武蔵野うどん、食べたことありますか?
太い麺に強いコシ、つるりとした喉越しとは無縁のがっつりとした力強い食感。「スマート」「おしゃれ」といったカテゴリーには決して入らない武蔵野うどんですが、これが実にうまいのです。
「喉越しが良すぎてよくわからないうちに食べちゃった」などありえない、むしろ「かんでから飲み込む」という工程が不可欠。食べ終わったときは「あー食べた食べた!」と満腹感とともに満足感が味わえます。
その武蔵野うどんが居酒屋さんで食べられるというので、早速行ってきました。調布市仙川町にある「武蔵野うどん和酒 たか乃」です。
仙川駅から徒歩約3分。実はこちら、府中市で評判の「武蔵野うどん」の支店なのです。
本店が「主役は武蔵野うどん、夜はお酒も楽しめます」というお店であるのに対し、支店のこちらは「居酒屋さんで武蔵野うどんが食べられます」という、武蔵野うどん以外のメニューが充実しているところが特徴です。
支店のオーナーは、青いポロシャツの髙野浩吉さん。黒いポロシャツは店長の藤原雅兼さん。
背中にはほら、この通り!
NO UDON
NO LIFE !!!
髙野さん自身も、本店の武蔵野うどんに勤務していた頃はうどんを打っていたそうです。
その日の気温と湿度、季節によって加える水の量などは毎日微妙に異なり、その加減は「経験を積むことでしかわからないですね。だから毎日打つことが大事なんです」。
過剰な装飾のないシンプルな店内は落ち着きますね。デートにもばっちり使えます。壁沿いのソファは大人数の予約が入った際、テーブルを並べ替えて使えるようになっています。
カウンターは7席、お店の最奥には半個室もあります。
そして本店と同じく名物なのが、セルフサービスのおでん。丸串は130円、平串は180円で、大根、こんにゃく、はんぺん、昆布、ちくわぶ、卵、厚揚げ、ちくわ、さつま揚げなど、おでんの王道がそろっています。こういうのがお店にあると、なんだか気分が盛り上がります。
好評のメニューを尋ねたところ、やはり武蔵野うどん。この「肉もりうどん(850円)」が断トツだそうです。
うどんの食べ方は3通りありますが、武蔵野うどんのスタンダードは、つめたいうどんを熱い汁につけて食べる、この「もり」。
この本来の食べ方に加え、うどんとつゆの両方が温かい「かけ」、両方冷たい「つけ」もあります。
うどんは1人前250g。一般的な量は200gなので、なかなかのボリュームです。
ランチタイムには大盛り無料という、うれしいサービスも。
うどんは見るだけで強いコシが感じられますね。この極太麺、どんな腹ペコの胃袋も満足させてくれます。
つけ汁には鯖(サバ)、鰹(カツオ)など4種類のだしが使われています。色が濃いのに辛くなく、肉厚の豚肉も気前よく入っていて、脂身の甘みとつけ汁の相性が抜群です。
そして、店長の出身地は唐揚げの消費量日本一の大分県。
店長の唐揚げに対する思い入れは相当なもの。仕込みには3日かけているそう。こちらもファンの多い一品です。
1つ 180円の唐揚げを複数個頼むと、さまざまな部位がミックスされたものがケーキを入れるような紙の箱に盛られて登場します。
大分では唐揚げをテイクアウトする人が多く、現地ではこのスタイルが当たり前の光景とのことで、こんなところにも店長のこだわりを感じます。
食べてみると、衣はさくっと、身はジューシー! 最初の1口はまずレモンもかけずに食べてみて欲しいところです。
そして男性や家族連れに好評だというのがこちら、「ハムカツコロッケ(500円)」。
ハムカツとコロッケという名作のコラボ! おいしくないわけがないよ!
よくぞ生み出してくださいました!
このほか、酒の肴にぴったりの、富山の干物や練り物なども直送で取り寄せています。豊富なメニューは、まさに居酒屋さん。
家が飲食店を経営していたという環境から、自然と将来は「食」と関わる仕事に就くと考えていたという髙野さん。意外なことに、高校卒業後に目指したのはパティシエでした。
「でも、絶対パティシエになりたいという強い気持ちではなく、ちょっと興味があるからやってみようかなという思いだったので、専門学校は卒業したものの、仕事は長続きしませんでした」
その後いくつかの仕事を経て、酒屋さんで酒の配達のアルバイトを始めたとき出会ったのが、バイトの先輩だった現在の店長、藤原さんでした。おお、そんなご縁があったんですね。
髙野さん、満を持して家業を継ぐべく、2015年10月にこのお店をオープンしました。
府中本店は男性ひとり客の姿が目立ちますが、こちらはあらゆる客層が訪れます。女性同士でも入りやすい、家族でも来られる、もちろんひとり訪問もあり。
夜に武蔵野うどんだけ食べに来るのだってありだし、酒と肴を楽しんだ〆に武蔵野うどんもありです。
ナイフとフォークをうまく使いこなせるか緊張するお店に彼女と行くより、ずずずっと音を立ててすすってもNGにならない、男性にやさしいおすすめデートスポットですよ、ほんと。
あるいは宴会の幹事になった時にこういうお店を知っているというのは、間違いなく株が上がります。
ちなみに取材を終えて帰り際、何気なく見たカウンター横の冷蔵庫に……
なんじゃこりゃ!
なんと、日本全国のワンカップが常備約50種そろっているそうです。これもセルフサービスで好きな銘柄を選ぶシステム。店名に「和酒」とあるだけに、アルコールのラインアップがなかなか魅力的なのは知っていましたが、こんな素敵技もあったとは……!
するとおもむろに髙野さん。
「やかん酒っていうのもありまして、まろやかで飲みやすいんですよ」
まだあったのか酒ネタ!
……今回は武蔵野うどんと料理にフィーチャーしましたが、この時点で次回は「酒」に決定しました。続報を待たれよ。いや、先にお店に行っていただくのも大いにありです。
お店情報
武蔵野うどん和酒 たか乃
住所:東京都調布市仙川町1-12-9 SSビル1F
電話番号:03-6279-5729
営業時間:11:30~14:30(LO 14:00)、17:00~翌0:00 (LO料理23:00 ドリンク23:30)
定休日:無休
※この記事は2017年6月の情報です。
※金額はすべて税込みです。
※このお店は現在閉店しています。
※飲食店の掲載情報について。