こんにちは。日本いか連合の佐野まいけるです。この頃は思うように旅行も行けず、鬱憤が溜まっている皆さんも多いのではないでしょうか。
かくいう私も、予定していたイカの街・函館への旅行がおじゃんになり、気分が晴れないままでした。
なんとかこのモヤモヤを晴らしたい──。
どうせ旅へ出られないなら、時間もあることだし函館の名物イカ料理でも作るのはどうか──。
そうだ、イカめし作ろう!
イカめしは函館発祥の米節約料理!?
イカめしは今や全国で食べられていますが、元は函館地方や渡島地方の郷土料理。函館本線、森駅の駅弁として考案されたのが始まりです。
第二次世界大戦中、貴重だった米を節約しつつも満足感を得られる米料理はないかと考えた結果、函館で大量に水揚げされていたスルメイカを使ったイカめしが出来上がったと言われています。
▲このようにレトルトパックで売られている姿、よく見かけます
米の節約料理として考えられたにしては、すごい完成度ですよね。レトルトパックで売られているのを見つけるたびに、つい買ってしまいます。
ん? よく考えたらイカめしってレトルトばかりで出来立てを食べたことがないな。駅弁というイメージで、飲食店でもあまり見かけないですよね。
もしかして、出来立てを食べるには自分で作るしかないのでは? 俄然、作る気力が湧いてきました。
基本のイカめし
まずは「基本のイカめし」を作ってみましょう。実はこれが初めてのイカめし作りだったこともあり、2回も失敗してしまいました。
もち米をイカに詰めて煮ただけの単純な料理とあなどるなかれ。私の失敗を踏まえて作り方のコツを紹介しますので、みなさまはどうか成功させてください!
【材料】※2人前
- スルメイカ 2杯
- もち米 70g(イカの大きさによって調整してください)
- 水 500〜600ml程度
調味料A
- 醤油 小さじ2
- 酒 小さじ2
- みりん 小さじ2
調味料B
- 醤油 大さじ5
- 酒 大さじ2.5
- みりん 大さじ2.5
- 砂糖 大さじ1
【作り方】
①もち米を浸水させる
まずはもち米をたっぷりの水(分量外)に一晩浸しておきます。これが非常に大事な工程。浸水させずに作ると、芯がある炊きあがりになってしまいます。
一晩は難しくても、最低2時間は浸すようにしましょう。
②イカを処理する
続いて、イカの下処理です。
今回はイカめしの故郷、函館のレシピにならってスルメイカを使いました。群れを作って日本列島の周りを回遊している、日本では非常にポピュラーなイカですね。
それほど常食されているにもかかわらず、実はまだその生態は解明されていないことも多いのです。例えばスルメイカの卵塊は自然環境下ではまだ見つかっていませんし、孵化した幼生が最初にどんな餌を食べるのかもわかっていません。長期飼育が難しい種類としても有名です。たった1年しか生きないこの不思議な生き物に思いを馳せつつ、イカめしを作っていきましょう。
▲背側の赤茶色が濃いほど新鮮な証拠なのだ ←知っておくと便利!
さて、下処理に戻ります。
今回行うのは「つぼ抜き」と呼ばれる処理方法で、筒状のイカの胴の形を活かしたいときに使います。胴の中に指を入れ、肝臓と胴を少しずつはがしたら、頭の部分を利き手でしっかりと持ち、反対の手でエンペラを持って、ゆっくりと頭を引っ張れば、ずるりと気持ちよく内臓を取り除けます。
再度、胴に手を入れて、背側に張り付いている軟甲(透明なプラスチックの板のようなもので、イカが貝から進化したときの貝殻の名残)と、残りがちなエラ(左右に1対あります)や、生殖器(先端のとがっているところに精巣や卵巣があります)などを掻き出してきれいにしておきましょう。
▲朝獲れなどで新鮮で立派な肝臓がついていた場合は、肝臓を塩漬けにして水分を抜いたあと凍らせてルイベにするのがおすすめ
ゲソ側は、目と内臓の間で切り離し、目と目の間を縦に切り開いて目と口を取り外しておきます。
目は潰すと中から紫色の液体が飛び散って汚れるので、優しく取り除きましょう。
頭の周りの軟骨とゲソは細かく刻んでおきます。
これでイカの下処理完了!
