賞味期限間近の非常食をおいしい料理に変身させてみた

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災害大国、日本。いつ我が身に天変地異が降りかかっても不思議ではない、デンジャラスな環境に暮らす私たちの暮らしには「備え」が欠かせません。いざというときに持ち出せる非常用リュックを用意しているご家庭も少なくないでしょう。リュックがないにしても、3日分の飲料水(ひとりあたり1日2リットルは必要と言われています)や長期保存できる食事を買い置きしている人もいるはず。

 

その長期保存できる食事も、いずれは賞味期限が切れて新しいものと交換することになります。賞味期限が切れそうな保存食は……食べますよね。非常食として買っておいたものでも、非常時じゃないと食べてはいけないわけじゃないんだし。

 

しかし、非常時の極限状態のときには美味と感じられるものが、飽食の日常で食しておいしく感じられるものでしょうか。たとえばこれ。

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普段は「主食」ととらえることは難しく、かといって「おやつ」にしては味気なさすぎる。微妙に含まれる甘さは、酒のつまみとしても微妙……そう、乾パンです

 

乾パンを活かす

乾パンは5年くらい賞味期限があるものが主なのでそうそう日常で食べる機会もないでしょうが、5年に一度食べるときのために、ちょっとしたアレンジでおいしく食べるすべをご紹介します。

 

ちなみに筆者は以前乾パンを食べたのがいつだったのかすら定かではありませんが、間違いなくおいしくなっていますね、最近の乾パン。口中の水分すべてを奪われる感じは相変わらずですが、軽い触感になって粉っぽさもなくなった気がします。

 

では、まずは乾パンのシーフードグラタンから。

 

【材料】(1人分)

  • 乾パン 50g
  • 粉末コンソメスープ 1人前
  • ホワイトソース 70g
  • 冷凍シーフード 30g(お好みで増量を)
  • チーズ とろけるスライスチーズ1枚(お好みで増量を)

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まず、コンソメスープ(粉末のほうが便利)に適量の乾パンを投入してふやかします。水分をすべて吸ったら、ホワイトソースに冷凍シーフード、チーズを乗せてトースターへ。

 

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超簡単、お手軽グラタンの完成です。シーフードは鶏肉やソーセージなど、お好みの具に変更してもOK。コンソメスープのほどよい塩分を吸った乾パンは「乾」の字が取れてパンのよう。まったく違和感なく、おいしくいただける一品です!

 

次に、乾パンをミネストローネスープに丸ごと投入してクルトン代わりにします。

 

【材料】(1人分)

  • 乾パン 10個程度(お好みで増減を)
  • 市販のミネストローネスープ 1人前
  • 粉チーズ 少々

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粉々に砕くとむしろ食感が悪くなるので、ここはぜひ丸ごとドカンと。食べる時間差でサクサクとふにゃふにゃ、両方の食感が味わえます。粉チーズを加えても美味。辛党はぜひタバスコを!

 

ミネストローネ以外にも「乾パンのスープ投入」はかなり使える手です。オニオンスープ、クラムチャウダー、コーンスープなどなど、ぶち込んでしまえばそれだけでおいしくいただけます。パンやクルトンの代替品としてしっかり仕事をしてくれます。乾パン、見直した。

 

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その他、そのままではほのかな甘みが気になったとしても、クリームチーズを乗せればみごとなつまみに変身! これはビールにもワインにも合う、抜群の組み合わせでした。しかも塗るだけというお気軽レシピ。ほんの少し粗びき黒コショウを振ってもおいしいです。

 

ほか、溶かしたチョコレートに砕いた乾パンとナッツを加えて混ぜ、冷やしてから好みの形にカットすればチョコナッツバーのできあがり。筆者自身がスイーツにあまり興味がないもので今回は作りませんでしたが、レシピとしては超簡単なので、甘いもの好きな人にはおすすめです。

 

白かゆを活かす

さて、乾パンに続いてご紹介するのがこちら、レトルトの白かゆです。

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梅かゆや玉子かゆといったアレンジバージョンも売られていますが、今回はなんの味付けもされていない白かゆを使います。

 

私たちが日ごろ「ふやけた米」を食べるとしたら、お茶漬けか鍋の〆の雑炊といったところでしょう。おかゆを食べるシチュエーションというと「ひどい風邪」「入院中」など、体にダメ―ジを受けているときというイメージがつきものです。

