発酵ブームの今だから知っておきたい……醸造王国「三河エリア」の味噌&醤油を使った“極醸グルメ”まとめ【名古屋めしライター選】

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愛知県は尾張と名古屋、三河の3つのエリアに分けられる。

三河エリアは、古くから味噌や醤油、みりんなどの醸造業が盛ん。発酵文化豊かな地域なのだ。江戸時代には、これらを船で江戸まで運んだそうで、「江戸前の食文化を支えたのは三河産の調味料じゃんねぇ」と、地元の醸造文化を誇りにしている人も多い。

今回は、これまで『メシ通』にて、名古屋めしライターでもある私、永谷正樹が紹介してきた三河産の調味料を使ったメニューを改めて紹介したい。折しも現在は発酵食ブーム。健康食としての味噌への関心も高まっている。ぜひこれを機会に三河エリアに足を運んでいただき、地元でしか味わえない料理を楽しんでほしい。

 

【碧南市】福本屋「パスタ風焼きそば」

愛知県知多半島の付け根に位置する碧南市(へきなんし)は、小麦を原料とする琥珀(こはく)色の醤油、「白醤油」が有名。

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やさしい味わいの白醤油は、和食には欠かせない調味料として椀物や炊き合わせなどに多用されている。「白醤油」の醸造業者は全国で10社弱。そのうち3社が碧南市にあり、上の写真はそのひとつ「ヤマシン醸造」の白醤油。

 

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碧南市内の和食店やうどん店は、碧南産の白醤油を当たり前のように使っている。そこで、碧南市内の和食以外のジャンルのお店を探してみた。名鉄三河線碧南中央駅近くにある、お好み焼き店「福本屋」だ。ここには「白醤油」を使った焼きそばががある。

 

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これが「焼きトマトと季節食材の白やきそば」(880円)。「白醤油」を使っているので、トマトや白菜、きのこの色が鮮やか。やはり、焼きそばというよりはパスタに見える。 しっかりと「白醤油」の風味はそのままに、味にカドがなく、とにかく上品な味わいだ。ソース焼きそばよりもワンランク上の味、といったところだろうか。

また、このお店を含む碧南市内の飲食店12店舗は「白醤油」や白だし、三河本みりん、碧南の特産である玉ネギとニンジンを使った焼そばを「へきなん焼きそば」として市内外にPRしている。

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お店情報

福本屋

住所:愛知県碧南市栄町1-32
電話:0566-41-2441
営業時間:11:00~14:00(LO)、17:00~21:00(LO 20:30)
定休日:月曜日、第4火曜
へきなん焼きそば:http://www.hekisoba.com/

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【刈谷市】きさん「いもかわうどん」

きしめんのルーツは諸説さまざまあるものの、どれも根拠がないといわれている。そんな中、尾張や名古屋とは文化が異なる三河で発祥した「いもかわうどん」がきしめんのルーツであるとの新説を掲げる人がいる。刈谷市のうどん店「きさん」の店主、都築晃さんだ。

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「現在の刈谷市北部が三河国芋川にあたります。江戸時代、芋川にあった茶店で売られていた平打ちのうどんが『いもかわうどん』と呼ばれ、井原西鶴の『好色一代男』や十返舎一九の『東海道中膝栗毛』にも登場しています。それが尾張(名古屋)へ伝わって、きしめんになったのではないかと思います。芋川の地で生まれたので、私は漢字で芋川うどんと表記しています」(都築さん)

 

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「いもかわうどん」が平打ち麺であったことは事実だが、具体的にどんな味だったのかは謎。都築さんは、大量の麺を大鍋で煮込んでいたと推測し、味噌煮込みうどんの麺と同様に、小麦粉と水のみで打っている。

また、当時は製粉技術も現在ほど進んでいないことから、あえて小麦の皮のギリギリまでを使い、粗くひいた小麦粉を使っている。だから、麺は真っ白ではなく、ご覧の写真のように、やや黄色がかっているのが特徴だ。

 

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つゆに使うたまり醤油やみりんは三河産を使用した「志の田芋川うどん」(700円)は、具材に刻んだ油揚げとカマボコ、ネギが入る。つゆはたまり醤油ではなく、碧南産の白醤油を使った上品な味わい。

「いもかわうどん」からどのような経緯できしめんと呼ばれるようになったのかは定かではないが、この「いもかわうどん」を食べながら、謎に包まれたきしめんのルーツに思いをはせてみてはいかがだろう。

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お店情報

きさん

住所:愛知県刈谷市一ツ木町7-14-1
電話番号:0566-27-8537
営業時間:11:00~14:00、18:00~20:00 ※平日夜は予約制
定休日:水曜日の夜、木曜日

