【しっとり系】「黒いチャーハン」の謎

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「黒いチャーハン」の謎

皆さんはチャーハンと聞いたとき、どのようなビジュアルをイメージするだろうか?

 

東京で生まれ育った私がイメージするのは、白か黄色いビジュアル。

そして、おそらく多くの方は私と同じようなイメージをするのではないだろうか?

 

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▲例えばこのような町中華の王道チャーハン

 

しかし、ある日私は、そんな私たちの常識を覆す黒いチャーハンに出合ったのである。

 

お店は小川駅から歩いてすぐ

その黒いチャーハンを提供するのは、2018年7月18日に西武拝島線小川駅に開店したばかりの「中華そば 紅」。

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お店は、小川駅西口を出て正面の道を右折した場所にある。

 

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▲黄色い看板に赤い「紅」の文字が鮮やか

 

激辛料理が好きな私は、看板の文字色にひかれてつい近づいて行った。

しかし、そこで衝撃的な出合いをすることになる。

 

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そう。

京都でおなじみ ブラックチャーハン」と書かれたそのチャーハンは、私の今までのチャーハンの概念を覆す衝撃的なビジュアルをしていたのだ。

これはぜひ実物が見たい。そう思った私は、すぐさまお店に駆け込んだ。

 

店内に流れていた音楽は『紅』

店内に入ると、愛想の良い店主の掛け声とともに、店内に流れる音楽が私の耳に飛び込んできた。

それは X JAPAN の往年の名曲『紅』。

私が思わずにやけてしまったのも仕方のないことだろう。

(後で確認したところ、偶然だったらしい)

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食券機に向かい、せっかくなので看板メニューであろう「」(950円)ラーメンと、目的のチャーハンを「セット炒飯」(300円)で購入。

激辛料理を愛好する者なら、この「紅」の写真を見て、注文せずにいることなどできないのではないだろうか?

 

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▲メニュー構成はいたってシンプル

 

しばらく待っていると、「紅」と「セット炒飯」が運ばれてきた。

 

ビジュアルと味のギャップに驚いた

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▲「紅」と「セット炒飯」(※「セット炒飯」は半チャーハン)

 

ひと目見て、名前通りの赤いラーメンと黒いチャーハンに驚かされる。

期待どおり……いや、ちょっとやりすぎだと思ったくらいだ。それくらいインパクトのあるビジュアルをしている。

 

まずはラーメンからと、「紅」をいただくことにした。

スープをすすると、予想外の事態に遭遇。

当然辛いに違いないと思った「紅」は、ほとんど辛さが感じられないのである。

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▲「紅」の名に恥じない美しいビジュアル

 

しかし、もの足りなさは全くない。

濃厚な鶏白湯のスープの合間に、唐辛子の良い香りがちゃんと感じられて、すごくおいしいのだ。辛くはないが、今までに食べたことがない印象深い味わいにとても満足させられた。

 

待望の「ブラックチャーハン」を体験する

「紅」を堪能したところで、ついに「ブラックチャーハン」を食べることにした。

醤油で味つけされているらしく、香ばしい匂いが嗅覚を刺激してくる。

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▲一切ムラがない真っ黒なビジュアル

 

食べてみると、こちらも予想外の事態に遭遇した。

絶対に濃いだろうと思っていた「ブラックチャーハン」の味は、まったくしつこさがなく、食べやすい。しかも、醤油のうま味がしっかりと感じられる「あと引く味わい」なのだ。

 

食感も、ラードが使用されてしっとり。

チャーハン好きには、「しっとり派」と「パラパラ派」がいる。

私は完全に「しっとり派」なので、まさにドンピシャ。瞬く間に完食してしまった。

 

しかしながら。

なぜ「中華そば 紅」では、このような個性的なメニューを提供しているのだろうか?

 

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▲店頭看板右上の「騙されてください、この一杯に」の意味を理解した

 

疑問に思った私は、店長の河西健次さんに詳しいお話をうかがうことにした。

 

東西ラーメン文化の違い

──本日はよろしくお願いします。早速なんですが、なぜ激辛料理がブームであるにもかかわらず、あえて辛さを抑えたラーメンを提供しているのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:いえ、何を隠そう、私は辛い物が苦手なんです(笑)。

 

──え!? ではなぜ大量に唐辛子を振りかけたラーメンを提供しようと思ったんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:実は現在、関西のラーメン界では、動物系の濃厚スープに唐辛子を振りかけたものが流行しているんです。唐辛子の辛さをスープが抑えてくれていて、だけど唐辛子の良い香りはしっかり感じさせてくれるんです。その味に感動して、東京で提供したいと思ったんです。