 

そんなおかゆが非常食としても取り入れられているのは、おそらく普通に炊いたご飯では冷えるとパサつきますが(あれは食べられたもんじゃないですよね)、おかゆならそれがないからでは。それから年齢を問わず食べられるという点も大きいでしょう。離乳食の赤ちゃんから歯がない老人まで食べられる、考えてみればなかなかの優れものです。そして言わずもがな、超健康体から「まずはおかゆから」という快復途上の人まで、さまざまな状態の人が食せるものです。

 

でもいかんせん、なんの味もついてないのでまさに「味気ない」。そこでまずは洋風仕立てにしてみました。

 

まずはシーフードリゾット。シーフードにしたのは乾パンのシーフードグラタンの素材があまったからであって、これも鶏肉などに変更してもらってもOKです。

 

【材料】(1人分)

  • 白かゆ 1袋
  • 冷凍シーフード 50g
  • コンソメスープの素(粉末) 小1
  • 塩 小1/2
  • バター 10g
  • 乾燥パセリ 少々

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顆粒コンソメと塩で味付けして冷凍シーフードを投入、乾燥パセリを加えれば見た目もきれいになります。最後にバターをひとかけら落とすと、いきなりプロっぽい味になるのでぜひお試しを。濃い味好きな人は粉チーズをかけてみてください。

 

次に中華風雑炊、つくね入り

 

【材料】1人分

  • 白かゆ 1袋
  • 市販のつくね 2~3個(スーパーの精肉売り場で売られている生のつくねが便利でおすすめ。個数はつくねのサイズで増減を)
  • わけぎ 10g
  • ごま油 大1/2

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鶏ガラスープと塩で味付けしてつくねとわけぎを追加、ごま油を加えると風味が豊かになります。中華味もかなりおいしいです! 味変を求める人は、ちょっとラー油も加えてみてください。

 

次に、白かゆを使った「なんちゃってもんじゃ」です。ビジュアルがあまりにアレなもので紹介するのをためらったのですが、味そのものはかなりイケているので、初志貫徹ということでご紹介することに。

 

【材料】(1人分)

  • 白かゆ 1袋
  • 豚肉 50g
  • 片栗粉 15g
  • わけぎ 10g
  • 揚げ玉 少々
  • 塩 少々

白かゆに適量の水溶き片栗粉、わけぎ、揚げ玉、塩少々を加えてよく混ぜます。豚肉(豚バラでも豚コマでもお好みで。薄くカットされているのがおすすめ)は軽く塩コショウし、油を引いたフライパンで炒め、その上に具と混ぜた白かゆを乗せるような形で焼きます。白かゆは片栗粉が入っていてもどろどろの液状で、どんどん豚肉からはみ出しますが、あまり広がりすぎないようにヘラで押し戻しましょう。そして白かゆの上にも豚肉を乗せ、軽く火が通ったらひっくり返します。このとき原型をとどめないぐちゃぐちゃな見た目になりますが、ここは豚肉をかりっとさせることを優先しましょう。

 

そうして、できあがりがこうなります。

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大変残念な見栄えですが、味はおいしいです!

 

ちなみに作り終えてから思ったんですが、これきっと細かく刻んだ紅しょうがを加えてもおいしいです。赤味が加わることで見た目ももう少し上方修正されるはず……。

 

白かゆは味噌と好みの具を加えればいわゆる味噌汁&ごはん風のねこまんまになりますし、バター&ケチャップ&チーズでなんちゃってイタリアンリゾット風にもなります。要はアレンジの幅が広く、やりたい放題。

 

今回は乾パンと白かゆという2種類に特化して、アレンジ方法をごく一部ご紹介しました。どうでしょう。ひと手間加えれば、普段の食卓に上っても違和感ないですよね。

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缶詰やレトルト食品を非常食として保存している方も多いでしょうが、それは非常時でなくてもおいしく食べられるので今回は除外しました。

 

防災リュックを用意されている方は、リュックの中の食品の賞味期限、チェックしてみてください。そして期限切れが近づいている乾パンや白かゆがあったら、ぜひぜひお試しください!

 

※この記事は2017年12月の情報です。

 

書いた人:椿あきら

椿あきら

猫の下僕をしているライターです。猫と暮らすようになってから、断然家飲み派になりました。著書に『オリンピックと自衛隊 1964-2020』(並木書房)。

 

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