道東に魅せられたバックパッカーが牧場と家族を得て極上チーズを生み出すまで【地方移住でハッピーに暮らすには】

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チーズブームが続いています。農水省の調べによると、2018年度の国内チーズ消費量は35万2930トンと、4年連続で過去最高を更新しました。

飲食店のメニューでも昨年ブレイクしたチーズタッカルビやラクレットチーズを使った料理、今年はパネチキンやチーズティーなど、チーズにちなんだメニューが好評です。

 

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▲チーズタッカルビのじゅわーっとした感じとか……

 

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▲ラクレットのとろーんとした感じが、おいしいだけじゃなくインスタ映えすることが受けている要因かも

 

ただ、チーズ総消費量(ナチュラルチーズベース)に占める国産チーズの割合は13.6%と、輸入品にシェアを奪われているのが現状。

そんな中で国産チーズの魅力をあますところなく発揮し、ふるさと納税でも評判の高い逸品を世に送り出しているのが、北海道厚岸郡浜中町で酪農を営む松岡慶太さんです。

 

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▲松岡慶太さんと奥さんの智子さん

 

松岡さんは2009年に浜中町で松岡牧場をスタート。2016年には自然との共生、もうひとつのライフスタイルを提言するグレイトフルファーム(Grateful Farm)を立ち上げ、自社牧場のしぼりたてミルクを使用した手作りチーズの製造・販売を始めました。

 

数カ月熟成を行なうゴーダチーズ、溶かして食べるラクレットチーズ、手でさけるフレッシュチーズのストリングチーズ、形状もユニークなカチョカバロ、ミルクの風味がそのまま味わえるモッツァレラチーズなど、製造しているチーズは多岐にわたります。

 

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▲詰め合わせのセットも販売されている

 

冷涼な気候と海のミネラル分が良質なミルクを生む

ところで、浜中町って北海道のどの辺かわかります?

釧路から車で東へ約90分という道東に位置し、沿岸にはラムサール条約で保護指定を受けている霧多布湿原が広がる自然に恵まれた町です。

同時に良質な生乳の生産地でもあり、人口約6000人に対して飼育されている乳牛は2万頭を超えるという酪農王国です。

夏でも気温は25℃を越える日がほとんどない冷涼な気候は、暑さが苦手なホルスタインにとってまさにベストな環境(ちなみに冬の積雪はあまり多くありませんが−20℃まで下がる日もあり、牛には快適でも人間には過酷な環境)。

また、海に隣接しているため海からのミネラル分などが霧とともに牧草地に降り注ぐことで、それを食べる牛たちが良質な牛乳を作り出しています。浜中町の牛乳がどれほど良質で美味かは、ハーゲンダッツアイスクリームの原料に使用されていることからもわかります。

 

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▲ストレスの少ない環境でおいしい牧草を食べて育つ牛からは良質な牛乳が得られる

 

道東の暮らしにドハマりして……

1974年に愛知県で生まれた松岡さん。彼は、もともと北海道とは縁もゆかりもありませんでした。そういう人が、なぜ浜中町で自身の牧場を構え、牛を育て、チーズ作りまで行っているのでしょうか?

 

松岡さん:学生の頃にちょうどバックパッカーが流行っていて、僕も海外に行きたいと大学を中退してアメリカ放浪の旅に出ました。1997年に帰国後、今度は日本を縦断してみようと、バックパックひとつで南から北上していったんです。北海道では室蘭からバイクで走ったんですが、今ひとつ気に入る土地がなくて。どんどん道東へ進んだところ、釧路を過ぎたあたりから「この辺いいな」と感じ始めました。それで根室の牧場で約2年半働かせてもらいました。

 

ことさら酪農に興味があったわけではなく、最初は「牧場で働いてある程度稼いだら、また旅に出よう」と思っていたそうです。

ところが思いのほか、日々の暮らしは楽しいものでした。もともとアウトドア系のことはなんでも好きだった松岡さん。道東の雄大な自然は大きな魅力だったし、酪農自体にもどんどん興味が湧いてきましたといいます。

 