 

──なるほど、おっしゃるとおりの素晴らしい味わいでした。

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:だから、むしろ「辛い物が苦手な人にこそ食べてほしい」と思っているんです。僕と同じように辛い物が苦手な人に、唐辛子の魅力が分かってほしい。そういう思いで作っています。そうだ、麺にも東西で違いがあるんですよ。

 

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▲「中華そば 紅」では中細玉子麺を使用

 

──麺ですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:はい。関東では濃厚なスープには太麺というのが一般的ですが、関西では細麺や中太麺が一般的なんです。

 

──言われてみれば! たしかに、濃厚なスープには太麺っていう印象があります。

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:そうですよね。うちの常連さんのなかには、関西から東京に転勤してきて、ラーメンが嫌いになったという方がいますが、うちのラーメンはおいしいと言って通ってくださってます。

 

ブラックチャーハンは本当に「京都でおなじみ」なのか

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──東西の文化の違いと言えば、チャーハンにはとてもびっくりしました。「京都ではおなじみ ブラックチャーハン」ってありますけど、あれってどういうことなんでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:そうですね。もちろん、京都にも普通のチャーハンはあります。ただ、京都の老舗ラーメン店である「新福菜館」の名物の「やきめし」が黒いチャーハンで、それをいろいろなお店がまねたり、インスタント食品として販売されたりして、京都ではおなじみの存在になっているんです。

 

──なるほど。お話を聞いていたら、なんだか無性にチャーハンが食べたくなってきちゃいました。もう1杯作っていただいてもよろしいでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:わかました!

 

どうしてこんなに黒いの? 黒いチャーハンの秘密

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f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:「ブラックチャーハン」は事前に仕込んでおき、注文が入るとラード、卵、九条ネギを入れて仕上げを行います。この仕込みが、色と味の決め手になっているんです。

 

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▲仕上げにとりかかっている河西店長

 

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▲単品チャーハン(650円)は現金のみ対応

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:完成しました。どうぞ、召し上がってください。

 

──ありがとうございます。やっぱり、醤油のうま味がしっかり感じられてとてもおいしいですね。どうしてこんなに真っ黒なのに、しょっぱくならないんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:企業秘密なのであまり話すことはできませんが、うちでは厳選したたまり醤油をベースに、独自開発したタレを使用しています。たまり醤油が本来持っている特徴をいかすことで、醤油のうま味や色を引き出しながらも、味が濃くならないように工夫しています。

 

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▲「中華そば 紅」独自のブレンドダレ

 

──なるほど、でも、これだけ黒いとどうしてもしょっぱいのかな? って思われてしまいますよね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:そのギャップも狙いのひとつです。でも、黒い醤油が必ずしもしょっぱいというわけではないんですよ。例えば、白醤油の方が塩分は高いですしね。

 

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▲厳選した豚肉を使用したチャーシューがごろっとぜいたくに入れられている

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:テイクアウトもしているので、ご自宅用にもどうぞ。

 

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▲料金は単品チャーハンと同額(650円)

 

京都の味を東京で提供したかった

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▲「中華そば 紅」のこだわりが書かれたシート

 

f:id:Meshi2_IB:20181219142808p:plain河西さん:私は東京出身ですが、京都のラーメンに感動してラーメン店をやろうと思いました。だから、材料も九条ネギや醤油などは京都から仕入れていますし、「紅」に水菜を入れているのも、京野菜であるという点が大きいです。「ブラックチャーハン」をやろうと思った理由も、京都の味にこだわりたかったからなんです。京都、関西の方々はもちろんですが、私と同じ東京の方にも食べていただいて、京都のラーメン文化の魅力を伝えることができたらと思っています。

 

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皆さんも、京都で修業した店主が作る「ほんまもん」の味を、ぜひ一度味わってみてはいかがだろうか?

 

お店情報

中華そば 紅

住所:東京都小平市小川西町4-17-15
電話番号:非公開
営業時間:11:30~14:00 17:00~22:00(LO 21:45)(※スープが切れ次第終了)
定休日:月曜日(※祝日の場合は翌日振替)、年末年始
ウェブサイト:http://chukasoba-kurenai.com/

 

書いた人:松本陸杜(まつもと・りくと)

松本陸杜

東京都出身。現在、都内某大学院で日本近現代文学を研究中。好きな作家は江戸川乱歩。四六時中食べ物のことを考えているため研究が進まないのが最近の悩み。趣味は作家の随筆を読みながら酒を飲むこと。

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