ちなみに、イカの体の構造については以前執筆したこの記事↓で詳しく述べているので、参考にしてみてください。
「腹六分」くらいがベスト
③イカにもち米&ゲソを詰めていく
水を切ったもち米に、調味料Aとゲソを加えて混ぜます。
このもち米&ゲソをイカの胴に詰めていきます。小さめのスプーンを使って少しずつ、6割くらいまで詰めましょう。
注意したいのが、絶対に満杯に詰めないこと。パンパンにしてしまうと、煮ている間に膨らんだもち米でイカが破裂したり、米に火が入らない原因となります。
詰め終わったら、胴の開いているところを爪楊枝で縫うように止めて塞ぎます。
▲ここで米を欲張らないことがポイント。もともと米節約料理だからね!
イカが破裂するのを防ぐために、爪楊枝などでイカの裏表に穴をいくつか開けておきます。
▲無慈悲に内臓を抜いておいてなんだけど、なんかちょっとイカに申し訳ない気持ち
煮込んだらいよいよ完成
④中身が詰まったイカを煮る
鍋もしくは深めのフライパンにもち米を詰めたイカ、調味料B、イカがひたひたになるくらいの水(500〜600ml程度)を入れて中~強火で加熱します。
▲しっかりイカが汁に浸かるようにするのがポイント
沸いてきたら落し蓋をして、25分ほどそのまま煮ていきます。
この時、沸き上がる汁でイカが覆われるくらいの火加減を保つのがポイント。弱すぎると米に火が通らなくて芯が残る原因になります。
水分がなくなってしまったら、水(可能なら熱湯)をつぎ足します。
▲落し蓋代わりにクッキングペーパーを使う時はちゃんと鍋のサイズに合わせて切ろう。燃えちゃうよ(上写真の場合はもちろん切ります)
裏表を返して、さらに25分煮たら完成!
パンパンに張ったイカがいかにも美味しそうで、甘辛い香りがキッチンに充満して幸せな気持ち。
▲このコロリとしたフォルムの可愛さよ!
輪切りにして盛り付けてみました。切るときは包丁を濡らしておくとスムーズです。
▲これが出来立てのイカめし! ぎっしり詰まった断面が食欲をそそる。イカめしと給料袋はギチギチであればあるほど理想的かも
簡単に噛みきれるほど柔らかなイカと、イカの旨味をたっぷり吸ってモチモチに炊きあがった甘辛いもち米のハーモニーがたまりません。
出来立てのイカめしはレトルトパックのものより少々薄味に感じますが、そのおかげでパクパクと食べ進められるので良し。冷凍保存もできるので、たくさん作ってストックしておきたい美味しさです。
ご飯にもおやつにも、酒の肴にもできる万能選手ですね。七味唐辛子を振ってもGOOD。
イカめしが持つ無限の可能性、たとえば「卵」
これで、基本のイカめしは作れるようになりました。それにしても、このイカの胴のフォルム……もち米以外にも無限の可能性を感じませんか。
いくつか新しいイカめしを考えてみましたので、ご紹介いたします。
イカめし、といっておきながらいきなり飯じゃなくて恐縮ですが、卵を詰めてみましたよ。ちょっと小さめのイカで作るとピッタリはまって可愛いです。
【材料】※2人前
- スルメイカ 2杯
- 卵 2個
- 醤油 大さじ5
- 酒 大さじ2.5
- みりん 大さじ2.5
- 砂糖 大さじ1
- 水(500〜600ml程度)
【作り方】
まずは卵を茹でておきます。半熟にしたいので、沸騰したお湯(分量外)に冷蔵庫から出したばかりの卵をいれて7分。冷水(分量外)にとって殻を剥いておきます。
卵を茹でている間にスルメイカをつぼ抜き(基本の作り方参照)にしておきます。なおゲソは使いません。
つぼ抜きしたイカの胴に卵を詰め、入り口を爪楊枝で縫うようにとめます。
イカのサイズが小さくてうまく入らないときは、入り口に少しだけ切り込みを入れるとするっと入ります。
▲生きているイカもこのように体を膨らませることがある。たまらなくキュート
鍋にイカと調味料、イカがひたひたになるくらいの水(500~600ml程度)を入れ、火をつけます。強火で裏表合計3分ほど煮ましょう。
卵は半熟状態を保ちたいので、イカに火が通ったところで煮るのをストップ。
煮汁とイカを保存用の袋に入れ、冷蔵庫で一晩味を染み込ませます。爪楊枝で袋を破らないように気を付けてください。
▲この写真では爪楊枝を抜いてしまっているが、できれば抜かずに保存したほうが良い
翌日、汁気を切ったら、完成!
