これが究極のレモンサワー!?餃子のうまさも飛翔させる「塩レモン」の魔法に迫る

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125600j:plain

溝の口徒歩15秒の餃子専門店「ぜん」は、佐賀に本店、鷺沼に支店を持ち、地上波の取材に応じることも数回。キャベツや白菜ではなく、口溶けのよい玉葱を使った一口餃子が好評の繁盛店だ。 

ここに、餃子と並ぶ看板メニュー「塩レモンサワー」がある。その正体は、モロッコの発酵調味料として知られる「塩レモン」をぽってりと落としたオリジナル・ドリンク。国産のレモンにこだわり、グラスを口に運ぶたびに感じられるフレッシュな香り、そして塩分濃度20%という強烈なパンチ力を得て、この店に定着したものである。 

毎日手作りの餃子の皮。じっくりと発酵したレモンの皮。その相乗効果はあらゆる酒飲みを皮だけ(骨抜き)にする。 

今回は店主の吉田正矢さんに「塩レモン」の詳細なレシピを教わってきた。晩酌はもちろん料理のアクセントとしても万能な、無敵の半流動体である。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125357j:plain

▲今回の主役、吉田正矢さんと国産レモン。「こうすると某テレビ雑誌の表紙みたいでしょう?」

 

国産にこだわり徹底洗浄。すぐにでも真似したい「塩レモン」レシピ

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:うちは餃子の専門店ですけど、とにかくよく飲むお客さんが多いんですよ。自分も休みの日は必ず飲みますし、いろんな酒を試してみたいタイプです。
ここ数年の悩みは店の狭さですね。厨房を入れても4坪しかないので、この規模だとズラッと酒瓶を並べることなんてできませんから、生ビールやホッピーなんかの定番を軸に、その時々に自分が気に入っているものを少しずつ入れ替えていくしかない。
うちの酒はもともと少数精鋭のくせにアッサリ死んでいく奴も多いという、国籍混合メンバーの特殊部隊みたいなもんなんですよ。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125605j:plain

▲「ぜん」の外観。確かに狭いが店主の度量は海のように広い

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:そんな中、「塩レモンサワー」は凄腕の狙撃手としてずっと頑張ってくれてますね。勲章クラスの戦歴です。世に出してみるまでは何がヒットするのか分からないというのは、どの世界も一緒ですね。
じゃ、さっそく味の決め手となる「塩レモン」から仕込んでいきましょうか。家庭でも簡単に真似してもらえると思うので、今回はレモン2個分の最小単位でやってみますね。

 

さすがは百戦錬磨の名物店主。こちらの要望などお見通しだ。吉田さんは「いやいや今日は定休日。早く仕事を終えて飲みに行きたいだけなんですよ」と、すぐさま亀の子タワシを手にとって──

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125402j:plain

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:大切なのはやっぱり素材です。とにかく国産レモンにこだわること。これでないと果皮まで食べられるものはできませんから、ちょっと値が張っても旬のものを探してもらって、まずはタワシで念入りに洗います。この凸凹に汚れが溜まっていたり、カビが潜んでいたりするので、スポンジだとダメなんです。
レモンの水気を拭いたら、ホワイトリカーでさらに洗います。これは消毒のためですね。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125407j:plain

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329131846j:plain

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:あとはレモンに塩が入りやすい大きさに切っていきます。まずは両サイドを切り落として、縦に8等分にします。次は種を取り除きながら房の綴じ目を切ってやって、さらにそれを6~8等分の「いちょう切り」にします。
途中で果汁が逃げたりするともったいないので、包丁もよく切れるもののほうがいいですね。これは料理全般に言えることですが。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125412j:plain

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125417j:plain

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125421j:plain

▲「あ、とくに手袋まではしなくていいと思いますよ。これは職業柄です。店は狭くて汚いですけど、衛生面は徹底してますので」

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:最後にレモンをジップロックに入れて、重さを測ったら、きっちり20%分の塩を加えて、袋をシャカシャカやって全体を馴染ませます。
あ、塩の銘柄だけは秘密にさせてもらってもいいですか? そこまで珍しいものじゃないんですけど、少しは謎があった方がいいかな。やっぱり塩は味の要ですから、好みで選んでもらったほうが各家庭の味になると思いますし、小分けにしたものをいろんな塩で試していくのも楽しいんじゃないですかね。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125426j:plain

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125431j:plain

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:熟成はビニール袋なんかでもできると思いますけど、レモンの酸と塩分で素材が溶けたりすると面倒なので、ジップロックがおすすめです。ここまでやれば後は時間が美味しくしてくれます。冷蔵庫に入れて、最低でも1カ月。うちは野菜室で半年寝かせたものを使ってます。
で、完成したのがこれですね。

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125436j:plain

▲出動を待つ、半年の熟成期間を経た塩レモン。瓶などに移す際も容器の念入りな煮沸消毒を忘れずに

 