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【安城市】北京本店「北京飯」

愛知県西三河地方にある安城市に「北京飯」なるご当地メシがある。地元では知らない人はいないほど有名だが、名古屋や尾張エリアではまったくの無名……。

発祥のお店は新幹線の三河安城駅近くにある昭和36年創業の「中国料理 北京本店」だ。7年ほど前にお店を改装して、外観も店内もレストランのような雰囲気だが、その前はどの町にもある大衆的な中華料理店だった。

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「北京飯が誕生したのは、開店してまだ間もない頃。祖父がまかないで玉子料理を作ろうとしたところ、誤って別のタレを玉子の上にこぼしてしまいました。捨てるのももったいないと思い、食べてみたらおいしかったそうで、それが北京飯のヒントになったと聞いています」と店主の杉浦充俊さん。

 

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これが「北京飯」。正式名称は「究極の北京飯」( 600円)。

トロトロの玉子丼の上にのるのは、脂身の少ない内モモ肉を使用した豚肉の唐揚げ。このビジュアルを目の当たりにしたら、食べずにはいられない(笑)。玉子がふわふわ&トロトロ! あまりにもやわらかすぎて、甘辛いタレとともにご飯の下の方にまで流れている。だから玉子とご飯の一体感はハンパない。また、豚肉の衣がサクサクで肉がとてもやわらかい。もう、たまらん!

 

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こちらは、「あんかけ北京飯」(750円)。

あんかけのベースは、高級料亭が椀物に使うほど上質な三河産の白醤油。あられと梅干しもトッピングされ、従来の味とはまったく異なる、進化形の「北京飯」だ。「究極の北京飯」はそれ自体が一つの完成形であるがゆえに、これ以上ほかに何も足す必要はないという常識をもこの一杯はいともあっさり覆してくれた。

ほかにも通常唐揚げが3枚のところ倍の6枚に増量した「デラックス北京飯」(700円)やピリ辛の台湾ミンチをのせた「台湾ミンチ北京飯」(750円)も用意している。

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お店情報

中国料理 北京本店

住所:愛知県安城市三河安城本町2-4-1
電話番号:0566-75-0230
営業時間:11:00~14:00(LO 14:00) 17:00~21:30(LO 21:00)
定休日:月曜日

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【岡崎市】つけめん舎 一輝「岡崎まぜめん」

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三河産の調味料でもっとも有名なのが、岡崎産の八丁味噌だろう。何も知らない名古屋人が岡崎で「名古屋名物の八丁味噌……」と口を滑らせると、タイヘンなことになる。それだけ岡崎市民の“八丁味噌愛”はハンパないのだ。ところが、残念なことに岡崎には八丁味噌を使った名物料理がないのである。味噌かつや味噌煮込みうどんなどの味噌料理は名古屋に取られてしまっているし。

 

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そんな状況を打ち破ろうと立ち上がったのが「つけめん舎 一輝」の店主、杉浦正崇さんだ。'09年頃から「岡崎といえば、コレ!」と即答できるご当地グルメを作ろうと、市内の同業者に声を掛け、それぞれオリジナルメニューを作っていた。その後、和食店や洋食店などにも呼びかけて、ジャンルを超えて取り組むことに。

「メニューは、岡崎の伝統的特産品である『八丁味噌』を使い、さまざまなジャンルや人が“まざりあい”、長くつながっていきたいという願いから、麺を使った料理としました」(杉浦さん)

それら麺料理を「岡崎まぜめん」と命名。現在、市内22店舗で趣向を凝らしたメニューを用意している。

 

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「つけめん舎 一輝」の「岡崎まぜめん」(850円)がそのひとつ。レンゲに岡崎市のゆるキャラ、オカザえもんが描かれているのはインスタ映え狙いか(笑)!?

 

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ちまたのまぜそばとは完全に一線を画す、深いコクと濃厚なうま味。なたね油とごま油の香りが鼻から抜けるのとほぼ同時に、八丁味噌のコクと香りがフワッと広がる。

麺もラーメンというよりは焼きそばに近い食感。具材やタレが絡みまくりである。こっ、こりゃ、たまらん!