半分に割ると、中からとろ~っと黄身が溢れてきてそそりますねぇ。
サッと火を通したイカは、じっくり煮込んだ時の柔らかさとはまた違ってプチっと張りがあって歯ごたえも楽しい。
味もしっかり染みていて、前菜や酒の肴に良さそうです。半熟の黄身を絡めながら食べる幸せ。
オールブラックでテンション上がる「イカ墨リゾット風イカめし」
真っ黒な見た目でインパクト抜群、味も良しのイカ墨リゾットをそのままイカに詰めちゃいました。
【材料】※2人前
- スルメイカ 2杯
- 米 70g
- イカ墨ペーストor粉(市販のもので可) 5g
- にんにく 1/2かけ
- 玉ねぎ 1/4個
- バター 10g
- 白ワイン 大さじ2
- トマトペースト 20g
- コンソメキューブ 1個
- トマト 1/2個
- オリーブオイル 適量
- 塩 適量
- レモン 適量
- イタリアンパセリ 適量
- 水(500〜600ml程度)
【作り方】
スルメイカはつぼ抜きにしておきます。その際、もし肝臓についている墨袋に墨が入っていればペースト用にキープしておきます。墨袋が小さい場合は取らなくても大丈夫です。
ゲソはみじん切りにしておきます。
熱したバターで薄めにスライスしたにんにくを炒め、香りが立ってきたらみじん切りにした玉ねぎを加えます。玉ねぎがくったりしてきたら米(研いだり浸水の必要ナシ)を入れ、米粒が透き通るまで中火で炒めます。
イカ墨ペースト、墨袋(あればで可)、トマトペースト、白ワイン、ゲソを加えてさらに炒めます。
水気がなくなったら火からおろし、そのままイカの胴に6分目くらいまで詰めて入り口を爪楊枝で縫うようにとめます。
さらに、爪楊枝でイカに何カ所か穴をあけておきます。
鍋にイカとコンソメキューブ、ひたひたになるくらいの水(500〜600ml程度)を入れて中~強火で落し蓋をして25分煮込み、水を足しながら裏返しにしてさらに25分煮ます。
付け合わせのトマトをみじん切りにしてオリーブオイルと塩で和え、イカを輪切りにして盛ったら完成。
真っ黒な食べ物ってなんだかテンション上がりませんか? ……私だけですかね。
イカ墨のコクと付け合わせのトマトの爽やかさがマッチして、素敵な前菜になりました。
▲トマトとイタリアンパセリをのせて、レモンを絞ると引き締まった味に
海の仲間たちを従えた「パエリア風イカめし」
イカ墨リゾット風イカめしの作り方を応用して、スペイン料理のパエリア風イカめしを作ってみました。
具材はイカのほかに、シーフードミックスに含まれるエビとアサリ。エビはイカの大好物ですし、アサリ(貝)は広い意味でイカの仲間(軟体動物門)。……というこじつけメニューでございます。
では作り方を。
【材料】※2人前
- スルメイカ 2杯
- 米 50g
- シーフードミックス 40g
- グリーンピース 10g
- パプリカ 1/8個
- にんにく 1/2かけ
- 玉ねぎ 1/4個
- オリーブオイル 適量
- 白ワイン 大さじ2
- トマトペースト 20g
- コンソメキューブ 1個
- サフラン 適量
- レモン 適量