ドリンクにツマミをIN? いよいよ「塩レモンサワー」を飲んでみる

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:はい。これで今日の仕事は終わり! ここからは飲みながらでいいですか? ひとまず乾杯しましょうか。

 

さすがは百戦錬磨の名物店主。こちらの乾きなどお見通しだ。先ほどから厨房に立ち込める黄色い香りに、飲欲ダム決壊。それは店主も同じだったようで。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125440j:plain

▲氷の肌を打つソーダの音がたまらない

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125446j:plain

▲そこに塩レモンをスプーン2杯

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125450j:plain

▲「ハイできました!  こういうときには“すしざんまい”のポーズしか浮かびません」

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125456j:plain

▲「塩レモンは粘度があるのでグラスの底に沈んで溜まります。時々マドラーで引き上げたり潰したりしながら楽しんでください」

 

これが名物「塩レモンサワー」(580円)! グラスに口をつければ、いや、口をつける前から鼻腔を満たす、ほのかな苦味。柔らかな甘みのサワーに鋭いアクセントを与え、いざ果肉を口に含めば鮮烈な塩気を感じさせてくれる、塩レモンの存在感。確かにこれは一般的なレモンサワーの土俵には役不足。なにせ「ドリンク」の中に「ツマミ」が入ってしまっているのだから。

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:たぶん初めて「塩レモンサワー」を頼むお客さんというのは、「ソルティ・ドッグ」みたいにグラスの周りに塩が塗ってあるものを想像すると思うので、意外性の部分でも喜んでもらえますね。最初に彼女さんが頼んで、彼氏にも味見させて、最後は2人でこれを飲む恋人同士なんかを見ていると、こっちもうれしくなります。
このサワーってリピート率がすごいんですよ。お酒を飲んでいるとだんだん塩辛いものが欲しくなるでしょう? 1杯目の塩レモンはスプーン2杯分ですけど、おかわりの際に言ってもらえれば、同じグラスに同じ量の塩レモンを足してあげてからサワーを注ぎます。
そうすると、どんどん塩の効いたサワーになっていくから、また水分も欲しくなる、それでまたおかわりしてしまうという、ちょっと危険なゾーンに突入するんです。
これまでの最高記録はおかわり5杯。もうグラスが塩レモンでパンパン! うちのは塩分濃度が20%もありますから、こっちも「血圧大丈夫ですか?」と確認しながら出しますけどね。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190330130741j:plain

▲看板の価格は撮影時のもの。「消費税も大変なんで少しだけ上げさせてください……」

 

「塩レモン」自体は決して珍しいものではない。ネットを検索すればたくさんのレシピが見つかるし、本場モロッコでは、日本における醤油や味噌のような定番調味料として常備されているという基礎知識も得られる。ただし、それらの塩分濃度は10%前後。「ぜん」の塩レモンはその倍の数値を誇る。

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:ここまで自信満々に語ってきましたけど、実はこの塩レモン、ある常連のお客さんから譲り受けたレシピの再現なんです。
その人は某ビールメーカーに勤めていて、ワインのソムリエの資格も持っているような人なので、当然“食”にもこだわりがあって、ある日「たくさん作ったから」と自家製の塩レモンを差し入れしてくれたんです。
食べた瞬間に「これはドリンクにもいける!」と電流が走りましたね。当時は渋谷のJAZZ喫茶「SWING」で飲める「自家製リモンチェッロ(レモンから作られるイタリアのリキュール)」にハマっていたこともあって、一気に構想が湧いて。
でも、その常連さんの「オリジナル」はちょっと塩が控えめだったんですね。発酵調味料としては完璧な出来だったんですけど、サワーには埋もれてしまう味だった。そこで自分がやったことといえば、塩を倍にしただけ。それ以外は丸パクリです。僕の座右の銘は「食に著作権なし!」ですから(笑)。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125620j:plain

▲常連さんからのイラストつきレシピも見せていただいた

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:塩レモンに限らず、うちの常連さんは自分が食べたいものを差し入れとして持ってきてくれる傾向があって、もしかしたら、うちに餃子しかないことを不憫に思ってくれているのかもしれない(笑)。
差し入れは必ずほかのお客さんともシェアしますから、そこから「うちの田舎の◯◯も美味いんだよ」と会話が広がったりもして、この10年でありとあらゆる全国の名産・珍味は食べてきたんじゃないかな。
たとえば都内の居酒屋数店舗を集めて、常連からの差し入れのクオリティだけで勝負した「他力本願居酒屋トーナメント」みたいな企画があったら、準優勝ぐらいは狙えるんじゃないですかね。テレ東の深夜か『タモリ倶楽部』の企画でやってくれないかなぁ。
もちろん自分も餃子以外のツマミを出すこともありますよ。長崎の「金蝶ソース」で食べてもらう「ニラ玉」(400円)とか、海苔にプロセスチーズときゅうりのスライスを乗せて花椒(ホワジャオ)をかけた「海苔チーズ」(250円)なんかはよく出ますし、この「玉ねぎのアチャール」(300円)なんかもすごく好評です。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125610j:plain

