Rubyとコラボも。島根のローカル麺ブランド「めんぐるめ」だからできること

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主に島根県松江市と周辺地域(出雲米子近辺)のスーパーや土産物屋で売られている「めんぐるめ(地元企業「株式会社 なかたか」のシリーズ)」の「松江ラーメン」。

旨味が強いスープにはしじみエキスが入ってるけど、そんなに魚介出汁っぽくもなく、西日本特有の少し甘い醤油とラードがマッチしている。そこに細めのちぢれ麺が絡み、あっさりしてるようで意外とこってり。

 

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松江ラーメン しじみ醤油味(298円)

 

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▲塩分控えめにしようと思っているときでも、このスープはついゴクゴクと飲んでしまう。カロリーは約480kcalで、インスタント焼きそばより低いらしい

 

そしてこのラーメン、なんとプログラム言語の「Ruby(ルビー)」とコラボしてたりもするのだ(Ruby開発者のまつもとゆきひろさんが松江在住という関係で、松江はRubyを通じた地方創生の取り組みをしている)。

 

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松江ラーメン キュービック(600円)

 

島根県東部近辺ならどこでも手に入るが、県外に住んでいると食べたいときに手に入らない(筆者は松江出身・東京在住)。

東京のライフや東急ストア、関西・四国のマルナカなどのスーパーに置いてある場合もあるようだけど、ない場合は商品の登録があるスーパー*1などに投書すれば、仕入れてもらえることもあるっぽい。

 

それなら、多くの人に松江ラーメンや「めんぐるめ」シリーズの魅力を伝え、投書してもらえるようになれば、きっといつでもどこでも手に入るようになるんじゃないか!?

 

そんな個人的なもくろみを胸に、「めんぐるめ」の製造元である「株式会社なかたか」にお邪魔させてもらった。

 

「めんぐるめ」工場に潜入!

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▲「株式会社なかたか」の本社へ

 

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▲車もたくさん停まってる

 

この敷地の中には工場もある。中を見学させてもらうと……

 

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▲粉を混ぜ合わせて

 

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▲ロールで平たく伸ばしていって……

 

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▲カットされて……

 

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▲麺が流れてくる~~~!!

 

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▲パッケージが連なってるのも、工場っぽくて楽しい

 

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▲こうして商品になるのか!

 

製品ができるまでの一連の流れを見せてもらったところで、営業担当さん(顔出しNGのため、代わりにめんぐるめのキャラクターに登場いただいた)にお話を伺ってみよう。

 

売上が「Ruby」の活動資金になる?

──松江ラーメン」っていつ頃からある商品なんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:28年前(1991年頃)ですね。「地元に根差した商品を作りたい」という思いはあったのですが、最初はスープの味や麺も違ってて、全然売れなかったんです。

 

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▲麺を太くすると、驚くほど美味しくなくなるらしい

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:名産の「宍道湖(しんじこ)のしじみ」を使おうということになったんですけど、しじみって貝なんで臭いんですよね。
貝から出たえぐい渋みがスープに入るとキツいので、それを取るのが大変でしたが、改良に改良を重ねて、20年ぐらい前に今の形になりました。地元の商品が出来上がったっていう感じはありますね。

 

──私が最初に食べたのはその頃のような気がします。みしまや(地元のスーパー)で見つけて買って、その後リピートするようになったんですよ。今は県外に出てるので、食べられる機会が少ないのが残念ですが。

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:スーパーには冷蔵の生麺タイプ、お土産物屋や東京のアンテナショップ(にほんばし島根館)には日持ちするタイプが置いてありますが、お土産用に冷蔵タイプを一気に5~10個ぐらい買って帰られる方も多いそうです。

 

──お土産に冷蔵タイプを! それは難しそうなので今まで避けてました。この2種類の麺に違いはあるんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:やや太さに違いはありますけど、ほとんど同じですね。

 

──箱のほうにはしっかりと「Ruby」のマークも付いてますよね。

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:「Ruby」の普及を応援して、2010年からコラボ商品を出しています。売り上げの一部は「Ruby」の活動資金に使用されてるんですよ。

 

──プログラム言語とコラボしてるラーメンなんて他にないですよね。これは県外のIT系の職種の方はきっとびっくりしますよね。

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:されますね! 毎年松江市で開催される「RubyWorld Conference」というエンジニアが集うイベントに販売ブースを出しているので、お土産として持って帰られる方が多いです。あとはシステム関連企業さんが、お客様へのノベルティとして購入される場合もあります。

 

松江ラーメン」以外の商品はこんなのがある

カタログ資料を見せてもらうと、「松江ラーメン」以外にもたくさんの商品があった。気になるものについて聞いてみよう。 

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▲ラーメンのほかに、冷やし中華、焼きそば、うどん、そばなどがある 

 

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▲これでもほんの一部

 

松江ラーメン 白ごま豚骨味

──「松江ラーメン」って「白ごま豚骨味」もあるんですね。

 

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松江ラーメン 白ごま豚骨味(298円)

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:大手さんでも白ごまがベースのラーメンを出してるところって少ないんです。これももう20年選手ですよ。

 

──えっ、そんなに長いんですか!