松岡さん:北海道の生活自体にハマりましたね。釣りはどこでも楽しめるし、ちょっと山に行けば山菜は取り放題だし、野生動物もたくさんいるし。実習先の牧場も結構自由にやらせてくれたので、古いスノーモービルもらって自分で修理して走れるようにしたりね。夜中の2時にマフラーなしでエンジンかけて爆音で走っても誰にも迷惑かけない環境ってすごいよね(笑)。

 

酪農の中でもとりわけチーズ作りに興味を持った松岡さん。根室市の隣、浜中町にあるチーズ工房で実習する機会を得ました。そして浜中町に転居すると、この町の自然がすっかり気に入り、定住しようと決めました。アメリカ放浪の旅、日本縦断の旅を経て、ついに地に足のついた暮らしをする町を見つけたのです。2001年のことでした。

 

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▲見事なゴーダチーズ! 今ではこんな立派なチーズを製造・販売している

 

浜中町で8年間は酪農ヘルパーとして働き、その間に現在の伴侶である智子さんと出会い、3人の子どもにも恵まれ家族ができました。智子さんは京都生まれ滋賀育ち、短大卒業後に酪農に従事すべく単身浜中町にやってきた気骨のある女性です。

現在は約120頭の乳牛を飼育する松岡牧場を陰ひなたとなって支えつつ、酪農を通して食や仕事、命の学びを支援する酪農教育ファームファシリテーターとしても活動しています。

 

地域の強力なバックアップ体制が背中を押した

そして2009年、松岡さんはついに浜中町で自分の牧場を手に入れました。松岡牧場の誕生です。

 

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▲松岡牧場の敷地は67ヘクタール、東京ドーム約14個分の広さ

 

その後グレイトフルファームも立ち上げたのは冒頭で紹介したとおり。結果的に出来上がったのは主人の好きなものがぎゅっと詰まった、超アメリカンな空間でした。

 

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▲チーズ作りはこちら、松岡牧場の敷地内にあるグレイトフルファームで行なわれる。手前にはハーレーダビッドソン

 

ここで不思議に思うのは、なぜ松岡さんが浜中町で就農できたのかということです。世襲が一般的な酪農の世界で、愛知出身のいわば「よそ者」が、なぜ酪農王国の浜中町で独立できたのか。

実はそこには、JA浜中町が全国に先駆けて行なってきた「農業者の減少を新規参入者の育成によって防ぐ」という各種取り組みがありました。

今、全国では高齢化と後継者不足で、例年平均200戸近い酪農家が離農していると言われています。当然ながら浜中町も例外ではなく、危機感を抱いていました。そこで1983年から取り組んだのが「離農後の牧場に後継者がいなければ、その土地と設備を新規就農者の“外部の人間”が受け継ぐ」という支援制度です。

www.townhamanaka.jp

 

就農後、最初の5年間は総額1,000万円の助成も受けられる手厚いサポートも。はじめは経営を軌道に乗せることに精一杯の新規就農者にとってはありがたい話です。この制度のおかげで、浜中町の搾乳酪農家数はこれまでずっと180~200戸を堅持することができているそう。

また、「勘と経験だよりの酪農」から「科学の知見に基づいた酪農」に転換すべく、1981年に日本初の酪農技術センターを開設。その翌年にタカナシ乳業の北海道工場が浜中町で操業を開始し、同社が100%出資するハーゲンダッツジャパンのアイスクリームに浜中町の生乳が使われることになりました。その決め手には、浜中町がアメリカと同じ科学的管理で生産している酪農地であったことが大きく影響しているのです。

 

ボロボロ牛舎、ゴミの山からスタート

「自然に恵まれた田舎暮らし」というと一見聞こえはいいですが、実際に暮らしてみれば厳しい気候にも直面するし、自然の脅威にも遭遇します。また、代々その土地に根付いて暮らしている人が多い地域では、新参者を快く迎える人ばかりだとは限らない現実もあります。

浜中町でも、最初は新規就農者の積極的な受け入れに反対する声はあったそうです。けれど反対すれば、その先は先細るのみ。酪農王国が崩壊しかねない非情な現実が待っています。ならばとことん新しい人を受け入れて、いい酪農家になるよう協力しよう。それが結果として浜中町の明るい将来につながると誰もが気づきました。そして酪農家を目指す若い人たちには、「浜中町なら安心して新規就農できる」という希望をもたらしました。

