西武池袋線・椎名町の裏通り、小さな看板を灯し、ひっそりと佇む居酒屋「ええやん」。
ここは店主・松本幸太郎さんの確かな腕により、多くの地元客に愛される隠れた名店……であるのと同時に、店主がリーダーを務める家族バンドの「バックステージ」でもあった。
ベースは嬉桜香〈きおか〉ちゃん10歳(!)、ドラムは凱喜〈かいき〉くん7歳(!!)、そしてギターは都内ライブハウスやイベント会場をにぎわす辣腕(らつわん)、松本さん。店内に飾られたギターやアンプはインテリアには留まらず、ときに電源が入れられ、包丁はピックに持ち替えられ、僕らの背中でライブ・レパートリーが「公開練習」されることすらあるのだ。
終始笑顔のプリンス&プリンセス。それを見守る奥さまの温かさ。これぞ究極の家族経営! そのラウドなおもてなし!「今日は子どもたちもなんだかソワソワしてますね」と笑う松本さんに、お店のこれまでと現在を語ってもらった。
消えた200万! モヒカンで面接? 波乱だらけの「ええやん」への道
松本さん:田舎からこっちに出てきたのは高校を卒業してすぐのことです。自分は小さな頃から「ミュージシャンになる!」って家族に宣言していたんですよ。
うちの親父は調理師なんですけど、その傍らドラムもやっていたので、ディープ・パープルとかレッド・ツェッペリンなんかのオールドロックは子どもの頃から聴いてましたし、母親はピアノをやらせてくれたので、ずっと音楽は身近にあって。だから中学の頃にはすでに「早く東京に行かせてくれ!」と息巻いてたんです。
親は多少びっくりしてましたけど、熱しやすく冷めやすい息子のこともよくわかってるから、「はいはい、じゃあ高校卒業のときも同じこと言ってたら送り出してやるわ」と諭されて。でも、やっぱり音楽への熱というのは全然冷めなかったんですね。
一緒にバンドをやってた友達はほとんどが田舎に残りましたし、自分より全然ギターが巧かったヤツすらあっさり就職しちゃいましたけど、ただ、自分の場合はそこで不安にはならないんですよ。むしろ「ライバルがひとり減った!」と。東京に何人ギタリストがいるのかわからへんけど、「これで入り口の扉が少し開いたな」って。たぶん根が単純なんでしょうね。
松本さん:こっちに出てきてからは、主に学校の教科書なんかをつくっている印刷会社の寮に入りました。ひとまず住まいさえ確保しておけばなんとかなるかと。
そこには3年半お世話になりましたね。自分は完全に現場の人間でしたけど、入社してすぐに会社のイベントで演奏させてもらったのをきっかけに、総務とか営業のお偉いさんからも「カラオケいこう。ビートルズ歌おう」と声をかけてもらえるようになって。意外なところでギターが役に立ったんです。それでいて給料も安定しているし、すごく心地よかったですね。
……でも、人間ぜいたくなもので、その居心地のよさというのがだんだんと不満に変わってくるんですよ。「求めているのはこんな安定じゃない! 土日しか動けへんバンドをやりたかったんじゃない!」って。
松本さん:会社を辞めてからはもう地獄です。それまで家賃がかからなかったということもあって、お金は200万ぐらいたまってたんですけど、困ってる知り合いに全額貸したら返ってこなくて。とんでもない極貧状態に突入するわけです。
▲「こちらウーロンハイです。あ、自分の頭ならストロボなくても十分光りますよ」と松本さん
音楽好きの少年は、音楽漬けの青年へと成長し、音楽狂いの大人になった。悔しくも会社員時代の結末は苦い災難に見舞われているが、今から振り返れば、この災難こそが「ええやん」開店への第一歩にもなったのだという。
松本さん:もう会社に戻るわけにはいかへんし、明日のメシも確保しなきゃいけなかったんで、親父に電話して「どうやったら食える?」と相談してみたら、「メシが確保できるのは飲食店だ」と。そこで自分はある懐石料理屋の料理長が始めた総菜屋さんを訪ねることにしたんです。