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:ただ、「しじみ醤油味」の力が強すぎて、売り場では埋もれがちになるんです。元々は松江のお寺で白ごまを栽培してるところがあって、それを頂いてたのでなんとか使ってみようというのがきっかけです。今は生産量も増えたので、外から仕入れてます。

 

──「しじみ醤油味」とは好みが分かれる感じですか?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:女性の方は「しじみ醤油味」に入ってるラードを気にして、「白ごま豚骨味」を好む方が多いですね。

 

──そうなんですね。私は「しじみ醤油味」に浮いてる背脂が好きなんですけどね。

 

冷やし中華

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:この「冷やし中華」も定番です。

 

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▲冷やし中華 りんごはちみつ(298円)

 

──あ~~! これは……!! 見慣れすぎてて、地元にしかないものって意識もなかったです。

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:どの地域にも、ど定番の冷やし中華がありますよね。昔は「冷やしラーメン」って名前で出してました。

 

──それよく食べてました! 冷やし中華って、地域ごとにあるものだったんですね。

 

 f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:ちなみに、冷やし中華は一口目でむせやすいものが多い気がしますが、これはむせにくいという特徴があるんですよ。

 

味のスパゲッティ風ソフトめん

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:これは給食に出てくるソフト麺と同じで、ほとんど「うどん」のような麺です。これもこの地域ならどこのスーパーにもある商品で、他の地域では売ってません。

 

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▲味のスパゲッティ風ソフトめん(148円)

 

──そうなんですか! ずっとこの地域で育ったのに、知らずに過ごしてました。

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:50~60代以上の世代だと、これをスパゲッティだと思って育った人も多いぐらいですよ! その方たちがお子さんやお孫さんに出すので、今でも定番です。

 

──ええっ、そんなに認知度が!?(なぜ今まで完全にスルーしてたんだ……と思ったが、母が県外出身で知らなかったため、実家でも出てこなかったと判明)

 

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▲調理するときは炒める方法もあるが、今回はサラダ油をかけてレンジで温めてみた。温め終わったら粉末のトマトソースをかける

 

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▲混ぜて麺と馴染ませる

 

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▲「炒めず済む具ってなんだろう?」と考え、プチトマトと刻みネギを乗せてみた(この上で混ぜたので、皿が汚れてる)

 

トマトケチャップ強めの、昔ながらのナポリタンっぽい味だ。温めるだけ、しかもかなりリーズナブルな値段だけ見ると、若干駄菓子っぽさがあるのかな? と思ったが、ちゃんと「食事」になる。これは土曜の学校から帰った後(なんて現代にはないんだろうけど)の昼ごはんに最適じゃないか。

 

季節の変わり目に食べるそば

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:次はそばです。そばを家庭で食べる機会って、大晦日ぐらいでそんなに多くないですよね。そこで季節のイベントに合わせて、こんな商品を出してるんです。

 

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▲節分そば(398円)。豆は投げ付ける用だが、もちろん食べられる

 

──節分……!?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:「彼岸や節分などの季節の変わり目にそばを食べる」という昔からの風習に合わせて、そばを食べる機会を増やしてもらいたいと考えています。ほかには、お盆の御供えそば、敬老そば、父の日そばなども出してますよ。

 

──パッケージも手作り感満載……! そば一つとっても、色んなバリエーションの商品を試せる自由度が「めんぐるめ」にはありますね。

 

「そば粉の産地」のリクエストだって応える

──そもそも会社の創業はいつ頃なんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:旧社名の「中隆」が創業したのは昭和25年、会社設立は昭和45年です。最初は地元の食堂用に製麺して納品するところからスタートして、その後小売店向けの商品開発が始まりました。

 

──食堂というと……?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:ドライブインや町の定食屋です。当時の飲食店は今のように都市部から一括で食材を仕入れていなかったので、地元の食堂に製麺を納品するところから始まりました。
島根には地域柄、出雲そばの店が多いですよね。そば屋にはアレルギーを待っている人向けのうどんメニューがあるので、そば屋にうどんを納品するということもありました。

 