 

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お店情報

つけめん舎 一輝

住所:愛知県岡崎市法性寺町荒子54-2
電話:0564- 55-0112
営業時間:11:30~14:00(土曜日・日曜日・祝日は~15:00)、18:00~22:00
定休日:月曜日
岡崎まぜめん:https://okazaki-mazemen.jimdo.com/

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【岡崎市】Kibun.de..SACHIO「家康ラーメン赤鬼」

※2018年1月より店名および住所、電話番号が以下のように変更となりました。ご了承ください。

新店名:「キブサチ」

移転先:愛知県岡崎市日名南町17-7 レジャービル1F

新電話番号: 0564-22-2267

 

大豆と塩、水だけで仕込む豆味噌(赤味噌)の一種、八丁味噌。その名を名乗ることができるのは、岡崎市八帖町の旧東海道を挟んで向かい合う1560年創業の「カクキュー八丁味噌」と1337年創業の「まるや八丁味噌」の2社のみ。いずれも予約不要の上、無料で工場見学ができる観光スポットでもある。

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2017年3月19日には、「カクキュー八丁味噌」の敷地内に八丁味噌を使った料理が楽しめるフードコート「岡崎 カクキュー 八丁村」がオープンした。

 

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なかでもオススメなのが「Kibun.de..SACHIO(キブン.デ..サチオ)」

実はここ、岡崎市内でも評判のラーメン店なのだが、お店を閉めてここへ移転してきたのである。オーナーの気合いの入り方がうかがえる。ここのラーメンは、スープから具材にいたるまで岡崎産の食材にとことんこだわっている。

 

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イチオシは、岡崎らしく「家康ラーメン赤鬼」(950円)と名付けられた味噌ラーメン。

一口すすると、まるで味噌煮込みうどんを食べているような味噌感に襲われる。それもそのはず、八丁味噌以外の味噌は一切使っていないという。

スープは鶏のダシがしっかりきいており、味のバランスも申し分ナシ。超濃厚なスープに負けない中太角麺も食べ応え十分である。岡崎のご当地麺として知られる日は必ず来ると確信させられる一杯だ。

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お店情報

Kibun.de..SACHIO(キブン.デ..サチオ)

住所:愛知県岡崎市八帖町字往還通69
電話:0564-21-1355
営業時間:11:30~15:00、17:30~22:00(LO 21:00)
定休日:木曜日

 

※2018年1月より店名、住所、電話番号、営業時間、定休日が以下のように変更となりました。ご了承ください。

新店名:「キブサチ」

移転先:愛知県岡崎市日名南町17-7 レジャービル1F

新電話番号: 0564-22-2267

営業時間:11:00~14:00、18:00~22:00

定休日:月曜日、第1日曜日、第3木曜日

 

【西尾市】ぞうめし屋「肉みそのり玉ごはん定食」

三河産の味噌といえば、八丁味噌があまりにも有名だが、醸造王国・三河には大小さまざまな味噌蔵がある。

西三河地方の海沿いにある小さな町、西尾市吉良町にある昭和33年創業の「今井醸造」もそのひとつ。看板商品は国産大豆・国産塩を使用した豆味噌だ。

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「味噌をつくる際に出る“味噌溜まり”を搾ったものが溜まり醤油です。通常、味噌蔵では味噌と併せてたまり醤油も販売していますが、ウチは扱っていません。味噌溜まりには豆味噌のうま味が凝縮しているため、搾ると味噌の風味が落ちてしまうんです」と、先代社長の今井有一さん。

 

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そんなこだわりの味噌を使ったメニューが楽しめるのが、三代目社長の今井大輔さんが2015年2月、西尾市志籠谷町にオープンさせた「ぞうめし屋」だ。

 

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「味噌を軸に、老若男女問わず、どんな人でもおいしく食べられる料理を出そうと思いました。メニューの基になっているのは、幼い頃に母ちゃんが作ってくれた料理。その味の記憶をたどり寄せながらレシピを作りました」と、今井さん。

 

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数あるメニューの中でも好評なのは、豆味噌をベースに砂糖やみりん、お酒、豚ひき肉をくわえた自家製の肉味噌をのせた「肉みそのり玉ごはん定食」(1,080円)。

豆味噌と相性の良い温泉玉子と海苔、ネギがご飯の上にたっぷりとのる。肉のうま味もさることながら、豆味噌ならではのコクと風味がたまらない! まぜそばのようにグチャグチャにかき混ぜて、すべての具材とご飯を一体化させてかき込みたくなる一品だ。これは是非、豆味噌になじみの少ない県外の方に食べてもらいたい。

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お店情報

ぞうめし屋

住所:愛知県西尾市志籠谷町欠下53-1
電話:0563-65-6995
営業時間:11:00~15:00(LO 14:00)、18:00~22:00(LO 21:00)
定休日:月曜日、第1火曜日
ウェブサイト:http://www.zoumeshiya.com/

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書いた人:永谷正樹

永谷正樹

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに写真と記事を提供。最近は「きしめん」の魅力にハマり、ほぼ毎日食べ歩いている。

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