 

松岡さん:僕が浜中町で就農できたのは、ひとえにJA浜中のおかげですね。今では新規就農者は町内酪農家の1割を超えるほどになっています。以前は“新規就農の会”みたいなものがあったらしいけれど、自分の地区の人たちが受け入れてくれているし、そこの人たちと遊ぶほうが楽しいから、わざわざよそから来た人だけで集まることはないですね。

 

ただ、離農者の牧場を譲り受けるわけですから、それなりに「荒れている」状態ではあります。今の松岡牧場の姿からは想像もつきませんが、松岡さんが最初に土地を譲り受けたときは、ボロボロの牛舎があるだけの状態で、いま自宅のある場所も森だったそうです。

 

しかも以前住んでいた人があらゆるごみを森に捨てていて、その量はなんと約2000トン。まったく、いくらなんでも捨てすぎでしょ!!

 

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▲松岡牧場はこの状態からスタートしました

 

松岡さん:就農してから日々苦労の連続だったかもしれませんが、自分のやりたいことをやっているので苦労を苦労と思っていないところがあります。ただ、最初のごみの片付けは、本当に大変でした。就農したばかりでトラブルもあったりして、しかも永遠に片付かないと思うようなごみの山で精神的に参っていたとき、支えてくれたのは妻でした。ごみ袋を手にして大量のごみに向かって行く後ろ姿は、最高にかっこよかったです。

 

ゼロからの、いや重労働の片付けを考えたらマイナスからのスタート。しかし天国はその後に待っていました。

 

松岡さん:ごみがなんとか片付いて、木を伐採する段階になったら、今度はめちゃくちゃ楽しくなりました。自給自足の生活がしたかったので、自分たちの手で開拓していく楽しさを満喫できる、まさに願ったりかなったりの生活ですよ。67ヘクタールが自分の土地ですからね、やりたい放題ですよ。サバゲーのフィールドにもなりました(笑)。

 

東京ドームの面積が4.7ヘクタールだから、その14倍!?

 

今では社員も雇い「今じゃ俺はなんでも屋の用務員みたいな存在」と笑う松岡さん。かつて自身も経験した酪農ヘルパーの力も借り、夏には家族で海外旅行ができる生活を実現させています。愛知県在住のご両親は、夏は松岡牧場のセカンドハウスを避暑地にしているのだとか。

ちなみに、筆者にも親類に酪農家がいます。もう相当前の話になりますが、そこの家主が亡くなったとき、喪主である長男は葬儀が終わる前につなぎに着替え、牛舎に向かいました。搾乳の時間だったのか、あるいは見てやらないといけない牛がいたのか、そこの記憶は曖昧です。けれど父親の葬儀も早々に作業をしなければならない酪農という仕事を目の当たりにして、なんともやるせない気持ちになったことを覚えています。だから余計、松岡さんが自分の求めるライフスタイルを着実に実現させていることに、胸が熱くなりました。

 

地域に溶け込む上で大事なのは「ウソをつかないこと」

自給自足の生活への憧れや浜中町の自然への愛着がある松岡さんですが、実際に田舎暮らしをする中で、理想と現実のギャップに苦しむことはなかったのでしょうか。また、浜中町で暮らし始めたとき、新参者ならではの心構えなどはあったのでしょうか。

 

松岡さん:ここで暮らし始めたとき、地域に溶け込むために心がけたのは「ウソをつかない」というシンプルなことでした。愚直にそれを守ってきたことで、結果的に地元の人々からの信用を得ることができた気がします。それから僕の場合は8年間就農ヘルパーとしていくつもの牧場に関わりましたから、そこで信頼関係が構築されました。盆踊りやお祭りのときなど浜中町で生まれ育った人たちが集まると、地元ならではの思い出話で盛り上がることがあります。そういうときは「ああ、俺はネイティブじゃないんだな」と感じますが、特に気にしていません。逆になんらかの意見を言ったときに「地元からは出ない意見だね」と、好意的に捉えてくれる場合があります。だから、よそから来た人間だからと疎外感や不快感を味わったことはないですね。

 

一方で、安易に田舎暮らしに憧れてやって来ると、それこそ「理想と現実のギャップが大きすぎるだろう」とも。

 