- 水 500〜600ml程度
【作り方】
スルメイカはつぼ抜きにしておきます。ゲソは使いません。
サフランは適量の水(分量外、50ml程度)に浸して色を出しておきます。パプリカは粗みじん、玉ねぎ、にんにくはみじん切りにしておきます。
▲サフランは花のめしべ。ひとつまみで鮮やかな色と香りが出る
熱したオリーブオイルでにんにくを炒め、香りが立ってきたら玉ねぎを加えます。
玉ねぎがくったりしてきたら研ぐ前の米を入れ、米粒が透き通るまで炒めます。
さらに解凍しておいたシーフードミックス、グリーンピース、パプリカ、白ワイン、トマトペーストを加えて水分を少し飛ばします。
つぼ抜きしておいたイカに炒めた具を6割ほど詰め、入り口を爪楊枝で縫うようにとめます。爪楊枝でイカに何カ所か穴をあけておきます。
鍋にイカとコンソメキューブ、サフランを浸した水を加え、さらにひたひたになるくらいの水(500〜600ml目安)を足して中~強火で落し蓋をして25分煮込み、水を足しながら裏返しにしてさらに25分煮たら完成です。
トマトペーストの赤色と、サフランの黄色が混ざってオレンジ色のライスになりました。ふわっと香るサフランに、魚介の出汁がしっかり効いた米がうまい! パーティー料理としても出せそうです。
▲イカの輪っかの中からエビやアサリがチラ見えしてにぎやかな仕上がりに。レモン汁をかけていただきます!
生粋のイカ好きには「イカだけのイカめし」を
イカめしが米節約料理だというのなら、初めから米なんて詰めずにすべてをイカでまかなえばいいのでは? どこまでもイカを食べたい! という生粋のイカ好きのためのレシピをご紹介しましょう。
イカのすり身は、台湾のイカ団子「花枝丸」の記事(下記リンク)でご紹介したタネとかなり近い作り方になっています。
【材料】※2人分
- スルメイカ 2杯
- 冷凍イカ 150g
- 卵の白身 1/2個分
- 片栗粉 大さじ2
- 塩 小さじ1/4
- 砂糖 大さじ1/2
- ホワイトペッパー 小さじ1/4
【作り方】
スルメイカはつぼ抜きにし、ゲソをひと口大に切っておきます。
フードプロセッサーに解凍した冷凍イカ、片栗粉、卵の白身、その他の調味料類をすべて入れて粘りが出るまで回します。
さらにゲソを加えて軽く回します。
つぼ抜きしたイカにすり身を6分目くらいまで入れて、入り口を爪楊枝で縫うように止めます。
皿にのせて、蒸し器で15分~20分ほど蒸したら出来上がり。ちょっとすり身が多くて溢れちゃいましたが大丈夫。
▲スルメイカのお腹にパンパンに詰められた種類不明のイカのすり身
ものすごくイカの味が主張してくる一品になりました。イカ×イカの相乗効果でイカの味と香りが何倍にも感じられます。口の中でイカが殴りかかってくる感じ。
ご飯のお供と言うよりは、日本酒が欲しくなりますね。冷やして生姜醤油で食べるとイカの主張が和らいでマイルドな味わいに。
イカめし版「ソーセージ」は意外なうまさ
ソーセージ用のひき肉をイカに詰めたら、意外といけるおつまみに!? ビール好きの方はぜひお気に入りのビールを冷やしてから作ってください!