当時は金髪モヒカンでしたから、面接で落とされるだろうなって思ったんですけど、「面白そうだから使ってやるよ」と、なんとか餓死は免れて。……ただ、そこはものすごいブラックな職場で、毎日が過労死寸前。周りの同僚がバタバタ辞めていくんです。
だから何年かしたら自分がナンバー2という状態で、いつのまにか煮ものやら焼き物やらを担当するお店の心臓部に立ってました。
毎日CK(セントラルキッチン)から新宿、渋谷、池袋なんかの店舗に安定した料理を出さなきゃいけなかったこともあって、味の基準はすごく厳しくて、和食の基本や包丁の技術はそこで学ばせてもらいましたね。
さまざまな苦労や困難に対し、金の斧を振りおろし(←モヒカンでヘドバンの図)、ギターに続きふたつめの「手に職」を得た修行時代。飲食業の楽しさに開眼し、自分のお店を持つことも夢想し始めた松本さん。残るは「空き物件」である。
松本さん:物件に関しても、貧乏ならではの出会いというのがあるんです。ここは以前自分が風呂なしトイレ共同2万6千円のアパートに住んでいたときに、そこを紹介してくれた不動産屋のおばちゃんが、「あんたはいい歳していつまでもバンドやらギターばかりでしかたがないね。自分の時間を自由に使いたいならお店でもやりな」と探してくれた場所なんです。
そのおばちゃんは自分の貧乏生活をずっと知ってくれてる恩人だったので、お店のことを真剣に考える後押しになったんですね。もし自分ひとりで考えていたら「いつかそのうち」で終わってかもしれません。
このお店のオープンは2004年ですから、今年で丸15年になります。初日のことは鮮明に覚えてますよ。通帳の残高は87円。保証金やらお店の設備やらを支払って、最後にお客さんための釣り銭を下ろしたら、それしか残らなくて。
昼はリハ。夜はお店。ハードな二重生活の果てに見つけた「自分の部屋」
松本さん:そこからはミュージシャンと居酒屋の二足の草わらじです。泣きたいぐらいに売れへんバンドもたくさん経験しましたけど、ギタリストとしての仕事は先輩方がいいのを回してくれたんですよ。企業のパーティーであったり、パチンコ屋の開店記念のイベントであったり。
プロのシンガーのバックバンドの一員としてギターを弾かせてもらったときなんかは、昼間のリハを終えてからお店を開けるような生活をしていたこともあります。相当にハードでしたけど、自分がどうやっても敵わないようなすご腕のミュージシャンと知り合えたのも当時のことですし、このお店がこんなんなったのも、その先輩方が「料理もいいけどお前のもうひとつの売りである音楽も打ち出したほうがいい」とアドバイスをくれたからなんです。自分は極端なので、やるからには徹底的です。「いっそお客さんよりもギターのほうが多いぐらいにしたれ!」って。
その結果、うちは「椎名町でいちばん入りにくいお店」になりました(笑)。そのぶん面白いお客さんも増えましたけどね。普通の居酒屋さんに飽きた人が「匂い」を嗅ぎつけて集まってくれるんです。
今日は仕事でいませんが、うちの嫁ももともとはお客さんなんですよ。自分は男女関係なく、仲よくなるとプライベートでもメシに行ったりするんで、そこでじっくり話したら、すごく面白い人だなぁって。嫁には本当に感謝しています。おかげでこいつらにも恵まれて。
「こいつら」とは、カウンターの端から興味深く取材の進行を見つめていた嬉桜香ちゃんと凱喜くんのこと。鈍色の店内に原色のランドセルを持ち込む「ええやん」の天使たちである。
嬉桜香ちゃんは目が合うなり「いらっしゃいませ」とニッコリ。凱喜くんは天井に向かい「おなかすいたー!」と叫んでくれた。
松本さん:じゃあ、こいつらの夕飯がてら、うちの看板料理も紹介していきますね。
凱喜くん:やったっ!
松本さん:まずは「納豆オムレツ」(500円)です。
嬉桜香ちゃん:今日のは餡(あん)がかかってるね! おいしそう!
松本さん:そらそうや。いちおうお店で出してる状態のものを撮影してもらわないとあかんやろ。
嬉桜香ちゃん:ラッキー!