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:「アチャール」はインドのピクルスで、自分もカレー屋のテーブルにあったものを食べてからハマりました。本場のアチャールのレシピにも、塩とレモンというのは入ってますから、だったら塩レモンでもいけるだろうと。すでに発酵している塩レモンを調味料として加えることで、玉ネギのトロみや味わいはさらに複雑になる。これはまだ漬けている途中のものです。
塩レモンはチキンソテーや豚バラ炒めなど肉料理に使うのもいいですね。モロッコでは肉や魚の臭みを消すためのもの、という認識もあるぐらいなので。

 

塩レモンは"果肉のゼリー"。細かく刻めばすぐにペースト状になることもあり、揚げ物からサラダまで、無限のレシピにつながりそうだ。

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:でもね、そういう料理を店で出そうとすると、とても一人じゃ回らなくなっちゃうんですよ。うちの「ポテトサラダ」は業務用のものにフライドオニオンを乗せているだけですし、キムチは自分が気に入った市販のものを「ふつうにおいしいキムチ」という名前で出してます。
そうやって割り切るところは割り切らないと個人店は続けられませんからね。自分がこの厨房で「上海蟹の姿蒸し」とか「鴨レバーとブラックトランペット茸のソテー」なんかをやり始めたら、いったい誰が餃子を焼くんだって話ですよ。
……そんなこと言ってたら腹も減ってきましたね。そろそろ餃子も焼きましょうか。一緒に食べましょう。

 

お願いします!
今回の取材はあくまで「塩レモンサワー」にスポットを当てたものだが、もともとはそれも、餃子との相性を踏まえ考案されたもの。たっぷりの菜種油で香ばしく揚げ焼きにされた黄金色の餃子(550円)を、カウンターに備えられた大量の小ネギとともにザクザクじゅるじゅると頬張りつつ、油をソーダで洗い流しつつ、また餃子に箸を伸ばし……というルーティンこそが、このカウンターでの正しい作法なのだ。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125531j:plain

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125535j:plain

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125540j:plain

岩手産の岩中豚と玉ネギによる餡を手作りの皮でまとめた「焼餃子」。あえて焦がしたカリカリ層とトロトロ餡。一つ目がすぐに二つ目を引き寄せる

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125546j:plain

▲「ぜん」の餃子はニンニク不使用。カウンターに備えられた青森産ニンニクの擦りおろしをタレに溶かして食べるのもいい。店主のお気に入りは「酢。これのみ」だそう

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125500j:plain

▲「餃子は毎日味見するので定休日には食べないんですが、自画自賛しちゃいます。やっぱり美味いですね〜」と吉田さん。小麦の旨味、タマネギの甘みが際立つ餃子をビターな塩レモンでゴクリと飲み込む快感を、この口元が伝える

 

うるさ型の常連に捧ぐ「塩レモンサワー」の進化系

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:メニューには載せていませんが、塩レモンを使ったドリンクはまだまだありますので、どんどん作っていきましょう。業務用サワーに塩レモンだけじゃ、とても“究極”なんて言えませんからね。
まずは「七田」の粕取り焼酎バージョン(650円)。これは自分の田舎、佐賀の酒です。これを造っている天山酒造は日本酒のほうが有名な蔵なんですけど、ここは焼酎もすごくうまいんです。より個性的なレモンサワーを飲みたいというお客さんには、ここにソーダと塩レモンを足して出してますね。
「粕取り焼酎」はイタリアの蒸留酒「グラッパ」に近い華やかさもあるような気がしますし、酒自体の香りも強いので、塩レモンの個性に負けないんです。個性的なプレーヤーばかりなのに不思議と均衡がとれているジャズの名盤みたいな感じですかね。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125505j:plain

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:最近推しているのが和歌山の「じゃばら酒」にソーダと塩レモンを足したもの(650円)。「じゃばら」はポンカンみたいなかんきつ類で、レモンよりもオレンジに近い風味。最後にちょっとしたエグみがくるというのもポイント。
たぶんうちの塩レモンにしても「じゃばら」にしても果皮をふんだんに使っているからこそのエグみや苦味があるので、その部分がよくマッチするんでしょうね。
「じゃばら酒」は日本酒ベースのお酒なので、酔い心地もゆったりしていて、お酒があまり強くない方にもおすすめです。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125511j:plain