松岡さん:田舎暮らしに向かないのは、すぐ都会と比較する人ですね。「都会では……」が口グセの人はいつまで経っても田舎の生活にはなじめません。

 

地元の人からすれば、そういうことばかり言われると、自分の暮らす土地を見下されているようで嫌な気分になるのではないでしょうか。言っている本人に悪気がないとしても、聞かされたほうは「だからなに?」ですよね。

 

松岡さん:それから常々思うのは、孤独はダメってことです。どんな田舎に暮らそうが、家族、あるいは支えあえる仲間がいることはとても大切です。ネットワークの重要性は、田舎も都会も変わりません。僕の場合は、この土地でいい仲間にも恵まれましたし、家族にも支えられています。実はこう見えても意外とナイーブで弱いところがあるんですが、妻をはじめ、高校生、中学生の子どもたちにもすごく助けられています。家族は僕のパワーの源ですね。

 

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▲渋い松岡さん。でもハートはナイーブ

 

それからちょっと気になったことを。3人のお子さんのうち、高校生の長男は旭川の高校に通っているので現在は家を離れているそうです。中学生のふたりのお子さんは、自宅から地元の中学へ通っています。田舎で子どもを育てるメリットやデメリットってなんでしょう?

 

松岡さん:とにかく人数が少ないこと。子どもの数が少ないので、当然ながら学校の生徒数も少ないですよね。それが良いことでもあり、マイナスでもあり、表裏一体です。それからネット社会といえどもすべての情報の到着が遅いので、いろいろダサかったりします(笑)。ここは田舎を通り越して僻地なので、都会へのコンプレックスもありますね。

 

「そこの森に熊も出るし」と天気の話でもするようにさらりと言ってもいたので、確かに相当な田舎……いや僻地。

 

極上チーズはこうして作られる

ではここでグレイトフルファームで作られるチーズを見せていただきましょう!

 

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▲グレイトフルファームのロゴかっこいい。アメリカン!

 

チーズを作る工程は、どんなチーズでも途中までは同じです。

まず原料の生乳を加熱して殺菌した後、40℃前後まで冷却したら、そこにスターターという乳酸菌を添加。1時間ほど発酵させて固め、牛乳プリンのような形状になったらカットして固体(カード)と液体(ホエイ)に分離させます。

 

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▲カッティングしてカードとホエイに分離させる

 

ここから先は、ゴーダチーズのように熟成させるか、あるいはモッツァレラチーズのようなフレッシュタイプかによって異なる工程となります。

 

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▲チーズ3種。見た目がこれだけ違うのに原材料は同じ、製造過程も途中まで一緒

 

松岡さん:作っていて楽しいのはストリングチーズですね。牛乳の風味がすごく残るので面白いんです。

 

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▲ストリングチーズは「さけるチーズ」として有名。グレイトフルファームではスモークタイプもあります

 

一方、作るたびに難しいと感じるのはモッツァレラチーズだそう。

 

松岡さん:シンプルゆえにいじくりにくいんですよ。熟成ものってある程度時間が解決してくれるところがあるんですが、モッツァレラは一切のごまかしがきかない。牛乳の状態によって固さも色も変わるし。作るのがあまりに大変で、モッツァレラから手を引いてしまうチーズ工房もあるほどです。

 

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▲今まで食べてたモッツァレラチーズはなんだったんだ、と思うほど衝撃のおいしさだった

 

あえて「工程を変えない」というこだわり

牧場の一角に建てられたチーズ工房はカフェも併設していて、そこでチーズ作りの体験教室も行なわれています。

体験教室ではモッツァレラチーズ作りの工程にある、熱湯の中でチーズを練るストレッチという作業を体験してもらうそうです。最初はぼそぼそした形状だったものが、ストレッチしていくうちに見慣れたチーズへと変化していく様子を目の当たりにすると、参加者はみんな大興奮。しかもそのできたてを食べられるのだから、これはたまりません。

 

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▲ストレッチすることでモッツァレラ独特の軽い歯ごたえと弾力が生まれます

 

これほど極上の味を生み出す松岡さんは、あえて「理想のチーズとはこれ」と定めていません。

 