松本さん:これはうちで一番よく出る料理なんですよ。自分が金ないときに「なんかうまいもんつくれへんかな」と自炊したものが元になってます。今となっては納豆オムレツなんて珍しくないと思いますけど、うちは卵にも餡にもしっかり味をつけて、ネギも半端ない量を使うことで全体をふっくらさせてます。
どこに箸を入れてもフワフワのトロトロ。厨房からの「おまえら撮影の前に食うんじゃないぞ!」の声も虚しく、すぐに小さな手が伸びて──
嬉桜香ちゃん:おいしい~! あ、凱喜、納豆よけて食べてる!
凱喜くん:うん。苦いのはあんまり好きじゃない。
松本さん:納豆オムレツちゃうやんけ!
嬉桜香ちゃん:納豆って苦いかなぁ……。
凱喜くん:ピーマンは食べられるよ。
松本さん:つぎは「砂肝と長ネギの自家製ニンニクしょうゆ炒め」(500円)です。これは嬉桜香のお陰で生まれたメニューなんですよ。
松本さん:嬉桜香は砂肝がとにかく大好きで、いっしょに焼き鳥屋さんにいっても必ず頼むんです。そこから「砂肝をもっとおいしく食える方法ってあるんじゃないかな」と試行錯誤して、丁寧にスジを処理したあとに細かく包丁を入れることで、ゴリッとした食感をサクサクに変えてます。
こうすることで火の通りも早くなるし、旬のネギもほぼ半生状態で絡められる。「砂肝は苦手だったけどこれは食べられる」と喜んでくれたお客さんもいて、やってよかったなって。
凱喜くん:ごはんちょうだい!
松本さん:スミマセンね。まずはこいつらの腹をいっぱいにしないと……。
▲「ごはんはお椀の中でくるくるして丸めるとおいしいんだよ!」と凱喜くん
嬉桜香ちゃん:お父ちゃんの料理はいつもおいしいし、このお店にいるのは本当に楽しいですよ。楽しいことがいっぱいありすぎて話し切れない! 楽しいことが当たり前になっちゃってる。お客さんからいろんな話が聞けるのも勉強になるし、学校の友達とは話題にならないこと、う~ん、社会的な知恵っていうのかな? そういうことを吸収できるのも楽しくて。仲良くなったお客さんはライブとか映画に連れてってくれたりもするし、お客さんの家でいっしょにカレーをつくって食べたり。
松本さん:こいつ、商店街の不動産屋の社長さんに「いい部屋ないですか?」って聞いてたからな。
嬉桜香ちゃん:みんな嬉桜香に優しいし、すぐ友達みたいになっちゃう。
松本さん:うちは本当にいいお客さんに恵まれているんですよ。ここでの縁というのはひとつひとつ大切にしたいと思ってますね。
▲「羽山さん大好き 新ジャガフライ」「富田さんタマに食うコーンバター」などの文字が並ぶホワイトボード。常連たちの回覧板としても機能しつつ、「隣の皿はいつもうまそうに見える」という酒飲みの心理も突いてくる
松本さん:自分は初めてのお客さんでも名前は必ず覚えるようにしてるんです。これには持論というか、手品があるんです。自分はこう見えても生徒会長とかやってた人間なんですけど、そのときも、田舎のマンモス校の生徒全員の名前を言えたんですね。しゃべったこともないヤツも。ソリがあわへんヤツも。350人全員。
それは、「やっぱり人って自分の名前を言われて嫌な気はせえへんな」ということに気づいていたからなんです。小学校ですら「なんで俺のこと知ってるの?」ってところから話の種が生まれて、人の輪が広がっていくんだから、居酒屋さんでもそれは同じだと思うんです。その種をいかに大きく育てていくのかというのがカウンター商売の面白さ。空気を読みつつ話をして、その場を温めていくというのは、ライブにも近いものがあります。
そのかわり、自分の恥ずかしい失敗なんかも平気で話しちゃいますし、包み隠さず自分を出せるようにありたいと思ってます。こっちが心を開かなかったらなにも始まりませんから。