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:レモンサワーからちょっと外れますが、はまぐりのエキスと香辛料を添加したトマトジュース「クラマト」と塩レモンの相性というのもすごくいい(600円)。これは恵比寿にあるチリドッグの専門店「CHILITA(チリタ)」で飲める「ブラッディ・シーザー」がヒントになってます。
ソーダで割ったものもうまいし、ビールを注いで「レッドアイ」風にしたものもいいですね。塩レモンがビシッと味を締めてくれます。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125516j:plain

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125522j:plain

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:ちなみに最初に飲んでもらったベーシックな「塩レモンサワー」はアサヒの「樽ハイ倶楽部」(レモン)を使ったもので、これは焼酎ではなくウォッカベースのサワーなんですね。「樽ハイ倶楽部」の味自体は、万人に愛される味。ごく個人的な好みとしては「少し甘めかな」って感じますけど、塩レモンを足すことでベストなバランスになるんです。
こうしていろいろ飲んでいくと、改めて塩レモンのポテンシャルを感じますね。逆に言うと、塩レモンに合わないものを探す方が難しいんじゃないかと思えてきます。

 

「レモンサワーはレモンサワーらしくあってほしいんです」

確かにどの酒も大きく性格が異なるにも関わらず、どれもが「ぜん」の味になっている。塩レモンの個性が、どのグラスにもまっすぐな背骨を与えている印象だ。
しかし吉田さんは、これらのオリジナル・レモンサワーを前に「それでも“究極”という言葉はちょっと違うのかな……」と思案する。

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:結局のところ、こういうメニューはすべて酒屋で買えるお酒との「簡単な足し算」で試行錯誤したものだし、やっぱり“究極”を謳うのであれば、アイスピックで氷を削って、レモンを落としてステアして……と、オーセンティックなバーのやり方で出したほうが、よりおいしくなるとは思うんです。
熊本の山奥に自生する樹齢120年・幻の樹木からもいだレモンと南極探検隊が持ち帰った氷を使ってどうこう」とかね。……ただ、それをうちみたいな大衆酒場がやる意味はないと思うんですよ。酒場のレモンサワーはどこまでもレモンサワーらしくあってほしいんです。
最近のレモンサワー・ブームってすごいですよね。凍らせたレモンを氷の代わりに落としたり、レモンのスライスを高く盛ったものなんかもあって。でも自分はそういうものには引かれないというか、もっと言えば、自分はレモンサワーにそこまでの完成度を求めていないんですね。レモンサワーはおいしすぎちゃダメだとすら思います。
やっぱり仕事帰りのすごく喉が渇いているところに、グイッと流し込むサワーの美学ってあるじゃないですか。シンプルな味噌汁が飲みたい朝にブイヤベースが出てきたら興醒めするのと一緒で、レモンサワーを飲みたいときは、あくまで自分の想像の枠に収まるものが出てきてほしいという、不思議な期待値があるんですよ。

 

f:id:ZENKO_TSUMITARO:20190329125353j:plain

それでは吉田さんの「期待値」を満足させるレモンサワーについても聞いてみたい。もし外の店で飲むなら、どこの1杯を選びますか?

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:うーん、めちゃくちゃ迷いますけど、高田馬場の中華屋「一番飯店」で飲んだものは美味しかったですね。

www.hotpepper.jp

 

f:id:exw_mesi:20190331003524p:plain吉田さん:ここのサワーはグラスの表面に細かい果肉が浮いていて、炭酸もそこまで効いていないのに、なんだかちょうどいい。甘さのまったくない、まるで「レモン水」のようなレモンサワー。
飲んだ瞬間に、これは「中華を美味しく食べさせる」という目的があってこういう味になっているというのがよく分かるんです。すごく“機能的”なレモンサワーですね。でも、それにしたって順位をつけるような味ではないんですよ。
たぶんレモンサワーの位置付けって、なにかのサポート役なんじゃないですかね。中華をおいしくさせるもの、餃子をおいしくさせるもの、会話を弾ませるもの、ちょっと飲みすぎてしまった身体を休めるための、ソフトドリンクとお酒の中間のようなもの。
ほら、こうして語れば語るほど、“究極”という言葉は逃げていくでしょう? ブームはブームとして楽しんでおいて、それぞれに「また今日も同じの飲んでるなぁ」みたいな「安定の1杯」を見つけてもらえれば、それが一番なんじゃないですかね。

 

お店情報

佐賀の餃子専門店 ぜん 溝の口

住所:神奈川川崎市高区溝口2-3-7 サウスウイング溝口ビル1F
電話:044-857-3410
営業時間:18:00~24:00(餃子がなくなり次第終了)
定休日:日曜日
ウェブサイト:www.gyoza-zen.jp

 

書いた人:善行積太郎

善行積太郎

三度のメシよりメシが好き。お酒はもっと好き。酒飲んですぐ寝るのはもっと好き。原稿も写真もやります。性善説を念頭に記事をつくっています。

過去記事も読む

トップに戻る