松岡さん:牛の体調は毎日違うし、季節によって牛乳の質も違うから、その違いをむしろ楽しみたいんです。そのために、決められた作業工程をきっちり厳守することにこだわっています。理想の味を“これ”と決めて常にその味を追求すると、この工程のどこかしらを変えて対応することになりますが、それじゃ大企業にはかなわない。だからうちは、作業工程を変えないことで、そのときどきのチーズを作ろうと。ワインだってその年のぶどうの出来によって味が違うでしょう? あれと同じです。

 

確かにワインは「同じ銘柄なのに去年と味が違う」と怒る人はいません。松岡さんの考えは、至極理にかなっています。

 

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▲誰が作ろうとも作業工程は変えず「自己流」も加えない。それによって逆に味のバリエーションが生まれる

 

通販で味わいたい「カチョカバロ」

グレイトフルファームのチーズは通販でも購入可能です。その一部をちょっとご紹介しましょう。

原料は自社牧場のミルクと塩のみ。

 

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▲数カ月熟成させるセミハードタイプのゴーダチーズ

 

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▲左はゴーダ、カチョカバロ、モッツァレラの3種類のチーズを小さくカットしブレンドしたシュレッダーチーズ。右はモッツァレラチーズ。ナイフは松岡さんのハンドメイド

 

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▲ひょうたんのような形状がユニークなカチョカバロはフライパンでソテーするのがおすすめ

 

松岡さん:カチョカバロを焼くときはフライパンをよく熱するのがコツです。表面に小麦粉をつけるという焼き方もあるようですが、ウチのは小麦粉はいりません!

 

松岡さんの言う通り、フライパンをよーく熱して小麦粉はまぶさずに焼くと……

 

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▲ビジュアルはアレですが多分これで合ってる! フライパンに接している面があたかも餃子の羽のようにこんがりして……

 

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▲とろとろになったところでバケットに乗せてがぶり。あまりのおいしさに思わず変な声が出た

 

ちなみにカチョカバロは底が焼けたらひっくり返して両面に焦げ目をつけるのが理想的。理想のビジュアルはグレイトフルファームのウェブサイトでご確認ください。

両面焼くことでコーティング効果もあるので、筆者の焼き方のような残念なビジュアルにはなりません(でも味は一緒! 本当においしかったし←言い訳)

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▲汎用性の高いゴーダチーズとトーストの組み合わせは最強!

 

スーパー僻地での楽しい暮らしを発信していきたい

この土地に暮らして18年。松岡さんの中には「世の中の役に立ちたい」という気持ちが生まれました。何年も旅するなかで、そして浜中町で、数えきれないほどの親切を受け、数えきれないほど「ありがとう」と言ってきたのだそうです。だから今度は自分が言われる側にならなければという使命感があると言います。

 

浜中町の素晴らしさをひとりでも多くの人に知ってもらうためのアクションも、そこに端を発しています。

 

松岡さん:都会での生活や里山などでの田舎暮らしのほか、こういうスーパー僻地のようなところでも楽しんで暮らしているということを発信していきたいですね。うちではこれをオルタナティブライフスタイルと言っています。この先、すべてが機械化され5Gにより21世紀の産業革命が起こったとしても、コミュニケーションが重要であることは普遍的だと思います。うちの牧場が人と人、モノやコトを繋ぐ場所になっていけたらいいなと考えています。

 

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▲これからも家族と共に

 

あえて「その日そのままの生乳で」作るチーズ、トレーラーハウスのような建物やハーレーダビッドソン。家族を愛し、地域に溶け込み、オルタナティブライフスタイルを実践している松岡さん。

こういう人が、本人いわく「スーパー僻地」に住んでいるんです。国産チーズにも、酪農にも、スーパー僻地にも、希望を感じるではありませんか。

 

店舗情報

Grateful Farm/松岡牧場

住所:北海道厚岸郡浜中町姉別緑栄205
電話:0153-68-6400
営業時間:10:30~17:00
定休日:不定休

www.grateful-farm.com

書いた人:椿あきら

椿あきら

猫の下僕をしているライターです。猫と暮らすようになってから、断然家飲み派になりました。著書に『オリンピックと自衛隊 1964-2020』(並木書房)。

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