松本さん:このお店のコンセプトは「自分の部屋」なんですよ。自分の好きなものに囲まれて、その空間でお客さんといっしょに遊んでるような感覚です。だから空気が読めへんような人は出禁です。ひとりよがりに延々と愚痴るお客さんなんかはすぐ帰します。みんなに楽しく飲んでもらうためにもそこは厳しくしないといけない。そういうルールをしっかりと通せる場所という意味でも、ここは「自分の部屋」だと思ってますね。
嬉桜香ちゃん:お父ちゃん、休みの日もここにいるもんね。
松本さん:結局ここでギター弾いてるな。家には自分の遊び道具ってテレビぐらいしかないんですよ。嫁に「ホンマにゆっくりできる時間があったらなにしたい?」って言われても「お店にいたい」と答えてしまうし、お金もらって自分が楽しい思いをさせていただいてるって感じです。恵まれてますよね。
嬉桜香ちゃん:うん。いいことばっかり。
松本さん:うち、これまで家族旅行ってしたことないんです。家に戻ってもみんながみんな好きなことをしてるし、みんなが「素の自分」でいるんです。自分は「家族サービス」って言葉が大嫌いなんですよ。なんでいっしょにいていちばんリラックスできる家族に対して「サービス」なんて言葉を使わなあかんのやって。
どこか突き放したようでいて、どっしりと温かな松本さんの言葉、そして家族観。それは次に運ばれた「煮魚」にも、しっかりと込められていた。
松本さん:煮魚というのは昔だったらお母さんが台所で手間をかけてやっていたものですよね。うちのお客さんは独身者も多いので、ある程度料理はできても家ではやらへんやろな、めんどくさいやろな、っていうものを調理してあげたいんですよ。
自分みたいに田舎から東京に出てきてる人間なんて、こういうものを食べておかないとすぐに味覚音痴になってしまうし、スーパーの真空パックとは違う正当なものを教えてあげたいという気持ちがあるんです。
▲「サバ味噌煮」(600円)
▲「イワシ梅しょうが煮」(500円)
松本さん:煮魚に限らずうちの料理は「ええもんがあったからええもんを仕込みましたよ」というスタンスで出してますね。
今日はたまたまお客さんからいい酒粕をいただいたので、それで粕床をつくって仕込んだ料理もあります。うちはこういうスポットメニューもすごく多いので、「料理もライブすぎますね!」なんて笑われたこともあって。
▲「自家製粕床に漬けた鶏モモ肉」(600円)
▲「自家製粕床に漬けた赤魚焼き」(600円)
▲常連さんからの「なんかチーズちょうだい」の声にもすぐさま対応
嬉桜香ちゃん:あぁ、やっぱりおいしい。これでお酒も飲めたらもっとおいしいんだろうな……。
松本さん:嬉桜香はホント居酒屋さん好きだよな。
嬉桜香ちゃん:うん。いろんな味をちょっとずつ食べられるのが楽しい。煮魚には炭酸の入ってないお酒が合うと思うな。日本酒とか、焼酎とか。
松本さん:こいつ、ラズウェル細木さんの『酒のほそ道』が愛読書なんですよ。
嬉桜香ちゃん:家のトイレに積んである。(岩間)宗達のウンチクはもうほとんど暗記しちゃった。
松本さん:自分にとってのこいつらは、一番の飲み友達でもありますね。しゃべってても楽しいし。
嬉桜香ちゃん:スタジオの帰りの居酒屋さんはとくに楽しいよね。「もうちょっとあそこはこうしたほうがいいんじゃない?」みたいに意見交換したりして。
▲「お父ちゃん撮るからそのカメラ貸してー!」と、未来の巨匠が初仕事(撮影:松本凱喜)
「お父ちゃんが中学生の頃の夢を、嬉桜香も持ってる気がする」
冒頭にも書いたように、松本家は音楽一家だ。松本さんのギターに加え、嬉桜香ちゃんと凱喜くんがリズム・セクションを固めたファミリーバンドを結成している。その名も「エネルギー45」。
松本さん:このバンド名は凱喜がつけたんです。ある日「バンド名会議」をしてたんですけどなかなか決まらなくて、しばらく別の話をしていたら、突然凱喜が「エネルギー45!」って叫んだんです。
なんのことかと思ったら、こいつ、そのときポンジュースを飲んでて、瓶の成分表示を読んだだけだった(笑)。「cal(カロリー)」は読めなかったからそれを飛ばして「エネルギー45」。お客さんからは「100パーは出さないんだね」といういいツッコミも入ったので、「よし、これでいこう!」と。