【材料】※2人分
- スルメイカ 2杯
- 合いびき肉 250g
- 塩 4g
- 砂糖 2.5g
- ホワイトペッパー 多め
- 氷 2個
- 盛り付け用野菜(レタス、トマトなど)
- 油 適量
【作り方】
スルメイカはつぼ抜きにしておきます。ゲソは使いません。
ビニール袋に合いびき肉と調味料、氷を入れ、袋越しに捏ねます。この時、ひき肉の温度が上がらないように保冷材などの上で捏ねると、焼いたときジューシーさが保たれますし、衛生的。
ひき肉に粘りがしっかり出たらOKです。氷は取り除いておきます。
▲これを豚の腸に詰めれば普通のソーセージになるのだが
つぼ抜きしたイカにひき肉を6割ほど詰め、入り口を爪楊枝で縫うようにとめます。
油をひいて熱したフライパンにイカを並べ、中火で蓋をして5分、裏返してさらに5分焼いたら出来上がりです。
生焼けが心配な時は、爪楊枝などで刺して透明な肉汁が出れば火が通っている証拠。肉汁が濁っていたら追加で焼いてください。
イカめし版ソーセージの完成!
▲本体だけだと肉肉しすぎるので、彩りにトマト&レタスを盛り付けてみた
いわゆるイカ焼きの香ばしい香りが、食べる前から食欲をかきたてます。
ぶりっとしたイカの旨味と、しっかり塩気のきいた肉のうまみが合わさって、何とも言えないジャンクな美味しさ。イカが肉汁を閉じ込めてくれてとってもジューシーです。これはビールが進みます。
もっと上を行きたい……イカ好きが考えるワンランク上のイカめし2品
ここまでは、一般的な材料で作れる比較的ノーマル寄りのイカめしを考えてきました。でももっとアヴァンギャルドなイカめしを食べてみたくはないですか?
そこで、筆者が所属する「日本いか連合」のメンバーにアイデアを募り、とっておきのイカめしを作ってもらいました。
考案者はイカをモチーフにしたアクセサリーを制作されているAAYAAさん。イカ愛が爆発した2品をご覧ください。
AAYAAさん:イカはいろんなサイズがあるので、イカの中にイカを入れたマトリョーシカ風にできるのでは? と思いついて2品作りました。イカにはツツイカ目とコウイカ目の仲間がいますが、コウイカ目を使ったイカ飯はあまり見かけないので、ツツイカとコウイカを合体させてみたいという欲望も一度に叶えてみました。
▲左から、ヤリイカ、スルメイカ、コウイカ。ちなみにヤリイカとスルメイカがツツイカ目で、コウイカがコウイカ目
マトリョーシカイカめし〜和風版〜
立派なスルメイカに加え、ちょうどいいサイズの子持ち茹でヤリイカをスーパーでたまたま見つけたのでそれを利用してマトリョーシカ状にし、一般的な甘辛味に仕上げました。
【材料】※1人分
- スルメイカ 1杯
- 子持ち茹でヤリイカ 10cm位のもの1杯(子持ちの状態で売られているもの)
- もち米 30g
- 新生姜細切り 適量
調味料A
- 醤油 大さじ1/2
- みりん 大さじ1/2
- 酒 大さじ1/2
調味料B
- 水 約300ml
- 昆布 5〜6cm
- 醤油 大さじ2
- みりん 大さじ2
- 酒 大さじ4
- 砂糖(好みで少々)
【作り方】
もち米は一晩水(分量外)に浸け、調味料Aと新生姜を刻んで混ぜておきます。
スルメイカに少しもち米を入れたところでヤリイカを丸ごと詰め、胴とヤリイカの間に米を7分目まで詰めます。
竹串で口を閉じるときに、元のイカの形になるようゲソを数本残したものを噛ませます。調味料Bで、落とし蓋して煮ること40〜50分程度で完成です。
▲うまくゲソを噛ませて閉じたので、まるで生前の姿のよう
イカの中にまたイカが入っているというトリッキーなイカめしですが、輪切りにすると美しいですね。子持ちのヤリイカの食感も楽しそう。
▲味は「イカ感の強いイカめし」なんだそう
マトリョーシカイカ飯めし〜異種トーテムポール版〜
コウイカの新物(子供のコウイカ)がちょうど出ている季節。コウイカはスミイカとも呼ばれる通り、イカ墨をたっぷり持っているのでイカ墨ライスを詰めたい、でも皮が薄くてうまくいかない……。
そこで編み出したのが「トーテムポールコウイカ」です。
少しずつイカ墨ライスを詰めて重ねていけば、どこを切っても黒いところが出るという寸法。こういう他に全く使えない技を編み出すの楽しいですよね!
