断をした。

 

「中盛を残した場合は並盛の倍の値段、大盛は並盛の4倍の値段を支払っていただきます。例えば「きつねきしめん」の並盛は610円ですから、中盛を残されたら1,220円、大盛は2,440円となります。もちろん、注文時にそれを伝えて、お客さんも承諾した上で挑戦していただいています。」(畔柳さん)

 

ってことで、ISOMAXも食べ残したことを丁重に詫びて、2,440円を支払った。

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「もう一度、顔を洗って出直してきます……」と、うなだれるISOMAX。

 

お腹に自信がある読者のみなさん、是非とも挑戦して彼のカタキを敵をとってくれ!

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※この後スタッフですべていただきました。

 

お店情報

吉野屋

住所:愛知名古屋市中区新栄1-6-3 シャインビル1階
電話番号:052-241-0358
営業時間:11:00~15:00、18:00~20:00 ※月曜日・土曜日は11:00~14:00
定休日:日曜日、祝日

 

書いた人:永谷正樹

永谷正樹

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに写真と記事を提供。最近は「きしめん」の魅力にハマり、ほぼ毎日食べ歩いている。

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