凱喜くん:ドラムはすごく楽しいよ! ほら、スティックもこんなに持ってる。
嬉桜香ちゃん:今度は大塚のライブハウスに出演するんです。緊張ですか? 全然しないですよ。
松本さん:最近の子がそうなのかこいつだからそうなのかはわからないんですけど、自分よりもこいつらのほうが堂々としてるぐらいですね。嬉桜香はめっちゃ笑いながらベース弾いてるし。こっちがアイコンタクトを気にしすぎてプレイが疎かになるぐらいで。
凱喜くん:この黒いスティックはすごく軽くて使いやすいんだよ(とカウンターをたたき出す)
嬉桜香ちゃん:お腹もいっぱいになったことだし、ちょっと練習しようかな。
だったらガッツリ演っちゃってください! いよいよここからが「ええやん」の本領。激しくも愛らしいゴールデンタイムのスタートである。
▲ビートルズやRCサクセションの名曲が並ぶセットリストとコード進行のメモを取り出し……
▲まずはリズム・セクションがセッションをスタート。そして……
▲すぐさま松本さんが参戦!(凱喜くんは見切れたがカウンターを激しく連打中)
店内全域がアリーナであり最前列! 眼前30センチの暴力的な臨場感に、今夜も酒がすすみすぎてしまう! ブラボー「エネルギー45」!! ええじゃないか「ええやん」!!
嬉桜香ちゃん:あー楽しかった! そうやって喜んでもらえると嬉桜香も楽しいです。でも、嬉桜香は「子どもだからすごい」と思われてるところもあると思うから、いつか大人を上回れるようなプレイヤーになりたいです。将来の夢ですか?……それはやっぱりミュージシャンですね。プロとして活動していけたらいいなぁ。お父ちゃんが中学生の頃に持っていた夢っていうのを、嬉桜香も持ってる気がする。
松本さん:バンドとしての「デビュー」というのは自分がかなえられなかったことなので、こいつらに託してる部分はありますね。こいつらが大きくなったときに、「お父ちゃんクビ!」でも全然いいので、今のうちに少しでも基盤強くしておいてやれればと思ってます。
もちろんそれは音楽に限ったことじゃなく、自分たち家族には「居酒屋」という面白い環境があるわけだから、これからの人生に必要な「コミュニケーションの大切さ」とか「物怖じしない性格」っていうのはしっかり学ばせてやりたいと思うんです。
嬉桜香ちゃん:人と話すのは本当に大好き。あと、嬉桜香は美容師さんにも憧れてて。
松本さん:お父ちゃんにはなんの役にも立たへんな。
嬉桜香ちゃん:(笑) もちろんお父ちゃんみたいな接客業にも興味があるし、いろんな仕事をしてみたい。
松本さん:将来有望やな。でも、自分はこいつらに何も教えてないんですよ。お客さんに愛想使えなんて言ったこともないし、楽器も無理矢理やらしたわけじゃない。いわゆる英才教育なんてしたことないんで。
嬉桜香ちゃん:うん。楽しいからそうしてるだけ。
松本さん:やっぱり人間誰しも「人に押しつけられたこと」とか「マニュアル通りに」っていうのはうまく身体に入っていかないんじゃないですかね。
自分が思うに、親の役目というのは、子どもたちが本当にやりたいと思ったことを見極めて、それをサポートしてやることなんじゃないかと思うんです。もっと言えば、やりたいことはなんでもやらせてやるけど、そのかわり、やるからには真剣にやりましょうってことですね。
もし将来、こいつらのやりたいことがガラッと変わったとしても、何かに真剣に取り組んだときの記憶というのは絶対損にはならない。結果が成功でも、失敗でも、とことん真面目にやったときの達成感というのは、人生の宝になる。自分がこいつらに残せることといえば、そのぐらいのことなんじゃないですかね。
お店情報
ええやん
住所:東京都豊島区長崎2-13-4
営業時間:17:00~24:00
定休日:日曜日