▲下がスルメイカ、上がトーテムポール状に4つ繋げたコウイカ
【材料】※1人分
- スルメイカ 1杯
- コウイカ 極小サイズ4杯
- オリーブオイル 大さじ1
- もち米 40g
- 玉ねぎ 1/2個
- 白ワイン 大さじ2
調味料A(コウイカ用)
- イカ墨(スルメイカとコウイカから取り出しておく)
- スパイスやハーブが調合された市販の塩 小さじ1/3
調味料B(スルメイカ用)
- サフラン粉 2.3グラム
- スパイスやハーブが調合された市販の塩 小さじ1/3
- コンソメ 小さじ1/3
調味料C
- トマト缶 1缶
- トマトジュース 100ml
- コンソメキューブ 1個
- 白ワイン 50ml
- ローリエ 1枚
- スパイスやハーブが調合された市販の塩 小さじ1/2
【作り方】
もち米は一晩水(分量外)に浸けておきます。
フライパンにオリーブオイルをひき、みじん切りした玉ねぎを中火で炒め、透明になったらもち米を入れます。
さらに白ワイン大さじ2を入れて10分ほど炒め、半量ずつに分け、それぞれ調味料AとBで味付けをして炒めます。
コウイカの中に調味料Aで味付けした方の「イカ墨ライス」を詰め、トーテムポール状に縦につなげます。
一方、スルメイカの中には、調味料Bで味を付けた「サフランライス」をほんの少し詰め、トーテムポール状になったコウイカを入れ、さらにまわりを6割ほどサフランライスで埋め、ゲソを噛ませて、入り口を爪楊枝などで閉じます。
調味料Cのトマトソースと米を詰めたイカを鍋に入れて40数分煮込めば完成です。
イカ墨の黒、サフランの黄色、トマトソースの赤色で三色の美しいイカめしが出来上がりました!
ツツイカ目のスルメイカとコウイカ目のコウイカ同時に味わえるというのも贅沢。ちょっとお行儀が悪いですが、バラして味の違いを確かめるのも楽しいかも。
筆者的には、イカ好きが集まるパーティーでぜひ出したいですね。
以上、8種類のイカめしをご紹介いたしました。お好みのイカめしは見つかったでしょうか。
きちんと中まで火を通しさえすれば、イカは何を詰めても大体美味しいんじゃないかという気もするので、みなさんも是非オリジナルのイカめしにチャレンジしてみてください。
ちなみに私はイカの解剖が趣味なのですが、これらのイカめしを作るために10杯以上のイカを解剖せず(切り開かず)につぼ抜きするのが本当に悔しかったので、これから無茶苦茶解剖してやろうと思います。
作った人:佐野まいける
イカ・エバンジェリスト。イカを犬や猫のように愛する会社員。「日本いか連合」の一員で、イカを多方面から楽しむ同人誌「いか生活」の編集長。イカは水族館で眺めるのも、釣るのも食べるのも好きだが、解剖に最も興奮する性質。イカ解剖のライブ配信などをたまに行う。その他、歩道橋を眺めるのが好き。
- X:@_maicos_
- ブログ:キリンはハマグリのなかま