──今でも地元のお店用に作ってたりするんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:「簡易的なものではなく、こだわった生そばが欲しい」というような飲食店数カ所に納品してますね。あとはお客さんの要望に合わせて作る場合もあります。

 

──どんな要望を、どの程度聞いてもらえるんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:例えば「北海道産のそば粉5割で“ざるそば”にして欲しい」「日持ちを長くして欲しい」というような要望ですね。
あとは「中身は(カタログに載ってる)既成のもので、外装だけ変えて」とか、そのお店専用のを作ったりとか。デザイン案はこっちから持っていくんですけど、お客さんの意向を聞きながら形にしていきます。

 

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▲これは自家製紛で作った、岡山県蒜山のそば用パッケージ

 

──パッケージだけじゃなく、中身までそんなに細かくお願いできるとは……!

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:あとは「松江ラーメン」を県外に売り出す場合に「『島根』と付けてくれ」と言われて対応したり……。

 

──「松江」だけだとちょっと分かりづらいですもんね。

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:そんな風に、お客さんに合わせて対応してます。大手さんだとなかなかここまで対応するのは難しいと思いますので、中小企業ならではの強みと言えますよね。

 

失敗するな、茹で行程……!

──調理するときに、美味しく作るコツってありますか?

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:生麺は水分が多いので、グラグラ沸騰した高い温度のお湯に投入してすぐにフワ~~とほぐし、麺がくっつかないようにします。昔は、吹きこぼれそうなときに「びっくり水(沸騰して吹きこぼれるのを防ぐための差し水)」を入れてたと思いますが、それよりも若干火を弱めたり、息を吹きかけて温度を下げた方が美味しい麺になりますよ

 

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▲水を入れるとハッキリしない麺になるらしい

 

──気が付くと、ちょっと柔らかめの麺になったりしがちなんですよね。

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:そんなときは、つまみ食いしながら作るのがいいと思います。失敗が多いのは「茹で工程」ですから、茹でながら麺1本程度をつまみ食いしていると、だんだん感覚が分かるようになって失敗が減りますよ。
調理して食べる回数を増やせば増やすほど、アレンジも茹で方も上達できるはずです!

 

お客さんからの声を直接取り入れる

社内を歩いていると、「めんぐるめ」のTwitterに寄せられた意見が貼り出されてた。

 

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▲届いた意見は社内で共有されている

 

──ネットの声が貼り出されていますね。

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:お客さんから直接意見を頂くことも多いですね。月に1~2回、直接地元のお客さんに来ていただく「めんぐるめバザー」というイベントも開催しています。

 

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▲麺だけじゃなく野菜も売られているバザー

 

f:id:exw_mesi:20190628181711p:plainめんぐるめ:お客さんからアレンジメニューについての報告もよく届きます。「スープを濃い目に割って、つけ麺にした」とか、「少し茹でた麺を焼きそばのようにスープと一緒に炒めた」とか。なので、お客さん発の商品もどんどん具現化できたらいいですね。

 

──どっちも気になりますね。やってみたいです!

 

アレンジメニューを作ってみた

……という訳で、帰宅後に「松江ラーメン」で試してみた。

 

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▲つけ麺。麺を水洗いして、スープは濃い目に

 

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▲焼きそば。茹でた麺を炒めて、添付のスープを半分程度使って味付け

 

どちらもなんとなくの感覚で作った適当料理だ。食べてみると……

 

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麺に合わせてスープも冷やそうとしたら案の定ラードが固まったので、スープは暖かい状態で、

あ、これは普通に美味い!

どちらも「松江ラーメン」のスープで味を付けたので同じ味のはずだが、特に焼きそばはまったく別物だ。

ここにモヤシやニラを炒めたものを乗せても美味しいらしい。具になるものをしっかり作ったり、麺の茹で方も調整していったりと、改良の余地がまだまだあるんだろうなぁ。

 

もし興味を持ってスーパーに投書してくれる人が増えたとしたら、県外でも「めんぐるめ」シリーズが次々と買えるようになって、もっと気軽にいろいろ試せるようになるかもしれない。気長に期待しておこう。

 

取材協力

www.mengurume.co.jp

 

*1:(これらのお店には「めんぐるめ」の商品登録があるようです)東京……ライフ、東急ストア、三徳(別注)、にほんばし島根館、関西……山陽マルナカ、四国……マルナカ、九州……サンリブ、マックスバリュー九州

書いた人:さくらいみか

さくらいみか

レバ刺しが好きだったが、違法になってからはゴマ油を舐めて満足しようとしている。 塩辛いものばかりを好んでいるので、病気にならないよう気を付けて生きていきたい。 長生きをしたい。

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